電気設備の技術基準の解釈の解説
第120条(地中電線路の施設)
経済産業省の一次資料を確認(新しいタブで開く)該当頁の目安 p.167–171
〔解 説〕 本条は、地中電線路の施設方式及びその要件を示したものである。
第1項
第1項は、使用する電線及び施設方式を規定している。電線は、第9条、第10条又は第11条の基準に適合するケーブルとし、施設方式は、管路式、暗きょ式又は直接埋設式によることとしている。
管路式(→解説120.1図、解説120.2図)は、H4基準で定めたもので、H4基準以前における管路引入れ式を含め、管を用いるものは全て管路式とした。なお、配電線等の地中化のために施設されている電線共同溝(C.C.BOXとも称する。解説120.2図)については、管路式に含まれ、特殊部(電線を宅地内等へ分岐するため、電線を接続するため又は地上機器を設置するため等に設けるもの)については地中箱として取り扱うこととしている。
暗きょ式(→解説120.3図)は、内部に地中電線を施設できる空間を有する構造物による方式をいい、共同溝などが一般的である。また、配電線等の地中化のために施設されているキャブ(CAB:Cable Boxの略称、電力、通信等のケーブルを収納するために道路下に設けるふた掛け式のU字構造物)(→解説120.3図右)は、ふた自体が道路構造物の一部で、ふた表面を地表と解釈することが合理的であることから、暗きょ式の中に含めて取り扱うこととしている。
直接埋設式(→解説120.4図)は、原則として地中電線に堅ろうなトラフ等の防護を施し、一定の深さに埋設する方式をいう。
解説120.1図 解説120.2図
解説120.3図
解説120.4図
第2項
第2項は、管路式(→解説120.1図、解説120.2図)により施設する場合の管の要件を示している。ここで、管とは管材料そのものを示すものではなく、管材料及び管材料を覆うコンクリート等、管路設備を構成する構造物全体を指している。
第一号の地中の管路に加わる圧力は、管路の上部の土の自重のほか車両等の荷重によるものである。車両の載荷荷重は地表における集中荷重としては大きいが、管路に加わる圧力としては、埋設深さが深くなるに従って分散され、低減するものである。なお、つるはしや掘削機械の刃が直接打ち込まれる不測の事態に対し、管に万全の強度を求めることは、物理的に又は経済的に極めて現実的ではないため、要求していない。
第二号では、電力ケーブルが埋設されていることについて掘削作業者の注意を喚起する措置として、高圧又は特別高圧の地中電線路には、埋設表示を施す必要があることを示している。ただし、需要場所に施設する長さが15m以下の高圧地中電線路については、例外として除外した。埋設表示は、「物件の名称」、「管理者名」及び「電圧」を概ね2mの間隔で表示することを目安として示しているが、他人が容易に立ち入らないような場所まで表示を施す必要性はなく、また、表示しなくても電線路の位置を認知できるような場合にも不要である。表示事項のうち、「物件の名称」及び「電圧」は、掘削作業者の注意を喚起するためであり、厳密さは要らないので「高電圧ケーブル」と集約したものでよい。集約しない場合の「電圧」は、公称電圧でも、省令第2条第1項の電圧の区分(「高圧」、「特別高圧」)でもよい。
H4基準で、需要場所においては、水管、ガス管等他の埋設物に対して電力ケーブルであることが判別できればよいので、「電圧」表示のみで足りると考え、管理者名、物件の名称は要らないことにした(→第二号イかっこ書)。この場合でも「高電圧ケーブル」と表示するとわかりやすいと考えられる。また、埋設年が表示事項と なっていたが、保安記録等で管理すべき事項であるので、これを削除した。表示する際の具体的な方法としては、管路の胴締部に表示する方法、表示事項を印刷したテープを地表と管路の間に埋設する方法、標石を地表に設置する方法又は位置表示を含んだ標柱を近傍に掲げる方法等があり、詳細については、日本電気技術規格委員会規格 JESC E0004(2017)「配電規程(低圧及び高圧)」((一社)日本電気協会電気技術規程 JEAC 7001-2017)又はJESC E0006(2013)「地中送電規程」((一社)日本電気協会電気技術規程 JEAC 6021-2013)等を参照されたい。
