電気設備の技術基準の解釈の解説

第24条(高圧又は特別高圧と低圧との混触による危険防止施設)

経済産業省の一次資料を確認(新しいタブで開く)該当頁の目安 p.41–45

〔解 説〕 一般に低圧電路は、変圧器の内部故障又は電線の断線等の事故の際に高圧又は特別高圧電路との混触を起こし、高圧又は特別高圧の電気が侵入して危険となるおそれがある。本条は、このような場合の保護の方法としてB種接地工事()を施すべきことを示したもので、事故の際に接地線に流れる高圧又は特別高圧側電路の1線地絡電流による接地点の電位上昇が150V(1秒を超え2秒以内に遮断する場合は300V、1秒以内に遮断する場合は600V)を超えないようにすれば、低圧電路に接続される機器に致命的な傷害を与えることが比較的少ないと考えられる。しかし、この値は絶対安全であるという値ではないから、経済的条件が許せば接地抵抗値はできる限り低くすることが望ましい。最近は、400V配線がビルや工場などに普及し、22kV又は33kVから直接400Vに降圧する場合も多くなってきたので、S43基準では、これらのものも含めて、本条に規定した。

第1項

第1項第一号では、B種接地工事は原則として結合変圧器の低圧側の中性点に施すべきであるが、100V用の単相変圧器のように構造上中性点を取り出せないものや、配電方式(例えば単相変圧器3個を用い△結線する三相3線式)で変圧器の中性点を接地し難いものでは、ロのとおり低圧側の1端子に施してもよいこととしている。これは300V以下の低圧では大地に対する電位が低いので、非接地側電線から常時大地を通じて接地線に流れる電流も少なく、不平衡が問題にならないからである(→解説24.1図)。
解説24.1図
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400V配線の場合には、その変圧器を△結線として1端子に接地を施すことは、400Vにもなると不平衡電流も多くなり問題が出ることも考えられるので、変圧器側400V巻線は必ず星形結線として、その中性点にB種接地工事を施すこととした。
これは保安上からも対地電圧を1/√3にすることができるので好ましいわけである(→解説24.2図)。しかし、400V側巻線を技術的に△結線にする必要がある場合は、混触防止板付き変圧器(特別高圧又は高圧巻線と低圧巻線との間に金属製の板を設け、変圧器内部事故の際に特別高圧又は高圧が直接低圧巻線に侵入しない構造のものをいう。)を使用し、第5項により施設することになる。
解説24.2図
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なお、200Vの発電機から直接配電されている電路や高圧から一度415/200Vに逓降して、更に415/200Vから200/100Vに逓降する電路の場合のように、高圧電路に直接関係のない低圧電路には、この規定は適用されない。これらの電路は第13条により、電路を原則として大地から絶縁することとしているが、415/100V、200/100V等低圧-低圧の変圧器の2次側電路については、保護装置の確実な動作の確保を図るため特に必要がある場合は、第19条により接地することができる。
一方、低圧電路に接地工事を施すことにより、感電又は漏電による電気出火等の事故が非接地の場合に比較して多くなることは否定できない。鉱山、造船所等では、感電又は漏電による災害が多く発生し、これらを防止することがより重要な意味をもつので、混触防止板付き変圧器を使用し、又は特殊なリレーを使用して低圧電路を非接地とする場合がある。前者は、低高圧混触を起こさないように予防するものであり、後者は低高圧混触を起こした場合、特殊リレーの動作によって危険を防止しようとするものである。この特殊リレーについては、一般規定化するほどの実績がまだ十分ではないため、第一号ハでは、前者の場合のみ規定している。
混触防止板付き変圧器を使用する場合は、混触防止板にB種接地工事を施すことで、変圧器内で特別高圧又は高圧が低圧電路に直接侵入することを防止し、たとえ混触防止板を通して混触を生じても、事故による低圧電路の電位上昇を150V(1秒を超え2秒以内に遮断する場合は300V、1秒以内に遮断する場合は600V)以下とすることにより低圧電路を非接地とすることができる。
なお、混触防止板付き変圧器のB種接地工事は混触防止板に施すものであり、電路が非接地であることから、通常のB種接地工事で想定される「低圧電路の漏えい電流」が流れることはなく、低圧電路での漏電時における変圧器外箱の電位上昇(B種接地工事×漏えい電流)を生じるおそれがない。
混触防止板付き変圧器の構造上、混触防止板と変圧器外箱の接地工事を別に施設できない場合は、混触防止板のB種接地工事と変圧器外箱のA種接地工事を共用することができるが、その場合は、A種接地工事とB種接地工事において、接地抵抗値、接地線の強さ及び太さを満足する必要がある。
第二号では、1箇所の接地工事で極めて低い接地抵抗値を得ることは容易なことではないので、単独のB種接地工事を施す場合には、第17条第2項の規定による計算で求めた接地抵抗値が5Ω未満となっても、5Ω未満としなくてもよいこととしている。
第三号では、一般に特別高圧から低圧に変成する変圧器に施すB種接地工事は、変圧器の内部の混触時に発生する瞬時の故障電流が大きいため、計算で求めた接地抵抗値が10Ωを超える場合であっても、10Ω以下としている。計算値が10
Ω以下、例えば8Ωの場合は8Ω以下とするが、第二号により5Ω未満とする必要はない。
特別高圧電路が第108条の解説に示す11.4kVの配電線の電路である場合は、この線路が既設の高圧電路が昇圧されたものであり、地絡が発生した場合に2秒で自動的に遮断できることを考慮して、また使用電圧が35kV以下の特別高圧電路についても、混触時に電路を1秒以内に遮断するものにあっては、高圧-低圧の場合と同様に扱うこととなっている。

