電気設備の技術基準の解釈の解説
第187条(水中照明灯の施設)
経済産業省の一次資料を確認(新しいタブで開く)該当頁の目安 p.270–272
〔解 説〕 本条は、プールの水中に設置する照明灯の施設又は噴水等で美観又は装飾の目的で水中又は水辺に設置する照明灯の施設に係る規定である。
第1項
第1項は、人が泳ぐプールの水中に設置する照明灯の設置方法について規定し、第2項では、人は水中に立ち入らないが、噴水等の池の水中に設置する照明灯又は池の周辺で水に没するおそれがある場所若しくは水がかかる場所{防水構造でないと容器内に水が浸入するおそれがある場所をいい、しぶきが飛散する程度のいわゆる水気のある場所(→第1条第二十六号)は含まない。}に設置する照明灯の施設について規定している。
第1項では、プールの水中照明灯の施設は人が最も感電事故を起こしやすく危険なものであるため、厳格な規制を設けている。
第一号は、水中照明灯の容器に係る規定である。
照明灯は、通常解説187.1図のようにプールの水中においてその側壁の凹部に設置される。これは、泳者による直接的な外力又は衝撃波動等によって照明灯が損傷を受けるおそれがないよう、又はプールの清掃等で誤って衝撃を与え破損しないように十分奥行に余裕をもって凹部に設置することが必要である。やむを得ずこのような箇所に設置することができず側壁の外部に設置するような場合は、堅ろうで十分奥行に余裕のある箱に照明灯を設置し適当な防護装置を施す必要がある。
第二号イは、変圧器の高電圧巻線と低電圧巻線の混触により高電圧が低電圧側の照明灯関係の電路に入り込まないように、照明灯に電気を供給するための絶縁変圧器(→第198条解説)を電源側と照明灯との間に設け、更に安全性を高めるため、1次側の使用電圧及び2次側の電圧を300V以下及び150V以下に制限している。
ロは、絶縁変圧器の2次側電路の使用電圧が30V以下の場合は、絶縁変圧器の1次巻線と2次巻線との間に金属製の混触防止板(→第24条解説)を設け、この板にA種接地工事を施すことを規定している。これは高電圧が照明灯回路に侵入するのを防止するとともに、事故の範囲を最小限にするためである。この場合、2次側電路の使用電圧が保安上十分に低いので、第三号ハの電路に地絡を生じたときに自動的に電路を遮断する装置の施設義務を課していない。また、A種接地工事に使用する接地線を人が触れるおそれがある場所で施設する場合は、プールの水には消毒用の化学薬品が溶解されていることがあり、天然ゴムの絶縁電線では侵されやすいので、化学的に耐性のある電線を使用することを規定している。
解説187.1図
第三号イは、絶縁変圧器の2次側電路の施設について規定しており、絶縁変圧器の2次側の電路は接地しないこと、つまり、非接地回路とすることとしている。非接地回路であれば、その回路の任意の1点に地絡事故が発生しても、150V以下の低電圧回路であれば帰路がないので地絡電流は流れないことから感電防止に効果がある。
ハは、絶縁変圧器の2次側電路の使用電圧が30Vを超える場合は、漏電遮断器を施設することを規定している。2次側の電路が30V以下の場合は、1次側電路の使用電圧(普通100V又は200V)に比べ十分電圧が低く、安全性が確保されている。
したがって、このような場合は両巻線の間に混触防止板を設けて、1次側の電圧が2次側の低電圧回路に侵入するのを防止することによって感電防止上効果をあげることができる。安全確保の方法として使用電圧をできるだけ低く(例えば6V)して、感電しても微弱な電流しか流れず、人体に支障を与えないといった方法があるが、あまり電圧が低いとその回路に接続する負荷に対する配電容量との関係で電線に太いものを使用するか、さもなければ電流損失が増大するなど、電線重量などの経済的な問題も関係するため、自ずから限度がある。
