電気設備の技術基準の解釈の解説
第162条(金属ダクト工事)
経済産業省の一次資料を確認(新しいタブで開く)該当頁の目安 p.222–224
〔解 説〕 金属ダクト工事は、主に工場内、事務所ビル等の変電室からの引出口等における多数の配線を収める部分の工事に採用されている。また、OA機器への配線、電子計算機と端末機器との配線など、事務所等においても多数の回路が施設され、ビルの床にも金属ダクト工事が採用されている。なお、金属製のダクトの随所にコンセントを埋め込んで取り付けて配線する方法は、本条でいう金属ダクト工事として扱わない。しかし、金属ダクトの外面に直接コンセントを取り付けること又は照明器具を取り付けることなどを否定するものではない。
第1項
第1項は、電線の施設方法に関する規定であり、第一号は、第159条第1項第一号の場合と同じ理由によるものである。
より線を使用すべき旨が規定されていないのは、金属管等よりも電線の施設が容易であり、電線を施設する際は引き入れによらないからである。
第二号は、占積率に関する規定である。金属ダクトに収める電線は数も多く屋内配線の重要な部分を構成しているので、事故の波及を避けること、点検を容易にすること及び電線からの発熱等を考慮して定められた数値である。実際の工事方法は、電線の数が多い場合は、電線を金属ダクト内に転がして施設することは少なく、多くはクリート等を1m又は2m間隔に並べ、これを幾層も重ね多数の電線をクリートにより固定している(→解説162.1図)。なお、電光サイン、制御回路等の配線のみを収める金属ダクトについては、総合の需要率が低く、通電による電線の発熱で絶縁被覆が損なわれることもないので、電線占積率を緩和している。
解説162.1図
第三号は、機械装置等への多数の配線を金属ダクト工事により配線する場合、すなわち、金属ダクトと機械装置等の母体とを密着させるような場合で、機械装置のリード線と配線とを金属ダクト内で接続するとき、又は金属ダクトが分岐する場合の分岐箇所で電線自体も分岐する必要のあるとき等工事上やむを得ない場合のほかは、金属管工事の場合と同様の理由から金属ダクト内での接続は、原則として認めないこととしている。この場合、その接続箇所の点検は容易にできるように施設することとした。
第四号は、電線を金属ダクトから引き出す部分の電線の損傷防止について定めたものである。金属ダクトから電線を引き出す部分は、電線が損傷するおそれがないように金属ダクトの貫通部分には堅ろうなブッシング等を使用し施設することとした。また、金属ダクトに直接取り付けられた電気機械器具内に電線を引き出す場合は、絶縁ブッシングを使用することが望ましい。
第五号は、金属ダクト内に接続端子を設けること、照明器具を直接取り付けること、又は放電灯用安定器を入れることなどは、電線の被覆を損傷するおそれがあるので、これを防止するための規定である。金属ダクトは、電線を収めるのが目的であって、この中に他の物品を入れると電線の被覆を損傷するおそれがあり、また、金属ダクトの容積を減少することとなるので、これらを適用しているのである。
第2項
第2項は、金属ダクトの仕様に関する規定であるが、我が国では金属ダクトとして標準化されたものではなく、個々の場合に応じて適当な寸法のものが設計されている。
第一号は、金属ダクトは多数の電線を収めることを目的として施設されるものであり、第161条の金属線ぴとの区別を明確にするため幅が5cmを超えるものとしている。また、機械的強度を考慮して、1.2mm以上の鉄(鋼)板又はこれと同等以上の強さを有する金属製のものを使用して施設することとした。ただし、金属ダクトの形状及び寸法は種々雑多なので、金属ダクトの断面積が大きく、その縦横の寸法の比が不均衡で機械的強度を必要とする場合は、厚さ1.6mm以上のものを使用することが望ましい。なお、アルミニウムその他の金属を使用することについては、バスダクトのハウジング(→第163条)を参考として厚さ1.2mm以上の鉄板と同等以上の強度を有するものであって、堅ろうに製作すれば、施設することができる。
第二号は、金属ダクトには板金加工した鉄板をリベット打ち等により組み立てる場合又はアングルにより構成した骨組にボルト及びナットを使用して、鉄板製のふた、側壁、底部を取り付けて製作する場合があるが、これらのリベット、ボルト又は鉄板のまくれ等が内部に突出して電線の被覆を損傷することのないように施設することとした。
第三号は、鉄(鋼)製の金属ダクトの防錆に関する規定である。
第3項
第3項は、金属ダクトの施設方法について規定している。
第一号は、金属ダクト工事は、電線を保護する目的で管路を構成するものであるから、金属ダクト相互の接続が緩むことによって電線を損傷しないように機械的接続の堅ろうさを求め、金属ダクト相互が電気的に接続されないと接地の効果に支障があるため、電気的接続の完全さを求めるものである。金属ダクト相互は、その接続部を支持点付近に設けるようにして、機械的にも電気的にも完全に接続することが必要である。
第二号は、金属ダクトを壁の側面等に取り付ける場合は、適当な間隔にアングルを設けて、その上に施設する方法又はアンカーボルトを適当な間隔に設け、これを使用して天井、はり等からつり下げる方法等により施設されるが、この場合の支持点間の距離について規定している。支持点間隔を3m以下としたのは、柱の間隔又は間仕切りの関係から適当な距離であり、第2項の規定に適合する金属ダクトであれば十分な強度もあるので認められたものである。また、垂直に施設する場合であって、取扱者以外の者が出入りできないように措置した場所に限り、支持点間距離を6m以下としたのは、各階床面で支持すれば途中で支持する必要が少ないためである。この場合、金属ダクトの支持点間距離にかかわらず金属ダクト内の電線はクリート等で堅固に支持することとした。なお、金属ダクトをメタルラス張りの木造の造営物に施設する場合は、第145条に規定された事項に対する注意が必要である。
第三号は、金属ダクトのふたを取り付ける場合には、ビス等で容易に外れないように施設すべきことを定めている。
なお、金属ダクトの底板及び側板を埋設して施設し、これに上ぶたを取り付ける場合は容易に外れないように施設するとともに、人の通行の妨げにならないように施設する必要がある。
第四号は、金属ダクト内に蛇、ネズミ等が入るのを防止するため、終端部等は適当な方法で空隙のないようにふたをすることとしている。
第五号は、金属ダクトのふたを取り付ける場合等に空隙からじんあいが入り難いように、できる限り密閉することとしている。
第六号は、金属ダクトを床面に施設する場合等、水が浸入しやすいダクトには、水が溜まるとダクトが錆びる等事故の原因となるので、途中に水が溜まるようなことがないように施設することとしている。
第七号及び第八号は、漏電による危険防止のために定められた規定であるが、金属ダクトは多数の配線を収めているので、接地の省略は認められていない。