第2項

第2項は、接地工事の除外規定を示している。
第一号の鉄道又は軌道の信号用変圧器については、施設形態が特殊であることから、前項の規定によらないこととしている。
第二号の負荷は、本質的に電路の一部を大地から絶縁せずに使用するものであり、多くの場合は送電端で故障が発見される。また、使用時には負荷自体の接地抵抗値が低く、専用の変圧器であることから使用しないときには、通常、変圧器の1次側で電路から切り離される。このように安全であり、かつ、別に接地工事を施すと横流が流れてかえって好ましくない等の理由により、特にB種接地工事を施すことを省略できることとしたものである。

第3項

第3項第一号では、接地工事は原則として解説24.3図(a)のように、変圧器の施設箇所ごとで行うこととしている。
第二号は、土地の状況によってその直下で規定の接地抵抗値が得られない場合には、解説24.3図(b)のように、変圧器施設箇所から200m以内の箇所まで接地線を施設して、接地工事を施せばよいことを規定している。
イは、上記の接地線を架空接地線とする場合には、比較的切れ難いと考えられる引張強さ5.26kN以上のもの又は直径4mm以上の硬銅線を、安全率、地表上の高さ、高圧架空電線との併架方法及び建造物、道路、鉄道、軌道、架空弱電流電線との接近又は交差する箇所における工事方法(接地線は故障時のほかは電圧を有しないので、保護線又は保護網を施設しなくてもよい。)を低圧架空電線に準じて施設することを規定している。
ロは、地中接地線の場合には、第120条に基づきケーブルを使用し、他の地中電線、弱電流電線等と接近又は交差する箇所は、第125条の地中電線の規定に準じて施設することを示している。地中接地線の場合は、架空接地線と異なり常時張力がかかるものではないため電線の引張強さを規定していないが、第120条の規定に準じて施設することで機械的な保護を図ることとしている。
第三号では、土地の状況により多数の変圧器の施設箇所にそれぞれ接地工事を施すことが経済的に困難な場合は、解説24.3図(c)のように、共同地線を設けて接地工事を2以上の変圧器の施設箇所で共用しても良いこととし、その施設方法について規定している。
イ及びロは、共同地線を前号の架空接地線又は地中接地線と同様に施設することを規定している。
ハは、共同地線が断線した場合においても、非接地状態となる変圧器がないように、どの変圧器についてもその変圧器から200mの地域内の両側に接地工事が施されているようにしたものである(→解説24.3図 (c)及び解説24.4図(a))。
ニ及びホでは、解説図24.4図(b)のように、直径1km以内の地域ごとに、合成電気抵抗でB種接地の規定値を保つことを示している。共同地線を1km以上にわたって施設することを想定した規定としているのは、混触事故電流が広範囲に波及する欠点よりも、規定の抵抗値を有する直径1kmの群を持続することにより、更に接地抵抗値が低下する利点の方が多いからである。
解説24.3図
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解説24.3図(b)タップで拡大
解説24.3図(c)タップで拡大
解説24.4図
