電気設備の技術基準の解釈の解説

第33条(低圧電路に施設する過電流遮断器の性能等)

経済産業省の一次資料を確認(新しいタブで開く)該当頁の目安 p.51–54

〔解 説〕 過電流遮断器とは、電路に過電流を生じたときに自動的に電路を遮断する装置をいい、この場合における過電流とは、短絡電流及び過負荷電流を意味している。したがって、低圧電路における過電流遮断器には、ヒューズ、配線用遮断器及び第3項に規定する過負荷保護装置と短絡保護専用遮断器又は短絡保護専用ヒューズを組み合わせた装置が該当する。
ヒューズ、配線用遮断器及び過負荷保護装置と短絡保護専用遮断器又は短絡保護専用ヒューズを組み合わせた装置は、過負荷電流及び短絡電流によって配線及び機械器具が過熱、焼損するのを保護するために設けるものであり、本条ではその特性と仕様について規定している。ヒューズと呼ばれるもののなかには、タイムラグヒューズ等のように、特殊な性能を持つものも使用されるようになってきたが、ここで規定しているヒューズは、低圧屋内幹線の電源側電路における過電流遮断器(→第148条第1項第四号)又は分岐点における過電流遮断器(→第149条第1項)のように、この解釈で過電流遮断器として施設を規定するものについてであって、特殊なヒューズ及び配線用遮断器の特性を規定しているものではない。

