電気設備の技術基準の解釈の解説
第164条(ケーブル工事)
経済産業省の一次資料を確認(新しいタブで開く)該当頁の目安 p.225–227
第1項
〔解 説〕 ケーブル工事は、屋内では金属管工事と同様、あらゆる場所に利用できる工事方法である。電線にはケーブルを使用する場合とキャブタイヤケーブルを使用する場合とがあり、それらのケーブルについては、第8条から第11条により各種のケーブル(→第9条)の使用が認められているが、その施設場所に応じて適当なケーブルを選ぶことが大切である(→第9条解説)。すなわち、腐食性ガス等のある場所にはガス等の性質に応じて耐腐食性を有する鉛被ケーブル、ビニル外装ケーブル、クロロプレン外装ケーブル又はポリエチレン外装ケーブル(→第9条)を使用し、爆燃性又は可燃性の物質のある場所には第120条第6項又は第7項の規定に適合するがい装を有するケーブル(管等の防護装置に収める場合は、がい装を有するケーブル以外のケーブル及びこれに保護被覆を施したケーブル又は第9条のMIケーブル)を使用すべきこと(→第175条から第178条)は、それぞれの条項で明らかであるが、その他の場所においても、施設場所の条件に応じて適当なケーブルを選ぶ必要がある。
また、キャブタイヤケーブルについては、本来移動電線として使用することを目的として製作されるものであるが、鉱山等のキャブタイヤケーブルを多く使用する事業場では、坑道内の配線に限らず、一般の配線としても使用する場合が多く、一般の需要場所においても固定した電気使用機械器具等に至る短小な配線には可とう性に富むキャブタイヤケーブルを使用するのが便利な場合があるので、ケーブルと同等程度の性能を有するものと考えられる2種、3種及び4種キャブタイヤケーブル並びにビニルキャブタイヤケーブル及び耐燃性ポリオレフィンキャブタイヤケーブルを使用する配線工事について規定している(→第8条解説)。
第一号は、電線の種類によって使用電圧及び施設場所の制限を解説164.1表に示すとおり規定している。
〔解説164.1表〕
第二号は、ケーブル又はキャブタイヤケーブルの防護装置について規定しているが、これは施設場所及び使用する電線に応じて、適当な防護装置を施すべきことを意味する。
ここで「重量物の圧力又は著しい機械的衝撃を受けるおそれがある」とは、ケーブル又はキャブタイヤケーブルの外装に対する相対的なことを意味している。例えば、比較的外装の程度の低いビニル外装ケーブルに対しては損傷を受けるような重量物の圧力又は著しい機械的衝撃を受けるおそれがある場合であっても、鋼帯がい装を有するクロロプレン外装ケーブルに対してその外装を損傷するまでに至らない場合であれば、鋼帯がい装クロロプレン外装ケーブルに対しては重量物の圧力又は著しい機械的衝撃を受けるおそれがない場合であると考える。
また、「重量物の圧力又は著しい機械的衝撃」としては、ケーブル又はキャブタイヤケーブルに損傷を与えるような外力は全て考慮すべきであって、施設されている電線の上に重量物が乗せられる場合、通路等の上に施設されている電線に通行人又は運搬中の物が触れるおそれがある場合、木製の側壁等に取り付けられた電線が壁の裏面等から釘打ちをされるおそれがある場合等は、当然、あらかじめ考慮しておく必要がある。
具体的な防護施設としては、ケーブル又はキャブタイヤケーブルを金属管に収めることが最も一般的であって、これはあらゆる場合の防護施設として利用できる。その他、金属ダクト若しくはフロアダクトに収める方法、ケーブル若しくはキャブタイヤケーブルの側面等に防護板を取り付ける方法又は壁の裏面からの釘打ちを防止するためケーブル又はキャブタイヤケーブルの取付け面に鉄板を張り付ける方法等があるが、施設場所又は使用電線の性能に応じて、適当な方法を講ずることとなる。
最近、事務所ビル等で重量物による防護が不要な施工法の一つとしてアクセスフロアによる施工方法が多く採用されている。具体的な施工方法については、日本電気技術規格委員会規格 JESC E0005(2016)「内線規程」((一社)日本電気協会電気技術規程 JEAC 8001-2016)の3170節(アクセスフロア内のケーブル配線)を参考にされたい。
