電気設備の技術基準の解釈の解説

第153条(電動機の過負荷保護装置の施設)

経済産業省の一次資料を確認(新しいタブで開く)該当頁の目安 p.212–213

〔解 説〕 電動機の分岐回路に設けられた過電流遮断器は、主として分岐回路の電線の短絡保護のための装置であり、
また、電動機の始動電流に対して余裕を必要とするので、その定格又は整定値は、電動機の過負荷保護又は欠相による過電流には不適当である。
本条は、電動機に対し過負荷保護装置を設ける規定であり、長時間過負荷又は欠相による過電流が通じたままで運転されることにより電動機が過熱し、火災の原因となるのを防止することを目的としている。保護装置としては過電流の状態を短時間かつ自動的に阻止する装置又はこれを警報する装置が要求されるが、過電流による異常の検出は電流又は電動機巻線の温度等によって行えばよい。一般にはこの装置として、電動機の巻線の過負荷を入力電力によって検出する誘導形及びサーマル形と、巻線の過負荷による過熱を検出するバイメタル形及びサーミスタ形とがあり、これらのリレーと電磁接触器又は警報器とを組合せたものが使用される。また、遅動(タイムラグ)特性を有する電動機用ヒューズ又は電動機用配線用遮断器が汎用の電動機に使用されるが、大形ファン、遠心分離機のように始動電流が大きく、始動電流の持続時間の長い電動機には適さない。
この場合の過電流とは、電動機を焼損させるような過電流ということであって短時間の過電流は考える必要がない。
したがって、このような過電流の状態は電流だけでなく、巻線の温度によっても検出できる。この過電流が電動機の全負荷電流の何倍であるかということは、大形ファンや遠心分離機のように遅延特性が必要な場合、冷凍機や水中ポンプのように速動特性が必要な場合、始動停止を頻繁に繰り返す間欠使用の電動機の場合など、電動機及び負荷の種類によって始動電流、始動時間がそれぞれ異なり、それに適応した過負荷電流又は温度上昇を検出するリレーの選択が必要である。
なお、ここで注意しなければならないことは、過負荷保護装置として電磁開閉器(電磁接触器とサーマルリレーを組み合わせたもの)を使用する場合、電磁開閉器の遮断閉路容量が、巻線形誘導電動機用のもので定格容量の5倍、直入かご形誘導電動機用のもので10倍程度しかなく、短絡などの事故に対して十分な過電流耐量を有しないので、分岐回路に設置する過電流遮断器との保護協調を十分保つ必要がある(→第二号解説)。
このような過負荷保護装置を設けなくてよい場合について第一号から第四号までに規定されている。
第一号は、取扱者が常時電動機の近くにいて、電動機に異常が発生すれば視覚又は臭覚によって直ちに適正な処置がとれる場合である。この場合の「常時取扱者が監視できる」とは、例えば電動機に異常が生じて大事に至る前に必ず発見できる程度の間隔をもって巡視している場合なども含まれると考えてよい。
第二号は、電動機の負荷が一定限度を超えるときに機械的に電動機の回転子が滑って、電動機が過負荷に達せず、かつ、過電流遮断器にヒューズを使用せず容易に欠相するおそれがないような場合である。
第三号は、単相電動機の場合は欠相運転の心配がなく、また、分岐回路が15A(配線用遮断器の場合は、20A)以下であれば、電動機を十分保護できるためである。例えば、家庭用電気機械器具等の電動機がこれに該当する。
第四号は、省令第65条において除外されているものである。

公式資料該当頁: p.212–213

令和7年11月20日改正

出典: 「電気設備の技術基準の解釈の解説」(経済産業省)を加工して作成

※ 本ページは公式資料そのものではありません。