第1項

第1項では、過電流遮断器の取付け箇所における短絡電流に十分耐えるだけの遮断容量を有するものを使用することとしている。「施設する箇所を通過する短絡電流を遮断する能力を有するもの」としているのは、送電線路、配電線路を問わず、電源の容量が著しく増大し最大短絡電流が大きくなった結果、単一の遮断器では遮断容量が不足するので、ヒューズ以外の遮断器と限流ヒューズとを組み合わせて1の過電流遮断器として使用されるケースが増加してきたためである。
ここで「短絡電流を遮断する能力」とは、全領域の短絡電流を遮断する能力のことであり、単一の過電流遮断器を使用する場合は最大短絡電流を遮断する能力である「遮断容量」を有していれば、それ以下の短絡電流を遮断することは可能であるが、2個の過電流遮断器を組み合わせて1の過電流遮断器として使用する場合は、最大短絡電流を遮断する能力である遮断容量を有しているばかりでなく、遮断容量の大きい過電流遮断器と遮断容量の小さい過電流遮断器との動作協調がとれていることを意味している。
低圧電路では、同一箇所(例えば、分電盤内)において、2個の過電流遮断器を組み合わせて1の過電流遮断器として使用する方法として、① 限流ヒューズと配線用遮断器との組み合わせ、② 配線用遮断器と配線用遮断器との組合せがある。
限流ヒューズと配線用遮断器とを組み合わせる場合(→解説33.1図)は、次の条件を満足させる必要がある。
(a)ヒューズの最大通過電流(波高値)が配線用遮断器の耐電磁力強度以下であること。
(b)ヒューズの最大遮断ジュール積分(最大遮断I2t)が配線用遮断器の熱的強度以下であること。
(c)配線用遮断器の遮断容量より若干小さい電流領域において、解説33.1図に示すようにヒューズの溶断特性曲線Bが配線用遮断器の動作特性曲線Aと交差すること(なお、この解釈では規定していないが、ヒューズの溶断特性曲線が
Cとなる場合は、配線用遮断器の過負荷電流の領域でヒューズが溶断するので注意を要する。)。
配線用遮断器と配線用遮断器とを組み合わせる場合(→解説33.2図)では、一般の配線用遮断器は短絡電流の流入後3~7ms以内に開極し、長くとも20ms以内に全遮断を完了するが、被バックアップ遮断器(遮断容量の小さい方の遮断器)
が開極を始めた直後、バックアップ遮断器(遮断容量の大きい方の遮断器)は、これに追随するように開極を始め、アークエネルギーを双方の遮断器が分担して、2点遮断の形で短絡電流を遮断する。被バックアップ遮断器の接触子には多少の損傷はあっても、バックアップ遮断器の動作により再使用不能になるということは起こらないのが通例である。一般にフレーム格差は1~2階級差が望ましく(例えば、30Aフレームと100Aフレームなど)、動作協調が成立するためには、次の条件を満足する必要があり、組合せは配線用遮断器のメーカーの保証するものに限定される。
(a)バックアップ遮断器の遮断電流波高値が被バックアップ遮断器の機械的強度以下であること。
(b)短絡電流遮断時の最大遮断ジュール積分(最大遮断I2t)が被バックアップ遮断器の熱的強度以下であること。
(c)被バックアップ遮断器の全遮断特性曲線(解説33.2図のA曲線)とバックアップ遮断器の開極特性曲線(解説33.2図のB曲線の点線の部分)との交点(クロスポイント)が被バックアップ遮断器の定格遮断容量以内であること。
解説33.1図 解説33.2図
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また、第1項の「施設する箇所を通過する短絡電流」(最大短絡電流)は、低圧電路では一般的に次のように扱われる。
〔A〕最大短絡電流の算出方法
主遮断器(変電室)
主配電盤の母線までの電路が絶縁電線、ケーブル又は導体を絶縁したバスダクトにより施設される場合は、その末端における母線に短絡が起こったときの短絡電流による。
その電路が裸導体(バスダクトのときを含む)により施設される場合は、その主遮断器の負荷側端子において短絡が起こったときの短絡電流による。
フィーダー用遮断器分電盤に至るフィーダーが絶縁電線、ケーブル又は導体を絶縁したバスダクトにより施設される場合は、分電盤電源側端子において短絡が起こったときの短絡電流による。
フィーダーが裸導体(バスダクトの場合を含む)により施設される場合は、そのフィーダー用遮断器の負荷側端子において短絡が起こったときの短絡電流による。
主遮断器(分電盤)
その負荷側端子において短絡が起こったときの短絡電流による。
分岐遮断器第1アウトレット(第1負荷点)において短絡が起こったときの短絡電流による。
〔B〕300kVA以下の変圧器から供給される電路の最大短絡電流(100V級及び200V級の単相及び3相の電路では、その都度計算できないことが多いから、次のように考えてよい。)
〔解説33.1表〕
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なお、非包装ヒューズは一般に容器に収めて使用するので(→第150条第2項)、容器に収めた状態での遮断容量が非包装ヒューズの遮断容量であり、ヒューズを収める容器の大きさや形状によって異なる。
第1項ただし書は、電路中の異なる地点に設置された2個の過電流遮断器、例えば、解説33.3図の②フィーダー用遮断器と、③分岐回路用主遮断器とで行うカスケード遮断方式(バックアップ保護方式)について規定している(なお、解説33.3図の③分岐回路用主遮断器と、④分岐遮断器とで行うカスケード遮断方式については、第1項本文の「これを施設する箇所を通過する」の解釈の範囲内で考えてよい。)。
解説33.3図
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ここで電源側の遮断器は、ヒューズ又は配線用遮断器のいずれでもよいが、負荷側の遮断器を「配線用遮断器」に限定したのは、前述のカスケード遮断方式の3条件の持続性、すなわち、保守の点を考慮したものである。
また、カスケード遮断方式を遮断器の設置箇所における「最大短絡電流が10,000Aを超える場合」に限定したのは、低圧電路において最大短絡電流が10kAを超えれば技術的にも経済的にもやむを得ないと考えられるためである。最大短絡電流が10kV以下の場合では、理論的にはカスケード遮断方式による短絡電流の遮断が可能であっても、現在のところメーカーごとにそれぞれ動作特性が異なっていることや、異なる地点でのカスケード遮断方式を採用する場合にユーザー側の保守時の間違いが起こるおそれがある、という点などを考慮し、カスケード遮断方式を認めていない。

