電気設備の技術基準の解釈の解説
第158条(合成樹脂管工事)
経済産業省の一次資料を確認(新しいタブで開く)該当頁の目安 p.217–219
〔解 説〕 合成樹脂管工事は、合成樹脂管が著しい機械的衝撃又は重量物の圧力等に対する保護効果などの点において金属管等よりも劣るため、こうした損傷のおそれのある箇所で施設することは避けることとした。硬質ビニルなどの合成樹脂管は、耐腐食性、電気的絶縁性等に優れた性能を有しているが、その性質上、アセトンその他のケトン類、エーテル、エステル類、ベンゾールその他芳香族炭化水素、ハロゲン化炭化水素等には侵されることがあるので、これらの物質を発生させる場所又は取り扱う場所での使用は避ける必要がある。
第1項
第1項は、配線に関する規定である。合成樹脂管はコンクリート内に埋め込んで配管することも認められているが、その場合には、以下の点などに注意する必要がある。
①合成樹脂管を多数集中させ造営材の荷重を個々の合成樹脂管に分担させることを避けること。
②合成樹脂管を鉄筋に沿わせて配管し、コンクリート打設時及び施工完了後においても合成樹脂管に荷重が加わらないように配管すること。
③合成樹脂管は温度の変化による長さの変化が大きいから、これによる無理な圧力が加わらないようにすること。
④合成樹脂管はコンクリート壁内を横走りさせるとコンクリート打設時等においてこれに著しい荷重が加わるおそれがあるので、できるだけ横走り部分を避けること。
⑤壁内に埋め込むボックス等にはコンクリート打設時に形わく等を使用し、後から取り付けるようにすること。
また、合成樹脂管は電気用品の技術上の基準を定める省令の解釈において、CD管、合成樹脂製可とう管(PF管)及びその他の合成樹脂製電線管に分かれており、CD管はポリエチレン製でできており、可とう性に富んでいる一方で可燃性の性質を持っている。また、合成樹脂製可とう管(PF管)は、ポリエチレン製の管の上に軟質の塩化ビニルをかぶせた二重管やポリエチレン製の管に難燃材を加えたものであり、可とう性と難燃性の性質を持っている。その他の合成樹脂製電線管については、耐燃性及び圧縮性の良いものに限られていることから、一般に硬質ビニル製のものとなっている。
硬質ビニルは、熱可塑性物質であるので、高温度となれば軟化し、機械的保護効果に問題が出るので、内蔵される電線のうち導体許容温度が75℃以下の絶縁電線(絶縁体が、ビニル、天然ゴム、スチレンブタジエンゴム及び架橋されないポリエチレンのもの)では別段支障ないが、導体許容温度が75℃を超える絶縁電線(絶縁体が、エチレンプロピレンゴム、架橋ポリエチレン、けい素ゴム及びふっ素樹脂のもの)では、支障を生じるおそれがあるので、導体許容温度が75℃以下の絶縁電線と同様に許容電流を算定することが望ましい。また、CD管及び合成樹脂製可とう管(PF管)についても同様の配慮が必要である(→第146条解説)。
本項においては、その他使用電線の種類、管内における電線接続の禁止等が定められているが、いずれも金属管工事の場合と同様の趣旨である(→第159条)。
第2項
第2項は、合成樹脂管工事に使用する管及び附属品についての規定である。本項は、附属品のうち管相互を接続するもの及び管の端に接続するカップリング、ノーマルベンド、ブッシング、ボックスコネクター及びボックスに関する規定であって、レジューサーには適用されない(第3項における附属品にはレジューサーも含まれる。)。なお、山形鋼と鉄板で作られるような大型のプルボックスは附属品とは考えられない(プルボックスの用途に供するものであっても、小型のものはアウトレットボックスとして電気用品安全法の適用を受ける。)。プルボックスとは、多数の管を配管する場合に、その途中で各方向へ電線を仕分けるのに使用されるものである。
第一号は、合成樹脂管工事の材料の規格として、本文で「電気用品安全法の適用を受ける合成樹脂製の電線管及びその附属品」を示し、ただし書で、金属製のボックスと粉じん防爆型フレキシブルフィッチングの使用を認めている。これは金属製のボックスが機械的強度に優れているためである。また、粉じん防爆型フレキシブルフィッチングは合成樹脂製ではないが、合成樹脂管の防爆型附属品である。なお、防爆型フレキシブルフィッチングの規格は第159条第4項に定められている。
なお、水道管用硬質ビニル管を電線管として使用することを禁止する根拠は電気用品安全法第28条(使用の制限)である。硬質ビニル管用附属品とCD管用附属品又は合成樹脂製可とう管用附属品とは構造が異なるので、硬質ビニル管には硬質ビニル管用附属品を、CD管にはCD管用附属品を、合成樹脂製可とう管(PF管)には合成樹脂製可とう管用附属品を、それぞれ使用しなければならない。相互の管の接続は、昭和57年6月に電気用品の技術上の基準を定める省令が改正になり、合成樹脂製可とう管(PF管)及びその附属品が新たに認められるとともに、CD管用附属品のカップリング及びコンビネーションカップリングの追加規定により、相互の管の接続はカップリング又はコンビネーションカップリングによることができるようになった。