したがって、照明灯に電気を供給する電路の使用電圧として30Vを超え100V以下程度の電圧を採用する場合がある。このような場合は、1次側と2次側の使用電圧は同じであって、絶縁変圧器に混触防止板を設ける意味が前述に比較してなくなるので、ハでは事故発生を防止するため、電路の使用電圧を150V以下の電圧(安全と考えられる電圧の一つの段階→第24条解説)に抑えて電路に漏電遮断器を施設すべきことを規定している。この場合の漏電遮断器は、電路が非接地式電路であるので、漏電遮断器の内部で高抵抗で中性点を接地した特殊な構造のものを使用する必要がある。一般の屋内配線用のものでは1線が接地しても動作しないので注意を要する。
ニは、2次側電路に使用される開閉器、過電流遮断器、漏電遮断器はそれぞれ堅ろうな金属製の外箱に収めることを規定している。
ホは、絶縁変圧器の2次側の配線は金属管工事により施設することとしている。これは、金属管工事により施設されていれば、絶縁電線の絶縁被覆が損傷して地絡を生じても、事故電流はその帰路として接地抵抗値の低い金属管に流れ、電流経路が限定されるためである。また、漏電遮断器の動作という点でも効果がある。もし絶縁性の合成樹脂管が使用されると、絶縁電線の損傷箇所の導体から直接事故電流が流出し、電位傾度の発生の場は前者より広範にわたることになる。本号では、以上の趣旨から2次側配線を金属管工事で施設するよう規定している。
ヘは、照明灯に電気を供給する移動電線の規定である。移動電線に接続点を設けないこととしているのは、その箇所が弱点となって事故発生の原因となるからであり、この場合、特に水中又はこれに準ずる場所に施設するものであるから当然のことである。電線の種類を限定しているのは、機械的な強度及び化学薬品に対する耐性等の点からである。移動電線は、保安上及び経済上からむやみに長い経路をとることは好ましくない。
また、損傷を受ける箇所に移動電線を施設する場合は、適当な防護装置を設けることを規定している。この防護装置には、接地系確立のため金属管等金属型(→第1項第四号)のものが使用される。なお、移動電線には、プール等の場所に施設されることから、その取扱いが乱暴になりやすく、保安上からも機械的強度が要求されるので、その断面積は2mm2以上のものと規制している。
トは、照明灯に使用する移動電線とこれに電気を供給する配線との接続には、差込み接続器を使用することを規定している(→第171条第1項解説)。この差込み接続器は、水が浸入し難い(→第175条第1項第二号ロ解説)金属製の外箱に収め、解説187.1図の接続器S の位置のように水がかかることがなく、水没することのないような場所に設ける必要がある。この場合、水面以下のガラス窓を介してプールの側壁に設置するようなものは、事故で窓ガラスが破損すれば水が照明灯側に浸入してくるので、水面以上の高い箇所又は水が内側に浸入しても接続器に水がかからないような空間的に十分余裕のある箇所に設置することが要求される。なお、金属製の外箱と限定したのは、機械的強度を得るためと接地系確立の趣旨からである。
第四号は、絶縁変圧器の2次側の接地系を確立するための規定である(→解説187.2図)。ここで電気的に相互に完全に接続することとしているのは、化学薬品が溶解していて水分その他湿気により金属の表面が酸化して接触抵抗を生じることのないようにするためであり、接続は、ねじ・ボンド又は接地クランプ等による堅固な接続とする必要がある。更に、配管には、接続箇所のさび止め等の措置を講じる必要がある。
解説187.2図
第五号は、接地系を間違いなく確立する趣旨で、接地線の施設方法について規定している。
第2項各号では、プールの場合と異なって人が水中に立ち入らないので、第1項の場合よりも規制を緩和している。
第一号は、照明灯の規格に関するものである。ハは、照明灯の金属製の容器にはC種接地工事を施すことを規定している。
第二号では、照明灯に電気を供給する電路の対地電圧を150V以下に制限している。この場合、第1項のように、絶縁変圧器、漏電遮断装置等の規制はない。
第三号は、移動電線について規定しており、接続点のない断面積0.75mm2以上のものでよいこととしている。