電気設備の技術基準の解釈の解説
第127条(水上電線路及び水底電線路の施設)
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〔解 説〕 本条は水上電線路及び水底電線路の施設方法について規定している。
第1項
第1項は、港湾、河川等のしゅんせつ工事に使用されるしゅんせつ船、港に停泊する運搬船(船内の保冷器等の電源)又は遊園地の水上遊具施設等に電気を供給する場合のように、架空電線路によることはもちろん、水底電線路によることも困難な場合があるので、水上電線路の施設方法を定めている。したがって、島へ電線路を引く場合又は河川横断等の場合は、これによることは認められない。水上電線路は排泥管を支持する浮き台上に大部分の電線を敷設するもので、これを図示すれば解説127.1図のようになる。
解説127.1図
第一号では、水上電線路は、その構造上他の電線路に比べ安全度が劣るので、その使用電圧を低圧又は高圧としている。
第二号イは、低圧の場合の使用電線について規定しており、第8条の規定によるキャブタイヤケーブルのうち、比較的丈夫な外装を有する3種又は4種のキャブタイヤケーブルとしている。ロは、高圧の場合には耐候性、耐オゾン性等に優れた性能を有するクロロプレン外装又はクロロスルホン化ポリエチレン外装を施した高圧用のキャブタイヤケーブルとしている。
S47基準では、しゅんせつ船用高圧ケーブルを高圧用の2種クロロプレンキャブタイヤケーブルと名称変更するとともに、一般用のキャブタイヤケーブルの一種として扱うことにした。もともとこの規格は、日本電線工業会電線技術委員会標準資料JCS 218「3,500Vドレッジャケーブル」及びJCS 265「6,000Vドレッジャケーブル」を基にして規定している。
ハは、キャブタイヤケーブルの施設方法について規定しているが、絶縁被覆を損傷しないように施設することを条件としているので、詳細については別段定めていない。しかし、実際には浮き台に施設する部分は、次のような方法によって施設することが望ましい。
①浮き台(長さ4~5m)の上に渡り板を固定し、その板上にキャブタイヤケーブルを敷設し、2~3m間隔に麻紐等で緊縛する。この場合、浮き台相互間は0.3m~1mの間隔があるので、その部分はキャブタイヤケーブルに直接張力がかからないように弛みを持たせて、浮き台相互の移動は余裕をもたせる。
②浮き台に長さ1~2mの鉄製又は木製の柱を2.5~4m間隔になるように固定し、ケーブルを架設する。
また、架空電線路の終端柱から浮き台に至るまでの部分(立上り部分を含む。)が外傷を受けやすい場合は、適当な防護装置を施すことが望ましい。すなわち、終端柱が陸上にある場合は、ケーブルの立上り部分を鉄製の管又は合成樹脂製のとい等に収め、終端柱が水中にある場合は、ボート等の接近によって損傷しないように、終端柱の周囲に杭を打ち込む等の方法を講ずることが望ましい。
第三号は、キャブタイヤケーブルに張力がかからないようにするため、電線を施設する浮き台は、相互を十分強固に連結しておくことを定めている。
第四号は、水上電線路と架空電線の接続方法を規定したもので、水上電線路は一般に1~3カ月位の短期間に限って施設されることが多いが、地中電線路から直接この電線路に接続されることはほとんどなく、大部分は、水上電線路の近くまで架空電線路を施設し、これから水上電線路に接続することが多いので、この場合についてのみ規定している。キャブタイヤケーブルの性質上、絶縁被覆内に水が浸入すると劣化が速まるので、架空電線路との接続部分は、水の浸入を避けるように接続することが望ましい。
接続点が水面上にある場合の水面の基面は、海面では満潮位、河川等では平水位とすることが望ましい。なお、水上電線路は使用状態が比較的苛酷であり、また電線の接続部分が弱点となりやすいので、原則として接続点を設けないほうがよいが、やむを得ない場合にはケーブルメーカーに依頼する等十分な注意を払った上で設けることもできる。
第五号は、水上電線路には専用の保安装置を施設することを規定している。水上電線路は、その施設方法からも分かるように地絡事故の発生頻度が高いので、使用電圧が高圧の場合は、地絡発生のときにこの電線路のみを自動遮断できるように施設することを規定している(→第36条)。これらの条件を満足し、かつ、しゅんせつ工事のように絶えず工事場所を変えるのに便利な方法として、開閉器、過電流遮断器、漏電遮断器、避雷器その他計量装置を一括組合せて可搬式の鉄製の箱に収めて一個の装置とする方法が行われている。この方法によれば、しゅんせつ船と一緒にこの装置を運搬し、簡単に据え付けることができる。なお、既設の変電所から簡単に専用線路を施設することができる場合であって、かつ、その変電所の保護装置により選択遮断できるような場合には、本号に規定されている条件を満足するものと判断される。
