電気設備の技術基準の解釈の解説

第36条(地絡遮断装置の施設)

経済産業省の一次資料を確認(新しいタブで開く)該当頁の目安 p.55–57

〔解 説〕 本条は、電路の地絡事故による危険防止の見地から、電路の保安装置について示しているほか、高圧又は特別高圧については電力の供給に支障を与えないという観点から保安装置について示している。

第1項

第1項は、低圧の金属製外箱を有する機械器具に接続する電路に、漏電遮断器等の地絡遮断装置を施設することとしている。使用電圧が60Vを超える機械器具を対象としたのは、使用電圧が60V以下の場合は特殊な条件下でなければ、一応安全と見なせる電圧であり、また小勢力回路(→第181条)及び出退表示灯回路(→第182条)に接続する機械器具を本条の適用から除外するためでもある。
金属製外箱を有する機械器具には、漏電による危険を軽減するために、第29条において接地工事を施すことになっているため、本項ただし書の各号で、危険の少ない場合に地絡遮断装置の省略ができることとしている。
なお、労働基準法に基づく労働安全衛生規則において、移動型又は可搬型の電動機械器具の漏電による感電の危害防止を規定しているが、本項ただし書は、それを否定するものではない。
第1項本文の遮断器は、一般的に第149条の分岐回路の開閉器及び過電流遮断器の設置箇所に施設される。ここで、「接続する電路」という表現にしているのは、前述の労働安全衛生規則による遮断装置との施設上の重複を避けるためである。
また、漏電遮断器等の感度については、特に示していないが、分岐回路に取り付けるものでは不必要な動作を避けるため、電流動作型のものにあっては定格感度電流が15~50mA程度のものが一般的に用いられている。なお、詳細は、電気技術基準調査委員会編電気技術指針 JEAG8101-1971「低圧電路地絡保護指針」を参照されたい。
第一号は、簡易接触防護措置を施す場合には、人が容易に触れるおそれがないことから、地絡遮断装置の設置を省略可能としている。
第二号は、地絡遮断装置の施設が省略できる場所を規定している。
イは、発電所、蓄電所又は変電所若しくはこれに準ずる場所のように電気に関する知識を有する取扱者だけが出入りするような場所で、一般の人が機械器具に触れる機会がない場所について、除外している。
ロは、乾燥した場所(第二十八号)は機械器具の漏電による危険性が低いことから、地絡遮断装置の設置を省略可能としている。
ハは、人体が濡れた状態で機械器具に接するような水気のある場所では機械器具の漏電による危険性が高いため、それ以外の場所について地絡遮断装置の設置を省略可能としている。
第三号は、地絡遮断装置の施設が省略できる機械器具を規定している。
イについては、第29条第2項第三号の解説で述べたとおりである。
ロでは、ゴム、合成樹脂等の絶縁性能を示していないが、第29条の接地工事を施してあれば、水気のある場所でも致命的な電撃を受けることが少ないためである。
ハは、誘導電動機の始動器などがこれに該当し、電動機の始動時の短時間に限り2次側電路に電圧が誘起されるものであり、通常の運転中は危険となるような電圧が誘起されていないためである。
ニは、電路の一部を大地から絶縁しないで使用しているため、地絡遮断装置を設置しても効果がないためである。
第四号は、機械器具に施された接地工事の接地抵抗値が低ければ、機器内の完全地絡のときにも機器の外箱に発生する電圧をかなり低く抑えることができるからである。
第五号は、非接地式電路では、電路の充電部分に人が触れた場合でも、地絡電流の帰路が構成されず、電圧が低い場合の感電防止として有効なためである。しかし、電路と大地との間の静電容量が大きくなると、その充電電流によって電撃を受けることがある。そのため、第29条第2項第四号において、絶縁変圧器の容量が3kVAを超える場合には、機械器具の外箱等にD種接地工事を施すこととしている。
第六号は、漏電遮断器を内蔵した機器を電源引出部が損傷を受けるおそれがないように施設する場合は、当該機器の電源側電路の地絡遮断装置の施設を省略できることを規定している。
第七号は、出力電圧450Vの太陽電池アレイの出現に伴い、H18解釈で定められた規定である。太陽電池モジュールに接続する直流電路が非接地であり、かつ、逆変換装置の交流側に絶縁変圧器が施設されていれば、直流電路に地絡を生じても地絡電流の帰路が構成されず、地絡電流が継続して流れないため火災の発生のおそれがない。また、第29条に基づき、機械器具の外箱には接地工事が施される(感電のおそれがないとして接地工事を省略できる場合を除く。)ため、感電のおそれもない。したがって、このような直流電路については、地絡遮断装置の施設を省略できる。
第八号は、管灯回路における地絡遮断装置の施設を不要としている。

