電気設備の技術基準の解釈の解説
第186条(ネオン放電灯の施設)
経済産業省の一次資料を確認(新しいタブで開く)該当頁の目安 p.268–270
〔解 説〕 本条は、屋内、屋側及び屋外におけるネオン放電灯の施設方法に関する規定である。ネオン放電灯は、管内に封入した各種の気体による発光を利用するグロー放電による放電管で高電圧を必要とする。したがって、漏電、感電等の危険を防止するため、その工事には相当な注意を必要とする。
管灯回路の配線以外の部分の充電部分の露出禁止、弱電流電線等との離隔、メタルラス張り等の木造造営物に取り付ける場合の制限(第1項を除く。)、防湿装置に関する規定等はネオン放電灯を除く1,000V以下の放電灯の場合と同様であるが、その他の制限事項については、順を追って各号に定められている。なお、看板材料等については、火災予防条例(例)に、「支枠その他ネオン管灯に近接する取付け材には、木材(難燃性合板を除く。)又は合成樹脂(不燃性及び難燃性のものを除く。)を用いないこと。」と規定している。
第1項
第1項は、1,000V以下のネオン放電灯回路を看板の枠内に施設する方法に関する規定である。なお、ここでいう一部が開放された看板とは、いわゆるバックネオン看板と呼ばれるものであって、壁面等の取付け側が開放された箱文字の看板内にネオン放電灯を施設し、壁面の反射により文字等が浮かぶように照らす方式のものである。この場合、配線等の安全性を考慮し、開放部は造営材側の側面に限定している。
第四号については、放電灯用変圧器にネオン変圧器及びけい光灯用安定器が使用できることとした。ただし、この場合のけい光灯用安定器は、漏電や感電に対する安全を考慮して絶縁変圧器とするとともに、この種の安定器には複数の出力回路を有するものもあることから、定格二次短絡電流を1回路あたり50mA以下に限定している。なお、複数の出力回路により1の放電管(又は直列に接続した複数の放電管)を点灯させる様な場合は、管灯回路の出力としては、当然、1回路とみなせるので出力の合計値が適用される。
第五号は、ネオン放電灯回路が看板内に施設されることを考慮し、使用電線にはけい光灯用安定器の口出し線としても用いられているけい光灯電線が使用できることとした。また、看板との離隔距離については看板内に施設することから特に規定しないが、電線被覆の損傷等を考慮し、直接接触させないよう施設することとした。
第六号については、管極間を接続する部分の施設方法としてガラス細管工事を規定した。
第七号については、複数の看板を連結して施設する場合等において看板枠を貫通して施設されることがあるため、貫通部の配線の防護方法について規定している。
第八号については、放電管の管極部の離隔距離を2cmとした(→第2項第六号)。なお、造営材との離隔距離については、一部を開放したバックネオン看板の施設に対するものである。
第九号については、ネオン放電灯を使用した看板は、人が触れないよう、かつ、危険のおそれがないように施設されるものであるが、絶縁不良等により看板枠に漏電した場合を考慮し、変圧器外箱及び看板枠にはD種接地工事を施すこととしている。
第2項
第2項は、管灯回路の使用電圧が1,000Vを超えるネオン放電灯の施設方法について規定している。
第三号では、ネオン変圧器は電気用品安全法の適用を受けるものであることとしている。ネオン管は本質的に高電圧を必要とするが、保安の見地から電圧は低い方がよいので、同法の技術上の基準では実状を加味して、その限度を15,000Vと定めている。また、このような高電圧では危険であるので、安全面を考慮して変圧器の2次短絡電流を50mA以下(人の感電に対する安全の限界を考えて定めた数値である。)と制限している。しかし、実際には漏れ変圧器を使用して安定器の役目を果たさせているので、容易に条件を満足させることができる。また、ネオン変圧器のように巻線比の大きいこれらの変圧器には、2次側電路が非接地の絶縁変圧器のものと、小形・軽量で、輸入品の使用が可能な2次側電路に接地を施すものがある。H15解釈では、国際整合化等の観点から二次巻線の中性点を接地する接地式ネオン変圧器の使用に係る規定を追加した。
第四号は、漏電による火災の危険が多いので、配線は展開した場所及び点検できる隠ぺい場所(→第1条第三十号)に限ることとした。
ロは、管灯回路の配線は、がいし引き工事のみによることとし、高電圧であるのでハによる場合を除き、ネオン電線(電気用品安全法により型式認可を受けているもの)を使用することを定めている。また、点検できる隠ぺい場所に施設する場合は、安全性を高くするため電線と造営材との離隔距離を大きくすることを定めている。この場合、コードサポートがいしの6cm以上のものを使用すれば、この条件は満足できる。
ハは、ネオン電線を使用せずに配線工事ができる場合の例外規定である。放電管の管極間の短小な配線、ネオンの看板枠内の部分(長さの制限はない。)又は建物の壁等の造営材に沿ってネオンサイン等を取り付けるときの放電管から長さ2m以下の部分の配線に限り、いわゆる、ガラス細管工事(→解説186.1図)によることができることを示している。
ガラス細管工事は、高電圧で充電された裸線をガラス管(肉厚1mm以上、一般には直径5~6mm前後、1本の長さは1m前後のもの)に収めて配線するので、ガラス管を破損するおそれがある場合、例えば建造物に取り付けられたネオン変圧器から突き出しの看板まで空間をとばして配線するような場合(看板が風等で動揺した場合、ガラス管自体に圧縮応力、曲げ応力等が加わって破損するおそれがあり、破損した場合は裸線が露出されるので危険である。)には使用を認めないこととし、前述のとおり、比較的危険の少ない箇所に限り、また、その部分をなるべく少なくするように制限している。
ガラス管の管端の支持点を管端から8~12cmと定めたのは、裸線に充電された高電圧の沿面漏電を避けるためである。湿気の多い場所等(屋外では雨露にさらされる場所)においては、沿面漏電の危険性が高まるが、この場合においても沿面漏電が発生しないよう施設することが求められる。
第五号は、配線又は管極部分が造営材を貫通する場合は、電線被覆の損傷防止や漏れ電流の防止のため、絶縁性及び耐水性のあるがい管に収めるべきことを規定している。この規定は、ハの配線を施設する場合にも当然適用される。
第六号は、管の表面からの漏れ電流による危険防止のため、造営材とは直接接触させないように施設すべき旨を定めているが、管極部分は特に危険が多いので最低離隔距離を制限している。この制限は、チャンネル内等に施設する場合にも当然適用される。
第七号は、ネオン変圧器の外箱は金属製であり、危険防止のためその金属製部分にはD種接地工事を施すべきことを定めている。
第八号は、ネオン変圧器の2次側電路に接地を施す場合の規定で、対地電圧は非接地方式に比べて半分であるため、二次側での地絡が生じにくいが、一旦、一線が地絡すると、非接地式における一線地絡に比べて地絡電流が大きい。したがって、二次巻線接地方式のネオン変圧器を使用する場合には、感電防止手段として、地絡保護装置を施設するよう規定している。
第3項
第3項は、粉じんの多い場所又は爆発性物質のある場所に管灯回路の使用電圧が300Vを超えるネオン放電灯を施設することは、危険であるので、これらの場所に施設しないこととしている。
解説186.1図