電気設備の技術基準の解釈の解説

第195条(フロアヒーティング等の電熱装置の施設)

経済産業省の一次資料を確認(新しいタブで開く)該当頁の目安 p.280–284

〔解 説〕 低圧用の電熱装置による感電、出火の災害を防止するための施設方法についてはに示されているが、本条では、道路や造営物、横断歩道橋等に埋め込み又は固定して施設する電熱装置について規定している。

第1項

第1項は、道路や屋外駐車場、横断歩道橋の路面の積雪又は氷結を防止するための、いわゆるロードヒーティング及び暖房のため発熱線を床等に埋め込む、いわゆるフロアヒーティングについて規定している。
第一号は、保安上は150V以下とすることが望ましいが、ロードヒーティング等で大規模なものになると、電源その他で不経済となる場合があるので、300V以下とすることを規定している。
第二号は、発熱線には、MIケーブル(→解説)又はイ及びロに規定する発熱線の規格に適合するものを使用することを示している。ここで示す規格は、日本産業規格JIS C 3651(2014)「ヒーティング施設の施工方法」の「附属書A(規定) 発熱線等」で規定する第2種発熱線相当としている。本項の規定により施設される発熱線は、第四号の規定により耐熱性のあるものの中に施設されることから、衝撃試験及び耐荷重試験の試験荷重の小さい第2種発熱線と同等以上であればよいとした。
第三号は、発熱線に直接接続する電線には、ブチルゴム絶縁クロロプレン外装ケーブル、エチレンプロピレンゴム絶縁クロロプレン外装ケーブル、MIケーブル又はイからニに規定する規格に適合する発熱線接続用ケーブルを使用することを示している。これは普通の電線であると、発熱線に接続する部分及びその近くにおいて、発熱線の熱の伝導により電線の絶縁物が劣化し危険が生ずるので、電線の種類を限定したわけである。ここで示す電線の構造は、導体が軟銅線で、絶縁体及び外装が発熱線と同様のものを用いている。絶縁体及び外装における引張強度及び伸びの試験は、R7解釈より、民間規格評価機関として日本電気技術規格委員会に承認された規格リストと関連づけられ、当該機関の公開ページに掲載されている。詳細は第二号イの解説を参照されたい。
第四号イでは、発熱線の施設箇所は「コンクリートその他の堅ろうで耐熱性のあるものの中」に限られており、必ずしも発熱線をコンクリート内に埋め込むことを規定しているものではないが、発熱線が損傷を受けるおそれがないように施設する必要がある。
したがって、暖房のため発熱線を床等に施設するフロアヒーティングでは、発熱線の周囲2.5cm程度はセメントモルタルなどの耐熱性のあるもので覆われている必要があるが、その上面は堅ろうなビニルタイルその他の表面材で仕上げられていても差し支えない(→解説195.1図)。また、木造の平屋の土間の土の中に発熱線を埋め込んでも差し支えないが、その場合はその上面をコンクリートその他の堅ろうなもので覆い、発熱線が容易に露出することがないように施設する必要がある。
また、路面の氷結防止のためのロードヒーティングでは、車両その他の重量物の荷重及び衝撃によって、道路表面の損傷により発熱線が露出して損傷を受け危険な状態になるおそれがあるので、路面自体を堅ろうなものとする必要がある。したがって、車道はセメントコンクリート舗装又はアスファルトコンクリート舗装の堅ろうな道路で、発熱線は、概ね解説195.2図に示すように施設する必要がある。
しかし、道路でも歩道などは、比較的、重量物の荷重及び衝撃を受けないので、アスファルト舗装又はコンクリートブロック舗装の道路に解説195.3図のように発熱線を施設することができる。
解説195.1図
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解説195.2図
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解説195.3図
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ロは、発熱線の絶縁物が熱により劣化又は軟化することを防止するためと、床上に置かれた物に損傷を与えないように温度制限を行ったものである。これはもちろん、実際の施設における発熱線の最高限度の温度であって、フロアヒーティング又はロードヒーティングがその本来の目的である暖房又は融雪のために最も適当な温度になるように設計すべきである。ここでは、発熱線用の絶縁物の急激な劣化又は軟化を招かない程度のものとして、80℃としている。
もちろん、MIケーブル又は絶縁体に無機物若しくはけい素ゴムを用いた発熱線は、これ以上の温度でも絶縁体に劣化が生じることがないが、フロアヒーティングの場合は、床面の仕上材又は床上に置かれた物が損傷又は火災を生じないように80℃としている。しかし、ただし書の道路又は屋外駐車場のロードヒーティングの場合は、このような心配が少ないので、MIケーブル又は金属被覆を有する発熱線(外装が銅管又は鋼管で絶縁体が無機物又はけい素ゴム混合物のもの)を使用する場合には、120℃までとしている。もちろんこの温度は、発熱線の温度であって、路面の温度ではない。
ハは、他の工作物に対する電気的、磁気的又は熱的な障害を防止する規定である。発熱線を施設する同一道路又は床内に、他の電気設備、弱電流電線等、水管、ガス管等が施設されていると、熱により他の電気設備又は弱電流電線等を劣化若しくは軟化させるおそれ又はガス管等の内圧を高め危険な状態にするおそれがあり、また、発熱線からの漏電によりこれらの工作物に種々の障害を引き起こすおそれがある。したがって、道路又は床内に他の工作物が施設してあれば、発熱線はこの道路又は床内に施設しないことが望ましい。
第五号は、発熱線相互及び発熱線と電線とを接続すると局部的な過熱を生じやすいので、この接続部分が過熱しないように規定している。
イは、局部的な過熱を防止するため、接続部分の電気抵抗を低くする具体的な方法と接続部分の絶縁の低下を防止する方法を電線相互の接続(→第一号及び第二号)と同様に示している。
ロは、発熱線にMIケーブル又は金属被覆を有するものを使用する場合について規定している。これは、次号の接地効果を良くするための規定でもある。
第六号は、万一発熱線の絶縁劣化等のためにその金属被覆に漏電した場合の危険を防止するために施すもので、保安の観点からは接地抵抗値は小さいほどよいが、電路の使用電圧に応じて、使用電圧が300V以下のものにあってはD種接地工事、使用電圧が300Vを超えるものにあってはC種接地工事でよいこととしている。
第七号は、発熱線の事故時に他の回路と独立に開路できるように専用の開閉器及び過電流遮断器を設けるほか、漏電遮断器を設けることを規定している。

