電気設備の技術基準の解釈の解説

第197条(パイプライン等の電熱装置の施設)

経済産業省の一次資料を確認(新しいタブで開く)該当頁の目安 p.285–288

〔解 説〕 電熱装置による感電、出火の災害を防止するための施設方法については、に規定されている。本条は、原油、重油等の石油類、チョコレート、クリーム、糖みつ等の食品類、苛性ソーダ、フェノール、ベンゼン等の化学薬品類を加熱するため又は送配水管や横断歩道橋に施設されるドレンパイプの凍結を防止するため電気による発熱を利用する、これらのパイプライン等(一般の輸送管、配管を含む。)に施設する電熱装置について規定している。なお、本条でいうパイプライン等は、液体の輸送を行う施設の総体をいうのであって、もっぱら貯蔵を目的とするタンク、ベッセル、ドラム等の容器類はパイプライン等には含まれない。

第1項

第1項は、MIケーブル等の発熱線をパイプライン等に沿わせる方式の電熱装置について規定している。第一号は、使用電圧についてである。保安上は電圧を低くすることが望ましいが、パイプライン等の口径が大きく、長さが長いものになると、電源その他で不経済となる場合があるので低圧としている。
第二号は、発熱線の規格で、発熱線にはMIケーブル(→解説)のほか、第二号(→解説)又はハに規定する発熱線の規格に適合するものであって、発生する熱に耐えるものを使用する必要がある。なお、「発熱線を露出して使用しないもの」は、日本産業規格JIS C 3651(2014)「ヒーティング施設の施工方法」の「附属書A(規定) 発熱線等」で規定する第2種発熱線相当とし、「発熱線を露出して使用するもの」は、同付属書で規定する第3種発熱線相当としている。
第三号は、発熱線に直接接続する電線についての規定であるが、発熱線に直接接続する電線は発熱線からの熱の伝導により高温となるので、耐熱性に優れたものに限定している。
第四号イは、発熱線は人が触れて感電、火傷するおそれがないよう、また、損傷を受けるおそれのないよう断熱材、金属製ボックス等の中に設置することを規定している。
ロは、万一、パイプラインから原油や重油等の流体が漏えいした場合、加熱温度がこれらの流体の発火温度より高いと火災のおそれがあるので温度制限を行ったものである。特に規定されていないが、当然発熱線自体の温度は、発熱線の種類に応じて定まる限度以下の温度とする必要がある。そのためにも加熱温度の自動制御装置の取付け、過熱防止装置の取付けなどを行うべきである。なお、発熱線の温度の限度については、労働省産業安全研究所編「工場電気設備防爆指針(ガス蒸気防爆)」に防爆機器の容器外面の温度上昇限度として、発火点の最小値の80%を限度としており、これらを参照したものである。
ハは、他の工作物に対する電気的、磁気的又は熱的な障害を防止する規定である。この電熱装置の近くに弱電流電線等、水管、ガス管、他のパイプライン等の工作物が施設されていると、熱によりこれらの工作物を劣化若しくは軟化させ、又はガス管等の内圧を高め危険な状態にするなどのおそれがある。また、発熱線からの漏れ電流や誘導電流により、これらの工作物に種々の障害を引き起こすおそれがある。したがって、これらのものからは十分な離隔距離をとる等の必要な措置を講じる必要がある。
第五号は、発熱線相互及び発熱線と電線とを接続すると局部過熱を生じやすいので、この接続部分が過熱しないように規定している。イは、局部過熱を防止するため、接続部分の電気抵抗を低くする具体的な方法と接続部分の絶縁の低下を防止する方法を、電線相互の接続(→第一号及び第二号)と同様に規定している。ロは、発熱線にMIケーブル又は金属被覆を有するものを使用する場合について規定している。これは次号の接地効果を良くするための規定でもある。
第六号は、発熱線の絶縁劣化等のために、万一その金属被覆に漏電した場合の危険を防止するための規定である。
第七号は、発熱線の事故時に他の回路と分離できるように専用の開閉器及び過電流遮断器のほか、地絡遮断装置を設けることを規定している。
第八号は、取扱者以外の者に対して注意を喚起するため、発熱線を施設してある旨の表示をするよう規定している。

