電気設備の技術基準の解釈の解説

第190条(アーク溶接装置の施設)

経済産業省の一次資料を確認(新しいタブで開く)該当頁の目安 p.274–275

第1項

〔解 説〕 電気溶接には、抵抗溶接とアーク溶接があり、電流も交流の場合と直流の場合があり、構造的にも作業者が溶接棒ホルダーを持って行う可搬型のものと、溶接装置を固定して被溶接材を移動させる固定型とがあるが、本条は、建築現場や造船所に多く、使用状態も乱雑となりがちな可搬型のアーク溶接装置(交流だけでなく、直流のものも含む。)について規定している。したがって、自動車工場等に多い点溶接機はその対象外である。
このアーク溶接装置は、電源部となるアーク溶接機(交流の場合は、本条の溶接変圧器に該当する。)と、溶接棒(本条の溶接電極に相当する。)を保持する溶接棒ホルダー、アーク溶接機と溶接棒とを結ぶ電線及びアーク溶接機と被溶接材とを結ぶ電路から構成される。このうち溶接棒ホルダーについては、第三者との関係がなく、取扱者だけに関係する特殊なものであり、かつ、労働安全衛生規則で規制されているので、本条では触れていない。本条では、途中の電線における感電及び火災の予防という観点からのみ規定している。
溶接変圧器はアークの特性から無負荷電圧は85V以上で、負荷電圧は30V程度が普通である。容量の大きいものでは無負荷電圧が100Vのものもあるようであるが、溶接棒ホルダーでの感電事故は無負荷時に起こるのであって、充電部分が露出している関係上無負荷電圧が低いことが望ましい。また、溶接変圧器の1次側電圧が高いと混触による危険もあるので、第二号で溶接変圧器を接続する電路の対地電圧は300V以下とすることを規定している。さらに、溶接変圧器に単巻変圧器を使用することは、1次側電路の結線間違い等で危険を生じること、及び1次側のB種接地工事の接地点と被溶接材等の接地点とを経て思わぬ所に電流が流れ込むことがあることから、第一号で絶縁変圧器とすることを規定している。
第三号は、点検、事故時等に容易に電路を区分できるように設けられたものである。
第四号は、溶接変圧器から溶接棒ホルダーに至る電路と溶接変圧器から被溶接材に至る電路について規定している(→解説190.1図)。
「溶接変圧器から溶接棒ホルダーに至る電線」には、溶接用ケーブル又はキャブタイヤケーブルを使用することとあるが、作業上の状態から1種キャブタイヤケーブル、ビニルキャブタイヤケーブル及び耐燃性ポリオレフィンキャブタイヤケーブル以外のものを使用することとしている。なお、溶接用ケーブルは、100mm2以下のものは電気用品安全法の対象となっている。100mm2を超えるものは第2項に適合するものを使用すればよい。
「溶接変圧器から被溶接材に至る電路」は、一般に溶接変圧器と溶接棒ホルダーを結ぶ電線に対しては注意を払うが、帰路となる溶接変圧器と被溶接材との間の電路については注意を怠りがちとなるため思わぬ所で火花が出る又は過熱するなどのことが起こる。したがって、帰路となる電路においても、溶接用ケーブル又はキャブタイヤケーブル(1種キャブタイヤケーブル、ビニルキャブタイヤケーブル又は耐燃性ポリオレフィンキャブタイヤケーブルを含む。)を使用することとしている。しかし、帰路となる電路が電気的に完全に、かつ、堅ろうに接続された鉄骨等(鉄筋や水管、空気ダクトなどは電気的に接続されていない場合が多いので認められない。)を利用すれば、必ずしも溶接用ケーブル及びキャブタイヤケーブルを使用することを要しない。
解説190.1図
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第五号は、被溶接材又はこれを保持する装置(治具、定盤等)の金属体に、D種接地工事を施すこととしている。これは、被溶接材、治具、定盤等は金属体であるからこれらを大地と同電位とし、帰路の電路を接地側電路とすることを示している。この接地が不完全であると、感電等の危険をもたらすことから、十分な注意が必要である。溶接変圧器の2次側の近くに接地を施すことは、分流を促すことにもなるので、被溶接材に近い箇所で接地工事を施すことが望ましい。

第2項

第2項は、溶接用ケーブルの規格について規定している。溶接ケーブルの絶縁体及び外装における引張強度及び伸びの試験は、R7解釈より、民間規格評価機関として日本電気技術規格委員会に承認された規格リストと関連づけられ、当該機関の公開ページに掲載されている。詳細は第二号イの解説を参照されたい。

公式資料該当頁: p.274–275

令和7年11月20日改正

出典: 「電気設備の技術基準の解釈の解説」(経済産業省)を加工して作成

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