電気設備の技術基準の解釈の解説
第12条(電線の接続法)
経済産業省の一次資料を確認(新しいタブで開く)該当頁の目安 p.21–23
〔解 説〕 本条は、電線を接続する場合の原則的な基準を示している。すなわち、電線は電流を完全に通じることが第一の要件であるので、接続部分において電気抵抗が他の部分よりも増加しないようにする必要がある。
なお、第181条及び第182条により施設する小勢力回路及び出退表示灯回路の電線は、強電流回路であるが、電圧が低く電流値も制限されているため、また、第192条により施設する電気さくの電線は、野獣等の接触時にのみ瞬間的に衝撃電流が流れるものであるため、電線の接続方法まで規定する必要がないことから、本条から除外している。
第一号では、裸電線相互又は裸電線と絶縁電線、キャブタイヤケーブル若しくはケーブルとを接続する場合について規定している。
なお、本条では、電線の接続に関してのみ、多心型電線の絶縁物で被覆していない導体は裸電線として、多心型電線の絶縁物で被覆した導体は絶縁電線として取り扱っている。また、平形導体合成樹脂絶縁電線については、第165条第4項において規定しているため、本条からは除いている。
第一号イでは、接続部分が機械的に弱点となることを避ける必要があるので、電線の引張強さを20%以上減少させないことを規定している。引張強さの異なる電線を接続する場合は、引張強さの小さい方の電線を基準として、20%以上減少させないよう接続する必要がある。ただし書は、使用状態における張力が電線自身の引張強さに比べて著しく小さい場合、例えば、ジャンパー線に接続点を設ける場合などは、特に引張強さの減少を問題にする必要がないことから除いている。
第一号ロは、電気抵抗を増加させないために接続部分には接続管のような特殊な器具を使用するか、ろう付けする必要があることを示している。ここで、接続管その他の器具とは、解説12.1図のようなS形スリーブ、リングスリーブ、銅管ターミナル、ねじ込み形電線コネクタ等を指し、特別高圧架空電線のジャンパー装置で使用されるジャンパー線接続用のアルミパイプも含まれる。
解説12.1図
第二号の絶縁電線相互又は絶縁電線とコード、キャブタイヤケーブル若しくはケーブルとを接続する場合には、第一号に示す引張強さの維持及び電気抵抗を増加させないことのほかに、接続部分の絶縁効力の低下を防止するために接続部分の絶縁電線の絶縁体と同等以上の絶縁効力のある接続器を使用し、又は接続部分をその絶縁電線の絶縁体と同等以上の絶縁効力のあるもので十分被覆する必要があることを示している。接続と絶縁被覆とを兼ね備えた合成樹脂や陶器製のキャップが使用される場合は、改めてゴムテープ類で被覆する必要はない(ケーブル工事の際にボックス、ジョイントボックス等内でこの種の接続器を用いる場合は、第三号の接続箱内の接続とみなす。)。
第三号は、コード相互、キャブタイヤケーブル相互、ケーブル相互又はこれらのもの相互を接続する場合について、基本的には、直接接続すべきではないことを示している。コード相互を接続する場合に直接接続すべきでないのは、素線が細く接続部分の強度が得られないため、緩みやすいからである。ただし、ケーブルは素線が相当に太く、キャブタイヤケーブルでも断面積が8mm2以上のものは比較的太い素線で構成されているので、直接接続しても緩み難く、コード接続器等を使用する必要はない。これらの場合でも引張強さを20%以上減少させないようにし、接続部分に接続部分のケーブル又はキャブタイヤケーブルと同等以上の絶縁効力があり、電気抵抗を増加させない接続管その他の器具を使用し、又はろう付けして電気抵抗を増加させないようにするとともに、十分に絶縁被覆を施す必要がある。キャブタイヤケーブルの直接接続の場合には、鉱山等では十分に絶縁テープを巻いた特殊な工具で接続部分を挟んで硫化する方法、又は絶縁被覆の上に更に金属製の防護装置を設ける方法をとっている。なお、自己接着性のテープを使用する場合など加硫する必要がないものは加硫することを要しない。
第四号は、異種金属の接触腐食(電食)の防止に関して規定したものである。例えばアルミと銅は電解質溶液中においてイオン化による電位差が生じるため、アルミと銅とが接触し、その接触部分に水分などの電解質溶液が介在すると、アルミが腐食される。したがって、アルミ電線と銅電線との接続に当たっては、アルミ線用の接続器具類(コネクタ、スリーブ)を使用し、その接続部分には、接続後にその箇所に酸化被膜が形成されて電気抵抗が増加すること及び湿気などが入って湿食や電食を起こすことなどを防止する目的でコンパウンドを塗布する必要がある。
アルミやアルミ合金は、銅に比べて接続部分の質量を大きくすると電流密度が小さくなって侵される量が急激に小さくなる性質(マスアノード原理)があるので、材料にアルミを使用する接続器具類は、この原理を用いて銅電線に比べてアルミの質量を大きくし、更に安全を期するため、銅線とアルミ線の間にアルミ製の介在物(スペーサ)を置いて、電線相互が直接接触しないようにされている。
第五号は、電気使用場所において絶縁電線又はケーブルを接続する場合のアルミ導体相互及びアルミ導体と銅導体との接続に使用する接続器具類(コネクタ、スリーブ)の規格に関して示している。特に絶縁電線とケーブルに限定し、バスダクトの導体など裸電線を接続する場合を除外しているのは、第一号の規定に従い機械的強度の低下及び電気抵抗の増加がなく、第四号の電食の防止を維持すれば十分であると考えられるからである。昭和41年11月の電気用品の技術上の基準を定める省令の一部改正によって、絶縁電線及びケーブルの導体に22mm2以上のアルミ線を用いることが認められて以来、電気使用場所においてアルミ導体電線が使用されるようになった。例えばアルミ電線と銅電線との接続等は、
第四号の解説で述べたように電食が生じるおそれがあり、さらに、アルミ電線の接続についても、アルミ電線の表面酸化による電気抵抗の増加によって、接続部分の温度が上昇し、接続部分の絶縁物の劣化及び電線の断線といった危険を招くおそれがあるため、特にアルミ電線を接続するコネクタ、スリーブ等について規格を示したものである。
ヒートサイクル試験の主目的は、電線コネクタが相互の温度変化を受けても、その導電性に支障を起こさないことを確かめることにあり、電線コネクタの信頼性を判定するのに重要な意味をもっている。
日本産業規格 JIS C 2810(1984)「屋内配線用電線コネクタ通則」は1995年に改正され、JIS C 2810とJIS C 2814に分割された。第五号ロは、「アルミ電線の表面酸化による電気抵抗の増加」に係るヒートサイクル試験について規定しており、JIS C 2814は銅線の接続に関する内容であるため、JIS C 2810の直接関係する部分のみを取り入れた。