電気設備の技術基準の解釈の解説

第194条(エックス線発生装置の施設)

経済産業省の一次資料を確認(新しいタブで開く)該当頁の目安 p.278–280

〔解 説〕 本条は、エックス線発生装置の施設方法について規定している。

第1項

第1項第一号は、変圧器及び特別高圧の電気をもって充電するコンデンサその他の器具(エックス線管を除く。)は、人が容易に触れないようにその周囲にさくを設けること等を規定している。ただし、一般の人が出入りせず取扱者のみが出入りするように措置した工業用又は研究用等の特殊な場所に施設するものは、この制限から除外されている。
第二号は、エックス線管及びその導線の充電部分は露出しているので、取扱者以外の人が触れるおそれがないように、人の行動範囲を制限するような防護装置を設けて充電部分に人が接触することを防ぐべきことを規定している。
ただし書は、工事の都合によって、例えばエックス線管を取り付ける位置が寝台の上部にあるような場合であって、防護装置を設けることが困難な場合には、危険のおそれがないようにすれば、この防護装置は省略することができることを示している。この防護装置としては、絶縁性のものがよく、金属製のものは誘導電位を生じやすいのでふさわしくない。前号と同様、取扱者以外の者が出入りしない場所に施設するものは、防護装置を省略することができる。
エックス線管を寝台の上部で使用する場合には、エックス線管の導線をなるべく垂直とすることも接触防止上適当である。また、床にゴム、ビニルその他絶縁性の合成樹脂を張ることが防護方法としては有効である。ただし、金属製の釘を露出して使用するなどのことをすると効果を失うことになるため避けることとする。
第三号は、エックス線管の導線に使用する電線とその施設方法について規定したもので、エックス線管と配線との接続を堅固に、かつ、完全にすべきことを特に規定し、人が触れても安全なように、原則として金属被覆を施したケーブルを使用することにしている。ただし、エックス線管を人体に20cm以内に近づけない場合に限って、十分な可とう性を有する断面積1.2mm2の軟銅より線を使用することができることを規定している。保安の観点からは金属被覆を施したケーブルを使用するのが最もよいが、高電圧のものでは絶縁が困難なため危険度が増しても裸線を使用する場合があるので、この規定が設けられた。
イは、エックス線管の移動により、導線に緩みを生じて、人が触れ感電するおそれがあるので、巻取車など適当な装置を設けて常に緩まないようにすべきことを規定している。
ロは、軟銅より線を使用する場合、第十号と同じ理由により導線の露出する充電部分に1m以内に接近する金属体には、
D種接地工事を施すことを規定している。
第四号は、エックス線管の導線の露出した充電部分と造営材、エックス線管を支持する金属体及び寝台の金属製部分との離隔距離は、100kV以下の場合は15cm、100kVを超える場合は10kV超過するごとに2cmを加え、10kV未満の端数がある場合には更に2cmを加えた値を常に保持することが規定されている。194-1表で造営材と電線との離隔距離を30cmと定めているのに対し、本号で15cmとしているのは、エックス線管が移動するものであることを考慮し、安全率を見込まない許容し得る最小の接近距離をもってその限度と定めたためである。
第五号は、エックス線管を人体と20cm以内に接近して使用する場合は、危険性が高いことから、エックス線管に絶縁被覆を施して、金属体で包むことを規定している。
第六号は、エックス線管回路の配線についての規定で、この回路は特別高圧の電線を屋内に取り付けるものであることから、その危険性を考慮して厳重な制限を設けている。
イに規定するエックス線用ケーブルを使用する場合は問題ないが、これ以外の電線を使用するときは、ロに規定するような厳重な工事制限を課している。
なお、エックス線用高電圧ケーブルの構造は、概ね解説194.1図に示すとおりで、一般に屋内に特別高圧の配線を行うことは、電気に関する技術者のほかは出入りを許されない特定の場所に限って認められているのであって、エックス線発生装置用配線のように高電圧のものを一般の人の出入りする場所に施設することは危険であるが、この場合は本質上やむを得ないものとして、本条の規定に従って施設するものに限りこれを認めることとしている。ただし、ロ(ロ)の制限は、施設場所の関係から工事上やむを得ない場合であって、相互間に絶縁性の隔壁を設け、又は電線を十分な長さの絶縁管に収めて施設するときは、その部分に限りこの制限によらないことができるとしている。
ロ(イ)は、電線は通常天井、はり等に取り付けられるが、その床上の高さは、人が誤って手を伸ばしても危険のおそれがない程度の高さとして、2.5mと定めた。一般に屋内における人が触れるおそれがない箇所とは、床上の高さを例にとれば床上2.3m(→第三十六号)である。ここでは屋内のため空間的に十分余裕がなく、かつ、電線と造営材との離隔距離も十分にとる必要があるが、エックス線管回路の配線は電圧が高く危険であるので、施設状況から離隔距離は、2.5mと定められた。ただし、これは一般の人が出入りする場所に対する制限であって、ただし書にあるように取扱者のほかは入らない特定の場所では、この制限によらないことができる。
(ロ)は、離隔距離について定めた規定であるが、電圧が高いので放電の危険を避けるため、安全率を見込んだ十分な離隔距離を設けている。電線相互の間隔が電線と造営材との離隔距離と若干相違するのは、電線と造営材との離隔距離については、エックス線発生装置が設置される場所の大きさの制限から十分な安全率を見込むことができないが、電線相互間の場合にはこの制限がないためである。また、施設の制限を100kVを境界として取り扱っているのは、一般に100kV以下のものが多く、この電圧以下のものに対して一括して制限を設けることが合理的なためである。
解説194.1図
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第七号は、エックス線管用変圧器及び陰極加熱変圧器の1次側は一般屋内配線工事によって施設するが、2次側が高電圧であることから、2次側の故障等の場合に速かに遮断できるように、1次側の適当な箇所に開閉器を設けることを定めている。
第八号は、一つの特別高圧発生装置によって、2個又はそれ以上のエックス線管を使用するような設備は、点検補修その他のためにその一部のエックス線管の使用を休止することが必要になる場合もあるので、このような場合に不要な部分にまで高電圧で充電されないように規定したものである。
第九号は、エックス線発生装置には、管球の電圧変動の軽減及び変圧器の2次電圧よりも高い電圧の発生のために、多くはコンデンサを取り付けているが、エックス線装置の使用が終わり、電源を切った際にこのコンデンサに残留電荷が残り、このまま関係回路に人が触れると電撃を受けるおそれがあるので、この残留電荷を放電する装置を設置すべきことを規定したものである。
第十号は、静電誘導作用その他により電位が上昇する危険を考えて、イ、ロ、ハ及びニのそれぞれにD種接地工事を施すことを規定している。一般に特別高圧関係機器の外箱はA種接地工事を施すよう規定しているが、エックス線発生装置についてはD種接地工事を施すことを規定している。これは、放電管は管灯回路と同様(→)、変圧器のインピーダンスが高いため、接地又は短絡の際の故障電流が小さく接地線における電圧降下が少ないので、D種接地工事で十分と考えたことによるものである。
第十一号は、エックス線発生装置の耐圧試験に関する規定であって、最大使用電圧(波高値)の1.05倍の電圧に1分間耐えるものでなければならないことを規定している。ここで5%増しの電圧としたのは、この回路は高電圧であるから5%増しただけでも短時間で十分に不良箇所を検出できるからである。