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第四号は、中性点接地式電路(→解説24.5図)に関しての規定である。この種の電路では、非接地式電路に比べ、1線地絡電流が非常に大きく、より小さいB種接地抵抗値が必要となり、第三号の共同地線の方法によっても、なお規定値を得ることが困難な場合がある。そこで、工事方法を強化して、直径1kmの地域内より広範囲にわたっても規定の抵抗値が得られるようにすれば良いことを示している。この場合の各接地箇所の単独の抵抗値は150n/Ig(地絡電流が各接地箇所に平均して流れると仮定した場合の抵抗値)以下であれば、合成値として規定値以下になるが、施設範囲も著しく広くなり、架空共同地線の断線その他保守上の点も考えて、個々の接地抵抗は300Ωを超えないこととしている。
中性点接地式電路の場合においても、共同地線の接地工事は、第三号の場合と同じく各変圧器について、これを中心とする直径400m以内の地域においてその両側に施設する必要があるが、低高圧架空電線が併架されている部分では断線等による混触のおそれがあるので、変圧器の有無にかかわらず電線路沿いの距離で300m以下ごとに接地箇所を設けることとしている。
解説24.5図
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第4項

第4項は、前項第三号又は第四号の共同地線を単独で設けることは経済的に困難な場合が多いので、共同地線を電路である低圧架空電線又は低圧地中電線の1線に兼用できることを示したものである。兼用される低圧架空電線又は低圧地中電線は、第3項第三号又は第四号に規定する共同地線としての要件を満たすことが必要である。また、「兼用する」という字句を用いて第1項の例外ではないことを示している。

第5項

第5項は、混触防止板付き変圧器を使用し、非接地とした低圧電路の電線を屋外に施設する場合は、変圧器の内部故障による混触を防止しても、変圧器以外の部分(主として架空電線の部分が考えられる。)において、高圧又は特別高圧電路と低圧電路が混触を生じては意味がないので、これを防止するための規定である。
屋内に施設する場合については、一般の施設方法によっても高圧電線(特別高圧は特殊な場合に限られる。)と低圧電線とが混触を生じることはほとんどないため、特に施設の強化を規定していない。
第一号で施設場所を1構内としているのは、構外にわたって施設される場合、その部分の低圧電線と接近又は交差して施設される高圧又は特別高圧電路は、一般には施設者が異なり、これら相互の関係をより安全なものにすることが難しい場合もあり、かつ、保守の面でも構内に比較べ不自由な場合もあると考えられるためである。
第二号で、架空電線又は屋上電線にケーブルを使用することとし、第三号で、原則として高圧又は特別高圧の架空電線と併架しないこととしているのも、これらの混触の機会をなるべく少なくするためである。

公式資料該当頁: p.41–45

令和7年11月20日改正

出典: 「電気設備の技術基準の解釈の解説」(経済産業省)を加工して作成

※ 本ページは公式資料そのものではありません。