第2項

第2項は、この解釈の規定により施設すべきヒューズの特性であって、包装ヒューズ(筒形ヒューズ、プラグヒューズ等)及び非包装ヒューズ(つめ付きヒューズ等)の具備すべき溶断特性を定めている。ここに掲げられている数値は、日本産業規格 JIS C 8352(1983)「配線用ヒューズ通則」の値を採用したものである。JISの「配線用ヒューズ通則」の「6 性能及び特性」では、A種ヒューズは定格電流の110%、B種ヒューズは定格電流の130%の電流を通じたときこれに耐えるものであることが規定されている。
第一号では、定格電流の1.1倍の電流に耐えることとしているが、B種のものは1.3倍の電流に耐えるものであるから当然1.1倍の電流にも耐え、第一号の規定に適合する。また、JISでは、A種は定格電流の135%、B種は定格電流の160%を流したとき、33-1表の中欄に掲げる時間内に溶断することになっているが、第二号では定格電流の1.6倍の電流を通じたときに、33-1表の中欄に掲げる時間内に溶断することになっている。A種のヒューズは定格電流の135%で溶断することになっており、当然160%の電流でも溶断するので、これら2種類のヒューズは全て第二号に適合する。現在では、このA種とB種のヒューズの使用が認められている。
なお、本条では、電気用品安全法の適用を受けるものについては、同法の規制を受けるので除外している。
また、配線用遮断器と組み合わせて1の過電流遮断器として使用するものとしては、配線用遮断器の遮断容量を補うために配線用遮断器と直列に接続されるヒューズ、すなわち、バックアップ用に使用される限流ヒューズが該当する。このヒューズは第1項で述べる配線用遮断器と短絡領域における動作協調がとれておればよく、本項の溶断特性によらなくてもよいので除いている。

第3項

第3項は、この解釈の規定により過電流遮断器として施設する配線用遮断器の時延引外し特性について定めている。ここに掲げられている時延引外し特性については、定格電流が2,500A以下のものにあっては日本産業規格 JIS C 8370(1991)「配線用遮断器」の値を採用し、定格電流が2,500Aを超えるものにあってはアメリカのNEMA(National Electrical
Manufacturers Associations/アメリカ電機工業会)とUL(Underwriters Laboratories/アメリカ保険業者安全試験所)
の規格を参考として規定したものである。なお、NEMAとULの規格はJISと比較した結果、JISと同一の特性となっている。

第4項

第4項は、自家用電気工作物などの電源設備の容量が増大し、低圧電路の短絡電流が増加してきたため、小容量電動機に至る分岐回路において、過電流遮断器を施設する箇所を通過する短絡電流が配線用遮断器の遮断能力(→第1項解説)
を超える場合がでてきたことと、過負荷保護装置{第153条(電動機の過負荷保護装置の施設)の規定により施設するものをいう。}と過電流遮断器との保護協調を両立させることが困難な場合があることから、過負荷保護装置と短絡保護専用遮断器又は短絡保護専用ヒューズとを組み合わせた装置を専用の一つの箱に収めた場合に限り、低圧の電動機のみに至る分岐回路に施設する過電流遮断器として認めることとした(→解説33.4図)。
解説33.4図
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第一号から第三号では、過負荷保護装置、短絡保護専用遮断器及び短絡保護専用ヒューズの要件及び過負荷保護装置と短絡保護専用遮断器又は短絡保護専用ヒューズ相互の関係を規定した。
第四号では、1の箱の中に収めて施設することとしている。これは、両者によって過電流遮断器の役目をしていること、両者間の電線が長い場合に、この間で短絡が起こる場合は必ずしも電線の保護ができるとは限らないためである。なお、過負荷保護装置と短絡保護専用遮断器又は短絡保護専用ヒューズを組み合わせる場合は、過負荷保護装置が負荷側となるように接続する必要がある。

第5項

第5項では、一般に糸ヒューズは、端子の締付状態によってその特性が大いに異なり動作が不確実となるので、この解釈で過電流遮断器として施設を規定するヒューズに限らず、一般に非包装ヒューズを使用する場合は、原則としてつめ付きヒューズを使用することとしている。しかし、第一号のローゼット等の内部に取り付ける5A以下のものは、取付け箇所が狭いため一般につめ付きヒューズの使用が困難であること、さらにその確実性をそれほど要求されていないこと等により、適用から除外されている(→第150条第2項)。
第二号は、端子間の距離が比較的長いので、端子部分の抵抗変化の影響が少ないために、つめが省略できることを規定している。

公式資料該当頁: p.51–54

令和7年11月20日改正

出典: 「電気設備の技術基準の解釈の解説」(経済産業省)を加工して作成

※ 本ページは公式資料そのものではありません。