なお、金属製のボックスは機械的強度に優れているため、第3項第五号で接地工事の規定を設けた上で、コンクリート内に施設するものに限らず、使用することができる。
第二号においては、管は電線の引入れ又は引替えのとき電線の被覆を損傷しないように電線管の端口を軽く面取りすることを示している。管を曲げる場合は、屈曲部全体を一様に曲げて滑らかにするほか、内面も滑らかにすることとしている。
第三号においては、合成樹脂管は、電気用品安全法の適用を受けるが、厚さが2mm未満の合成樹脂製電線管にあっては機械的衝撃に対し、他の管より弱いことから、イからハまでに適合する場合に限り、その使用を認めている。
第3項
第3項は、管及び附属品の施設方法に関する規定である。
第一号は、機械的強度不足を補う意味で、重量物を取り扱う場所又は運搬するような場所等で、重量物の圧力又は著しい機械的衝撃を受けるおそれがある場所(→第164条第1項解説)には施設しないこと又はこれらの外力を防止するため適当な防護方法を講じることとしている。
第二号は、合成樹脂管工事は、電線を保護する目的で管路を構成するものであることから、管相互や管とボックス等の接続が緩むことにより電線を損傷しないように、接続の堅ろうさを求めるものである。金属管工事の場合の接続は、ねじ切りによることが原則となっているが、合成樹脂管工事の場合は、材料の性質上、ねじ切りを行って、互換性を良くするほど精密に製作することが一般的に困難であるので、この解釈では比較的寸法裕度のとれる差込み接続による方法を原則として定めている。硬質ビニル管の場合は、接続部分を気密、水密にするために接着剤を使用することができ、
また、工事現場で熱源が得られるならば加熱収縮性をもたせた成形附属品を使用することができる。これらの方法は、極めて容易に水密又は気密とすることができ、この工事の特徴の一つでもある。また、接続の際の差込みの深さ、支持点間の間隔及び支持方法の規定は、合成樹脂管が経年変化又は温度変化に対し、収縮又はわん曲を生じるおそれがあることを考慮して定められたもので、接着剤を使用しない場合の管の差込み深さは管の外径の1.2倍であるが、接着剤を使用する場合は0.8倍でよいこととしている。なお、接着剤を使用する場合には、日本産業規格 JIS C 8432(1977)に適合するものを使用することとなる。CD管及び合成樹脂製可とう管(PF管)の場合は、接着剤による接続はできないので、機械的に締め付ける方法をとっている。
第三号では、合成樹脂管の材質は、金属管より機械的強度が劣り、接続方法も差込み接続(金属管では、ねじ接続)等で接続条件が異なるので、管の支持点間の距離は1.5m以下とし、また、管端、管とボックスとの接続点及び管相互の接続点は振動、温度差による収縮膨張その他外部の衝撃に対して機械的に弱点となるおそれがあるので、これらの箇所の近くに支持点を設けることが定められている。
第五号イにおいて、合成樹脂管に接続する金属製のボックス又は粉じん防爆型フレキシブルフィッチングには、D種接地工事を施すこととしている。これは、ボックス内又は粉じん防爆型フレキシブルフィッチング内での漏電による危険を防止するためのものである。ただし、乾燥した場所又は直流300V以下若しくは交流150V以下のように電圧が低い屋内配線で、簡易接触防護措置(→第1条第三十七号)を施す場合は、この接地工事を施さないことができる。
ロは、使用電圧が300Vを超える合成樹脂管工事に使用されるボックス又は粉じん防爆型フレキシブルフィッチングには、C種接地工事を施すこととしている。ただし、接触防護措置(→第1条第三十六号)を施す場合は、D種接地工事でよいこととして緩和している。
第六号は、合成樹脂管とプルボックスとの接続方法についての緩和規定である。合成樹脂管工事において使用される合成樹脂管及びボックスは、第二号の規定により機械的に堅ろうに接続することとあるが、プレハブ住宅又は量産住宅などと呼ばれるプレキャストコンクリート(PC)工法を主とする住宅では、建築方式の性格から第二号の規定によることが困難な場合がある。これらの住宅の建設には工場で既に製作された壁等が使用され、これを建築現場で組み立てる場合が多く、この場合、合成樹脂管等がこれらの既製の造営材に組み込まれているため、現場で既製の合成樹脂管相互又は既製の合成樹脂管とボックス又はプルボックスとを接続する場合、第二号によることが技術的に困難なことがある。
このような場合には、造営材自体がプレハブ方式であるため機械的に堅固に構成され、これに組み込まれている合成樹脂管、ボックスその他の附属品も機械的に堅固に施設されているので、その接続箇所にプルボックスを使用すれば必ずしも第二号の規定によらなくてもよい。ただし、この場合、管及びプルボックスは乾燥した場所であって、不燃性の造営材に堅ろうに組み込まれ、かつ、施設することとした。
第七号は、CD管は不燃性でないことからコンクリートに埋設する場合を除き、不燃性又は自消性のある難燃性の管又はダクトに収めて施設すべきことを規定している。
第八号は、CD管又は合成樹脂製可とう管は長尺のものであり、接続する必要性が少ないが、これら相互を接続する場合は、専用のカップリングを使用することとしている。