電気設備の技術基準の解釈の解説
第175条(粉じんの多い場所の施設)
経済産業省の一次資料を確認(新しいタブで開く)該当頁の目安 p.242–251
第1項
〔解 説〕 粉じん(繊維のちりも含む。)のある場所とは、以下の場所をいう。本条では、このうち①の場所における低圧又は高圧の工事を第1項第一号に、②の場所におけるものを第二号に、③の場所におけるものを第三号にそれぞれ規定している。
①爆燃性粉じんの多い(爆発した場合に、人に危害を与え又は近くの工作物を損壊する程度)場所又は火薬類の裸薬の粉末が飛散する場所
②可燃性粉じんが、空気中に浮遊し、点火源があれば爆発する濃度に達するおそれがある場所
③①及び②以外の場所で、粉じんが堆積し又は機械器具内に侵入し、その熱の放散を妨げ又は絶縁性能若しくは開閉機構の性能等を劣化させるおそれがある場所
④その他の場所
「爆燃性粉じん」とは、マグネシウム、アルミニウム、アルミニウムブロンズ、チタン、ジルコニウム、過酸化ベンゾール等空気中に浮遊した状態ではむろんのこと、床上に溜まっている状態でも点火源があれば爆発的に燃焼するものをいう(→解説175.1表)。
「火薬類の粉末」とは、火薬類取締法第2条に定義される火薬及び爆薬のうち乾燥綿薬、カーリット、黒色火薬などの裸薬の粉末又は粉じんを指し、雷管や導火線など包装されたものはこれに該当しない。
〔解説175.1表〕
「爆燃性粉じん又は火薬類の粉末が存在し、電気設備が点火源となり爆発するおそれがある場所」とは、平常の状態においても爆発(小規模で、人や他の工作物に危害を生じるおそれがない程度のものを除く。)するだけの量の爆燃性粉じんを露出した状態で取り扱う場所はもちろんのこと、密閉した容器内に入れてあって、漏れ出た粉じんが空気中に浮遊し又は堆積している場所のほか、装置の修理又は点検等の保守作業を行う場合、又は通常起こり得る誤操作の場合に上述と同じ状態になる場所を含む。
このような場所では、電気設備その他点火源となるものはできるだけ施設しないようにすべきであることから、電気設備の施設はやむを得ない場合のみに限るものとし、かつ、爆燃性粉じんが空中に浮遊し又は機器の上に堆積するなどのことを防止するためできるだけの措置を講じる必要がある。
第一号に規定する場所に該当する可能性の高い場所としては、次のような場所がある。
(1)爆燃性粉じん又は火薬類の粉末をふるい分けする場所
(2)爆燃性粉じん又は火薬類の粉末の製造場における粉砕場所
(3)爆燃性粉じん又は火薬類の粉末を1つの容器から他の容器に移す場所
(4)爆燃性粉じんの貯蔵所
(5)火薬類を混合又は配合する場所
(6)火薬類を乾燥する場所
なお、危険場所は局部的にとらえれば、同一の建物の中にこのような危険場所があればその建物内全体の電気設備を本号の規定により施設しなければならないということではない。本条が適用される火薬類製造所の危険工室については、解説175.2表を参照されたい。
〔解説175.2表〕
第一号に規定されている工事方法の基本的な考え方としては、常時火花を発し又は高温になるなどして点火源となりやすい部分については、その構造に厳重な規制を設け(粉じん防爆特殊防じん構造)、その他の部分、例えば配線については、外傷防護と粉じんの集積により熱の放散を損なうことを防止することに着目して規定している。
なお、粉じん危険場所における電気工事については、独立行政法人 労働者健康安全機構 労働安全衛生総合研究所(旧:産業安全研究所)から工場電気設備防爆指針が出されているので参考とされたい。
イでは、屋内、屋側及び屋外の配線並びに管灯回路の配線(放電灯の使用電圧は本文で300V以下に規制されている。
→第185条)の工事方法について規定しており、金属管工事又はケーブル工事によることとしている。ケーブル工事により配線する場合は、信頼性の高いケーブルを使用することとし、キャブタイヤケーブルを使用しないこととしている。
