電気設備の技術基準の解釈の解説
第148条(低圧幹線の施設)
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第1項
〔解 説〕 本条は、低圧幹線の施設について示したものである。低圧屋内電路を大別すれば、引込口配線の屋内の部分、低圧屋内幹線の部分、電気使用機械器具に至る低圧屋内電路の部分並びに低圧の移動電線及び電気使用機械器具の電路の部分に分けられる。引込口配線の屋内の部分は、引込口から引込口開閉器に至る部分で、この解釈では、第147条において引込口開閉器を引込口に近い箇所に施設することとするにとどめ、短い部分であることから、特に規定を設けていない。なお、幹線(過電流遮断器を要する。)や幹線を経ないで電気使用機械器具に至る電路(→第149条第5項)は、屋内の引込口配線の終端に接続されるものである。
低圧幹線は、低圧配線(分電盤の母線を含む場合もある。)で構成されるものであり、これらの関係を解説148.1図に示す。
解説148.1図
定義では規定しないが、本来幹線は、直接機器に達するものでないので施設位置や工事方法について、電気使用機械器具に至る電路の電線(→第149条)のような制約を受けるものではない。しかし、電路中の重要な部分を構成しているので、第一号で他物の接触により損傷するおそれがない場所に施設すべきことを示している。
なお、ビル等において低圧屋内幹線を展開した場所に金属ダクト工事、バスダクト工事により施設し、壁等に沿って立ち上げている場合、電線は堅ろうな接地工事を施した鉄板等で被われており、危険がなく、また、低圧屋内幹線をがいし引き工事で施設する場合は、第157条で接触防護措置を施すことを規定しており、その他の保安面についてもそれぞれの条項で規定しているので、低圧幹線の施設方法として、特に人が触れることについては規定していない。
第二号は、使用電線の太さの選び方に関する規定であるが、原則として、需要率を1とした場合において、負荷電流が電線の許容電流を超えないようにすることを示している。
ただし書は、幹線に接続される負荷のうち電動機等の容量の占める割合が大きい場合、過負荷や電圧の変動等によって、負荷時の電流が定格電流(定格電圧、定格周波数の場合の全負荷電流)より大きくなる場合があり、また、複数の電動機が同時に始動する場合もあるので、これらを考慮して、電線を太くすることを示している。この場合、電動機等の合計容量が大きい場合(おおよそ15kW以上)は、電圧の変動のみを考慮して10%増しに、小さい場合は、電圧の変動のほかに過負荷使用の場合を考慮して25%増しにすることを示している。
なお、本号の趣旨を数式で示せば、次のようになる。
本文の場合(ΣIM ≦ΣIL の場合)は、
IW ≧ΣIM +ΣIL ………………………………(1)
ただし書の場合(ΣIM >ΣIL の場合)は、
IW ≧kΣIM +ΣIL ……………………………(2)
IW:電線の許容電流
IM:その幹線に接続される電動機等の定格電流
IL:その幹線に接続される電動機等以外の電気使用機械器具の定格電流
k:定数で、ΣIM ≦50Aの場合は、1.25、ΣIM >50Aの場合は1.1
これによれば、負荷が増設されるごとに電線の太さを変えなければならないが、電圧降下、負荷の増設等を考慮して当初から余裕をもった電線を選んでおけば、将来の負荷増加にも対応できる。
第三号は、その幹線に接続される負荷の性質により、需要率(=最大需要電力/設備容量×100%)が明らかである場合又はコンデンサ等を設置して力率を改善しているような場合若しくは力率の異なる負荷を接続する場合は、それらの値を使用して電流値を算定し、前号の規定により選定した電線よりも細いものを使用して差し支えないことを示している。しかし、始動電流が大きく、しかも始動時間の長い特殊な電動機が接続されている場合は、第五号の過電流遮断器の定格の制約から電動機の始動時にヒューズが溶断し、又は配線用遮断器が動作するおそれがあり、あまり細い電線を選定できない場合もあるので、注意を要する。
第四号は、幹線を保護するために過電流遮断器を設置することを示したものである。条文上からは過電流遮断器の施設箇所は明確にされていないが、低圧で受電する場合は、第147条の規定により引込口に施設する開閉器の箇所が適当であり、高圧又は特別高圧で受電し、低圧に変成する場合は、幹線が引き出される電気室等からの引出口の近い箇所に施設することになる。
また、幹線は末端にいくほど細い電線を使用する場合が多いので、電線のサイズ(許容電流)の異なる部分のうち、