第2項

第2項は、第一号及び第二号により施設する場合に前項第一号から第五号の規定によらないことができることを規定している。第2項の規定による施設方法は3種類に分類され、これを危険度の低いものから高いものの順に列記すると次のとおりである。
露出した充電部分がなく、かつ、エックス線管に絶縁性被覆を施し、これを金属体で包んだもの。これは、携帯し又は移動することを目的としていて、外部からその装置のいずれの部分に触れても電撃の危険のないもので、一部に管球の上に空気間隙をおいて金属製の被覆を施したものである。
取扱者以外の者が出入りできないように措置した場所に施設する部分を除き露出した充電部分がなく、かつ、エックス線管に絶縁性被覆を施し、これを金属体で包んだもの。
取扱者以外の者が出入りできないように措置した場所及び床上の高さ2.5mを超える場所に施設する部分を除き、露出した充電部分がなく、かつ、エックス線管に絶縁性被覆を施し、これを金属体で包んだもの。

第3項

第3項では、省令第70条及びからに規定する場所では、安全性を確保することが困難となるため、これらの場所に施設することを禁止している。

公式資料該当頁: p.278–280

令和7年11月20日改正

出典: 「電気設備の技術基準の解釈の解説」(経済産業省)を加工して作成

※ 本ページは公式資料そのものではありません。