(イ)では、金属管工事による場合には、一般の工事方法(電線の種類、接地工事等)は、第159条に規定されており、これに従う必要があることはいうまでもないが、そのほか特に要求される事項について規定している。このうち、(1)の「同等以上の強度」とは一般に耐衝撃力、耐圧強度について比較する必要がある。
(2)の「容易に摩耗、腐食その他の損傷を生じるおそれがない」とは、その使用条件によって一概に言えないが、腐食性ガスの溶液のある所では、当然それに耐えるものが必要となり、擦り合わせの激しい所では、当然耐摩耗性の優れたものを必要とする。要は、不断の点検により十分に防じんの性能を維持できるものを使うことが必要となる。また、「粉じんが内部に侵入しない」とは、少しも入らぬようにということである。
(3)における「内部に粉じんが侵入しないように接続する」とは、5山以上ねじ合わせることにより粉じんが侵入し難くなるわけであるが、更にねじ合わせ部分をロックナットで締めつけ又は金属管の導電性を妨げないような方法で塗料やパッキンを用いる等の方法を講ずることをいう。
金属管工事により配線する場合、電動機と金属管とを直接接続すると、電動機の振動が金属管に直接伝わり、金属管の接続箇所等で損傷が生じるおそれがあるので、金属管から電動機の端子箱に至る橋渡しの役目をするものとして可とう性のある保護管を使用する必要がある。この部分は、金属管の防爆型の附属品のうち粉じん防爆型フレキシブルフィッチングを使用することとしている。粉じん防爆型フレキシブルフィッチングの構造(→第159条第4項第一号)は、継目のない丹銅、リン青銅又はステンレスでできている可とう性のある管の上に更に丹銅、黄銅又はステンレスでできている編組被覆を被せたもの、又は2種金属製可とう電線管に厚さ0.8mm以上のビニルを被せたもので、いずれも堅固に製作されている。粉じん防爆型フレキシブルフィッチングと金属管又は電動機の端子箱との接続は、これに附属するコネクタ又はユニオンカップリングにより内部に粉じんが侵入しないように施工する。
なお、「可とう性を必要とする部分」とは、上記の橋渡しにおける必要最小限の部分を意味している。
(ロ)では、ケーブル工事による場合は、第164条(第3項を除く。)に規定された一般原則に従うほか、さらに(1)から(3)の規定により施設することとしている。
(2)は、原則として金属管や堅ろうなとい等に収めて外傷を防護する必要があるが、ケーブルに鋼帯がい装を施したもの又はMIケーブルを使用すれば、必ずしも防護装置の中に収める必要はない。この場合のがい装は、十分な強度を有することが必要であり、ケーブルのがい装については第120条にその構造が示されている(→第120条解説)。MIケーブルは、その構造が導体の銅線を粉末状の酸化マグネシウムその他絶縁性のある無機物で充てんし、これを銅管で覆うものであって機械的強度があり、電線に短絡事故を発じても、その影響を外部に及ぼすおそれがないので、がい装ケーブルと同様に防護装置に収めなくてもよいこととしている(→第9条解説)。
(3)は、端子箱内でケーブルと電気機械器具内の電線とを接続する場合のケーブルが端子箱を貫通する部分について定めたもので、防じんパッキン式引込み方式又は防じん固着式引込み方式等が日本産業規格 JIS C 0903(1983)に定められているので参考とされたい。なお、引込口で損傷するおそれがないものとは、引込口を面取りすることをいう。
ロでは、移動電線は、できるだけ使用しないことが望ましいが、やむを得ない場合は、機械的強度の強い3種以上のキャブタイヤケーブルに限って使用を認めている。この場合、電気機械器具との接続部分は、ケーブルを電気機械器具に引き込む場合と同様の注意が必要である。特に引込口において、角があるなどすると事故の原因になるので、無理のない構造とする必要がある。また、移動電線の途中の接続部分は、往々にして粗雑な方法がとられ、事故の原因となっているので、途中に接続部分を設けないこととしている。
ハでは、電気機械器具と配線又は移動電線とを接続する場合について規定しており、その部分に振動が加わるようなときは、接続部分には止めナット、ばね座金を用いて緩み止めを施す必要がある。
