電気設備の技術基準の解釈の解説

第17条(接地工事の種類及び施設方法)

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〔解 説〕 この解釈では、保安上いろいろな場合に接地工事を施すべきことを規定しているが、本条では、接地工事の原則は、A種、B種、C種及びD種の4種類であることを示すとともに、これらの接地工事について、接地抵抗値、使用する接地線の仕様及び施設方法を具体的に示している。接地抵抗値は、接地極と大地との間の電気抵抗値であるので、測定時の大地の湿潤の程度や温度等によって異なるが、本条に規定されている値以下にする必要がある。
なお、第13条第二号イの試験用変圧器等を接地する場合、第19条の規定により電路の中性点を接地する場合及び需要場所の引込口において接地する場合、第37条第3項で引用しているJESC E2018(2008)「高圧架空電線路に施設する避雷器の接地工事」の規定により接地を施す場合、並びに低圧架空電線を特別高圧架空電線路に併架する場合等は、本条に示す接地工事の原則によらないことになるが、それらについては各条に規定している。

第1項

第1項は、A種接地工事の施設方法を示している。A種接地工事は、特別高圧計器用変成器の2次側電路()、高圧用又は特別高圧用機器の金属製外箱等()の接地等、高電圧の侵入のおそれがあり、かつ、危険度の高い場合に要求されるものにおいて施すものである。第一号では接地抵抗値、第二号では接地線の仕様を示している。長期間使用する接地線には、耐久性を考慮して銅線が多く用いられる。第三号では、故障時に接地線に電流が流れると、接地極の接地抵抗によって大地との間に電位差を生じ、接地極を中心として地表面に電位傾度が現れるので(→解説17.1図)、人が触れるおそれがある場所にA種接地工事の接地線を施設する場合には、接地極を十分な深さに埋設し、かつ、接地極から地上部分までの接地線を大地から十分に絶縁することとし、その方法を示している(→解説17.2図)。
発電所、蓄電所、変電所などの場所において、接地網などで接地してあって、接地極の近傍の大地との間に生じる電位差により危険を及ぼすおそれがないときは、第三号の施設を省略できる。
イの接地極の埋設深さは、関東接地方式研究委員会報告(昭和19.6財団法人電気協同研究会)を参考としてS24工規で示されたものである。しかし、これは最低限許容される埋設深さであって、例えば接地線の絶縁効果が減少した場合には十分安全とはいい難い。実際の工事に当たっては、支持物の根入れの深さとして最低1.1m程度は掘削することから、一般的には、接地極の埋設深さはそれ以上としている。
ロは、故障時において地中で接地極付近の電位上昇が鉄柱等に伝わり、これによって地表面に電位傾度が現れ、人及び家畜が感電するおそれがあるので、これを防止するための措置である。H4基準で、電力中央研究所の実験結果を踏まえて、接地極と鉄柱の離隔距離について、埋設深さを鉄柱底面から30cm以上とすることができることとした。
ハ及びニは、故障時において接地線の電位上昇が鉄柱等に直接伝わることを防止するためと、地表面の電位傾度を少なくするため及び接地線の機械的損傷を防止するために工事方法を示している。
ハにおいて、鉄柱等に沿って施設する場合以外は、地表上60cmを超える部分の接地線の絶縁被覆について緩和されているが、弱電流電線と共架する場合は絶縁電線又はケーブルを使用することが必要であり(→第81条第六号)、それ以外の場合でも柱上における作業者の安全等を考慮して、一般的には絶縁電線が使用される。また、H9解釈で表現が整理され、キャブタイヤケーブルは「通信用ケーブル以外のケーブル」に含まれるため削除された。
ニについては、特に北海道のような寒冷地にあっては、合成樹脂管内に浸入した雨水が凍結することによる合成樹脂管の破損や、接地線の絶縁効果低減のおそれが多いことから、防水キャップの採用等その施工には十分な慎重さを要する。「同等以上の絶縁効力及び強さのあるもので覆う」とは、S47基準以前に規定されていた工事方法{木製等の不導体のといに接地線を収め、地表上60cmまでの部分は接地線とといとの間に絶縁性混和物を詰めることが規定され、接地用ビニル絶縁電線(S47基準で、この電線の規格は廃止され、規格上に多少の相違があるが、単心のビニル外装ケーブルとして取扱われることになった。)又はケーブル等を木ひに収める場合は、絶縁性混和物を詰めなくてもよいように規定されていた。}でも良いという意味である。
解説17.1図
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解説17.2図
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第四号は、避雷針用地線についても前号で述べたことと同様な危険があるばかりでなく、落雷の際に非常に大きな電流が流れ、接地線を通じて高電圧が一般需要家の屋内に侵入して、機器を破壊させる等の危険があるので、これを防止するためのものである。

