電気設備の技術基準の解釈の解説
第146条(低圧配線に使用する電線)
経済産業省の一次資料を確認(新しいタブで開く)該当頁の目安 p.199–200
第1項
〔解 説〕 本条は、屋内、屋側又は屋外における低圧配線に使用する電線の太さについて規定している。一般に屋内配線には、導電率、可とう性、強度及び価格等の点から軟銅線が使用されているので、これを標準とし、低圧の場合は、工事上不安のない強度を有するものとして直径1.6mm以上の軟銅線を使用することとしている。もちろん、これと同等以上の強さ及び太さを有する他の金属線(鉄線、アルミ線、硬銅線等)(→第4条)を使用することは差し支えないが、電圧降下が大きく、工事施工に際しての取扱いも難しくなる。なお、細物のアルミ線については、接続部においてトラブルが起こりやすいので、施工に際しては十分に注意する必要がある。
MIケーブルについては、IV電線に比べ許容電流が大きく、また、外装が銅管であり引張強さが大きいので、断面積1mm2のものが使用できる。また、アルミ導体の絶縁電線及びケーブルについては、電気用品取締法(現:電気用品安全法)の技術上の基準の昭和46年10月の改正で、硬アルミ線については直径2mm、半硬アルミ線については直径2.3mmまでのものが認められている。なお、この電気用品取締法(現:電気用品安全法)の技術上の基準の改正の際に機械的強度の点から1.6mmのアルミ導体の多心ケーブルについて検討が行われたが、第149条第2項の分岐回路の過電流保護で、1.6mmのアルミ線では、過電流遮断器の動作特性(→第33条)から10A(配線用遮断器では、15A)以下のものが必要となり、この種の過電流遮断器の市場性、特にヒューズの場合は入手が困難であること、住宅設備機器(冷暖房機器、厨房機器)に1kW前後の容量のものが多くなってきていること、また、アルミ線は銅線に比べ巻付け強度及び曲げ強度が著しく劣り、更にアルミ線の接続には相当の熟練を要することなどから、アルミ導体の多心ケーブルについても直径2mmを限度とした。
この規定は、低圧の屋内、屋側及び屋外に施設される配線に適用されるが、電気機械器具内の配線、移動電線、電球線には適用されない。したがって、実際の適用に当たっては、その電線がいずれに属するか個々の場合について判断しなければならないが、パイプペンダント、ブラケット等に収められるものは、電気機械器具内の配線と考えることとしている。なお、電気機械器具に関しては電気用品安全法、日本産業規格その他の規格が設けられている。
第一号は、電光サイン等は本質的に個々の電球へ配線する多数の電線を必要とし、電線を太くすれば、それに応じて合成樹脂管も太くなるので、なるべく細いものの使用が要望される。これらのものは、電流容量から見ればごく細いもので十分であり、また、合成樹脂管等に収めれば外傷に対しても防護されるが、長さが長いので、その最小の太さを直径1.2mmとしている。
第二号は、電気機械器具の制御回路は配線に多数の電線を必要とするので、このような場合、又は前号の電光サイン等であって、更に規模が大きく、複雑で、多数の配線を必要とし、かつ、細い電線を使用しなければならない場合には、断面積0.75mm2以上の多心ケーブル又は多心キャブタイヤケーブルの使用を認めた。ただし、電線が細く、使用条件が多岐にわたっているので、過電流を生じた場合、自動的にこれを遮断する装置を設けることを規定した。
第三号は、第172条の規定によりショウウィンドー、ショウケース内に限り認められた配線で、直径1.0mmの軟銅線相当の0.75mm2以上のコード又はキャブタイヤケーブルを使用することとしている。
第四号は、エレベータ用ケーブルを使用する場合である。
第2項