危険場所内に設ける電気機械器具(配線器具、白熱電灯、放電灯等を含む。)は、外箱等の接地(→第29条)、対地電圧の制限(→第143条)等の一般規定によることはもちろん、そのほか次のことなどが要求される。
①「電気機械器具防爆構造規格」(昭和44年労働省告示第16号)に規定される粉じん防爆特殊防じん構造に適合するものであること。
②白熱電灯及び放電灯器具は、造営材に直接堅ろうに取り付け、又は電灯つり管、電灯腕管等により造営材に堅ろうに取り付けること。
③電動機は過電流を生じやすく、過負荷、欠相等により過熱しやすいので、過電流保護装置を設け、又は焼損した場合にも、火が外部に出ず、外被が爆燃性粉じんの発火点以上にはならないように製作されたものを使用すること。
H20解釈以前は、粉じん防爆特殊防じん構造の規格が本条に規定されていたが、労働安全衛生規則により、「電気機械器具防爆構造規格」に適合するものでなければ使用してはならないこととされていることから、同規格に適合することを規定する形に改めた。
「電気機械器具防爆構造規格」においては、粉じん防爆特殊防じん構造とは、「接合面にパッキンを取り付けること等により容器の内部に粉じんが侵入しないようにし、かつ、当該容器の温度の上昇を当該容器の外部の爆燃性粉じんに着火しないように制限した構造をいう。」とされ、容器(外箱、外被、保護カバー等)の接合面へのパッキンの取付け、操作軸又は回転軸と容器の接合面における奥行き寸法、防じん性の保持に必要な箇所に用いられるねじ類に対して錠締め構造(特殊な工具を用いなければ緩めることができない構造)及び緩み止めを施すこと等が規定されている。
第二号は、可燃性粉じんのある危険場所における電気設備の施設方法について規定している。
「可燃性粉じん」とは、空気中に浮遊した状態において初めて爆発的に燃焼するものをいう。したがって、爆燃性粉じんは該当しない。可燃性粉じんに該当するものには次のようなものもあり、鉄粉のように微粉となって初めて燃焼性をもつものもある(→解説175.1表)。
石炭、コーヒー、ココア、でん粉、デキストリン、ゼラチン、穀粉、粉ミルク、たばこ、カゼイン、木粉、紙、コルク、皮革、シェラック、ピッチ、エボナイト、硫黄、ナフタリン、樟脳、合成ゴム、無水フタル酸、アストアリニド、アセチルサルチル酸、石鹸、天然樹脂、フェノール樹脂、アクリルアルコール樹脂、ポリエチレン、ステアリン酸、鉄粉、亜鉛粉等。
「可燃性粉じんが存在し、電気設備が点火源となり爆発するおそれがある場所」とは、可燃性粉じんがあるだけでなく、以下の条件が、日常その場所で起きるような場所である。
(1)可燃性粉じんが多量にあること。
(2)その粉じんが空気中に浮遊している状態であり、又は何らかの機会に空気中に浮遊した状態となること。
(3)空気中に浮遊した状態における粉じんの濃度が、点火源のあった場合に爆発するおそれのある濃度に達すること。
日常という意味は、予想せざる機械装置その他の損壊による場合を含まないという意味で、日常行われる保守、点検作業のため、可燃性粉じんを密閉した容器を開ける場合等は含まれ、可燃性粉じんの上に作業者が誤って物を落としたときに粉じんが舞い上がり爆発し、次々と連鎖反応的に粉じんが舞い上がるというように、通常起こり得る誤操作等によって危険となる場合も含まれる。
また、換気除じん装置により、その換気除じん装置が運転されている限り、そのような危険な状態にならない場所は、その状態では爆発のおそれがないわけであるから本項に規定する場合には含まれないが、そのような場所では、換気除じん装置が故障により停止した場合は、危険な状態になるおそれがあるから、本項の規定に従って電気設備が施設されていない場合は、速やかに当該場所内の電気設備を電路から遮断する必要がある。したがって、換気除じん装置に依存している場所では、このような措置がとれる体制を整えておく必要がある。
第二号に規定する場所に該当する可能性の高い場所としては、次のような場所がある。一般に、爆発するおそれがある濃度とは、視界を妨げる程度のものであるので、かなりもうもうとした場所で、町の精米場の程度のものは該当しない。