第2項

第2項は、冬季におけるコンクリート打設時のコンクリートの養生期間中に温度が下がりすぎないよう保温するため、発熱線(コンクリート養生線)を使用する場合の工事方法について規定している。
第一号は、低圧で十分に用が足りるため必要以上に高い電圧とすることを禁止するものである。
第二号は、発熱線の規格を示しているが、電気用品安全法の適用を受ける電気温床線の規格と同じであるので、小規模のものであれば、電気用品安全法に適合している電気温床線ならばもちろん使用できる。なお、R7解釈より、民間規格評価機関として日本電気技術規格委員会に承認された規格リストと関連づけられ、当該機関のホームページにて掲載されている。従前は電気用品の技術上の基準を定める省令の解釈(20130605商局第3号)別表第一の第2項 (電気温床線)
を引用していたが、令和6年5月31日に電気用品の技術上の基準を定める省令の解釈の改正により、同解釈別表第十二が引用する日本産業規格JIS C 3010(2019)「電線及び電気温床線の安全に関する要求事項」の附属書AH(電気温床線)に移行したため、内容の妥当性を確認した後、JIS C 3010(2019)の附属書AHと関連付けを行った。
第三号は、局部的に加熱することを避けるため、適当に間隔をとることを要求している。
第四号は、発熱線の事故時に他の回路と独立に開路できるように専用の開閉器及び過電流遮断器を設けることを規定している。ただし書では、発熱線に附属する移動電線と配線とを差込み接続器等を用いて接続するようになっているものについて、除外している。なお、発熱線に附属する移動電線は、当然の規定の適用を受ける。

