電気設備の技術基準の解釈の解説
第81条(低高圧架空電線と架空弱電流電線等との共架)
経済産業省の一次資料を確認(新しいタブで開く)該当頁の目安 p.128–130
〔解 説〕 この解釈では、低圧又は高圧架空電線と架空弱電流電線等とは別個の支持物に施設することを原則としており(第135条により施設する電力保安通信用電話線を架空電線路の支持物に添架する場合を除く。)、これらが接近し、又は交差する場合には危険防止のための規定を示している。
しかし、資材の節約、道路の美観、交通の妨害排除等の見地から、アメリカ等の例にならって強電流電線と弱電流電線とを同一支持物に架設する、いわゆる、共架することが研究され、経済安定本部(現:内閣府)に電線施設共用基準調査委員会が設けられ、その結論に基づいて電線施設共用実施要領(昭和24.4.15.経済安定本部訓令第15号)及び電線施設共用実施基準(昭和25年経済安定本部告示第2号)が公布され、S24工規では、これらの内容を尊重してこれに関する規定を採り入れた。近年では、市街地の道路に電柱を建てる場合などは道路管理者の要求により共架することが大部分となってきているので、本条はその重要性を増してきている(→省令第26条第2項)。
ここに、同一支持物に共架するというのは、電力保安通信用電話線を添架するのとは異なり、その支持物の所有者の如何にかかわらず、同一支持物を架空電線と架空弱電流電線等とが共用している場合と考える。すなわち、架空電線路であり、同時に架空弱電流電線路等でもあるわけである。
また、本条によって共架されている架空電線と建造物、横断歩道橋、鉄道、軌道、他の架空電線、架空弱電流電線等とが接近し、又は交差する等の場合は、全て単独の架空電線として、この解釈が適用される。ただし、共架された架空電線と架空弱電流電線等との間については、第76条の接近又は交差に関する規定からは除かれる(→第1条第二十一号、第76条解説)。
第一号は、木柱の安全率(→第59条解説)について示しており、従来は、共架の場合も高圧架空電線路の木柱と低圧架空電線路の木柱とで差があったが、S43基準で全面的に木柱の安全率が見直され、保安工事(→第70条)の場合と同様に1.5以上に統一した。さらにR2基準で木柱の安全率が改めて見直され、2.0以上とした。
第二号は、低高圧併架の工事(→第80条)と同じ趣旨であるが、強弱両電線路の施設者が異なるので、架空弱電流電線路等の保守上支障を及ぼさない範囲内であって、高圧絶縁電線、特別高圧絶縁電線又はケーブルを使用する低圧のものに限り、この規定を適用しないこととした。この場合、架空弱電流電線路等の管理者の承諾を受けることは当然である。
第三号は、離隔距離について示している。この場合の離隔距離は、第76条に示している架空電線が架空弱電流電線等と接近又は交差する場合のものより全般的に厳しい値となっている。これは、共架される場合は電線相互が長い区間で並行することや柱上の作業のことも考慮されなければならないためである。S57基準で第二号及び第三号に低高圧架空電線として特別高圧絶縁電線を使用する場合の規定を追加し、H4基準で使用電圧65V以下の有線テレビジョン用給電兼用同軸ケーブル(→第9条第5項)による低圧架空電線路について、当該電線路と架空弱電流電線路等の管理者が同一である場合には保守上の障害がないものとして解除し、架空弱電流電線等(多くは給電兼用同軸ケーブルを用い小勢力回路に該当)との一束化を認めた。
また、H4基準で、第4章の電力保安通信線と保安上同レベルの施設形態を有する架空弱電流電線等について、81-1表の離隔距離によらないことができることにした。これは、電力会社等の通信ケーブルの芯線の一部が譲渡される場合には、設備的に電力保安通信線と同じになるからである。ただし、電力保安通信線の場合と違い、架空電線路と架空弱電流電線路等の管理者が異なることから、架空弱電流電線路等側の作業者の安全確保を目的とした協定の締結等により、架空弱電流電線路等の管理者の承諾を得ることになる。
第四号は、誘導障害防止に関するもので、第52条第1項の一般的な誘導障害防止によることが示されており、両者協力して誘導障害防止に努めるべきである。
第五号は、電線と弱電流電線等とを施設する場合の垂直部分の工事方法を示している(→解説81.1図)。
架空電線路(→第64条)の垂直部分とは、架空電線路の支持物の近傍において架空電線から分岐等により当該支持物の分岐方向に施設される電線及び附属物をいい、あくまでも架空電線の一部として地上高や他物との離隔距離等の基準も適用される。
ハは、H9解釈で追加したものであり、架空電線路と架空弱電流電線路等の管理者が異なることから、特に弱電流電線路等の作業員の保安を考慮して、双方が知識的、技能的に安全確保を目的とした協定の締結等により保安レベルを確保し、さらに他の電線及び弱電流電線等に対しても損傷するおそれがなく、かつ、接触、断線等によって生じる混触による感電又は火災のおそれがないような施設形態を有する架空弱電流電線等の垂直部分について、第二号及び第三号によらないことができることを示している。
第六号は、架空電線路の接地線(アレスタ、変圧器及び遮断器等のケース、B種接地工事、腕金、がいしのピンなどの接地工事の接地線)には、特に弱電流電線路等の作業員の保安を考慮して、絶縁電線又はケーブル(→第9条、第10条、第11条)を使用し、かつ、強電流電線側の事故時における接地線の電位上昇が弱電流電線に影響するのを防止するため、両者の接地線及び接地極は別個に施設すべきことを示している。
第七号は、同一支持物に共架することにより、架空電線と架空弱電流電線等が同一支持物を共用することになるため、当該電線路の工事、維持及び運用に支障を及ぼすおそれがないように施設することを示している。実際の施設に当たっては、総務省が策定した「公益事業者の電柱・管路等使用に関するガイドライン」(平成13年4月)を参照されたい。
留意する事項を以下に示す。
①共架される2以上の架空弱電流電線等は、原則として支持物の同一側に施設する。ただし、柱上作業者の昇り降り及び柱上機器等の上げ下げに支障のない場合はこの限りではない。
②共架に係る架空弱電流電線等及びこれらに附属する機器類の支持物上の支持点の位置は、当該電線路(電力用保安通信設備を含む。)の増強計画の実施を阻害しないようにする。
③支持物上で架空弱電流電線等を固定するための腕金類の金物相互の離隔距離は、原則として30㎝以上とする。ただし、柱上作業者の昇降に支障のない場合はこの限りではない。
④架空弱電流電線等の垂直部分は、原則として支持物又は腕金類に堅ろうに施設する。
⑤共架に係る架空弱電流電線等(腕金類及び垂直部分を含む。)及びこれらに附属する機器類の支持物への取付けに当たっては、足場釘(ボルト)の効用を妨げないように施設する。
⑥支持物には、原則として次の要件を満足する作業空間を確保する。
イ 一辺が0.7m以上の長方形の水平面を作業空間として確保し、地表上から当該電線路(電力用保安通信設備を含む。)の下端まで、作業空間の中心線が支持物左右の足場釘(ボルト)とほぼ等距離となるよう支持物に沿って設ける。
ロ 作業空間を支持物に沿って側方に変更する場合には、沿直方向に1.5m以上重ねる。
ハ 作業空間には、柱上作業者の昇降及び柱上機器等の上げ下げに妨げとなるものを施設しない。
解説81.1図