電気設備の技術基準の解釈の解説
第159条(金属管工事)
経済産業省の一次資料を確認(新しいタブで開く)該当頁の目安 p.219–221
〔解 説〕 金属管工事は、ケーブル工事とともに、あらゆる箇所の工事に採用できる方法である。
第1項
第1項は、配線の施設方法についての規定である。
第一号は、電線自体に絶縁効力を期待するので、屋外用ビニル絶縁電線以外の絶縁電線(→第5条)を使用することとしている。引込用ビニル絶縁電線又は引込用ポリエチレン絶縁電線は合成樹脂管工事、金属管工事、金属線ぴ工事、金属可とう電線管工事、金属ダクト工事に使用することが認められているが、これは引込用ビニル絶縁電線又は引込用ポリエチレン絶縁電線の線心が実質的には600Vビニル絶縁電線又は600Vポリエチレン絶縁電線と同じで、保安上支障がないからである。しかし、屋外用ビニル絶縁電線については、主として架空電線に使用されるものであり、絶縁体の厚さが600Vビニル絶縁電線の50~75%となっているため、使用を禁止している。
第二号は、電線を金属管に引き入れるために柔軟性のあるものを使用することが必要なので定められた規定であり、より線又は直径の小さな単線を使用することとしている。ただし、短小な金属管(長さ1m程度のもの)に収めるものは通線の際に柔軟性も大して必要でないため、この規定から除外されている。
なお、アルミ線にあっては電気用品の技術上の基準を定める省令の解釈で14mm2未満のものは単線としており、また、アルミ線は軟銅線に比べて柔軟性がある。
第三号は、接続点を設ければ、その部分における事故が比較的多く起きることが考えられるからで、電線に接続点を設ける場合にはボックス内等で行うべきことを規定している。なお、その接続については、第12条の規定が適用される。
第2項
第2項は、金属管工事に使用する金属管(一般には、これを電線管と称している。)及びボックスその他の附属品の仕様についての規定である。ここで、その他の附属品とは、カップリング、ノーマルベンド、エルボ、キャップ、ブッシング、ボックス等を指し、レジューサーを除いている(第3項における附属品にはレジューサーも含まれる。)。
第2項第一号は、金属管工事の材料の基準として「電気用品安全法の適用を受ける金属製の電線管及びボックスその他の附属品」又は「黄銅若しくは銅で堅ろうに製作したもの」の2種類を原則として示し、さらに、「防爆型附属品及び絶縁ブッシング」を追加した。
「黄銅若しくは銅で堅ろうに製作したもの」と「防爆型附属品」を独自に規定しているのは、電気用品安全法の政令で電気用品から除かれているためである。本文で可とう電線管を除いているのは別に第160条の規定があるためであり、絶縁ブッシングが使用できるようにしているのは金属管の附属品ではないためである。一般には、鋼製及びアルミニウム製のものが大部分であって、銅又は黄銅製のものは特殊な用途(装飾用等)に用いられるものである。
なお、鋼製のガス管又は水道管を電線管として使用することを禁止する根拠は電気用品安全法第28条(使用の制限)である。
第二号は、金属管の強度を要求するため、厚さの制限について定めているが、コンクリートに埋め込む場合は腐食の点も考慮して1.2mm以上(薄鋼電線管と同等以上)と定められている。一般の露出配管等に使用するものは、若干緩和して1.0mm以上でよいことと定められており、また、継手のない長さ4m以下の短いものを乾燥した展開した場所に施設する場合は、危険度も割合低いので、更に薄くすることが認められている。ここで短いものの限度を4mとしたのは、電線管の規格では管の長さは厚鋼又は薄鋼電線管では3.658mであるので、電線管1本分の長さを基準として定めたのである。電気用品の技術上の基準を定める省令の解釈によると、最小厚さは、薄鋼電線管にあっては1.2mm、厚鋼電線管にあっては2.3mm、アルミニウム電線管にあっては2.0mmとなっている。これより薄いものを使用する場合には電気用品安全法による例外承認を受けなければならない。したがって、上記の厚さの規制が問題となることはまずないものと考えられる。
ブラケットやパイプペンダント等に使用する銅製や黄銅製のものについては、特に定められた規格はないが、この条件に合致するものを選ぶ必要がある。
第三号は、電線の被覆を損傷しないように管の端口及び内面を滑らかにし、かつ、屈曲する場合に鋭角に曲げること、角が立つように曲げること又は管の断面を押しつぶすように曲げることなどがないようにすることを定めている。
第3項