第2項
第2項は、水底電線路の施設方法を定めたものである。
第一号では、水底電線路は施設する場所によって海底電線路、河底電線路、湖底電線路等に分けられるが、敷設場所の地質、水底の状態、水深、波浪、潮流、流量、艦船の停泊等の関係を十分考慮して、損傷を受けるおそれがない場所に溝を作ってそこに敷設する等危険のないように施設することとしている。
第二号イ及びロは、低高圧水底電線路にあっては、電線には水底ケーブル(→解説127.2図)又は保護層に鋼管を使用したケーブルとして、第120条第6項に規定する波付鋼管がい装ケーブル(→解説120.9図)を使用することとしている。
水底ケーブルには電圧によっていろいろな種類があるが、敷設、引揚等の際に大きな張力を受け、敷設後も外傷を受けるおそれが多いので、一般に地中ケーブルに比べてがい装がはるかに厳重であり、1重鉄線がい装、2重鉄線がい装、鋼帯鉄線がい装等が施される。
解説127.2図
第二号ハでは、ケーブルを堅ろうな管(→第120条)に収めて施設する場合には、地中電線と同様に低圧のものにあっては第9条、高圧のものにあっては第10条の規定に適合するケーブルの使用を認めている。
第二号ニ及びホのがい装金属線において、太さが直径6mmを4.5mmに緩和しているのは、水底ケーブルではなく外装を有する普通のケーブルの上に、更にがい装金属線を施すためである。
ニでは、第9条の低圧ケーブル及び第10条の高圧ケーブルに直径4.5mm以上の鉄線がい装を施したものを水底に埋設して使用する場合は、損傷を受けるおそれがないのでこれを認めている。一般に、埋設の深さは0.5m以上とされている。
ホは、がい装金属線の電食や自然腐食の防止を図っている。一般に海底に埋設できない場所は潮の流れが急で、海底に泥などがない場所であるので、特にがい装金属線が腐食した場合には損傷を受けやすいためである。また、ホの飛行場の誘導路灯などのための水底電線路は、施設される海域には他の船舶が出入りできないように管理され、さらに水深も限られ、潮流等による障害も少ないことなどから、ケーブルの立上り部分の作業事情を考慮して、がい装金属線の太さを2mmとしている。
第三号は、特別高圧水底電線路に係る規定で、特別高圧用の水底ケーブルは、個々に設計されるので、特別に詳細な規格等は設けないで、地中電線路の場合と同様にケーブルを使用することとしている(→第11条)。ただし、水底で使用するケーブルは、海水が導電性であるため金属製の電気的遮へい層を設ける必要がなく、したがって、第11条第二号では、絶縁体にブチルゴム、ポリエチレン又はエチレンプロピレンゴムを用いたときでも、遮へい層のないものの使用を認めている(→第11条解説)。
ケーブルの布設方法については、第120条に規定するような保護管又はトラフに収めることとしている。ただし、6mmの亜鉛めっき鉄線がい装を有するケーブル(水底ケーブルはこれに該当する。)を使用するときは、保護管等の施設については任意となる。
第3項
第3項は、水底ケーブルの規格を定めたものである。ブチルゴム絶縁、ポリエチレン絶縁又はエチレンプロピレンゴム絶縁のものについては、日本電線工業会電線技術委員会標準規格JCS 273(1961)のうち、6mm鉄線がい装のものを基にして規定している。これらはいずれも比較的施設条件のよい水底に使用されることが多く、施設条件によっては、8mm鉄線がい装のもの又は2重鉄線がい装(これらは本項の規格にプラスアルファのものであるので、使用して差し支えない。)のものを使用するなどにより、第2項第一号の規定を満足する必要がある。また、波付鋼管がい装ケーブルは、本来、地中電線用のケーブルであり、張力及び外傷に対して、水底ケーブルより劣っているため、第2項第一号の規定に十分留意し、水底状態が比較的良好で波浪、流速の小さい条件のよい場所に限定して使用することが望ましい。なお、水底ケーブルの絶縁体における引張強度及び伸びの試験は、R7解釈より、民間規格評価機関として日本電気技術規格委員会に承認された規格リストと関連づけられ、当該機関の公開ページに掲載されている。詳細は第5条第2項第二号イの解説を参照されたい。