電気設備の技術基準の解釈の解説

第29条(機械器具の金属製外箱等の接地)

経済産業省の一次資料を確認(新しいタブで開く)該当頁の目安 p.47–50

〔解 説〕 電気機械器具(金属管工事の金属管等は、配線材料と考え機械器具に含めない。)では、一般に通電部分と金属製の台、外箱等との間は絶縁されているが、巻線、ブッシング等の絶縁が劣化してこれらの部分に漏電して危険を生じることがあるため、この危険を低減するために接地を施すことを規定している。

第1項

第1項は、漏れ電流による危険を低減するために金属製の台及び外箱を接地することを規定している。ただし書の場合は、高電圧系統に挿入される大容量のコンデンサや中性点接地抵抗器等のようなものは、本質的に接地できないため、
周囲に適当なさくを設けるなどして、人が触れるおそれがないように施設し又は絶縁台を設けて感電のおそれがないように施設すればよい。
300V以下の低圧の機械器具については、D種接地工事(100Ω以下、)を施せばよいこととしているが、接地抵抗値は低い値であるほど漏電時に金属製外箱等に現れる電位が低くなり、危険は低減される。
なお、通常300V以下の低圧電路においては、変圧器施設箇所でB種接地工事が施されるので()、解説29.1図の例のように非接地側電線の部分で完全接触した場合に循環電流によって金属製外箱等に現れる電位は、その接地抵抗値とB種接地工事の抵抗値との比によって決まる。
解説29.1図
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300Vを超える低圧の機械器具については、300V以下のものに比べ危険度が高いので接地抵抗値は10Ω以下とすることを要求しているが、この程度の電圧の機械器具は、600Vを超えるものより危険度が低いのはもちろんのこと、一般に特定の場所に限って施設するものではなく、これにA種接地工事を要求することは経済的負担も大きくなるので、接地工事の方法についてはD種接地工事並みのものとしてC種接地工事()を要求している。D種接地工事の場合と同様、
接地抵抗値は低い値であるほど漏電時に金属製外箱等に現れる電位が低くなり、危険は低減される。
高圧又は特別高圧の電気で充電する機械器具は、人が容易に触れるおそれがないように施設することになるが(、第22条)、万一接触し、かつ、漏電していた場合の危険を低減するために、A種接地工事を施すことを規定している。A種接地工事を要求しているのは、電圧が高く充電電流も大きいため、漏電時に金属製外箱等に現れる電位上昇も大きくなるからである。

第2項

第2項は、漏電していても危険が少ない場合について、工事を簡略化するために接地工事の省略を認めている。
第一号は、乾燥している場所では人と大地との間の接地抵抗値が大きく、対地電圧が150V以下であれば、致命的な電撃を受けることが少ないからである。なお、床が導電性のもので大地との間の接地抵抗値が低い場合は、絶縁性がないため、乾燥している場所とは扱わない。
第二号は、対地電圧が150Vを超える低圧の機械器具であっても、絶縁性のあるものの上で、その機械器具を取り扱う場合には漏れ電流による危険が少ないので省略を認めている。絶縁性のあるものとは、木製の床、畳、リノリウム張りの床、石等で乾燥したものをいい、コンクリートの床は含まれない。なお、絶縁性のあるものを用いた場合であっても、
濡れることが多い場所は絶縁性を確保できないため、接地は省略できない。
第三号は、携帯して使用する電気使用機械器具(→第142条第九号)であって、感電防止のために2重絶縁(強化絶縁を含む。)されたものは、電気用品安全法でも接地端子を省略することが認められているので、本号においても接地は不要としている。ただし、2重絶縁機器という機器がどのようなものか一般的に定めることが難しいので、本号では、電気用品安全法で2重絶縁として認められたもののみに限定している。
第四号は、電圧が比較的低い非接地式電路では、その電路の充電部分に人が触れても、地絡電流の帰路が形成されないので、感電防止には有効である。しかし、絶縁変圧器の2次側電路に接続される負荷が大容量のものである場合、又は接続されるケーブルが長い場合などには、電路と大地との静電容量が大きくなり、その充電電流によって電撃を受けることがある。したがって、絶縁変圧器の容量を3kVA以下に限定している。なお、この絶縁変圧器は、1次側が高圧又は特別高圧である場合は、第24条の混触防止板付き変圧器とする必要がある。
第五号は、水気のある場所において接地工事を省略した機器に漏電が起こり、これに人体が触れたとき、人体を通して漏電遮断器を作動させることとなり、以下に述べるような可随電流(人体に電流を通過させたとき、運動の自由を失わない最大限度の電流のことで、離脱電流ともいう。)を超える電流が人体に流れるおそれがあるので、水気のある場所に施設するものについての接地は省略できない。
ここで、電気用品安全法の適用を受けるものとしているのは、定格電圧300V以下、定格電流100A以下のものという意味も含ませるためであり、また、電流動作型に限定しているのは、電圧動作型のものは、機械器具の外箱に接地工事を施さなければ動作できないものであるからである。定格感度電流を15mA以下としているのは、規格上、漏電遮断器は定格感度電流の1/2では動作しないことになっており、この不動作電流値と可随電流とを一致させるためである。この可随電流はアメリカのカリフォルニア大学教授であるDalziel博士の生体実験によると解説29.2図のような測定結果を得ている。この図において大多数の人々の可随電流と考えられる0.5%値が、電撃危険性のない安全限界として重要な値とされるべきで、この図からこの安全な可随電流値は、男性で9mA、女性で6mA程度であると考えられている。
解説29.2図
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第六号は、第二号で規定する絶縁性のものより、確実で、その機械器具の使用電圧に応じた絶縁台の上で当該機械器具を取り扱う場合である。
第七号は、ゴムやプラスチックでモールドされた計器用変成器の鉄心には、接地工事が施し難いので、例外としている。なお、充電部分の危険防止については、第21条、第22条又は第150条の規定が適用される。
第八号は、機械器具を人が触れないように木柱等の高い柱や台の上に施設し、かつ、柱等が絶縁性を有し、人が触れても危険を及ぼすおそれがない場合を対象としている。
なお、小規模発電設備である燃料電池発電設備については、上記各号に該当する場合であっても、金属製外箱等の接地の省略は認められない。これは、小出力の燃料電池発電設備については、風雨に晒される屋外に設置され、また、熱回収等のため筐体内で水を使用していることから、万が一水分が筐体内へ侵入あるいは漏洩し、充電部分と筐体間の絶縁抵抗が減少した場合においても、感電事故を防止するためである。

