
3m・8m・35%・55%。分岐点から過電流遮断器までの距離
この記事でわかること
- 原則は 3m 以下。Iw が Ib の 55% 以上なら制限なし、8m 以下かつ 35% 以上なら 8m 以下
- 比べるのは負荷ではなく、分岐電線の Iw と幹線側遮断器の Ib
- 設置位置は第149条、動作特性は第33条
こんな人におすすめ
- 第二種の筆記で、3m と 8m の分け方を確認したい
- 電技解釈第149条を開く前に、距離の条件だけ見たい
- 配線の施工で、分岐点から遮断器までの距離を確認したい
はじめに
低圧の分岐回路では、幹線から枝を出すと、その枝用の過電流遮断器が要ります。分岐点から置くまでの電線は、幹線側の遮断器だけで守られています。
原則が 3m 以下なのは、枝用の遮断器を置くのに足りる長さで、この間で短絡が起きる可能性は実態上ない、と考えているからです。
枝の許容電流 Iw が、幹線側遮断器の定格 Ib の 55% 以上あれば、幹線側でその区間を十分守れます。このときは距離の制限がありません。
長さが 8m 以下で、Iw が Ib の 35% 以上のときは、短絡の機会が少なく、起きても電線に著しい温度上昇はない、として 8m まで置けます。
第二種電気工事士の筆記でも、同じ条件が 3m 以下・8m 以下・制限なし で並びます。
この記事では、電技解釈第149条のうち、分岐点から過電流遮断器までの距離だけを扱います。第149条を開く前でも、配線の施工で位置を確認するときでも、条件だけ先に見られます。
分岐点からの距離
想定シーン: 幹線から分岐した低圧回路に、過電流遮断器を置く位置を決める
起点は分岐点です。電技解釈第149条第1項第一号は、低圧幹線との分岐点から電線の長さが 3m 以下の箇所に過電流遮断器を施設することを原則とします。
電技解釈の解説では、通常この程度で足り、その区間の保護は幹線側の遮断器で足りる、としています。
ただし、分岐する電線が十分太いときは、3m を超える箇所に施設できます。その電線は、幹線を保護する過電流遮断器で守ります。

| 条件 | 距離 |
|---|---|
| 原則 | 3m 以下 |
| Iw が Ib の 55% 以上 | 長さの制限なし |
| 長さ 8m 以下、かつ Iw が Ib の 35% 以上 | 8m まで可 |
※比べるのは負荷ではなく、分岐する電線の許容電流 Iw と、幹線を保護する過電流遮断器の定格電流 Ib です。
計算してみよう
想定シーン: 分岐点から 7m の位置に過電流遮断器を置く。幹線側が 50A のとき、分岐電線の許容電流の最小値はいくらでしょうか?
この計算で使う記号
- Ib
- 幹線に施設する過電流遮断器の定格電流。この問題では 50A です。
- Iw
- 分岐点からの電線の許容電流。この問題で求める値です。
まず、分岐点からの長さを確認する
分岐点から過電流遮断器までの電線は 7m です。原則は 3m 以下の位置に置くことなので、7m は原則のままでは置けません。
3m を超えて置けるのは、次の2つの例外です。
- 電線が太いとき(許容電流が幹線側の 55% 以上)。このときは距離の制限がありません。
- 長さが 8m 以下で、許容電流が幹線側の 35% 以上のとき。このときは 8m まで置けます。
この問題の 7m は 8m 以下なので、2つ目の例外を使います。電技解釈では、この例外を「ロ」と書いています。
8m 以下の例外に当てはめる
8m 以下の例外は、長さと太さの両方を満たす必要があります。長さは 7m で 8m 以下なので足りています。あとは、分岐する電線の許容電流が、幹線側の過電流遮断器の定格電流の 35% 以上かどうかです。
必要な許容電流の最小値を計算する
幹線側の過電流遮断器の定格電流は 50A です。8m 以下の例外なので、掛ける割合は 35%(0.35)です。
必要な許容電流の最小 = 幹線側の定格電流 × 0.35
50 × 0.35 = 17.5A
この位置に過電流遮断器を施設するには、分岐する電線の許容電流が 17.5A 以上必要です。