第2項

第2項は、B種接地工事の施設方法を示しており、第一号では接地抵抗値を示している。B種接地工事は、高圧又は特別高圧が低圧と混触するおそれがある場合に低圧電路の保護のために施設されるもので()、混触の際に、接地線に高圧又は特別高圧電路の地絡電流が流れた場合の電位上昇による低圧機器の絶縁破壊を防止するため、接地点の電位が150V(1次側が高圧又は35kV以下の特別高圧電路であって、150Vを超えたときに1秒を超え2秒以内に自動的に遮断する場合は300V、1秒以内に遮断する場合は600V)を超えないようにしたものである(→解説24.1図)。
S43基準で、混触発生時に2秒以内に自動的に遮断する場合は、低圧側の対地電圧の上昇電位を300Vまで緩和した。これは、B種接地工事が低圧側電路の保護のためのものであり、低圧側に300Vの電圧が侵入しても時間的に短ければ低圧側電路の電気機械器具に絶縁破壊を起こさないということから認められたもので、この件に関しては電気技術基準調査委員会で低圧用の数多くの機械器具を時間と電圧により区分して実験した結果によるものである。さらに、S57基準において、その後の機械器具の性能向上、混触事故の減少に伴い、同委員会で再度数多くの機械器具の耐圧試験を行った結果に基づき、混触時に1秒以内に自動的に遮断すれば対地電圧の上昇限度を600Vまで認めることとした。
なお、300V 2秒、600V 1秒の値は、人が触れた場合には危険な電圧となるので、このようなB種接地工事が施してある場合に、D種接地工事と連結することは危険が伴うので注意を要する(解説)。
第二号では、B種接地工事の接地抵抗値を決定する基礎となる1線地絡電流値を示しており、ロでは高圧電路における算出方法を規定している。
中性点非接地式電路の1線地絡電流は、17-2表最上段に示す式により、電線路の公称電圧と長さによって計算される。
非接地式では、一般に地絡電流値が少ないが、いかなる場合でも2A以上とすることを規定している。以上の関係を3kV又は6kVの非接地式高圧電線路の場合について示せば、解説17.3図のようになる。すなわち、
公称電圧6.6kVの高圧架空電線路の場合は、電線延長125km以下のものでは2A、125kmを超えるものでは75km又はその端数を増すごとに1Aを加える。
公称電圧6.6kVの高圧地中電線路の場合は、線路延長1.5km以下のものでは2A、1.5kmを超えるものでは1km又はその端数を増すごとに1Aを加える。
解説17.3図
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電力会社の3.3kVの電線路において実測した結果によれば(ケーブルを含むものが多い。)、都市で10A以上、郊外で5~8A、郡部では5A以下が多い。
ここで注意を要することは、Lは同一の母線に接続される全ての高圧電路(ケーブルを使用するものを除く。)の電線延長であり、変電所等の母線から数回線の配電線が出ている場合には、その回線延長の合計について三相3線式の場合は3倍、単相2線式の場合は2倍したものであり、L′は同一母線に接続されているケーブルを使用する高圧電路の線路延長で、この電路では3心ケーブルが一般に使用されている実情から、ケーブルの延長(三相の場合でも3倍しない。)をとるものとした。これは、電路(ケーブルを使用するものを除く。)については、1線地絡電流を実測した結果を基礎とし、これを60Hzに換算したものから決定したもの(50Hz系でもこれによることになっている。)であり、ケーブルを使用する高圧電路については、ケーブル製造者の推奨する静電容量実測値に基づいて50Hz系に使用する場合の数値をとったもの(60Hz系でもこれによることになっている。)である。
中性点接地式高圧電路の1線地絡電流は、電線の大地に対する静電容量に基づく充電電流と、中性点(接地点)に流れる抵抗成分電流のベクトル和になり、17-2表中段のような近似式となる(→解説17.4図)。
解説17.4図
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中性点非接地式高圧電路において大地から絶縁せずに使用する電気ボイラーや電気炉が変圧器を介さずに直接接続されている場合は、そこで負荷の中性点が接地されていることとなるので、その個数から等価抵抗値を求めて、中性点接地式電路に準じて等価抵抗を流れる地絡電流と容量性の充電電流とのベクトル和を計算する(→解説17.5図)。
解説17.5図
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中性点リアクトル接地式高圧電路はあまり施設されないが、B種接地抵抗値が得られない場所では、1線地絡電流を少なくする必要があることから、このような方式の電路も施設されている。この場合は、故障点を通じて流れる電流は、中性点に使用するリアクトルの抵抗分により異なるが、中性点非接地式電路の容量性の電流と約180°の位相差があるので、1線地絡電流は17-2表最下段のような近似式となる(→解説17.6図)。
解説17.6図
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なお、イで示しているように、17-2表の各式の計算によらないで、1線地絡電流を実測するような場合には、その実測値によることができる。
ハでは、特別高圧電線路の1線地絡電流は、実測によるか、それが困難な場合は、個々の電線路の設計によって線路定数を求め、それに基づいて計算することを示している。
B種接地工事の接地抵抗値の基礎となる地絡電流値は、一般的にあらかじめ系統(直接接続される自家用施設の電線路を含む。)の現状及び近い将来の予想を検討の上、その系統ごとに決定する。例えば、高圧電線路については、変電所の変圧器単位で決定しており、自家用の構内に施設する変圧器についてもこの値としている。
第三号は、接地線の仕様を示している。
第四号は、B種接地工事について、A種接地工事に準じて施設することを示している。B種接地工事の接地線には、低高圧混触事故時だけでなく、低圧電路の漏れ電流が常時流れて地表面に電位傾度が現れ、人及び家畜等に感電事故を起こすことがあるので、A種接地工事と同様の施設方法とすることとしている。

