電気設備の技術基準の解釈の解説
第192条(電気さくの施設)
経済産業省の一次資料を確認(新しいタブで開く)該当頁の目安 p.276–277
〔解 説〕 電気さくは、高い電圧で充電された裸電線を、簡単なさくに取り付け、張り巡らすという施設であり、他に例をみないものである。したがって、省令第74条にて、使用目的が「田畑、牧場、その他これに類する場所において野獣の侵入又は家畜の脱出を防止するため」に限定されているとともに、施設に際しては「感電又は火災のおそれがないように施設する」こととされており、本条において具体的な施設方法が示されている。
本条は、電気さく、電気さく用電源装置及びこれらを接続する電線路に大別し、前2者に対しては本条で規定し、電線路に対しては第3章の電線路の一般規定が適用される。
省令第74条において、電気さくとは「屋外において裸電線を固定して施設したさくであって、その裸電線に充電して使用するものをいう。」と定義しており、この定義で明らかなように、屋内に施設するものは電気さくとは言わないので、本条とは別に屋内配線に関する規定が適用される。また、屋外に施設される裸電線であっても、電気さくに該当しないものについては、当然、第144条の規定が適用される(電気さくは、第144条において、裸電線の使用が認められている。)。
第一号では、省令第74条において、電気さくの使用目的は、「田畑、牧場、その他これに類する場所において野獣の侵入又は家畜の脱出を防止するため」に限られているが、「その他これに類する場所」の解釈については、なるべく狭義に解釈して、盗難予防のようなものに適用されないのは当然である。このようなものは、定義上電気さくに該当しても、省令第74条の規定に抵触することになる。
第二号は、危険表示の規定である。電気さくに人が接触した際に流れる衝撃電流は瞬間的であり、それ自体、通常は人体に危害を及ぼすものではない。しかし、高電圧で充電された裸電線という特異な設備であり、人が接触すると電撃を受けることから、本号の規定を設けている。危険表示の位置や間隔は、人の立入り状況や土地の形状等によるため一律に決定するのは困難であるが、人が容易に視認できる位置や間隔で行う必要がある。また、電気さくを設置する場所に立ち入る人を想定して、容易に判読可能な文字、背景色や記号を利用した表示内容である必要がある。例示すると解説192.1図のとおりである。
解説192.1図
第三号は、人への危害を防止する観点から、電気さくに流れる衝撃電流を人体に問題ない大きさ・波形に制限する必要があるとともに、電気さく用電源装置(又は直流電源装置)の内部で腐食等が発生し、電気さく側に電源側の電気が流出すると、接触した人に危害を及ぼすおそれがあることから設けた規定である。なお、本号は平成21年8月の電気さくによる農業従事者の感電死亡事故発生を踏まえ、電気さくを施設する場合の要件をより明確化するため、H21解釈で全面的に改められた。
イは、一般のコンセント等の交流を電源とする場合についての規定で、電気さく用電源装置が電気用品安全法に基づく電気用品に該当することから、同法の適用を受けるものを使用することとしている。あわせて、交流の電源は、電気用品安全法の対象となる範囲、すなわち定格電圧300V以下とすることを示している。
ロは、(イ)で規定する交流を直流に変換する直流電源装置又は(ロ)で規定する蓄電池や太陽電池等の直流を電気さく用電源装置の電源とする場合についての規定である。この場合の電気さく用電源装置は、電気用品安全法の対象とならず、同法に基づく電気用品の技術基準の規制がかからないことから、感電により人に危険を及ぼすおそれのないように出力電流が制限されるものとすべきことをここで規定している。第三号及び第四号の規定により施設する電気さくの施設方法の例を解説192.1表に示す。
〔解説192.1表〕
第四号は、万が一電気さく側に電源側の電気が流出した場合は、人が接触したとき(人体を介して地絡事故が発生したとき)に人体に問題ない時間内に電路を遮断する必要があることから設けた規定である。漏電遮断器の整定値については、第29条第2項第五号の解説にある可随電流の考え方に基づいている。本号の「人が容易に立ち入る場所」とは、人が一般的に通る場所と、さく、へい等で分離されておらず、かつ、人が容易に触れ得る高さの場所を指す。
第五号は、電気さくの事故等の際に容易に電源から開放できるように専用の開閉器を施設することとした。
第六号は、電波障害の防止について規定している。電気さく用電源装置は、(a) 衝撃電流を繰り返して発生するもの、及び (b) 衝撃電流を繰り返し発生しないもの、の2つに分類されるが、電波障害を与えるおそれがある場所では、このうち (b) に該当するものを使用する必要がある。