第3項は、管及びボックスその他の附属品の施設方法を規定している。なお、本項でいうその他の附属品には、レジューサーも含まれる。
第一号は、金属管工事は、電線を保護する目的で管路を構成するものであるから、管相互や管とボックス等の接続が緩むことによって電線を損傷しないように接続の堅ろうさを求めることと、金属体相互が電気的に接続されないと接地の効果に支障があるため、電気的接続の完全さを求めるものである。機械的堅ろうさについては、絶縁性の合成樹脂管工事における規定(→第158条第3項第二号)と同様である。管相互の接続に限り、適当なカップリング、ノーマルベンド、ユニオンカップリング、アダプタ等を使用して普通に取り付けるならば、機械的にも電気的にも接続の効果は十分に満足されるので、一般には接地効果をよくするためのボンド等を施す必要はない。しかし、施工上機械的接続を完全にすることが困難な場合又は振動を受けるような場所に露出した配管を行う場合には、ボンドを施す。
第二号は、管の端口をそのままにして電線を引き入れるなどすると電線の被覆を損傷し事故発生の原因ともなるので、ボックスその他の附属品に接続する場合等の管の端口には、全てブッシングを使用することとしている。さらに金属管から電線を外部に引き出して施設する場合、すなわち、金属管工事からがいし引き工事に移る場合、がいし引き工事から金属管工事に移る場合又は金属管から引き出して直ちに電動機、制御器等へ配線する場合等には、管の端口には電線の損傷による漏電等の危険を防止するため絶縁ブッシング、ターミナルキャップ等を使用することが定められている。
第三号は、防湿装置についての規定であるが、管相互の接続部は、ねじ切りのカップリングを使用し、導電耐水防食塗料をあらかじめ塗布して接続するのも効果がある。ボックスには、防湿型のものを使用するのがよい。しかし、カップリング、ボックス等の完全防湿は困難であり、かつ、水気による腐食のため寿命も短くなるので、湿気の多い場所又は水気のある場所に施設するのを避けることが望ましい。
第四号は、使用電圧が300V以下の屋内配線における配管の接地に関する規定であり、管相互の電気的接続とともに金属管工事における重要な条件である。これは、電線の絶縁劣化等のため金属管に漏電した場合の危険を防止するために施すものであるので、接地抵抗値は小さいほどよいが、この規定では、経済的な問題を考慮してD種接地工事でよいこととしている。
イ及びロに掲げてある場合は、比較的危険も少ないので、接地の省略を認めているが、可能であればこれにも接地工事を施すことが望ましい。
第五号は、使用電圧が300Vを超える低圧屋内配線における配管の接地に関する規定である。管には、原則としてC種接地工事を施すこととしているが、接触防護措置(→第1条第三十六号)を施す場合は、D種接地工事でよいことを規定している。
第4項
第4項第一号は、粉じん防爆型のフレキシブルフィッチングの構造及び完成品についての試験に適合したものを使用することを定めている。
第二号は、耐圧防爆型のフレキシブルフィッチングの構造及び完成品についての試験に適合したものを使用することを定めている。
第三号は、安全増防爆型のフレキシブルフィッチングの構造及び完成品についての試験に適合したものを使用することを定めている。
第四号は、第一号から第三号に規定するもの以外の規格品について規定しており、接合面については、これまで本号で引用していたJIS C 0903(1983)「一般用電気機器の防爆構造通則」が廃止されたため、R5年に独立行政法人労働者健康安全機構 労働安全衛生総合研究所が発行する「工場電気設備防爆指針(ガス蒸気防爆 2006)(NIIS-TR-No.39(2006))」を引用した。第四号のニ、ニのただし書き、ホ、ヘでそれぞれ要求する工場電気設備防爆指針の規定箇所を解説159.1表に示す。
〔解説159.1表〕
防爆構造電気機械器具は、労働安全衛生法により「電気機械器具防爆構造規格」(昭和44年労働省告示16号)に適合したものを施設しなければならないとしている。また、防爆構造電気機械器具は労働安全衛生法第44条の2(型式検定)に基づき、登録型式検定機関による型式検定を受検する必要がある。型式検定における具体的な基準は、独立行政法人労働者健康安全機構労働安全衛生総合研究所が発行する工場電気設備防爆指針に基づき実施されている。廃止されたJIS C0903と「工場電気設備防爆指針(ガス蒸気防爆 2006)(NIIS-TR-No.39(2006))」を確認したところ、同等の内容が規定されていたためR5年の改正で当該指針を引用した。