電気設備の技術基準の解釈の解説

第181条(小勢力回路の施設)

経済産業省の一次資料を確認(新しいタブで開く)該当頁の目安 p.260–261

第1項

〔解 説〕 電磁開閉器の操作回路又はベル等、電路の使用が短時間の交流電気回路であって最大使用電圧が60V以下、かつ、電流も小さい回路については、危険度が低いため一般の低圧電線と同様な施設方法によることは適当でないので、本条が設けられた。しかし、この種の回路については、従来から強電流回路であるのか、弱電流回路として扱うべきかが個々の場合において常に問題とされてきた。強電と弱電という区別(→解説)は昨今では非常に難しくなってきており、エネルギーの多少よりも用途により分けるべきという考え方もあるが、現在の法体系のもとでは、これを一概に用途で分けることもできないのが実情である。
弱電に類似した強電回路を、本条では小勢力回路という形で扱っている。したがって、弱電であれば、本条の適用は受けないが、これに類似する施設では、その機能保持その他の点からも本条に規定する程度のことを守るべきであると考えられる。
なお、本条では最大使用電圧が60Vを超える電路と変圧器で結合された交流回路のみを対象とし、直流回路又は最大使用電圧が60V以下の発電機等から供給される小電流の回路について触れていない。これは、この程度の回路(信号灯回路、操作回路等のものに限ることに注意が必要である。)を弱電流回路と見なしたためである。
本条で規定している小勢力回路は、あくまで強電流回路として扱っており、の解説で述べているような弱電流回路からは除かれる。しかし、小勢力回路の電線と他の強電流回路の電線との関係においては、小勢力回路は弱電流並みに扱う必要があるので、この解釈で「弱電流電線」というときは、小勢力回路の電線も含まれる(→)。
〔解説181.1表〕
解説181.1表タップで拡大
小勢力回路とは、次の要件を備えたもののうち、弱電流回路以外のものである。
最大使用電圧が60V以下
電源用変圧器の1次側電路の対地電圧が300V以下
最大使用電流及び短絡電流(その回路の電源側に施設された過電流遮断器の定格電流)が最大使用電圧に応じて、解説181.1表の値以下
第1項第二号イは、変圧器に単巻変圧器を使用すると、事故時に2次側電路の対地電圧が1次側と同じ電圧となり、危険度を増すおそれがあるので、絶縁変圧器を施設することとしている。なお、容量が500VA以下の絶縁変圧器は電気用品安全法の対象となっている。
第三号は、地中、地上及び架空以外の場所に施設する場合の工事方法である。
イは、機械的強度を規定したもので、「ケーブル(通信用ケーブルを含む。)」としたのは、小勢力回路も低圧回路であり、したがってを適用するため、特に通信用ケーブルを含むことを明記したものである。
ロは、電線の種類を示している。小勢力回路の電線は正常時は、感電による死傷のおそれはないとはいえ、若干のショックがあることと、万一1次側と混触した場合には危険な電圧が生じるため、絶縁効力のはっきりしたものを使用することを明記している。なお、600Vビニル絶縁電線等については、第3項に規定する絶縁電線に含まれる。
最大使用電圧が30V以下の小勢力回路を乾燥した場所に施設する場合は、危険の程度が少ないので裸電線以外の適当な絶縁被覆のある電線を使用することができる。また、CATVの信号伝送路及びアンプ用電源(使用電圧が30V以下であって、最大使用電流が3A以下のものに限る。)の伝送路として使用する同軸ケーブルのうち、日本産業規格 JIS C 3501「高周波同軸ケーブル(ポリエチレン絶縁編組形)」に適合するものは、本条に規定する通信用ケーブルに含まれる。
ニ及びホは、いずれも漏れ電流により予想外の場所で、死傷のおそれはないにしても、ショックを受けるおそれがあること、また、特殊な場合に火災のおそれがないとはいえないので、規定したものである。
ヘも、予想外の場所でショックを受けることを防止するためのものである。
