電気設備の技術基準の解釈の解説

第174条(高圧又は特別高圧の接触電線の施設)

経済産業省の一次資料を確認(新しいタブで開く)該当頁の目安 p.242

第1項

〔解 説〕 本条は、製鉄工場で使用する大型移動クレーン等における高圧接触電線の施設方法を示したものである。
第1項で、点検できない隠ぺい場所を禁止しているのは、裸電線であるので常時点検を必要とするからである。
第二号は、低圧接触電線の場合(→)と異なり、危険度が高いので、取扱者でも容易に接近できないように高所に施設し又は周囲にさく等を巡らすなどの措置について規定している。
第三号は、接触電線が容易に断線するおそれがないように引張強さが27.8kN(2,835㎏f)以上のもの又は直径10mm(78.54mm2)以上の硬銅線であって、断面積70mm2以上のたわみ難いものを使用することとしている。
第四号では、低圧接触電線のように、電線を両端で耐張がいし装置により引き留め、途中は単に電線をがいしの上に載せているだけの方法を禁止している。
第五号は、接触電線が10~12mm程度の銅丸棒だけでは支持点間の距離を1~2mの間隔にしないと集電装置の移動により揺動して、前号の規定に適合しなくなるが、接触電線に形鋼と組合せたもの又は断面積の大きなものを使用する場合があるので建物の構造等を考慮して最大の距離を6mとしている。
第六号及び第七号は、集電装置の移動の際に生じるアークにより、短絡又は地絡を生じない最低の距離を定めている。
第九号は、集電装置と接触電線との間で生じる放電により、無線設備の機能に障害を与えないことを規定している。

第2項

第2項は、接触電線と他の電線、弱電流電線等又は管若しくはこれらに類するものとの離隔距離を規定している。一般には、これらのものが接近する機会は少ないが、やむを得ず接近する場合は、60cm以上の距離を保持することとしている。しかし、低圧接触電線やクレーン制御用等の弱電流電線が並行に施設される場合もあるので、このような場合には隔壁を設ければ、30cmまで接近することができる。

第3項

第3項第一号は、高圧接触電線に電気を供給する電路には、保守、点検上必要であるので、専用の開閉器及び過電流遮断器を施設することとしている。開閉器は接触電線に近い箇所で操作しやすいように(遠隔操作でもよい。)施設しておく必要がある。
第二号は、前号の開閉器又は遮断器に地絡リレーを付加して、地絡事故が発生したときに遮断すべきことを規定している。しかし、地絡事故が生じたとき、直ちに電源を遮断して、移動クレーンを停止すると、移動クレーンの下の作業員の安全に支障をきたす場合もあるので、接触電線の電源側に絶縁変圧器(1次電圧が特別高圧であってもよい。)を設置して、接触電線を含む電路の長さを短くし、1線地絡電流を小さくして、地絡事故時の事故点の電位上昇を低く抑制できるようにすれば、警報装置でもよいことを示している。

第4項

第4項は、移動クレーンを施設して建物の鉄骨と大地との間の電気抵抗が2Ω以下を常に保っている場合は、により、移動クレーン内の電気機器の外箱の接地は、そのクレーンのレールを通じて、容易に施すことができる。しかし、建物の鉄骨と大地との間の電気抵抗が2Ωを超える場合は、高圧接触電線と同様に裸導体をがいし引き工事により施設して、この裸導体と接地極とを接続するとともに、集電装置を通じて移動クレーンをこの裸導体に接触させて、電気的に接地回路を形成することを認めている。

第5項

第5項は、集電装置と接触電線との間で生じる放電により、爆発又は火災の危険を与えることから、これらの場所には施設しないこととしている。
なお、省令第73条において、「粉じんにより絶縁性能等が劣化することによる危険のある場所(→省令第68条)」、「可燃性のガス等により爆発する危険のある場所(→省令第69条)」、「腐食性のガス等により絶縁性能等が劣化することによる危険のある場所(→省令第70条)」では、安全性を確保することが困難となるため、これらの場所に施設することを禁止している。

第6項

第6項は、特別高圧の接触電線の施設を禁止している。これは、電気使用場所では電気知識に乏しい一般の人が電気設備に接する機会が多く危険であるので、電気使用機械器具に直接電気を供給する特別高圧を禁止する趣旨である。

公式資料該当頁: p.242

令和7年11月20日改正

出典: 「電気設備の技術基準の解釈の解説」(経済産業省)を加工して作成

※ 本ページは公式資料そのものではありません。