電気設備の技術基準の解釈の解説

第199条(電気防食施設)

経済産業省の一次資料を確認(新しいタブで開く)該当頁の目安 p.290–292

第1項

〔解 説〕 地中又は水中に施設される金属体の腐食現象は、主として金属体の表面に形成される局部電池による電気化学的腐食又は外部からの迷走電流が金属面から流出するために生じる電食作用によるものであるが、これを防止する方法の一つとして、金属面から流出する腐食電流と反対方向にこれを打ち消すだけの電流を人為的に継続して流し、腐食電流を消滅させる電気防食法があり、ガス管、水道管、ケーブル等の金属製の埋設管路又は港湾における鋼矢板壁、桟橋等に用いられている。
電気防食には、被防食体よりも低電位の金属(一般に亜鉛、マグネシウム等が用いられる。)を陽極とし、これを地中又は水中において被防食体に直接取り付け、又は導線で接続する流電陽極方式と、地中又は水中に電極を設置し、外部の直流電源を使用して電極と被防食体との間に防食電流を通ずる外部電源方式とがあるが、流電陽極方式のものは危険のおそれがないので、本条では外部電源方式のものについてのみ規定している。
なお、冷却水等を使用する機械器具(熱交換器、冷却器等で、特に多量の海水を使用するもの)等はそれ自体を地中又は水中に施設するものでなくてもその腐食を防止するために電気防食施設を使用することがあるが、この場合には、本条の規定により施設することとなる。
解説199.1図
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電気防食施設の電路は、配線のほか、被防食体及び大地(地中又は水中)で構成されているので、感電による傷害を防止するため、第1項第一号イでは、電気防食回路の使用電圧を直流60V以下としている。
ロでは、電気防食回路の電線を架空で施設する場合について示している。この場合は、概ね低圧架空電線と同様であると考えられるが、電気防食回路の使用電圧はイで直流60V以下に制限されており、危険度も低いので低圧架空電線に比べ緩和している面もある。すなわち、電気防食回路の電線を架空ケーブル工事による場合の工事方法(→)、電線の地表上の高さ(→)、高圧架空電線と同一支持物に施設する場合の工事方法(→)及び他の工作物、植物等の接近、交差の場合の工事方法(→から)については低圧架空電線の規定を準用しているが、電線については低圧架空引込線のうち径間が15m以下の部分(→)と同様としている。
架空弱電流電線等と同一支持物に施設する場合の工事方法については、原則として低圧架空電線と同様であるが、電線に600Vビニル絶縁電線又はケーブルを使用する場合は、離隔距離を緩和している。
また、低圧架空電線と同一支持物に施設する場合は、両方とも同じ低圧ではあるが、低圧電線路の電圧が電気防食回路に侵入すれば危険であるので、特に(ハ)に条件を示している。なお、電気防食回路の電線を屋側、屋内、トンネル内又は坑道内に施設する場合は、当然低圧屋側電線路の施設(→)、低圧屋内配線の施設(→から)、トンネル、坑道等の場所の施設(→)が適用される。
ハ及びニでは、電気防食回路の電線を地中に施設する場合について規定している。
ホでは、電気防食回路の電線を水中に施設する場合について示しているが、電気防食施設の場合は、一般の水底電線(→)の場合とは施設場所、施設条件も異なるので、比較的簡易な工事方法としている。すなわち、電線にハ(ロ)又は(ハ)で規定するものを使用し、これの損傷を防止するために合成樹脂管又は金属管に収めて施設すればよいこととしている。ただし、電線を被防食体の側面の損傷を受けるおそれのない場所に沿わせて施設する場合又は水底で船舶の投錨等による損傷を受けるおそれがない場所に施設する場合には、防護装置を省略することができる。ここで、防護装置としては本来絶縁性のものを使用すべきで、金属管のような導電性のものを使用することは好ましくないが、やむを得ず使用する場合には、金属自体の防食についても十分考慮する必要がある。
第二号イでは、陽極は直接これに人が接触すると危険であるので、地面上に露出して施設しないことを規定している。
陽極を地中に施設する場合に、その埋設深さを0.75m以上としているのは、陽極を埋設することにより地表面に現れる電位傾度を危険のない程度に小さくするためで、A種又はB種接地工事の接地極の埋設深さに準じたものである(→)。
陽極の接地抵抗値を減少させるために陽極の周囲にコークス粒、炭素末、塩類などを配合した導電物質を詰める場合があるが、この導電物質の電位は陽極の電位とほぼ同じであるので、陽極と同じように0.75m以上の深さに埋設することとなる。
ロでは、水中に施設する場合にも、人が触れるおそれがある場所にこれを施設しないことを規定しており、陽極を水中に施設する場合は、陽極と陽極から1mの範囲内にある任意の点との間の電位差を10V以下とし、人又は家畜に危険を及ぼさないようにしなければならない。この場合、電位差は第三号に規定する電位傾度よりも大きくなっている。これは、電圧降下が陽極付近において最も大きくなること及び経済的な問題を考慮し、施設場所に制限を加えることにより電位傾度が大きくなることを認めているものである。
第三号では、電気防食施設を使用することによって地表面又は水中に現れる電位傾度を、5V/m以下とすることとしている。この数値は、動物に対する電撃、人体に対する電撃等の文献に示された値に基づいて一応危険のない限度としたもので、電気鉄道のレールと大地間の電圧における危険電圧よりかなり低いものとなっているが、電気防食施設の場合は常時連続して、地表面又は水中に電位が生じていることを考慮している。
第四号では、電気防食用電源装置について規定しているが、電気防食回路に高電圧が侵入すると大きな被害を生じることが考えられるので、変圧器には、単巻変圧器を使用せず、巻線の絶縁についても条件を加え、更に電源装置に電気を供給する電路の使用電圧も低圧に限っている。

第2項

第2項では、電気防食施設の使用によって、他の工作物に与える障害防止について規定している。
電気防食施設を使用する際には、被防食体に隣接する他の金属構造物に防食電流の一部が貫流して干渉による電食障害を生じる場合がある(このことは、隣接構造物の電位の変化を測定すれば判明し、その危険の程度を判定することもできる。)。干渉による障害は、適当な箇所で適当な電気抵抗値を有する電線により隣接構造物と被防食体とを接続する等の処置を施すことにより防止することができるが、これらの処置は、被防食体及び隣接構造物におけるそれぞれの固有の条件及び相互関係並びに土壌又は水の比抵抗等により大きく左右され、具体的に規定することは困難であるので、それぞれの構造物の管理者との間で協議のうえ適切な処置を講じる必要がある。

公式資料該当頁: p.290–292

令和7年11月20日改正

出典: 「電気設備の技術基準の解釈の解説」(経済産業省)を加工して作成

※ 本ページは公式資料そのものではありません。