H4基準以前の規定においては、管路引入れ式の管について「堅ろうで車両その他の重量物の圧力に耐え、」としていたが、「これに加わる車両その他の重量物の圧力に耐える」とし、同義なのでH4基準において「堅ろうで」を削除した。また、不可欠な要件でないため「水が浸入し難い管」を削除した。
第3項
第3項第一号は、暗きょ式(→解説120.3図)により施設する場合の暗きょの要件を示している。暗きょには、管路式と同様、車両等の重量物による圧力に耐えるものを使用する必要がある。H2基準以前の規定においては、暗きょについて「堅ろうで車両その他の重量物の圧力に耐え、」としていたが、「これに加わる車両その他の重量物の圧力に耐える」
とし、同義なので「堅ろうで」を削除した。また、キャブでは構造上避けられず、不可欠な要件でないため「水が浸入し難い暗きょ」を削除した。
第二号は、H4基準で追加したものであり、昭和59年11月に洞道内電話ケーブル火災(東京都世田谷区)が発生したことに鑑み、耐燃措置又は自動消火設備の設置を義務付けている。なお、管路式や直接埋設式では内部で人が作業することがないことから対策を要しない。
イは、耐燃措置について示している。電線の被覆、延焼防止テープ、シート、塗料等、管、トラフに不燃性又は自消性のある難燃性を求めたものであり、いずれかの措置を選択できる。また、この中の不燃性又は自消性のある難燃性は、④通達の内容であり、第125条の自消性のある難燃性とは異なるものである。なお、建築基準法第2条第九号の不燃材料又はこれと同等以上の性能を有するものとは、コンクリート、れんが、瓦、鉄鋼、アルミニウム、ガラス、モルタル等である。(イ)(2)は、R7解釈より、民間規格評価機関として日本電気技術規格委員会に承認された規格リストと関連づけられ、当該機関の公開ページに掲載されている。従前は電気用品の技術上の基準を定める省令の解釈(20130605商局第3号)別表第一附表第二十一 (耐燃性試験)を引用していたが、令和6年5月31日に電気用品の技術上の基準を定める省令の解釈の改正により、同解釈別表第十二が引用する日本産業規格JIS C 3010(2019)「電線及び電気温床線の安全に関する要求事項」の附属書CM(耐燃性)に移行したため、内容の妥当性を確認した後、JIS C 3010(2019)の附属書CMと関連付けを行った。H18解釈では、地中電線を収める管又はトラフの「自消性のある難燃性」試験方法の1つに日本電気技術規格委員会規格JESC E7003(2005)を追加した。R4解釈より、民間規格評価機関として日本電気技術規格委員会に承認された規格リストと関連づけられ、当該機関の公開ページにて掲載されている。
ロの自動消火設備の例としては、散水式(スプリンクラー式)のものが考えられる。
第4項
第4項は、直接埋設式(→解説120.4図)により施設する場合の要件を示している。
ただし書きは、埋設深さの浅層化が可能であることが確認されたため、R4解釈より追加した規定である。ここで、当該規格の適用にあたり、一般用電気工作物又は小規模事業用電気工作物が設置された場所及び私道(公道以外の道路)(→解説120.5図)には施設できないこととしている。これらの場所は、一般的に電気の知識を有していない者が設置者となることが想定されること、敷地外における私道については所有者が複数にわたる場合も考えられることから、安全性を考慮し適用できないこととした。なお、事業用電気工作物(小規模事業用電気工作物を除く。)が設置された構内における私道については、自主保安の原則のもと、電気主任技術者の監督下で保安確保が図られるべきであり、当該規格の適用を妨げるものではない。