(1)可燃性粉じんをふるい分ける場所
(2)可燃性粉じんの製造場における粉砕場所
(3)可燃性粉じんを1つの容器から他の容器に移す場所
(4)可燃性粉じんの貯蔵場
(5)可燃性粉じんを輸送するコンベアのある場所
(6)可燃性粉じんの乾燥場
なお、危険場所は局部的にとらえればよく、この点については第一号の場合と同様である。
第二号に規定されている工事方法の規制の基本的考え方等については、第一号の場合と同様であるので、第一号の解説を参照されたい。
ロでは、屋内配線について規定しており、第一号の場合と異なっている点は、合成樹脂管工事による施設が認められていることであるが、これは危険の度合が第一号の場合より低いことによるものである。
(イ)は、合成樹脂管工事による場合について規定している。(2)では、合成樹脂管及びその附属品は、金属製のものに比べて、若干損傷しやすいので、物を運搬する際に衝突するおそれがある場合その他著しい衝撃が加わるような所に施設することは避けることとしている。
(3)では、ボックスその他の附属品のようにすき間があるものについては、そのすき間にはパッキンを用い、又はすき間の奥行きを長くするなどの方法により粉じんが入り難い構造とし、内部に可燃性粉じんが集積することを防止することを規定している。
(4)では、爆燃性粉じんの場合とは異なり、粉じんが全く入らぬようにということではないので、合成樹脂管とその附属品、プルボックス又は電気機械器具とは差込み深さを管の外径の1.2倍(接着剤を使用するときは、0.8倍)とすれば、一応防じんの目的は達せられるものと考えている。(4)で附属品との関係を規定していないのは、それらは、一般原則である第158条第2項第一号の適用を受けるからである。
なお、厚さ2mm未満の合成樹脂製電線管は機械的衝撃等により破損しやすいため、また、CD管は管の端末や接続部分を粉じんが侵入しないような構造とする施工方法が確立していないため、ともに使用しないこととしている。
(ロ)は、金属管工事による場合について規定している。第一号の場合と異なる点は、防じんのための施工方法で、
第一号の場合は粉じんが侵入しないようにすることとしているが、本号の場合は、粉じんが入り難くなっていればよい。
すなわち、附属品の合せ目等に必ずしもパッキンを使う必要がなく、例えばすきまの奥行きを長くすることでもよく、金属管とボックス等の接続についても単に5山以上しっかりねじ合わせるだけでよい。その他の点は、第一号と同様である。
(ハ)は、ケーブル工事による場合について規定している。ケーブル工事による場合は、キャブタイヤケーブルが使用できるほか、ケーブルを機械器具に引き込む部分の防じん構造については、第一号の場合ほど厳密に考える必要がない点が異なっている。
ハは、移動電線を施設する場合について規定している。移動電線は、第一号の場合と同様、できるだけ使用しないことが望ましいが、これを使用する場合に、物がぶつかる又は人が踏みつけるなどのおそれがない場所において、2種以上のキャブタイヤケーブルを使用することとし、かつ、第一号の場合と同様、接続点のないものを使用する必要がある。
また、電気機械器具に引き込む部分については、ケーブル工事の場合と同様に、粉じんが侵入し難いように、かつ、引込口は面取りして損傷を防止する必要がある。
ホは、電気機械器具の端子への電線の取付けについて規定しており、前号の場合と同様、接続箇所が振動により緩まないようにする必要がある。また、危険場所内に設ける電気機械器具は、第一号の場合と同じく一般規定によるほか、白熱電灯や放電灯用電灯器具の取付け、電動機は過電流が生じた場合に可燃性粉じんに着火するおそれがないように施設することのほか、電気機械器具の構造は、「電気機械器具防爆構造規格」に規定された粉じん防爆普通防じん構造のものを使用することが必要とされる。「電気機械器具防爆構造規格」においては、粉じん防爆普通防じん構造とは、「接合面にパッキンを取り付けること、接合面の奥行きを長くすること等の方法により容器の内部に粉じんが侵入し難いようにし、かつ、容器の温度の上昇を当該容器の外部の可燃性の粉じん(爆燃性の粉じんを除く。)に着火しないように制限した構造をいう。」とされ、粉じん防爆特殊防じん構造の場合と同様、各種の構造が規定されている。