第3項

第3項は、H22解釈で日本電気技術規格委員会規格 JESC E2019(2015)を引用し新たに定めた規定である。この規格は、
高圧用の機械器具の鉄台及び金属製外箱に対する接地工事について検討を行った、電気協同研究「配電系統接地設計の合理化」(平成19年5月 第63巻第1号)において、鉄台又は金属製外箱の接地線と高圧ケーブルの金属製の電気的遮へい層とを接続し連接接地を構成する場合に、その合成抵抗値をA種接地工事の接地抵抗値以下とすれば、単独の接地工事と同等の効果があることが確認されたことから制定されたものである。

第4項

第4項は、出力電圧450Vの太陽電池アレイや燃料電池発電設備、蓄電池の出現(出力電圧を上げることで、逆変換装置の昇圧比が下がり、高効率化や製品の小型化が図れる。)に伴い、太陽電池モジュールについてはH18解釈で、燃料電池発電設備や蓄電池についてはH29解釈で新たに設けた規定である。これらの設備と接続する電路に施設される機器の鉄台や金属性外箱については、接地抵抗値10Ω以下のC種接地工事を施すことが必要であったが、一般家庭等でC種接地抵抗値を満足することは困難な場合があることから、その例外を認めたものである。
第一号のとおり直流電路が非接地であり、かつ、第二号のとおり逆変換装置の交流側に絶縁変圧器が施設されていれば、直流電路部分に人が触れても地絡電流の帰路が構成されないため感電防止に有効であるが、対地静電容量が大きいと電撃による危害のおそれがあるため、対地静電容量を制限する観点から、第三号から第六号についても条件としている。UL1741(Inverters, Converters, Controllers and Interconnection System Equipment for Use with Distributed
Energy Resources)の11.Electric Shockによると、直流電圧450Vで充電された静電容量から受ける電撃は、静電容量が1.99μF以下であれば人体に問題ないとされている。出力10kWの太陽電池モジュールの対地静電容量は、実測の結果
0.25μF程度であった。一方、燃料電池発電設備や蓄電池は、通常金属製外箱が接地されており、蓄えられる電荷はないため、その対地静電容量については、該当設備とパワーコンディショナとの間の直流電路が最も影響すると考えられる。
そこで、直流電路を施工する際に製造事業者が一般的に指定している8mm2CVケーブル30mを想定し、電線に蓄えられる電荷が最も大きくなると考えられる線間の静電容量を計算したところ、結果は0.002μFであった。以上の結果より、第三号から第六号を満たすものについては、接地抵抗値を緩和しても安全と考えられる。なお、出力の制限値については、
第143条解説を参照されたい。

公式資料該当頁: p.47–50

令和7年11月20日改正

出典: 「電気設備の技術基準の解釈の解説」(経済産業省)を加工して作成

※ 本ページは公式資料そのものではありません。