第三号は、電線の取付け方法に関する規定である。ケーブル又はキャブタイヤケーブルを金属管やダクト等に収めて施設する場合は問題ないが、建築物の仕上り面等の下面又は側面に直接取り付ける場合は、サドル、ステープル等により造営材に固定することとしている。この場合にその取付け点間隔を、ケーブルでは2m以下を原則としているが、接触防護措置を施した場所において垂直に取り付ける場合は6m以下とすることができる。特に金属管やダクト等に収めて施設する場合は、ケーブルを直接堅ろうに支持することが望ましい。キャブタイヤケーブルは、その使用目的から心線には細い素線を用いているので、機械的強度においてケーブルに劣るため、1m以下とすることとしている。造営材等の上面に施設する場合、造営材に沿わせない場合は特に定めていない。
ケーブルを取り付ける際には、その屈曲部分の曲率半径に注意する必要があり、アルミ被又は鉛被を有するケーブルの屈曲部の内側半径は、仕上り外径の12倍以上、鉛被を有しないケーブルの場合は5倍以上とすることが望ましい。なお、接続については、第12条の規定が適用される。
第四号は、漏電による危険防止のため、低圧屋内配線の使用電圧が300V以下の場合は、D種接地工事を施すべき旨の規定であって、一般には、ケーブル又はキャブタイヤケーブルを収める金属管若しくは金属ダクト、金属接続箱及びケーブルの被覆に使用する金属体(鉛被ケーブル等については、その鋼帯と鉛被の双方を指している。)等をボンド等により電気的に接続してからD種接地工事を施す。なお、ただし書の場合については、金属管工事等の場合と同様である。この場合に、配線器具を金属製のアウトレットボックスに収めて使用する場合は、アウトレットボックスは管その他の電線を収める防護装置と解してよい(→第159条)。
第五号は、低圧屋内配線の使用電圧が300Vを超える場合は、C種接地工事を施すべき旨の規定で、その趣旨は前号と同じである。ただし書は、第159条第3項第五号の場合と同じである。
第2項
第2項は、ケーブルをコンクリートに直接埋設する工事方法について規定している。
第一号では、コンクリートに直接埋設するケーブルは、生コンクリートを流し込むときに外力が加わることを考慮し、MIケーブル、コンクリート直埋用ケーブル又は第120条第6項若しくは第7項に規定する構造のがい装を有するケーブルのみとしている。「コンクリート直埋用ケーブル」は、コンクリート直接埋設用ケーブルで、耐衝撃性を強化するための保護層が設けられている。
第二号は、コンクリート内では、電線に接続点を設けないことを規定している。これは、コンクリート打設時に接続点が弱点となるおそれがあるためで、接続には必ずボックスを使用することとしている。ただし書は、直埋したケーブルがはつり等の外力によって損傷を受けた場合等の補修に際して、どうしてもやむを得ない場合に、その接続部分を十分に絶縁処理し、ケーブルと同等以上の機械的保護を施せば、その部分をモルタル塗り込めして埋め込むことができることを示している。
第三号は、ボックスの材質等について規定している。第四号は、ボックス又はプルボックス内に電線引込部から水が浸入することを防止する趣旨である。
第3項
第3項は、ケーブルを電気配線用パイプシャフト内に垂直につり下げて施設する工事方法について規定している。超高層ビル等の垂直配線をケーブル工事により施設する場合に建造物の軽量化等その構造上、支持点間の距離を長くする必要があり、これに対応できる工事方法として規定されたものである。
第一号は、垂直につり下げて施設する垂直ちょう架ケーブルに関する規定である。イは、垂直につり下げて施設するケーブルには垂直荷重がかかるため、使用できる電線の太さを規定している。(ロ)は、(イ)で除外した鋼心アルミ導体ケーブルのうち、垂直につり下げて施設できるものの仕様を示している。ロは、ケーブルとちょう架用線が一体化されたものの仕様を規定している。ハは、垂直につり下げて施設するケーブルの外装保護方法等について規定している。
第二号は、ケーブルとその支持部分の安全率を4以上と規定している。これは、地震時の安全をも考慮して定めたものである。
第三号は、充電部分が露出しないように施設することを規定している。
第四号は、垂直ちょう架ケーブルの運動性(電源投入時等)への追随性を考慮して、分岐線をケーブルに限定し、その施設方法を定めている。