電気設備の技術基準の解釈の解説

第5条(絶縁電線)

経済産業省の一次資料を確認(新しいタブで開く)該当頁の目安 p.12–15

第1項

〔解 説〕 本条は、絶縁電線に求められる性能及び具体的な規格を示している。規格については、本条第2項及び第4項と同時に、第3条も満足する必要がある。
第1項本文では、電気用品安全法との重複規定を避ける趣旨の規定をしている。特に電線については、電気用品安全法の趣旨から一般用電気工作物になるような種類及びその範囲が限定されており、その範囲から外れるものについて、第1項各号で必要な性能を規定している。したがって、電気用品安全法の適用を受けるものについては、同法第10条第1項の表示{〔PSE菱形〕の記号、検査機関名、届出事業者名(特定電気用品以外の電気用品にあっては、〔PSE円形〕の記号、届出事業者名)}が付されているか否かにかかわらず、本条の規定を適用しない。これは、同法第28条第1項(使用の制限)の規定と重複するからである。同法第28条第1項の規定は、例外承認品を除き表示が付されていない電気用品を使用することを禁止している。また、電気用品安全法の適用を受けるものについては、その技術基準適合義務等は電線製造業者にかかるが、電気事業法で明確に規定しているように、この省令の遵守義務はその電線の施設者つまり施設された段階でその所有者となる者に課せられている。
なお、電気用品安全法の適用を受ける絶縁電線とは、次に示す絶縁電線であって、導体の公称断面積が100mm2以下のもので、かつ、定格電圧が100V以上600V以下のもの(けい光灯電線、ネオン電線を除く。)である。
a ゴム絶縁電線(例 600Vゴム絶縁電線)
b 合成樹脂絶縁電線(例 600Vビニル絶縁電線、600Vポリエチレン絶縁電線、その他の絶縁電線)
c けい光灯電線
d ネオン電線
この解釈のそれぞれの条文で600Vゴム絶縁電線、600Vビニル絶縁電線等という場合は、この解釈で示すものだけではなく、電気用品安全法で規定している600Vゴム絶縁電線、600Vビニル絶縁電線等をも含めて考えるべきで、他の電気機械器具についても電気用品安全法と本解釈において同一の表現をしたものについては、同一の物体を表わしている。
また、絶縁電線は、ケーブルのように導体と絶縁体とからなる線心をまとめたものの上に外装を施すというようなことがないので、単心、2心、3心等という区別はできない。
第1項本文ただし書は、引下げ用高圧絶縁電線(→本条第3項)、小勢力回路(→第181条)又は出退表示灯回路(→第182条)に使用する電線は、特殊な用途の絶縁電線として、それぞれの関係条項で、使用場所を限定し、その使用目的に応じた性能及び規格を示しているので、本項の対象外とすることを示している。
第一号は、電線の熱的性能を示している。本号の「通常の使用状態における温度」とは、所定の通電電流及び周囲温度等の使用条件を考慮した電線温度を意味している。
第二号は絶縁電線の基本構造を示している。
第三号は低圧絶縁電線の絶縁体の厚さをそれぞれ示している。これは、低圧の場合、第四号に示している耐電圧性能及び絶縁抵抗のみでは絶縁体が極めて薄くても性能を満足できるが、その場合、機械的強度に対する安全を確保することが難しくなるため、最低限の厚さを必要性能として示しているものである。
第四号は、電線の絶縁性能を耐電圧試験と絶縁抵抗により示している。別表第6の体積固有抵抗は、従来の電気設備技術基準に示されていた絶縁体の材質ごとの体積固有抵抗の規定値より、使用電圧での最低規定値を選定したものである。