解説120.5図
第一号は、地中電線がこれに加わる車両等の荷重による圧力に耐えるための要件であって、必要な埋設深さとして、車両その他の重量物の圧力を受けるおそれがある場所では1.2m以上、その他の場所では0.6m以上としている。しかし、使用するケーブルの種類、施設条件によっては、これらの埋設深さによらずとも地中電線がこれに加わる車両等の荷重による圧力に耐えることが可能であることから、これも併記した。
第二号は、地中電線を道路工事等に伴うつるはし、掘削機械等による衝撃から防護することを期待し、その方法を示したものである。
イの「堅ろうなトラフその他の防護物」とは、解説120.4図又は解説120.6図に示すような形状、構造のものをいう。
ロは、低圧又は高圧の地中電線を、重量物の圧力がない、すなわち、歩道又は需要家構内等の場所で、「堅ろうな板又はとい」で地中電線の上部を覆った場合である。板又はといは、つるはし程度のものによる損傷防止が目的である(→解説120.6図 (a))。
ハは、低圧又は高圧の地中電線として、第6項に示すがい装(鎧装)を有するケーブルを使用する場合は、そのまま地中に埋設できることを示している(→解説120.6図(b)左)。特別高圧の地中電線として使用する場合には、「堅ろうな板又はとい」で、地中電線の上部と側部を覆うこととしている(→解説120.6図(b)右)。
ニは、パイプ型圧力ケーブルを地中電線として使用する場合には、「堅ろうな板又はとい」で、地中電線の上部を覆うこととしている(→解説120.6図(c))。パイプ型圧力ケーブルは、内圧及び外部からの機械力に対し十分な強度を有する相当な肉厚の鋼管に、第122条に示す加圧装置で、絶縁油又は絶縁ガスを充てん加圧する構造のものであり、規格は特に定めていない(→解説120.7図)。建設費が高いので一般に低高圧のものはない。
第三号の表示方法については、第2項第二号の解説を参照されたい。
解説120.6図
解説120.7図
第5項
第5項は、地中電線路の冷却系を直接冷却方式により施設する場合の要件を示している。送電容量を増加させるために、ケーブルを収める管内に冷却水を循環させ、発熱を連続的に除去する方式が採用されている。関連する管及び設備については、水圧に耐え、かつ、電線路から漏水しないように施設することとしている。
第6項
第6項は、第4項第二号イ及びハに示した堅ろうながい装の性能を規定している。ここで「がい装」とは、ケーブルを構成する「外装」ではなく、ケーブルの外装の上を覆う「鎧装」である。
第一号は、がい装に金属管を使用する場合の強度に関する性能を規定している。
第二号は、がい装に金属管を使用せず、金属帯を使用する場合の強度に関する性能を規定している。
第三号は、ケーブルのがい装が金属製である場合、当該金属部分の防食を規定している。
第四号は、がい装に金属以外の管を使用する場合の性能を規定している。イでは管の内径を、ロでは圧縮外力に対する強度を示している。
第7項
第7項は、第6項に規定する性能を満足する規格を示している。第一号では、「鋼帯重ね巻きがい装」の規格を示している(→解説120.8図)。
解説120.8図
第二号は、「インターロック型鋼帯がい装」の規格を示したものである(→解説120.9図)。インターロックがい装ケーブルはS47告示で追加されたものである。
解説120.9図
第三号は、「波付鋼管がい装」の規格を示したものである(→解説120.10図)。波付鋼管がい装ケーブルは、S43告示で追加されたものである。
解説120.10図
第四号は、第6項第四号の性能を満足するがい装を有するケーブルの例として、「CDケーブル」に関する構造が第10条第4項によることを示している。これを満足するCDケーブルは、地中電線路の上部を20tトラックが通過しても十分耐えうる堅ろうなものであり、そのまま埋設しても安全性に支障がないことが、実験の結果から判明している。