電気設備の技術基準の解釈の解説

第185条(放電灯の施設)

経済産業省の一次資料を確認(新しいタブで開く)該当頁の目安 p.266–268

〔解 説〕 放電灯(→第十三号)のうち、けい光灯、水銀灯等に関する規定を本条で定めており、ネオン放電灯については次条で定めている。なお、管灯回路とは、放電灯用安定器(放電灯用変圧器を含む。)から放電管までの電路(→第十四号)をいう。

第1項

第1項は、管灯回路の配線に係る事項を除く他の事項について規定している。
第一号では、放電灯は人が手を触れて取り扱う機会が非常に多く、特に感電の危険があるので、これに電気を供給する屋内電路の対地電圧を150V以下(単相2線式100V配線又は単相3線式200V配線)に制限している。ただし、放電灯に電気を供給する電路の電圧が高いほど屋内配線などが経済的になるので、保安上、工事方法を規制することによって対地電圧を300V以下でよいこととし、電路の対地電圧を150Vを超え300V以下とする場合の工事方法についてイ及びロに規定している。
イでは、感電による危険を防止するため接触防護措置を施すことを示しており、例えば、床上2.3m以上の箇所に施設する方法又はガラス若しくは合成樹脂等で電灯器具を覆う方法がある。
ロでは、放電灯用安定器は、低圧屋内配線と直接接続することを示している。したがって、移動電線によるコンセントの使用は禁じられている。
第二号は、安定器の施設方法を定めている。照明器具等に収められるものは、本条の対象外である。それ以外の場合は全て本条の規定により安定器を施設することになる。
安定器(特殊なものを除き電気用品安全法の適用を受けるので、同法によるものを使用すること。)は、堅ろうな耐火性の箱(一般にはほとんどが金属製の外箱)に収めてあるものを使用する必要があり、その取付け方法として、外箱を造営材から少なくとも1cm離し、かつ、容易に点検できるよう施設することを定めている。
なお、メタルラス張り等の木造の造営物に放電灯を取り付ける場合には、の規定により施設する必要がある。
第三号及び第四号は、変圧器に単巻変圧器又はチョークコイルを使用することは、漏電、感電等の危険防止上、好ましくないので2次電圧が300Vを超える場合は原則として認めないことを定めている。しかし、安定器の資材節約を図る意味でインターロックシステム(放電管を取り外したとき自動的に1次側電路が遮断される。)を採用した場合等には、単巻変圧器の使用を認めている(→解説185.1図)。しかし、放送宣伝カーの停車中(停車中は、電源を一般配線からとる。)において、単巻変圧器を使用したけい光放電灯の保守不完全から感電事故を起こした例があるので、この種のものには、単巻変圧器の使用を避けることが望ましい。
解説185.1図
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第五号は、危険防止のため接地工事を施すべき旨の規定であるが、工事を簡易にするため、管灯回路の使用電圧が高圧の場合でも管電流が1A以下の場合は、D種接地工事でよいこととし、さらにイ、ロ、ハ及びニに掲げてある場合は、比較的危険度が低いので接地の省略を認めている。ここで、イ及びロの場合は主として予熱始動式熱陰極けい光放電灯を施設するときに、ハの場合は主としてけい光灯を使用するスタンド等で予熱始動式熱陰極型(使用電圧300V以下、電流制限なし。)又は冷陰極型(50mA以下、電圧制限なし。)のけい光放電灯を使用するときに、ニの場合はけい光灯の種類にかかわらず適用される。
第六号は、防湿装置に関する規定であるが、けい光灯は湿気に対し敏感で不点になりやすく、事故も発生しやすいので、湿気の多い場所等に施設することはなるべく避けたほうがよい。やむを得ず施設する場合は、安定器及び放電管等が湿気を帯びないように防湿型の照明器具内に施設すべきである。