第四号は、地中に施設する場合で、ある程度の耐久性、機械的強度を必要とするため、使用できる電線を限定している。なお、ケーブルを直接埋め込む場合の埋設深さを30cmとしたのは、これらの電線は庭園その他限られた場所に施設されるものであり、事故時の影響も少ないので地中電線路並みの埋設深さを必要とせず、一般には損傷の心配がないと考えられる値とした。
当該電線の埋設深さは、地中電線路(→)に比べ緩和されているが、ケーブルの損傷を防ぐため電線の上部を堅ろうな板又はといで覆うこととしている。ただし、に示すがい装ケーブルを使用する場合は、損傷のおそれが少ないので、上部に施設する板、とい等を省略することができる。
第五号は、地上に置かれたトラフ又は上面が地上に露出したトラフに収めて配線する場合の規定である。
第六号では、架空に施設する場合で、他の施設方法と異なりややこう長の長いものも想定して規定している。基本的には、裸電線を使用する場合には電撃によるショックを考慮して低圧架空電線に近い線とし、その他のものについては、電気的障害よりはむしろ機械的障害、交通障害等の観点から規定している。
イでは、電線の種類と引張強さを規定している。絶縁電線(→第三号ロ)、キャブタイヤケーブル又はケーブル(通信用ケーブルを含む。)については、引張強さ508N以上のもの又は1.2mm以上の硬銅線を使用することとしている。ただし、メッセンジャーワイヤを使ってちょう架する場合には、特に引張強さを問題としない。そのほかの電線(裸電線等)を使う場合は、引張強さ2.30kN以上のもの又は2.6mm以上の硬銅線であることが必要である。
ロで、プラスチックケーブルは機械的に強いので、ケーブルの直接ちょう架を行うこととしている。
ハの電線の地表上の高さは、低圧架空電線の例及び有線電気通信設備令による架空弱電流電線に対する規制等を勘案して示したものである。
ニについては、の解説を参考にされたい。
ホは、電線の支持点間隔について規定している。一般に小勢力回路の電線は、細い電線が多いので支持点間隔を15m以下としている。しかし、電線の太さを低圧架空電線並みとする場合(裸線を使用するときは、風圧荷重を計算し、安全率は硬銅線にあっては2.2、その他のものにあっては2.5以上であることが必要である。)は例外とし、また、絶縁電線又はケーブルを使用する場合も例外としている。なお、絶縁電線やケーブルをメッセンジャーワイヤでちょう架して施設する場合であって、メッセンジャーワイヤの強度が十分なとき(→第三号)は、25m以上の支持点間隔とすることができる。
ヘは、小勢力回路の電線と弱電流電線等又は他の工作物との離隔について示しており、裸線を使用する場合は、低圧架空電線並みとし、その他の場合は30cmとした。ここで、絶縁電線等については、機械的な接触による損傷だけを考慮して離隔距離は小さくてもよいとしている。
トは、電線と樹木との接触による断線を防止するためのもので、電線の被覆の有無によらないものであるが、裸電線は他の電線に比べ、断線して垂れ下がった場合にショックを与えるおそれが高いことを考慮して、特にこれを規定した。
第七号は、移動電線に使用する電線の種類を示している。このうち絶縁電線は、絶縁被覆が薄く、導体の太さも細い場合が多いことから、電線が断線又は損傷しないように防護することを示している。

第2項

第2項は、爆燃性粉じんのある場所、ガス蒸気のある場所、燃えやすい物質のある場所、火薬類製造所等危険場所における工事方法を規定したもので、このような場所では一般の場所と違い、小勢力回路でも大きな事故につながるおそれがあるので、特に低圧配線並みの工事が必要である。具体的には、準用条項(→からから)の解説を参照されたい。
第3項の絶縁電線の絶縁体及び第4項の通信用ケーブルの絶縁体及び外装における引張強度及び伸びの試験は、R7解釈より、民間規格評価機関として日本電気技術規格委員会に承認された規格リストと関連づけられ、当該機関の公開ページに掲載されている。詳細は第二号イの解説を参照されたい。

公式資料該当頁: p.260–261

令和7年11月20日改正

出典: 「電気設備の技術基準の解釈の解説」(経済産業省)を加工して作成

※ 本ページは公式資料そのものではありません。