第2項

第2項は、第1項の適用除外項目を規定している。

第3項

第3項は、400V級の電路においては変電室等から引出口付近の間に地絡遮断装置を施設し、又は母線に計器用変成器や接地リレー等を施設して電源側電路を遮断できるように施設することを示している。

第4項

第4項では、高圧又は特別高圧は、配電線路や送電線路に多く用いられ、人、建物等との関係が密接で、感電、漏電火災等に対しては十分な保安装置を必要とし、また、地絡事故による事故の波及をできるだけ狭い範囲にとどめるため、接地用変成器や接地リレー等を施設して、電路を遮断することを示している。
36-1表左欄は、地絡遮断装置を施設する箇所を掲げており、事故対策上、特に必要なところを示している。
36-1表上段の「発電所、蓄電所又は変電所若しくはこれに準ずる場所の引出口」に地絡遮断装置を施設するのは、電線路が出て行く根元になる所であるからである。数回線が引き出されている場合は、引出口にそれぞれ地絡遮断装置を取り付けることとなるが、第4項本文に「36-1表の左欄に掲げる箇所又はこれに近接する箇所」として引出用母線に地絡遮断装置を1組取り付けて、その母線を停止させることもできるとしている。電力供給確保の点からは、事故点フィーダーを選択遮断することが一般的である。
また、発蓄変電所等の相互間の電線路が母線の延長とみなされるものについては、各々の引出口に遮断器を設置することが経済的ではないため、36-1表右欄において当該電線路に地絡を生じた場合に電源側の電路を遮断する装置を施設する場合の除外規定を示している。
なお、地絡事故に対する検出装置は、数千Ωの接地が検出できるようになっているが、リレーの感度を良くすると樹木接触等の瞬間的な接地においても、その都度停電となり、電力供給の確保の点からは必ずしも保安の目的と一致しないので、最小動作電流を小さく(数百mA)するとともに、時限リレーにより接地が1~2秒間継続した場合に回路を遮断することが一般的である。従来、3,500V以下のものは警報装置でもよいことになっていたが、一般の発蓄変電所等の運転保守体制を考えると、これに依存することは望ましくないので、S47基準で地絡事故が発生した場合には、電路を自動的に遮断することとした。
36-1表中段の「他の者から供給を受ける受電点」に地絡遮断装置を施設するのは、受電点の負荷側の電路に生じた地絡を供給者側の地絡遮断装置より早く遮断し、電源側に影響を与えないためであり、保安上の責任体制を明らかにしようとするものである。しかし、受電設備が単純なものである場合は、故障が発生することも少なく、また、地絡検出用の変成器等を施設することが逆に、事故の確率を高めることにもなるので、36-1表右欄において、「他の者から供給を受ける電気を全てその受電点に属する受電場所において変成し、又は使用する場合」、すなわち、受電場所から同一の電圧の線路が引き出されていない場合において、地絡遮断装置を施設しなくてもよいことを示している。ここで「受電点に属する受電場所において使用する場合」とは、例えば、中小ビルなどで受電用の変圧器と空調機とが同室に設置されているような場合を指しているので、隣室程度までと考えられる。なお、自家用発電設備を設置する場合は、解釈の第8章を参照されたい。
36-1表下段の「配電用変圧器の施設箇所」に地絡遮断装置を施設するのは、配電用変圧器に絶縁変圧器を使用している場合にはその負荷側の電路に地絡を生じたときに、上位の発電所や蓄電所、変電所において地絡事故を検出して電路を遮断することができないためである。この場合、地絡を検出する変成器を配電用変圧器の2次側に設置し、開閉装置を配電用変圧器の1次側又は2次側に設置する。また、36-1表右欄において、「配電用変圧器の負荷側に地絡を生じた場合に、当該配電用変圧器の施設箇所の電源側の発電所、蓄電所又は変電所で当該電路を遮断する装置を施設するとき」、すなわち、キャリアリレー等で発蓄変電所等の引出口の開閉装置で遮断できるように施設する場合には、地絡遮断装置の設置を省略可能としている。

第5項

第5項は、需要場所において、電気の停止が電気以外の安全の確保に支障を与えるおそれのある場合は、警報装置でもよいことを示している。なお、ここでいう「公共の安全」には、広い意味で、一般公衆のみならず、1人の従業員の安全という意味も含まれている。

公式資料該当頁: p.55–57

令和7年11月20日改正

出典: 「電気設備の技術基準の解釈の解説」(経済産業省)を加工して作成

※ 本ページは公式資料そのものではありません。