第三号に規定する場所(その他粉じんの多い場所)には、微粉又はちりが多く、電気設備の熱の放散を妨げるおそれ、絶縁性能を劣化させるおそれ又は開閉機構の性能を損なうおそれがある程、粉じんが多い場所が該当する。
ただし、除じん装置を設けて、通常の状態ではじんあいが少ないような場所は、該当しない。
粉じんの多い場所に該当する可能性の高い場所の例としては、精米場、製粉場、綿打場、織布場、より糸場、セメント製造場、砕鉱場等がある。
本号の規定は、電気設備の熱の放散が妨げられること、絶縁性能が劣化すること又は開閉機構の性能が低下することにより、2次的に感電、火災等の障害を生じることを防止するためのものである。「有効な除じん装置」とは、局部的な除じんだけではこれに該当せず、例えばオートクリーナーとインジュースドファンとを併用するような装置のことをいう。
イでは、配線工事について規定しており、広く一般的な工事方法を認めているが、金属線ぴ工事、換気型のバスダクト工事(→第163条解説)及びフロアダクト工事は認めていない。
なお、がいし引き工事によるものについては、点検保守が比較的容易であり、したがって点検が十分に行われるという前提にたっているが、線間距離、電線と造営材との離隔距離を大きくとって安全度を上げることが望ましい。金属可とう電線管工事については、本号では規定していないが、2種金属製可とう電線管を使用すること又は1種金属製可とう電線管にビニルチューブを被覆したものを使用することが望ましい。その他の配線工事の方法については、一般原則に従って施設することとなる。
電気機械器具の端子に配線又は移動電線を取り付ける場合には、第一号の場合と同様、振動により緩むおそれがないようにする必要がある。
電気機械器具は、次の要件を満たす必要がある。
①粉じんが附着又は堆積して機器の温度が著しく上昇するおそれがある場合、開閉器又は過電流遮断器などの電路を開閉する部分を有し、粉じんが接点間に入って接触不良を生じるおそれがある場合、開閉操作機構の部分の粉じんが集積して開閉操作ができなくなるおそれがある場合又は絶縁物で覆われていない充電部分を有するものであって、導電性の粉じんが入って絶縁性が失われるおそれがある場合等、機器の機能を著しく低下させるようなおそれがある場合は、その結果として2次的に感電その他の障害を生じるので、これらの機器には防じん装置を設けて、このような障害の発生を防止する必要がある。
必要となる防じん装置は、粉じんの存在する状態、障害を生じるおそれがある機器の機能等によって異なる。例えば、熱の放射を妨げられることに対しては、じんあいが堆積するおそれのある床の上を避け、高所に施設し又は全閉構造の適当な大きさの箱内に収める等のことが考えられ、絶縁性能の劣化、開閉機構の性能低下等については、機器自体を全閉構造とし又は全閉構造の箱内に収める等のことが考えられる。なお、銅粉、鉄粉等が多いような所では、内部に露出充電部分のない機械器具を使うことが望ましいが、露出充電部分がある場合には、その部分を防じん構造とすることが望ましい。
②開閉器やヒューズのようにアークや火花を発する電気機械器具を綿、麻、絹等の燃えやすい繊維の粉じんが存在する場所に施設するときは、集積したこれらのものに火が着くと急速に燃え広がるため、アークや火花が電気機械器具の外部に出ないように全閉構造とし、又はその他適当な方法により施設する必要がある。
したがって、キー付ソケットは、ハ及びニの規定に適合しないため使用できない。
