電気設備の技術基準の解釈の解説

第19条(保安上又は機能上必要な場合における電路の接地)

経済産業省の一次資料を確認(新しいタブで開く)該当頁の目安 p.37–39

〔解 説〕 本条は、電路絶縁の原則から除外できる部分()のうち、保安上又は機能上の理由から電路に接地を施すことができる場合の接地場所とその工事方法を示している。

第1項

第1項は、地絡事故の速やかな遮断といった保安上の見地、更には機器の絶縁性能の合理化といった経済的観点から、
第一号から第三号に掲げる場所に接地を施すことができることを示している。
第一号は、中性点に抵抗器、リアクトル等を通じて接地し、又は直接接地方式により接地する場合を指しており、計器用変成器等の高インピーダンスのものを通じて接地する場合は、本号には該当しない()。
第二号は、直流電路が施設されてから相当の運転実績があることや今後の直流電路の建設計画も考慮し、「直流電気設備に関する技術基準の整備について」(電気技術基準調査委員会 昭和54年7月答申)を踏まえ、H7基準で追加したものである。
第三号は、通常、機能達成上燃料電池の近傍に接地を施することになるので、接地点は一の燃料電池の発電要素の中間でも、燃料電池に接続する直流電路のいずれでもよいこととしている。

第2項

第2項は、前項の規定により電路に接地を施す場合の工事方法を示している。
第一号の接地極には、極板だけでなく発蓄変電所の接地網も該当する。この場合において、人若しくは家畜又は他の工作物に危険を及ぼすおそれがないように施設することとは、事故時に歩幅電圧、接触電圧等を低く抑えるほか、大地電位の上昇を適当に抑え、電話線、水道管など零電位のものとの間に障害を生じないように施設することを意味する。
接触電圧、歩幅電圧等については、これをいくらにすべきかという確定した結論は出されていないが、一例として、
AIEE(アメリカ電気学会)の委員会報告として次のような値が示されている(C.F. Dalaziel博士により、人間が耐え得る衝撃電流の値として示されたもの。→解説19.1図)。
解説19.1図
解説19.1図タップで拡大
なお時間に関係のない危険接触電圧としては、ドイツで65V、スイスで50V、イギリスで40Vというような低い値がとられている。我が国の中性点直接接地系統の発蓄変電所等の構内では、作業員は、ゴム靴等をはいており、事故時間も短いことから、一般に、歩幅電圧や接触電圧としては、150Vが目安とされている。
通常、歩幅電圧は、接地網の設計を適当にすることにより容易にこの値以下にすることができるが、接触電圧については、若干この値を超えることがあり、このような場合、取り扱われる機器の周囲の地表の砂利層を厚くする等の方法により危険のおそれがないように施設している。さらに、発蓄変電所の構内と構外との境界付近では、公衆が感電するおそれがあるので、特に歩幅電圧の軽減、接触電圧の低下を図る必要があり、境界付近では、接地網を境界外にも伸ばし、徐々に深く埋める又はさく、接地網と切り離す等の措置を講じることが必要である。
発電所等の構内の電位が上昇した場合に、外部から入ってきている電話線の絶縁破壊や外部から入っている水道管を伝って高い電圧が外部に出るということを防止するために、一般に次のような措置を講じている。
通信線の絶縁耐力を考慮し、電位の上昇を1,000V程度に抑えるか、絶縁耐力の大きい中継線輪等を使い、少なくとも外部に高電圧が発生することを防ぐ。
水道管は、原則として外部から引き入れないが、引き入れる場合は、適当な長さの間は硬質ビニル管を使用し、外部の水道管と絶縁する。
接地線については、第二号で、接地線には鉄線のように腐食しやすい金属線を使用せず、かつ、地絡事故時に流れる電流により溶断するおそれがないように十分な強さのものを使用することを、また、第三号で、外部からの衝撃等により傷つけられるおそれがないように施設しなければならないことを示している。
第四号では、接地線に接続する抵抗器やリアクトル等についても、地絡事故時に流れる電流を安全に通じることができるものであることを示している。
第五号は、接地線を十分管理の行きとどく場所に施設する必要があり、一般の人が触れるおそれがないように施設する必要があることを示している。
なお、高圧及び特別高圧電路の中性点の直接接地に伴う問題としては、大地に流れる電流による電磁誘導障害があるが、この点については第52条などに示されている。

第3項

第3項は、配電設備や大型ビル、工場等において415/100、200V変圧器を使用する場合や、電子計算機に施設するラインフィルタによる他の電気設備への影響を防止するため、絶縁変圧器を介している場合を想定している。これらの変圧器の2次側電路での感電事故防止のため、特に保護装置(漏電遮断器等)を施設しなければならない場合に、その確実な動作の確保を図るため接地工事を施すことができる旨を示したものである。

第4項

第4項は、変圧器の安定巻線等について、機器保護の観点から特に必要がある場合には、A種接地工事により接地できるようにしたものである。ここでいう「変圧器の安定巻線若しくは遊休巻線又は電圧調整器の内蔵巻線」は、外部回路に全く接続せずに使用するものであり、外部回路に接続する場合は、接地することはできないので注意を要する。

第5項

第5項は、変圧器で高圧電路に結合されている低圧電路の更なる安全確保の観点で、第24条に規定するB種接地工事に加えて、需要場所の引込口付近に埋設されている大地との間の電気抵抗値が3Ω以下の値を保っている建物の鉄骨を接地極として、接地工事を施すことができることを示している。これは、低圧電路に侵入する雷等の異常電圧による屋内配線の災害を少なくすることができ、また、B種接地工事の接地抵抗値をより低くすることにより、低高圧混触時の低圧線の電圧上昇を抑えることができるからである。建物の管理者の承諾を得ることは明記されていないが、他人の財産である場合、その承諾を得ることは必要なことである。
第一号は、接地線の引張強さ、太さについて示しているが、軟銅線を使用する場合については、屋内配線との関係から下表の太さの接地線が推奨される。
〔解説19.1表〕
解説19.1表タップで拡大
第二号は、第18条第4項と同趣旨である。

第6項

第6項は、電子機器によって複雑に構成された回路(数値制御(NC)工作機械、プロセス制御方式の自動化機器の制御回路、CATV中継増幅器の電源回路等)に接続される電路の一部を接地しないでおくことは、保守その他技術上困難な場合もあるので、150V以下の回路に限って接地工事を施すことができることを示している。そのほか、危険を生じることがない場合には機能上必要な場所について、電路絶縁の原則から除外して接地を施すことができることを示している。

公式資料該当頁: p.37–39

令和7年11月20日改正

出典: 「電気設備の技術基準の解釈の解説」(経済産業省)を加工して作成

※ 本ページは公式資料そのものではありません。