第2項、第3項

第2項及び第3項は、管灯回路の配線について規定している。ネオン放電灯以外の放電灯は、安定器、放電管その他の付属品を1個の照明器具に収めてその電源を一般の低圧屋内配線からとるようにするのが保安の観点からは最も好ましい方法であるが、建造物内の照明方法によっては必ずしもこのようにできない場合が多い。
ネオン放電灯以外の管灯回路において使用電圧が低圧の場合は、その配線方法も低圧屋内配線と同様に考えて別段差し支えないが、高圧の場合は、高圧屋内配線と同様に取り扱うことは実運用上支障があるので、できるだけ実状に即するように工事方法が定められている。
第2項は、使用電圧が300V以下の管灯回路(ネオン放電灯を除く。)の配線について、一般の使用電圧が300V以下の低圧屋内配線と同様に施設することを定めているほか、電線にけい光灯電線が使用できることを規定している。なお、管灯回路の配線をケーブル工事により施設する場合に、で規定されている建造物の電気配線用のパイプシャフト内にケーブルを垂直につり下げて施設する方法は準用できないので注意を要する(→解説)。
第3項は、使用電圧が300Vを超え1,000V以下の管灯回路(ネオン放電灯を除く。)の配線について規定している。なお、工事方法ごとに施設できる条件を定めているが、使用電圧が300Vを超える一般の低圧屋内配線の工事方法に比べ、金属線ぴ工事については、その施設できる条件を緩和し、乾燥した場所であって、展開した場所又は点検できる隠ぺい場所の施設を認めている。
第一号は、がいし引き工事による方法を規定しており、電線に可とう性のあるけい光灯電線を使用するときに、支持点間の距離を1m以下としているほかは、使用電圧が300Vを超える一般の低圧屋内配線とほぼ同様である。
第二号は、使用電圧が300Vを超える配線での合成樹脂管工事に関するものであり、電線にけい光灯電線を使用するほかは、一般の低圧屋内配線とほぼ同様である。
第三号は、金属管工事に関する規定である。このうち接地工事については、各放電灯ごとにA種接地工事又はC種接地工事を施すことは困難であること、及び管灯回路の電流は一般に小さいという理由で、300V以下の低圧並みにD種接地工事を認めている。ただし書では、長さ4m以下の管を乾燥した場所に施設し、簡易接触防護措置を施す場合に限って、接地の省略を認めている。
第四号及び第五号は、それぞれ金属可とう電線管工事及び金属線ぴ工事に関する規定で、前号と同様の趣旨である。
第六号は、ケーブル工事に関する規定であるが、実際にはこれによる工事はほとんど行われていないが、もし行うとすれば、低圧ケーブル工事と同様な方法によるべきことが定められている。なお、で規定されている建造物の電気配線用パイプシャフト内にケーブルを垂直につり下げて施設する方法は、準用できないので注意を要する(→解説)。
第七号は、ショウウィンドー等(陳列棚を含む。)内の特殊配線工事に関する規定で、美観上の要求から目立たない配線を行うため、造営材に接触して施設する配線工事を認めている。この場合は、接続点に弱点があるので、接続点を造営材から浮かして固定するよう定めている。危険度からみれば、管灯回路の使用電圧が低圧の場合はと同様であるが、高圧の場合でも管灯回路の電流は一般に小さいことと、電線には特に設計されたけい光灯電線を使用し、かつ、危険のおそれがないように施設することを条件とすることで特に認められたものである。
第八号は、エスカレーターの側面等においてけい光灯照明を施す場合の規定である。これは、このような場所の配線は、化粧板と内部の反射板との間の極めて狭い場所に施設するものであり、に規定する一般の工事方法によることができないため、やむを得ず、けい光灯電線を軟質ビニルチューブに収めて施設する方法があるが、その使用実績からみて保安上支障がないので一般規定化したものである。
なお、本号で引用されているJIS C 2415(1994)については、平成13年に廃止されている。同JISはUL224規格に対応するものであるが、廃止後はこのUL224規格に基づいて電気絶縁チューブが製作され、使用されているなど現在においても廃止JISが機能し、かつ、ニーズがあると認められるため、引用を継続することとした。

第4項

第4項は、ネオン放電灯以外の管灯回路の使用電圧が1,000Vを超える放電灯は、放電灯用変圧器の2次短絡電流が大きいものを要求されることから、ネオン放電灯と同様に取り扱うことは危険であるため、複写機などのように放電灯が機械器具の内部に安全に施設されている場合を除き、屋内の使用を禁止しているが、機械器具の内部に収まらない印刷の塗料硬化を目的とした産業用水銀灯のために、第一号及び第二号の規定により施設することを条件として施設制限を緩和している。なお、ネオン放電灯以外の1,000Vを超える放電灯としては、主として管灯回路の電圧が高圧の水銀灯が該当する。
第一号イ及びロは、漏電、感電等の危険防止の見地から、放電灯に電気を供給する電路と管灯回路とを絶縁変圧器により結合し、管灯回路の1線地絡電流(→解説)をできるだけ小さく抑えることとしている。なお、この絶縁変圧器に放電灯用安定器を組み合わせて使用する場合もあるので、この規定ではこの絶縁変圧器は漏れ変圧器である必要はない。この放電灯用変圧器についてはで特殊な変圧器としてその適用が除かれているので、絶縁耐力その他必要な事項をロで定めている。
ハは、放電灯に電気を供給する電源電路には、保守、点検上必要であるので、専用の開閉器及び過電流遮断器を施設することとしている。
ニでは、管灯回路の配線は、高圧ケーブル(→)を使用して、高圧屋側電線路(→)、地中電線路(→から)、橋に施設する電線路(→)、電線路専用橋等に施設する電線路(→)に準じて施設することとしているほか、放電灯器具は、充電部分を露出しないこと(→)を規定している。
第三号では、屋側又は屋外に施設する場合について規定している。
ロは、放電管の器具は高温であるので、人が触れないように取付け高さを示すとともに、他の工作物(架空電線については等の規定で別に示しているので、ここでは除かれる。)又は植物との離隔距離を示している。

第5項

第5項は、粉じんの多い場所又は爆発性物質のある場所に管灯回路の使用電圧が300Vを超える放電灯を施設することは、危険であるので、これらの場所に施設しないこととしている。

公式資料該当頁: p.266–268

令和7年11月20日改正

出典: 「電気設備の技術基準の解釈の解説」(経済産業省)を加工して作成

※ 本ページは公式資料そのものではありません。