電気設備の技術基準の解釈の解説
第9条(低圧ケーブル)
経済産業省の一次資料を確認(新しいタブで開く)該当頁の目安 p.17–19
〔解 説〕 本条は、低圧ケーブルに求められる性能及び具体的な規格を示している。規格については、本条第2項、第4項と同時に、第3条も満足する必要がある。電気用品安全法との関係は、第5条解説に示したとおりである。
第1項
第1項は、低圧ケーブルには、電気用品安全法の適用を受けるもの、又は本条で示す性能を満足するものを使用することを規定している。また、これらのケーブルに保護被覆(ケーブルのがい装を保護するためのジュートや鋼帯がい装(鎧装)又は鉛被の防食のためのクロロプレン被覆などを指す。)を施したものも低圧ケーブルに含めている。ここで「がい装」とは、ケーブルを構成する「外装」ではなく、ケーブルの外装の上を覆う「鎧装」である。
電気用品安全法の適用を受ける低圧ケーブルとは、定格電圧が100V以上600V以下、導体公称断面積が100mm2以下、線心数が7本以下のものであって、外装が合成ゴム又は合成樹脂のものである。有線テレビジョン用給電兼用同軸ケーブルは、定格電圧が100V未満であるため、電気用品安全法の適用を受けないケーブルである。
また、ただし書に示す、エレベータ用ケーブル(→第172条第3項)、船用ケーブル(→第172条第4項)、小勢力回路(→第181条)若しくは出退表示灯回路(→第182条)で使用する通信用ケーブル、溶接用ケーブル(→第190条第2項)又は発熱線接続用ケーブル(→第195条)については、特殊な用途のケーブルとしてそれぞれ別個の条文で示している場所に限って使用することとしているので、本条の対象外としている。
第一号は、第5条第1項第一号と同様の趣旨で、電線の熱的性能を定めている。
第二号は、低圧ケーブルの基本構造を示している。ただし書は、水底ケーブルの場合は外装を設けずに鉄線がい装で保護した構造のものがあるためである。
第三号は、絶縁体の厚さ(→第5条第1項第三号解説)、第四号は、完成品の絶縁性能を示している。
第2項
第2項は、低圧ケーブルのうち一般的に使用される鉛被ケーブル、アルミ被ケーブル、クロロプレン外装ケーブル、ビニル外装ケーブル、ポリエチレン外装ケーブルについて、第1項に示す性能を満足するものの規格を示している。絶縁体及び外装における引張強度及び伸びの試験は、R7解釈より、民間規格評価機関として日本電気技術規格委員会に承認された規格リストと関連づけられ、当該機関の公開ページに掲載されている。詳細は第5条第2項第二号イの解説を参照されたい。本条における導体のうちアルミ成形単線、絶縁抵抗等については、第5条の解説を参照されたい。
第3項
第3項は、MIケーブルの性能を示している。MIケーブルは、Mineral Insulation(無機絶縁)の頭文字からとった呼称で、この規格は英国規格(British Standard)を根拠とし、国内では日本電線工業会規格 JCS 第4316号(1995)に基づき製造されている。この中でBS規格の「Light Duty」の定格電圧600Vクラスのものを「使用電圧が300V以下の低圧用のMIケーブル」に、「Heavy Duty」の定格電圧1,000Vクラスのものを「使用電圧が300Vを超える低圧用のMIケーブル」に対応させている。このケーブルは、銅管の中にあらかじめ導体の銅線と絶縁物として粉末状の酸化マグネシウムその他絶縁性のある無機物を充てんしておいて、これを圧延したのち焼鈍して作るものである。この電線がはじめて製造されたのはかなり古く、主として船舶用に使われてきた(→解説9.1図)。
解説9.1図
このケーブルには、次のような優れた性質がある。
①可燃物を使用していないので燃えることがなく、耐火性である。したがって、短絡してもケーブルの破壊が被覆の外部に達しない。
②耐熱性に優れている。この電線に使用される導体及び被覆の銅の融点は1,083℃、酸化マグネシウムの融点は約2,800℃であって、耐熱性は著しく大きく、250℃までは連続使用が可能である(250℃を超えると、銅被覆の酸化剥離が始まる。)。瞬間的には、1,000℃まで使用することができる。
③機械的強度に富み、衝撃や変形に対して強い。かなり変形しても、内部の導体が相似形に変形して短絡しにくい。
④その他、被覆が銅管であるため耐水、耐油、耐湿、耐候性をもっている。また、無機絶縁物を使用しているので、経年劣化の点で非常に優れている。
以上のような諸特性により、船舶用電線のほか、精錬工場又は鋳物工場のような周囲温度の非常に高い所で使用される。また、ケーブル自体が火災の原因になることがないので火災発生を恐れる重要文化財のある場所などに使用されている。
第一号は、電線の熱的性能、第二号は、MIケーブルを定義する無機物による絶縁構造、第三号は絶縁体の厚さをそれぞれ示している。第四号は、イ、ロで完成品の絶縁性能を、ハ、ニでは、無機物絶縁であるため、更に機械的性能を規定している。
第4項
第4項は、第3項に示すMIケーブルの性能を満足する規格規定である。なお、本解釈においては、JISの引用に当たって、
JISに規定する内容を確認しており、引用することが妥当であると評価されたものを引用することとしている。R4解釈より、民間規格評価機関として日本電気技術規格委員会に承認された規格リストと関連づけられ、当該機関の公開ページにて掲載されている。
第5項の有線テレビジョン用給電兼用同軸ケーブルは、定格電圧が100V未満の電線で、高周波信号を重畳させるがこの解釈では通信上の特性は規定しない。外部導体に絶縁体をもたないため、第二号で外部導体を接地して用いるものとしている。外部導体に絶縁体がないが使用電圧90V以下、使用電流15A以下としたので、絶縁性のある外装を有するものであることが求められている。有線テレビジョン用給電兼用同軸ケーブルについては、R6解釈より、民間規格評価機関として日本電気技術規格委員会に承認された規格リストと関連づけられ、当該機関の公開ページにて掲載されている(→解説9.2図)。
なお、第181条(小勢力回路の施設)に適合する場合は小勢力回路の電線として取り扱う。
解説9.2図