第2項

第2項は、第1項に示す性能を満足する絶縁電線の規格規定である。
電気用品安全法の適用を受けるもの以外の、600Vビニル絶縁電線(一般にIndoor PVCの頭文字をとってIV電線ともいわれる。)、600Vポリエチレン絶縁電線(Indoor Crosslinked Polyethyleneの頭文字をとってIC電線ともいわれる。)、600Vふっ素樹脂絶縁電線、600Vゴム絶縁電線(一般にRubber Braidの頭文字をとってRB電線ともいわれる。)、屋外用ビニル絶縁電線(OutdoorとWeather Proofの頭文字をとってOW電線ともいわれる。)、高圧絶縁電線、特別高圧絶縁電線の7種を本条に例示している。従来使用されていた1種綿絶縁電線及び2種綿絶縁電線については、耐久性に劣り、かつ、ビニル絶縁電線の普及とともに使用実績がなくなったことから、昭和37年8月の電気用品取締法(現:電気用品安全法)の制定に関連してなされた電気工作物規程(以下「工規」という。)改正の際、これらを削除した。
600Vビニル絶縁電線の規格は、日本産業規格 JIS C 3307(2000)「600Vビニル絶縁電線(IV)」から保安上基本的なものを採ったものである。
600Vポリエチレン絶縁電線の規格は、日本産業規格 JIS C 3605(2002)「600Vポリエチレンケーブル」の線心を構成する絶縁体厚さに一致した値としている。
600Vふっ素樹脂絶縁電線の規格は、電気用品安全法で規定している600Vふっ素樹脂絶縁電線の規格を延長させたものである。
600Vゴム絶縁電線の規格は、日本産業規格 JIS C 3304「600Vゴム絶縁電線」から基本的なものを採ったものである。
本条では、編組に用いるより糸は綿糸に限らず、これと同等以上と考えられる繊維を用いることができる。
屋外用ビニル絶縁電線は、電気協同研究会引込線専門委員会において昭和30年2月にOW電線として規格化された電線で、主に架空電線に使用するために設けられたもので、絶縁体の厚さは600Vビニル絶縁電線の50~75%となっているので、600Vビニル絶縁電線と混同しないように注意されたい。なお、絶縁体の厚さについては別表第4に示しているが、特に屋外用ビニル絶縁電線に対する値が100mm2超に限定されているのは、100mm2以下のものについては電気用品安全法の適用を受けているためである。使用実績がほとんどないが、400mm2を超えるものについては、600Vビニル絶縁電線並みの厚さとしている。
低圧絶縁電線としては、このほかに引込用ビニル絶縁電線(一般にDrop Service Wire とPolyvinylからDV電線ともいわれる。)や引込用ポリエチレン絶縁電線(一般にDrop Service Wire とPolyethyleneからDE電線ともいわれる。)があるが、今のところ導体の公称断面積が100mm2を超えるものはなく、電気用品安全法の適用範囲のものに限られていることから、本条では定めていない。
なお、引込用ポリエチレン絶縁電線の規格は、平成26年9月に電気用品の技術上の基準を定める省令の解釈に追加された。
高圧絶縁電線については、別表第5において、絶縁体の厚さは導体断面積500mm2まで高圧ケーブルの絶縁体の厚さの約2/3とし、500mm2を超える場合は高圧ケーブルの絶縁体厚さに準じた値としている。
特別高圧絶縁電線については、22 (33) kV配電の市街地への導入に伴い、S57基準で新たに追加したものであり、その概要は次のとおりである。
a.絶縁材料 耐候性、機械的特性等が優れており、実験データ等も豊富な架橋ポリエチレン混合物に限定することとした。
b.絶縁物の厚さ 交流耐圧面、耐トラッキング面、公衆接触時の安全面、外的衝撃時の安全面から、導体断面積に応じ2.5mm~3.5mmとしている。5-3表においては導体の公称断面積が22mm2以上となっているが、これは第84条(特別高圧架空電線路に使用する電線)において、特別高圧架空電線には引張強さ8.71kN以上のより線又は断面積が22mm2以上の硬銅より線を使用することとしているためである。
c.試験電圧 常時最大使用電圧の対地電圧及び絶縁物の厚さを考慮し、25kVとした。
第一号は、導体についての規定で、絶縁体がエチレンプロピレンゴム混合物など被覆後加硫を要するものにあっては、導体が銅線であるときはその表面の酸化を防止するため、銅線にすず若しくは鉛又はこれらの合金のめっきを施すこととしている。ただし、アルミ導体では表面のアルミナ層による保護で硫化のおそれがないので、めっきを施すことを要しない。また、導体素線の太さを、別表第1、別表第2、別表第3において導体の直径で一律に規定することによって、各素線が円形断面(圧縮成形されたものを含む。)のものであることを示している。円形以外の成形単線については、特に中空アルミ管等を想定して、アルミ線についてのみ規定している。