第2項

第2項は、パイプラインに直接電流を流して、パイプラインの抵抗損及び鉄損による発熱作用を利用するもので、国内では一般に直接加熱装置という名称で呼ばれているものである。
第一号は、使用電圧について規定している。この方式は、パイプラインに現場で絶縁テープ等を巻いて絶縁を確保するもので、保安上は電圧を低くすることが望ましいが、大口径、長距離になると電源その他が不経済になるので低圧としている。
第二号は、専用の絶縁変圧器を使用するよう規定しており、地絡時の電流を抑制し、負荷相互の横流を避けるために2次側を非接地にし、接続する負荷を限定している。1次側が特別高圧又は高圧の場合は、によって絶縁変圧器は混触防止板付きのものを使用し、混触防止板にはB種接地工事を施す必要がある。
第三号は、発熱体となるパイプライン等の要件を規定したものである。この方式はパイプライン自体に電流が流れ、また、このパイプラインを絶縁する作業が工場ではなく、現場で行われるものであるが、当該パイプライン等の材質、被覆絶縁の材質及び絶縁厚さ並びに耐電圧値等がイからニの要件に適合するものであることを規定している。なお、ロ(イ)(4)の絶縁体における引張強度及び伸びの試験は、R7解釈より、民間規格評価機関として日本電気技術規格委員会に承認された規格リストと関連づけられ、当該機関の公開ページに掲載されている。詳細は第二号イの解説を参照されたい。完成品(発熱体をテープで絶縁処理し、その上にロックウール、グラスウール、ウレタンフォーム等の保温材を被せて断熱し、さらにその上を鉄板や塩化ビニルパイプ等で防水したもの)は、パイプラインと金属製外被との間に1,500Vの交流電圧を1分間加えたとき、これに耐えるものであることが要求される。絶縁物は、電線等に使用されているものの中から選定され、厚さは、JIS C 8364で絶縁バスダクトの絶縁被覆の最小厚さが0.5mm以上になっていることを参照したが、実際の工事に当たっては、被加熱物の温度を考慮して目的にかなったものを選ぶ必要がある。温度測定用抵抗体の保護管をパイプラインに取り付ける場合、ねじ込み方式とフランジ方式とがあるが、ねじ込み方式は絶縁保持が困難で、万一、抵抗体の絶縁が破壊すると温度計まで充電されることになるので、フランジ接続のみに限定している。
第四号イは、発熱体となるパイプラインは一般に定尺物で、途中で接続することから、接続が電気的に完全に行われないと局部過熱の原因となるため、発熱体となる部分は全て溶接接続とし、電気的に絶縁される接続部分はフランジ接合とする必要がある。
ロは、配管工事の場合は、一般にシューを取り付けるが(→解説197.1図)、直接加熱のパイプラインに直接シューを取り付けるとその部分の絶縁が困難なため、シューの直接取付けを禁止した。ここで「直接取り付ける」とは、パイプライン自体にシューを溶接などで取り付けることを指しており、断熱材の外側を支持することは差し支えない。
解説197.1図
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ハは、発熱体の端末フランジやベント、ドレン取出口等の附属物のフランジに挿入される絶縁物について、加熱状態でも絶縁が劣化及び軟化するようなことがないものを使用するよう規定している。
ニは、発熱体は人が触れるおそれがないように絶縁物で被覆することを規定している。
第五号は、発熱体に外部電線を接続する部分の工事方法について規定している。十分電気容量のある、外部電線の絶縁が劣化しない温度となる長さの銅帯等の端子を発熱体に溶接又はろう付けし、その端子部分には十分な絶縁を施し、更に端子部分には外傷保護を施す必要があるが、過電流が流れるものでは困るので非金属製のもので保護する必要があることを示している。
第六号は、絶縁物の劣化等のため、外装の金属板及びドレン、ベント等の金属製の部分(→解説197.2図)に万一漏電した場合の危険を防止するため、300V以下の低圧用はD種接地工事、300Vを超える低圧用にはC種接地工事を施す必要があることを示したものである。
解説197.2図
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第3項