第四号は、第一号から第三号までに規定する施設方法によらず、IEC規格の規定による施設方法であっても、省令の規定趣旨を満足するものであることを示している。IEC規格の規定の概要は、以下の通りである。なお、H20解釈で引用規格の番号が、IEC 1241-1(1993-8)及びIEC 1241-2(1993-8)から、IEC 61241-14(2004-07)へ変わったが、以下の概要は前者に基づくものである。
A.共通要件
1.電気設備の防爆方式を選定するための基本要件
(1)IEC1241-1-1及びIEC1241-1-2に従った防爆電気設備を計画するに際し、まずIEC1241-3「可燃性粉じんが存在する危険区域の分類」(Classification of areas where combustible dusts are or may be present)により電気設備を施設する区域が危険な状態となる頻度とその継続時間などを考慮して危険度20区域(Zone 20)、危険度21区域(Zone 21)、危険度22区域(Zone 22)に分類して、それぞれに対応した設備を選定すること。
区域の分類は以下のとおりである。
危険度20区域(Zone 20):正常機能の状態において、可燃性粉じんが雲状で連続、あるいは頻繁に存在して爆発性粉じん雰囲気を生成するか、又は過度の粉じん堆積層の形成を排除できない区域
危険度21区域(Zone 21):正常機能の状態において、可燃性粉じんが雲状で存在して爆発性粉じん雰囲気が生成され、Zone 20と分類できない区域
危険度22区域(Zone 22):可燃性粉じん雲がごくまれに、しかも短時間だけ存在するか、あるいは異常状態で粉じん堆積層が形成され、かつ燃焼をおこすおそれがあってZone 21と分類できない区域。
ただし、異常状態が継続して粉じん堆積層の除去が実施できない状況の場合、その区域はZone 21と分類すること。
(2)これらの区域を決定する手法は、IEC1241-3(1997-5)に示されている。また、この規格には、危険区域の範囲の例示もあるが、それぞれの範囲は、プラント設備の性質、使用する機械設備の構造、運転・保守の状況などにより、爆発性雰囲気の生成条件が異なる。危険区域の決定に際しては、プラントの製造プロセス、運転・保全等の状況を把握している技術者が加わり十分な検討を行うこと。
2.電気設備設置後の点検・保守電気設備の点検・保守はIEC1241-1-2に基づいて実施すること。
B.適用基準 各区域における適用基準は、解説175.3表のとおりである。ただし、容器以外の要件については、IEC1241-1-1によること。
〔解説175.3表〕
C.配線方式(Zone 20、Zone 21、Zone 22とも共通)
1.ケーブルは保護管に収めること。
2.保護管に収めない場合、ケーブルは耐衝撃性のもので、かつ、粉じんが侵入しないものであること。
使用例:
(1) 合成樹脂又はゴムで絶縁し、遮へい又はがい装を施したケーブルで、ビニル、クロロプレン又は類似の外装を施したもの
(2) 継ぎ目無しアルミ被ケーブル
(3) MIケーブル
3.ケーブルをダクト、パイプ、トレンチ、トランク等に収納する場合、可燃性粉じんが通過する又は集積することのないような措置を講じること。
4.配線の引込部は、容器の保護等級を保持できるものであること。
5.接続箱等の配線用付属品は、上記B.の適用基準によるものであること。
6.粉じん堆積層が形成されやすく、かつ、空気の自然循環が阻害されやすい区域にケーブルを布設する場合、粉じんの堆積によりケーブルの放熱が阻害されるため、電流値を定格以下となるように余裕をとること。特に、着火温度の低い粉じんの場合には注意すること。
7.外傷を受けるリスクが低い区域では、プラスチック製電線管及びフィッチングを使用してもよい。ただし、日本産業規格JIS C 0930で規定する機械的強度試験に適合するものであること。
8.電線管と端子箱の接合は、ガスケット接合、ねじ接合、スピゴット(印籠)結合、フランジ接合のいずれかによること。ねじ接合では、平行ねじの場合は5山以上、テーパねじの場合は3山以上とすること。
第2項
第2項は、特別高圧電気設備は、危険度が高いので施設することを禁止している。