第五号の過電流遮断器の定格電流では保護できない部分に、それより負荷側の電線を保護できる過電流遮断器を設置することになる。なお、ただし書は、主幹線からの分岐幹線について過電流遮断器の施設を省略できる場合を示したもので、例示すると解説148.2図のとおりである。
イの場合は、解説148.2図の分岐幹線の電線の許容電流が幹線の電線を保護する過電流遮断器(B1)の定格電流の55%以上あれば、この過電流遮断器で十分保護し得る。
ロの場合は、分岐幹線の電線の長さが8m以下と限定されているので、この部分で短絡事故を生じる機会が少なく、かつ、万一短絡事故が生じた場合でも電線の許容電流が幹線の電線を保護する過電流遮断器の定格電流の35%以上あれば、この過電流遮断器で一応保護し得る(電線に著しい変化を生じさせるような温度上昇はない。)。
ハの場合は、分岐幹線の電線の長さが極めて短いときには、実態上この間で短絡事故が生じる可能性はないものとして考える。
ニの場合は、上記イからハまでとは性格が異なるものであるが、太陽電池のみを電源とする幹線においては、太陽電池の特性上、最大短絡電流が定格電流の1.1倍~1.2倍程度にしかならないため幹線の許容電流を最大短絡電流以上にすることによっても幹線の保護ができる(→解説148.3図)。
なお、太陽電池と蓄電池を組合せたものを電源とする幹線は、ニの場合に該当しない。
解説148.2図
解説148.3図
第五号は、幹線の保護のために施設する過電流遮断器の定格電流IB は、原則としてIB ≦IW(IW は電線の許容電流で、絶縁電線を管等に収めている場合は第146条第2項の電流減少係数を乗じた値)としている。
ただし書は、負荷に電動機等を含む場合であって、幹線と分岐回路との許容電流の差が小さい場合には、次条第2項第二号との関連において、電動機の始動電流により過電流遮断器が動作しやすくなるので、より大きい定格のものIB ≦3 ΣIM +ΣIL(ただしIB ≦2.5IW′とする。IW′は電線の許容電流で、絶縁電線を管等に収めている場合でも第146条第2項の電流減少係数を乗じなくてもよい。)を選ぶことができる旨を示している。
ハの「過電流遮断器の標準の定格に該当しないとき」とは、JISによれば、ヒューズ及び配線用遮断器の規格は50、60、75、100、125、150A……というように段階的であるので、仮に(3ΣIM +ΣIL )の値が130Aとすれば、原則としてこの値以下の定格125Aのものとなるが、電動機の始動電流のように短時間(2sec~10sec)の電流に対しては電線の短時間過電流耐量に若干の裕度があるので、定格150Aのものを使用してもよいという意味である。しかし、電線の許容電流が100A以下の場合は、短時間過電流耐量も小さいので、直近上位の定格のものを使用することはできない。
第六号は、幹線を確実に保護するために過電流遮断器は、これを各極に施設すべきことを規定している。なお、多線式電路の中性線には、過電流遮断器を施設してはならないので(→第35条)、本号の適用から除外されている。ただし書は、過電流遮断器として、バイメタル又はマグネットコイル等の動作要素を用いる配線用遮断器で動作要素が一つで各極同時に遮断される、いわゆる2極1素子の過電流遮断器を対地電圧が150V以下の低圧電路に施設することを認めている。2極1素子の過電流遮断器を施設する場合は、動作要素が非接地側になるように取り付ける必要がある。なお、この過電流遮断器は、第33条第3項に規定する配線用遮断器であり、低圧で受電する一般従量需要家に取り付けられる電流制限器とはその動作特性が異なることから、一般需要家引込口において、この配線用遮断器に電流制限器としての役割を兼ねさせることは認められない。
第2項
第2項第二号では、低圧幹線の電路でそれが接続される変圧器の中性点若しくは1端子又は接地側の電線に接地抵抗値の十分低い接地工事(接地抵抗値3Ω以下)を施している場合、又は幹線の電源側に漏電遮断器等を設置しているような場合は、開閉器を省略しても保安上支障はない(→第19条解説)ので、このような電路の接地側の極又は中性極には開閉器を省略できることとなっている(→第149条第1項第三号解説)。なお、引込口に施設するものについては、前条の規定が適用される。
第三号では、開閉器を省略する場合は、他の相の開閉器と同じ箇所に、中性極又は接地側の極の接続端子を設け、又はニュートラルスイッチを使用する等により電気的に完全に接続し、同時に保守点検の際に便利なように容易に取り外しができるように施設することを示している。