第3項

第3項は、C種接地工事の施設方法を示している。C種接地工事は、300Vを超える低圧用機器の金属製外箱等の接地()など漏電による感電の危険度の大きい場合に施設されるもので、第一号において接地抵抗値は10Ω以下とすることを示している。
S47基準で、C種接地工事の接地抵抗値を、低圧電路に漏電遮断器等の地絡遮断装置を施設してあれば、500Ωまで緩和した。これは、一般に使用される漏電遮断器の定格感度電流が100mA以下であると考え、その場合の接触電圧を50V以下に抑えることができる最大の抵抗値と考えている。最大動作時間を0.5秒としたのは、地絡遮断装置の動作時間は極力短い方が好ましいが、バスダクトの地絡保護に施設する場合に末端の分岐回路に施設する地絡遮断装置との選択遮断が可能となることを考慮したものである。
第二号は、C種接地工事の接地線の仕様を示している。ハでは、接地線の可とう性を必要とする部分に、導体の断面積が0.75mm2以上の多心コード若しくは多心キャブタイヤケーブルの線心を接地線として使用する、又は接地工事を行いやすくするために、1.25mm2のより線(0.75mm2の2心コードを2心合わせて1本の接地線としてもよい。)を使用することを示している。

第4項

第4項は、D種接地工事の施設方法を示している。D種接地工事は、300V以下の低圧用機器の金属製外箱等の接地()など、漏電の際に、簡単なものでも接地工事を施してあれば、これによって感電等の危険を減少させることができる場合に施すもので、第一号において、接地抵抗値は100Ω以下とすることを示している。S47基準で、C種接地工事と同じく、低圧電路に漏電遮断器等の地絡遮断装置を施設してあれば、接地抵抗値を500Ωまで緩和した。第二号では、D種接地工事の接地線の仕様は、C種接地工事に準じることを示している。

第5項、第6項

第5項、第6項は、C種接地工事及びD種接地工事の省略に関する規定であるが、鉄骨又は鉄筋コンクリート造りの建築物内の機械器具、配線付属品の接地などは、あえて接地工事を施さなくても、鉄骨に電気的に接続しておけば低い抵抗値に保たれ、工事を簡素にできる場合が多いため、この規定が設けられている。ただし、鉄筋コンクリート造りの建物の場合、全部の鉄筋が電気的には接続していない場合もあるため注意を要する。
なお、H9解釈で第1種、第2種、第3種及び特別第3種接地工事の表現をそれぞれ、A種、B種、D種及びC種接地工事に変更した(第3種がD種へ、特別第3種がC種へ変更となったため留意する。)。
第1種接地工事 → A種接地工事
第2種接地工事 → B種接地工事
特別第3種接地工事 → C種接地工事
第3種接地工事 → D種接地工事

公式資料該当頁: p.31–36

令和7年11月20日改正

出典: 「電気設備の技術基準の解釈の解説」(経済産業省)を加工して作成

※ 本ページは公式資料そのものではありません。