第3項

第3項は、電熱ボード又は電熱シートを室内の造営材に組み込んで暖房する、いわゆるスペースヒーティング及び屋根の積雪又は氷結を防止するための、いわゆるルーフヒーティングについて規定している。暖房用のスペースヒーティングは、床、壁又は間仕切り等に電熱装置を組み込むものであり{特殊な電気(赤外線)ストーブを天井からつり下げるものは、本項の適用を受けない。}、また、ルーフヒーティングは木造建築物などの屋根に施設し、融雪効果を高めるために屋根の造営材の中に組み込まれて施設することが多い。したがって、火災防止の観点から特に規定されているもので、第一号で対地電圧を150V以下とし、電熱装置には発熱温度が低く、かつ、造営材に密着しても、又は壁材若しくは屋根材そのものとして使用しても、安全な構造の電熱ボード又は電熱シートを使用する必要がある。この電熱ボード又は電熱シートについては、第二号で電気用品安全法に適合しているものとすることを規定している。
第三号及び第四号では、漏電による危険を防止するため金属製外箱又は金属被覆の接地と漏電遮断器の設置の必要性を示している。更に同一造営材に施設された他の工作物に電気的、磁気的又は熱的な障害を及ぼさないように施設することを示している。

第4項

第4項は、表皮電流加熱装置(セクト法と呼ばれている加熱装置)で強磁性体の小口径管内に発熱線を通し、発熱線の電流により小口径管に生ずる誘導電流の発熱を利用する方法(誘導セクトと呼ばれている。→解説195.4図)についての規定である。なお、施設場所は、道路、横断歩道及び屋外駐車場に限定している。
第一号は、使用電圧の規定である。使用電圧は、対地電圧を交流の300V以下としている。すなわち、対地電圧が300V以下の400V回路にも適用できることとなる。第二号は、発熱線と小口径管とは、電気的に接続しないことを規定しており、電路を接地しない誘導式表皮電流加熱装置に限定している。
第三号及び第六号から第八号については、の解説を参照されたい。なお、本項では道路や屋外駐車場の路面の積雪や氷結の防止が目的であることから、発熱線の温度は、120℃以下に限定している。
第四号は、発熱線の仕様について規定している。発熱線には低圧のもの及び高圧のものがあるが、高圧の発熱線は国内外での使用例の多くが3,500V以下という実績もあるので、これを参考に最高3,500Vと規定している。発熱線は小口径管に配線されるので、通線時における摩耗等の損傷を防止するため外装を施すこととし、絶縁体及び外装は耐熱性に優れた材料に限定している。なお、絶縁体及び外装における引張強度及び伸びの試験は、R7解釈より、民間規格評価機関として日本電気技術規格委員会に承認された規格リストと関連づけられ、当該機関の公開ページに掲載されている。詳細は第二号イの解説を参照されたい。高圧発熱線の絶縁体厚さは、架橋ポリエチレン又はエチレンプロピレンゴム混合物については別表第5の高圧ケーブルの絶縁体の厚さに基づき規定しており、けい素ゴム混合物については口出し用けい素ゴム絶縁ガラス編組電線(日本産業規格JIS C 3324)の絶縁体厚さ+0.5mmの厚さに規定している。絶縁体が耐熱ビニル混合物、架橋ポリエチレン混合物又はエチレンプロピレンゴム混合物のものにあっては、外装は絶縁体と同じ材料のものを使用するよう規定している。なお、高圧発熱線については、コロナ(部分放電)試験を行うことを規定している。
第五号は、表皮電流加熱装置の施設場所をコンクリート等の舗装の中に限定している。
解説195.4図
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公式資料該当頁: p.280–284

令和7年11月20日改正

出典: 「電気設備の技術基準の解釈の解説」(経済産業省)を加工して作成

※ 本ページは公式資料そのものではありません。