第3項は、表皮電流加熱装置(セクト法と呼ばれている加熱装置)で強磁性体の小口径管内に発熱線を通して、発熱線と小口径管との間に電流を流すと、小口径管の電流は表皮作用により管の内壁に集中して流れるが、この電流により小口径管に発生する熱を利用する方法(→解説197.3図)及び誘導セクトと呼ばれる内部発熱線の電流により小口径管に生じる誘導電流の発熱を利用する方法(→解説197.4図)についての規定である。
解説197.3図
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解説197.4図
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第一号は、使用電圧についての規定である。この方式による電熱装置は、小口径管の外被には電位が現れるが、同時に逆起電力の作用により総体的には人体に危険な電流を流す電位とはならず、したがって発熱線の耐電圧と耐熱が保証されるときは高い電圧を使用することができる。短い距離の場合には低圧でよいが、長距離の場合には高圧が経済的に有利となるので、使用電圧は低圧又は高圧としている。
第二号は、専用絶縁変圧器を使用することを規定している。発熱線と小口径管を接続する方式のものは、発熱管の接地箇所を通じて他の回路との間にループ電流が流れるので、これを防止するために専用の絶縁変圧器を使用することとした。絶縁変圧器は1次側が特別高圧又は高圧の場合はに従って混触防止板付きのものを使用し、混触防止板にはB種接地工事を施す必要がある。なお、小口径管と発熱線を接続しない方式のものは、専用の変圧器を使用する必要はない。
第三号は、小口径管に関する規定である。イは、小口径管の規格で、小口径管は強磁性体である必要があり、イに規定する小口径管の規格に適合するものを使用する必要がある。ロは、発熱線の接続及び延線のときに使用するボックスについての規定であり、ボックスは鋼板製で堅ろうに作る必要がある。ハは、小口径管相互と小口径管とボックスとの接続方法についての規定であり、これらの接続部分で完全な接続が行われないと局部過熱の原因となるので、接続部分は全て溶接によることとしている。ニは、小口径管に発生した熱をパイプラインに均一に伝えることにより局部過熱の防止を図ったものである。
第四号は、発熱線には第四号イからニに適合するものを使用する必要があることを示している。
第五号は、小口径管及び発熱線に直接接続する電線に関する規定で、小口径管及び発熱線は高温であるので、これらとボックスまでのリード線として用いられる電線は、発熱線と同等の絶縁効力及び耐熱性が要求されることを規定したものであり、発熱線と同一のものを使用することが望ましい。
第六号は、発熱線と発熱線、発熱線と電線、発熱線とボックスを含めた小口径管、電線とボックスを含めた小口径管の接続部分では局部過熱を生じやすいので、これらの接続部分が過熱しないようにするための規定である。イは、接続部分の電気抵抗を低くする具体的な方法を示している。ロは、接続は鋼板製のボックスで行うことを規定している。ハは、発熱線と発熱線、発熱線と電線の接続部分の絶縁被覆に関する規定である。
第七号は、発熱線の絶縁体の劣化等により、万一、小口径管に漏電した場合の危険を防止するため、及び電源供給ケーブルの断線等の際に発生する小口径管の電位上昇防止のために接地工事を施すことを規定している。

第4項

第4項は、第1項と同様、MIケーブル等の発熱線を被加熱管に沿わせる方式のものについての規定であるが、第1項はパイプラインの電気加熱装置についての規定であり、第4項は比較的小口径、短い長さのドレンパイプ、送配水管等の凍結防止装置に対しての規定である。なお、電気用品安全法の適用を受ける水道凍結防止器はこの項の適用を受けない。
第一号は、使用電圧の制限であり、対象が小口径、短距離のものであるので使用電圧を300V以下と規定した。その他の各号については、及び本条第1項の解説を参照されたい。
なお、省令第76条において、粉じんが多い場所、火薬類が存在する場所、可燃性ガス又は引火性物資の蒸気が存在する場所等(→省令第68条から)には、特別な場合を除き、パイプライン等の電熱装置の施設を禁止している。

公式資料該当頁: p.285–288

令和7年11月20日改正

出典: 「電気設備の技術基準の解釈の解説」(経済産業省)を加工して作成

※ 本ページは公式資料そのものではありません。