電気設備の技術基準の解釈の解説

第193条(電撃殺虫器の施設)

経済産業省の一次資料を確認(新しいタブで開く)該当頁の目安 p.277–278

第1項

〔解 説〕 電撃殺虫器は食品工場、ゴルフ場、果樹園など薬剤散布により害虫を防除できない場所に使用されるもので、その機能上高電圧の露出した充電部分があることから、本条では人又は家畜に対してその施設が危険なものとならないように制限するとともに、火災等に対しても十分危険のおそれがないように施設すべきことを規定している。
電撃殺虫器は、光により虫を誘引する照明部分と誘引した虫を電撃により殺す部分とからなっており、本条では電撃により殺す部分を「電撃格子」といっている。
第一号は、取扱者以外の者に対する危険表示の規定である。
第二号では、電気用品安全法の適用を受けるものであることとしている。電気用品の技術上の基準を定める省令の解釈では、電撃格子に加わる電圧を12,000V以下とし、電撃格子が短絡した際に流れる電流を25mA以下とするため、電撃格子に電気を供給する変圧器には磁気漏れ変圧器で、かつ、絶縁変圧器を使用し、その2次側開放電圧及び2次側短絡電流を制限している。大きな蛾を殺す必要性から、電撃格子に加える電圧を12,000Vとしているが、一般のはえや蛾を殺すためのものであれば、開放電圧が3,000V~7,000V、短絡電流が10mA程度のもので十分であり、特に屋内で使用されるものは開放電圧の低いものを使用することが望ましい。
第三号は、電撃格子に人が触れないようにその取付け高さを3.5mとしている。しかし、ただし書において、電撃殺虫器の変圧器の2次側開放電圧が7,000V以下で、保護格子に人が接近又は触れたときに自動的に変圧器の電源を遮断する保護装置を有するものでは、1.8m以上の高さに施設することができることを示している。
一般に使用される保護装置を内蔵した電撃殺虫器は、解説193.1図 (a) に示すような配線となっており、電撃殺虫器の絶縁変圧器及び保護装置(保護格子を除く。)の外箱は接地し、保護格子は電撃格子及び絶縁変圧器の外箱から絶縁している。保護装置は、その用途から考えて高度の信頼性を要求されるため、一般にはトランジスタなどの半導体で構成され、解説193.1図 (b)のような高周波発振静電容量検出形のものが多い。同図の保護格子と接地した電撃殺虫器の外箱又は大地間には固有の静電容量を有しており、発振回路はこの静電容量のもとで正常な発振を続け、人が保護格子に接近又は接触すると、人体と大地との間の静電容量又は抵抗のために、保護格子と大地との間の静電容量の増加又は抵抗の減少により、発振回路の発振条件が乱され、発振周波数の変化、振幅変化又は発振停止を引き起こす。この発振回路の出力を検出して、検波し、反転増幅、波形整形及び電流増幅回路を経てリレーを動作させ、解説193.1図 (a) のスイッチS2が自動的に開放する。人体が保護格子から離れると、発振が正常に復し、リレーの動作は停止して、スイッチS2は閉じて、再び電撃格子に高電圧が印加される。
このように静電容量検出形のものは、保護格子と大地との間の静電容量が電撃殺虫器の設置される周囲の条件に左右されるので、設置場所において電撃殺虫器を調整する必要がある。
解説193.1図
解説193.1図タップで拡大
第四号は、電撃格子と他の工作物(架空電線については等で別に示しているので、ここでは当然除かれる。)又は植物との離隔距離を電気さく(→前条)と同様、0.3m以上と規定している。しかし、前述の静電容量検出形保護装置を有する電撃殺虫器を使用する場合には、発振回路の調整が困難になることから電撃殺虫器は他の工作物又は植物から十分に離す必要がある。
第五号は、電撃格子の極間に虫の死体やごみが溜まるため、これらの掃除の際に電撃殺虫器を電源から容易に開放できるような専用の開閉器を施設することとしている。

第2項

第2項第一号は、電撃格子の極間に生ずる放電は、無線設備の機能に障害を与えることから、このような場所には施設しないこととしている。
第二号は、省令第70条及びからに規定する場所では、安全性を確保することが困難となるため、これらの場所に施設することを禁止している。

公式資料該当頁: p.277–278

令和7年11月20日改正

出典: 「電気設備の技術基準の解釈の解説」(経済産業省)を加工して作成

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