電気設備の技術基準の解釈の解説

第70条(低圧保安工事、高圧保安工事及び連鎖倒壊防止)

経済産業省の一次資料を確認(新しいタブで開く)該当頁の目安 p.119–120

第1項

〔解 説〕 第1項は、低圧保安工事について示している。低圧保安工事というのは、低圧架空電線が高圧架空電線若しくは高圧電車線の上方で接近・交差する場合(、第4項)又は特別高圧の電車線等の上方で接近する場合()について、低圧架空電線路の電線の断線、支持物の倒壊等により低圧架空電線がこれらの電線に接触して低圧電路に高電圧が加わる危険を防止するため、このような低圧架空電線路について一般的に示されている施設方法より強化すべき点をまとめて示したものである。すなわち、電線の引張強さ又は太さ、木柱の風圧荷重に対する安全率、末口の太さについて第59条、第65条において示されているものよりも強化すべきことを示し、さらに、支持物の径間制限を加えている。これらのほか、第74条及び第75条において、接近対象物に応じて強化すべき施設方法について示している。
第一号は、電線の施設方法を示している。架空ケーブル工事の場合は、第67条の規定により施設することとしている。
ケーブル以外の場合は、300V以下のものにあっては、300Vを超えるものを市街地外に施設する場合並みの引張強さ(5.26kN以上のもの又は直径4mm以上の硬銅線)、300Vを超えるものにあっては、市街地に施設する場合並みの引張強さ(8.01kN以上のもの又は直径5mm以上の硬銅線)の電線を用いることとしている。また、電線の安全率(弛度)については、300V以下の場合に関しても第66条第1項に準じて施設することとしている。
第二号は、低圧架空電線路の木柱であっても、第59条第1項で示されている高圧架空電線路の木柱(安全率については、高圧保安工事の場合と同じ2.0以上をとっている。)と同じ程度の強度を有することとしている。木柱の安全率に関しては、第59条の解説を参照されたい。
第三号は、径間の制限で、低圧架空電線路の径間については、一般には支持物の長さが短く、電線の地表上の高さにより径間が制限されるので示していないが、特別高圧の電車線等又は高圧架空電線等と接近又は交差する場合には危険が伴うので、特に高圧保安工事と同様の径間制限をしている。70-1表では、電線に引張強さ8.71kN以上のもの又は22mm2以上の硬銅より線を使用する場合は、一般の高圧架空電線並みの径間とすることができることを示している。
第66条の解説における計算式からも明らかなように、径間は電線の最大使用張力に比例するので、第66条の規定を満足する範囲で、電線の弛度を大きくすることにより、径間を延ばすことができる。しかし、弛度が過度に大きい場合又は長径間となる場合は、電線の断線等に対する不確定要素(外傷、腐食等)による影響が大きくなることから、支持物の種類による高さの技術的な限界又は支持物の信頼度の差異により、径間の制限を示している。ただし、引張強さ又は断面積の大きい電線は、これらが小さいものよりも、断線等に対する不確定要素による影響が小さくなることから径間制限を緩めている。長径間とする場合は、支持物()、支持物基礎()、電線()等の安全率を十分とることが望ましい。

第2項

第2項は、高圧保安工事について示している。高圧保安工事は、高圧架空電線が建造物()、道路、横断歩道橋、鉄道、軌道()、索道()、低圧架空電線、他の高圧架空電線()、電車線等()、架空弱電流電線等()、アンテナ()、他の工作物()と接近又は交差する場合に、一般の工事方法よりも強化すべき点のうち、共通するものをまとめて高圧保安工事として定義することで、各条文での準用をなくし、規定の簡素化を図っている。
第一号は、電線の施設方法を示している。架空ケーブル工事の場合は、第67条の規定により施設することとしている。
ケーブル以外の場合は、一般に規定されている引張強さ5.26kN又は直径4mmの硬銅線()ではなく、「引張強さ8.01kN以上のもの又は直径5mm以上の硬銅線」の電線を使用することとしている。
第二号は、木柱の安全率については、令和元年台風15号の木柱の被害状況を踏まえ、R2基準で、鉄筋コンクリート柱に関する日本産業規格 JIS A 5373(2016)で必要とされる安全率2.0と同じ水準にしたものである。

第3項

第3項は、風圧荷重、地震荷重のほか、台風等による樹木等の倒壊、トタン、看板等の飛来による外力により、低圧又は高圧架空電線路の支持物の連鎖的倒壊を防止するための支線の施設箇所を示している。なお、支線を設置する間隔については現行の運用では事業者によりばらつきがあったため、最も安全側にとっている間隔をとることとする。また、技術上困難であるとして、解釈に定める方法をとり得ない場合は、技術基準を満足するよう適切な措置を講じること。

公式資料該当頁: p.119–120

令和7年11月20日改正

出典: 「電気設備の技術基準の解釈の解説」(経済産業省)を加工して作成

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