| 分岐点からの長さ | 30A | 40A | 50A | 60A |
|---|---|---|---|---|
| 3m 以下 | 条件なし | 条件なし | 条件なし | 条件なし |
| 3m を超え 8m 以下 | 10.5A | 14A | 17.5A | 21A |
| 8m を超える | 16.5A | 22A | 27.5A | 33A |
※列のアンペアは、幹線側の過電流遮断器の定格電流です。色の列がこの問題(50A)です。3m 以下は、許容電流の割合条件がありません。
よくある勘違い
次の3つは筆記試験でも現場施工でもよく間違えてしまう注意ポイントです。
負荷の大きさで選ばない
分岐する電線の太さや、過電流遮断器を置く位置は、エアコンのワット数やコンセントの数では決まりません。
比べるのは、分岐する電線の許容電流 Iw と、幹線に施設する過電流遮断器の定格電流 Ib です。負荷が小さくても、Iw が足りなければ 3m を超えて置けません。
35% だけでは、距離の制限は外れない
距離の制限がなくなるのは、許容電流が幹線側の定格電流の 55% 以上のときです。
35% は、長さが 8m 以下のときとセットです。分岐点から 10m の位置に置くなら、35% では足りず、55% 以上が必要です。
距離の問いに、2P2E を選ばない
距離の問いは、過電流遮断器を分岐点からどれだけ離して施設してよいかを聞いています。答えの並びは 3m 以下、8m 以下、制限なし、です。
2P2E は、配線用遮断器の極数と素子数です。接地極付きはコンセントの形です。どちらも、置く位置の条件ではありません。
動作特性について
この記事で扱っているのは、過電流遮断器を分岐点からどれだけ離して施設してよいか、という設置位置です。遮断器がどれくらいの電流・時間で切れるかは、電技解釈第33条で扱われます。
過電流遮断器が、定格電流の何倍の電流で、何分以内に切れるかは、動作特性といいます。
| 内容 | 該当条 | 筆記試験内容 |
|---|---|---|
| 分岐点からどれだけ離して施設してよいか | 第149条 | 3m 以下・8m 以下・制限なし |
| どれくらいの電流・時間で切れるか | 第33条 | 動作特性(何倍で何分以内か) |
よくある質問
Q分岐点から過電流遮断器までは、何mまで離してよい?
電技解釈第149条では、原則は 3m 以下です。分岐する電線の許容電流が、幹線側遮断器の定格電流の 55% 以上なら距離の制限はありません。長さ 8m 以下で 35% 以上なら、8m まで置けます。
Q55% や 35% は、負荷と比べる?
負荷ではありません。比べるのは、分岐する電線の許容電流 Iw と、幹線に施設する過電流遮断器の定格電流 Ib です。
Q分岐点から 7m の位置に過電流遮断器を置くとき、Iw の最小は?
7m は 3m を超え 8m 以下なので、分岐する電線の許容電流 Iw は、幹線側遮断器の定格電流 Ib の 35% 以上です。Ib が 50A なら 17.5A です。8m を超える位置なら 55% 以上です。
QIw と Ib が分かっているとき、置ける最大の長さは?
Iw を Ib で割った割合で決まります。55% 以上なら長さの制限はありません。35% 以上 55% 未満なら 8m 以下、35% 未満なら原則どおり 3m 以下です。たとえば許容電流 34A、幹線側 100A なら 34% なので、置ける最大は 3m です。
おわりに
分岐点から過電流遮断器までの距離の分け方、いかがでしたか。
原則は 3m 以下です。分岐する電線の許容電流が、幹線側遮断器の定格電流の 55% 以上なら距離の制限はありません。長さ 8m 以下で 35% 以上なら、8m まで置けます。比べるのは負荷ではなく、分岐する電線の許容電流 Iw と、幹線に施設する過電流遮断器の定格電流 Ib です。
まずは、問題文の「分岐点から何m」を見て、3m 以下・8m 以下・制限なしのどれに該当するか、計算すると理解が深まります。
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