第二号は、絶縁体についての規定である。絶縁体に使用される絶縁物の性質については、電気用品安全法では、その技術上の基準を定める省令で、引張強さ及び伸び、巻付け加熱、低温巻付け、加熱変形、加熱収縮、耐油性、耐熱性等の試験義務があるが、この解釈では、絶縁体及び外装に使用される絶縁物については、それらの試験のうち最も重要な引張強さ及び伸びの試験だけが規定されている。イの絶縁体における引張強度及び伸びの試験は、R7解釈より、民間規格評価機関として日本電気技術規格委員会に承認された規格リストと関連づけられ、当該機関の公開ページに掲載されている。従前は電気用品の技術上の基準を定める省令の解釈(20130605商局第3号)別表第一附表第十四(引張強さおよび伸びの試験)を引用していたが、令和6年5月31日に電気用品の技術上の基準を定める省令の解釈の改正により、同解釈別表第十二が引用する日本産業規格JIS C 3010(2019)「電線及び電気温床線の安全に関する要求事項」の附属書CF(引張強度及び伸び)に移行したため、内容の妥当性を確認した後、JIS C 3010(2019)の附属書CFと関連付けを行った。
絶縁体の厚さは、概ね次の事項から決定される。
a.理論的最小厚さ(最大使用電圧、絶縁物の破壊強度、高温に対する破壊強度の低下)
b.機械的強度(製造過程における外傷、施工段階における導体重量及び外傷)
c.製造管理上のバラツキ
d.経年劣化
e.安全率
例えば、特別高圧絶縁電線の場合、電気協同研究第30巻第3号(1974)によれば、交流耐電圧からの絶縁体厚さは下記の式で算定され、併せて耐トラッキング面、公衆接触時の安全面、外的衝撃時の安全面を考慮した絶縁体の厚さとしている。
t=(最大使用電圧×K1×K2/絶縁物の破壊強度)+K3
t:交流耐電圧から決まる絶縁体厚さ(mm)
最大使用電圧:公称電圧33kVの場合、34.5/√3(kV)
K1:絶縁物の破壊強度の温度特性=1.1
K2:試験試料その他不確定要素に対する裕度=1.1
K3:機械的外力に対する裕度(施工段階における導体質量及び外傷)
絶縁物の破壊強度:実験結果から12(kV/mm)
第二号ロで規定している絶縁体の厚さの許容差は、製造管理上におけるバラツキの許容限度であると同時に、絶縁電線(多心型電線のうち絶縁被覆を施したものを含む。)やケーブルを再使用する場合のチェック基準になるものである。
第三号の絶縁体における引裂き試験は、R7解釈より、民間規格評価機関として日本電気技術規格委員会に承認された規格リストと関連づけられ、当該機関の公開ページに掲載されている。従前は電気用品の技術上の基準を定める省令の解釈(20130605商局第3号)別表第一附表第二十五(引裂試験)を引用していたが、令和6年5月31日に電気用品の技術上の基準を定める省令の解釈の改正により、同解釈別表第十二が引用する日本産業規格JIS C 3010(2019)「電線及び電気温床線の安全に関する要求事項」の附属書CQ(引裂き)に移行したため、内容の妥当性を確認した後、JIS C 3010(2019)
の附属書CQと関連付けを行った。
第五号では、絶縁性能について規定している。
絶縁抵抗値については、従来各電線ごとにその導体の太さに応じて理論式から算出された最低値が示されていたが、S47告示で計算式で示すことになった。また、絶縁抵抗値を規定しているのは、絶縁材料の性能試験でもあるので、絶縁体として使用した絶縁物のみの絶縁抵抗を測定することが必要である。
絶縁電線の絶縁耐力試験における試験電圧は、従来600Vゴム絶縁電線と600Vビニル絶縁電線では差があったが、S47告示では、600Vポリエチレン絶縁電線、600Vふっ素樹脂絶縁電線の追加に伴い、絶縁抵抗値の場合と違い保安上の最低保証基準として同じ電圧値(導体が太くなる場合は一段階高くなる。)とした。ただし、使用範囲が多少限定される屋外用ビニル絶縁電線については、他のものに比べて一段低くなっている。また、環境に配慮した絶縁電線として600Vビニル絶縁電線の代わりに使用されている耐燃性ポリエチレン絶縁電線については、一般的にビニル混合物と同様の体積固有抵抗値となっている。

第3項、第4項

第3項及び第4項は、引下げ用高圧絶縁電線の性能及び規格について規定している。規定事項については、第1項及び第2項の解説を参照されたい。

公式資料該当頁: p.12–15

令和7年11月20日改正

出典: 「電気設備の技術基準の解釈の解説」(経済産業省)を加工して作成

※ 本ページは公式資料そのものではありません。