電気設備の技術基準の解釈の解説

第65条(低高圧架空電線路に使用する電線)

経済産業省の一次資料を確認(新しいタブで開く)該当頁の目安 p.114–115

〔解 説〕 本条は、低高圧架空電線の強さ及び種類を示したものである。低高圧架空電線は、一般家屋等に接近して施設される場合が多く、建設作業者、一般公衆等が誤って電線に接触して感電死傷する事故を防止するため、S51基準において、従来使用を認めていた裸線について、原則としてその使用を認めないこととした。また、S57基準で特別高圧絶縁電線の規格が新たに規定されたのに伴い、特別高圧絶縁電線を低高圧架空電線に使用できることとした。さらにH10解釈で、日本電気技術規格委員会規格 JESC E2004(2002)「低高圧架空電線の種類」を引用して、B種接地工事の施された低圧架空電線の中性線(接地側電線を含む。以下同じ。)及び海峡横断箇所等の人が容易に立ち入らない箇所における高圧架空電線に裸電線を使用することを認めることとし、H20解釈で、JESC E 2004「低高圧架空電線の種類」の引用から解釈への直接記載へと変更した。

第1項

第1項は、原則として低高圧架空電線には絶縁電線又はケーブルを使用することを示しているが、低圧架空電線の中性線に限っては、B種接地工事を施してあれば万一人が触れても感電のおそれがないことから、施設場所を限定せずに裸電線の使用を認めている。また、高圧架空電線については、裸電線を使用することができる場所を示している。高圧架空電線には、感電死傷事故防止の観点から絶縁電線を使用すべきであるが、裸電線は絶縁電線に比べ電線外径が小さく、電線が受ける風圧荷重が小さくなることや、電線の弛度を小さくすることができ、長径間箇所等において支持物の強度や高さを低く抑えられるなど経済的に有利であることから、安全の確保が可能な場合に限り、S51基準以降も特認(解説)を受けた場合に限定して施設することが認められていた。
平成9年の改正で特認制度が廃止されたが、H10解釈において、従来「特認」を受けて高圧架空電線に裸電線を使用していた実績のある海峡横断箇所、河川横断箇所並びに山岳地の傾斜が急な箇所、谷越え箇所及び原生林については、一般公衆が電線に触れて感電するおそれがない場所であり、省令第21条第1項ただし書の「通常予見される使用形態を考慮し、感電のおそれがない場合」に該当し、安全が確保できることから、これらの場所に施設される場合に限り、高圧架空電線に裸電線を使用することを認めた。H20解釈において、第26条改正との整合を図り、JESC E 2004「低高圧架空電線の種類」の引用から解釈への直接記載へと変更した。なお、「人が容易に立ち入るおそれがない場所」については、第26条解説に記載している。
高圧架空電線に裸電線を使用する場合の電線の地表上の高さについては、人が容易に立ち入るおそれがない場所に施設することから、高圧架空電線に裸電線の使用が認められていたS51基準以前の電技の地上高である5m以上であれば安全を確保することができる。この地上高は、裸電線の使用が認められている特別高圧架空電線路のうち、使用電圧35,000V以下のものに対して規定される高さと同じである()。また、電線の水面上の高さについては、第68条解説に記載している。なお、解釈には示されていないが、高圧架空電線路に比べ更に厳しい条件で施設されている特別高圧架空電線路を高圧架空電線路として使用する場合においても、当然、裸電線を使用することができる。
引込用ビニル絶縁電線は、主として架空引込線()に使用することを目的として製作されたものであって、ビニル絶縁電線と同等のものを線心としてより合わせた(平型としたものもある。)ものである。架空引込線の施設実績に基づき、S40基準から、低圧架空電線についても全面的に使用できることとなった。
多心型電線は、S43基準で新たにその使用を認められた(解説)。
第二号では、電線の機械強度の最低限度を示している。電線の強さの規定は一般に硬銅線が基準となっており、本解釈では何mmという場合は、硬銅単線の直径を指し、何mm2という場合は、硬銅より線の公称断面積を指している。なお、低高圧架空電線にケーブルを使用する場合は、第67条に示しているので除外している。
低圧のうち300Vを超える場合は300V以下の場合より引張強さの大きいものを使用することとしているが、これは300Vを超える場合には、他に与える危害が大きいと考えられる点からその安全率を多く見込んだものである。また、300Vを超える低圧及び高圧架空電線については、市街地と市街地外とに分け、市街地は引張強さを増加し、硬銅線の場合には太さを1mm増加して安全率を多く見込んでいる。なお、低圧のうち300Vを超えるものとしては400Vの配電線が考えられるが、主に特別高圧から400Vに変圧されると考えられ、バックパワーが大きいため高圧並みと考えて示している。
第三号は、多心型電線は1線が裸線であるので、その裸線はB種接地工事が施された中性線、又は接地側電線にのみ使用することを原則としている。しかし、3本より合せた多心型電線(Triplex)を単相回路に使用し、裸線を電路として使用せず、メッセンジャーワイヤとして使用する場合もあると考えられるので、この場合はD種接地工事を施すこととしている。多心型電線を架空電線に使用した場合は、第71条から第77条までにおいて、他物との離隔距離は600Vビニル絶縁電線と同様に取り扱われているので、接地工事に関しては十分注意を要し、裸の1線は、人が触れても危険のない電圧以下の対地電圧にする必要がある。
第3項の半導電性外装ちょう架用高圧ケーブルにおける絶縁体及び外装の引張強度及び伸びの試験は、R7解釈より、民間規格評価機関として日本電気技術規格委員会に承認された規格リストと関連づけられ、当該機関の公開ページに掲載されている。詳細は第5条第2項第二号イの解説を参照されたい。

公式資料該当頁: p.114–115

令和7年11月20日改正

出典: 「電気設備の技術基準の解釈の解説」(経済産業省)を加工して作成

※ 本ページは公式資料そのものではありません。