第2項は、絶縁電線の許容電流について規定したものである。なお、本項においては低圧配線に使用する絶縁電線の許容電流についてのみ規定しているが、コード、キャブタイヤケーブル及びケーブルの許容電流についても、日本電気技術規格委員会規格 JESC E0005(2016)「内線規程」((一社)日本電気協会電気技術規程 JEAC8001-2016)等を参照して検討する必要がある。また、低圧屋内配線(→第1条第十一号)に限らず、屋側・屋外配線、電球線、移動電線、接触電線など電気使用場所の電路全般における許容電流については、電気の配線設計の際、使用する電線の特性や施設条件を十分に考慮する必要があり、例えば、日射の影響を受ける場所では耐候性や許容電流を、薬品や油等の影響のある場所については耐薬品性・耐油性等を考慮してケーブル選定を行う。
絶縁電線の許容電流は、絶縁電線の連続使用に際し絶縁被覆を構成する物質に著しい劣化をきたさないようにするための限界電流であって、短時間に限って使用する場合には、ここに示された許容電流値よりも大きい電流を通じても差し支えない場合がある。よって、一般に許容電流値をいう場合は連続使用の場合の値を指すものであって、短時間使用の場合のものについては、特に短時間定格の許容電流と称している。
また、許容電流補正係数でビニル及び天然ゴムを基準としたのは、これらを絶縁体とした絶縁電線が広く一般に使用されている実態から、計算上の繁雑さを避けるためである。
許容電流を決定する前提としては、周囲温度を30℃として、電線の導体許容温度を、絶縁体が、ビニル及び天然ゴムにあっては60℃、耐熱ビニル、ポリエチレン及びスチレンブタジエンゴムにあっては75℃、エチレンプロピレンゴムにあっては80℃、架橋ポリエチレンにあっては90℃、けい素ゴムにあっては180℃、ふっ素樹脂にあっては200℃としている。なお、一般の場所で、けい素ゴム及びふっ素樹脂の絶縁電線の導体許容温度(導体と絶縁体の接する部分の温度を指し、絶縁電線の表面の温度ではない。)の限度を90℃としたのは、その電線を取り付ける造営材及び人体に対して支障のないように考えたためである。また、ふっ素樹脂絶縁電線について、0.9を乗じているのは、他の絶縁電線より絶縁体が薄く、表面積が小さくなり、熱放散が劣るためである。
周囲温度30℃を基準とした理由は、我が国では気温が30℃を超える期間は1年間を通じて限られており、また、最大電流の時刻と気温の最高時とが重なることは短時間であり、実用上問題となるようなことがないと考えたからである。
第二号ロは、絶縁電線を合成樹脂管、金属管、金属可とう電線管又は金属線ぴに収めて使用する場合は、電線を空中に施設する場合(がいし引き工事)より熱放散が低下するので、許容電流を小さくする必要があることを示している。
この場合の146-4表の電流減少係数は、同一管内の電線数が増加すれば、その需要率も低下することが考えられることから、電線数が11本以上の場合については需要率(50~75%)を考慮して示している。
なお、第148条第1項第五号ただし書及び第149条第2項第二号イの電動機等が接続される幹線及び分岐回路の過電流遮断器の定格の選定の基準となる絶縁電線の許容電流の算出には、この電流減少係数を乗じなくてもよい。これは電動機の始動電流が通常2~6秒程度しか持続しないため、絶縁電線の絶縁体に支障をきたすことがないと考えられるからである。また、第149条第2項第一号ロの「許容電流」については、単に軟銅線とアルミ線等の導電率の相違による電気抵抗を表現しているにすぎないから、電流減少係数を乗じる必要はない。
なお、146-1表において、導体が軟アルミ線、イ号アルミ合金線及び高力アルミ合金線の場合の許容電流を示しているが、溶接用ケーブルに用いられる軟アルミ集合より線を除き、この種の導体の絶縁電線のうち100mm2以下のものは電気用品安全法の適用を受けるもので、146-1表で定めてあっても、使用できるという意味ではない。