電気設備の技術基準の解釈の解説

第110条(低圧屋側電線路の施設)

経済産業省の一次資料を確認(新しいタブで開く)該当頁の目安 p.158–161

〔解 説〕 本条は、屋側に施設される低圧電線路の要件及びその施設方法を示している。

第1項

第1項では、屋側に電線路を施設することができる条件を示している。
屋側電線路は、電気使用場所において電気の使用を目的として施設する屋側配線(第十二号)と類似してはいるが、電気使用場所等に安全かつ確実に電気を送るべき電線路であるので、この種の形態の電線路は第1項の施設範囲以外のものは本来好ましくないものであり、本条では原則としてその施設をしないこととしている。つまり、特殊な場合であって、技術上やむを得ない場合、例えば、工場、作業場のような構内で電線路の支持物を施設する余裕のない場合や電線が錯そうして、かえって危険を伴うような場合において施設が可能であることを示している。
第一号の「1構内又は同一基礎構造物及びこれに構築された複数の建物並びに構造的に一体化した1つの建物(以下この条において「1構内等」という。)に施設する電線路の全部又は一部」とは解説110.1図 (a) のような場合をいう。
「同一基礎構造物及びこれに構築された複数の建物並びに構造的に一体化した1つの建物」については、H9解釈で、1構内の定義に追加したものである。近年、同一の開発者により、共有の人工地盤(地下駐車場に使用される場合が多い。)
上に複数の建物が設置され、受電のために、その建物の屋側スペースを電線路が通過せざるを得ない場合がある。また、テナントビル等に代表されるとおり、1つの建物の中に複数の受電者が存在する場合においても、同一建物内の屋側スペースを電線路が通過せざるを得ない場合がある。よって、「同一基礎構造物に構築された複数の建物」及び「構造的に一体化した1つの建物」を合わせて「1構内等」としている(解説)。
第二号の「1構内等専用の電線路中その構内等に施設する部分の全部又は一部」とは、解説110.1図 (b) のような場合であって、解説110.1図 (c) のような場合は、いずれも第1項の規定に適合しないため、施設しないこととしている。
解説110.1図
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第2項

第2項は、低圧屋側電線路の工事の種類及びその方法について示している。
第2項各号において工事方法を規定しているが、木造造営物の屋側部分は、電気工事の完了後、しばらくたってから木造造営物にメタルラス張り等が施工されるケースがあり、このようなケースで漏電火災事故につながる事例が多かったため、過去の漏電火災事故の分析をもとに、S47基準で木造造営物には金属管工事、バスダクト工事、金属被覆を有するケーブル工事をしないこととした。
第一号は、がいし引き工事について示しており、ハで使用電線について定めている。電線の太さ及び強さは、低圧引込線の屋側部分()と同じく直径2.0mm以上の軟銅線を基準としている。電路の絶縁のほとんどは電線を支持するがいしが負担しているが、屋側電線路の高さが十分でなく、人が触れる危険性も考慮して、電線には絶縁電線を使用することとしている。
ニは、電線相互及び電線と造営材との離隔距離を、使用電線の種類と施設場所の区分ごとに示している。雨露にさらされない場所と、雨露にさらされる場所との関係については、第1条第二十六号の解説を参照されたい。なお、110-1表の電線支持点間の距離は、電線が緩んで造営材に触れることなどがないように示されたものであり、また、110-2表に示した値は、中ノッブがいし及び低圧ピンがいしの標準寸法が基準となっている(→解説110.2図)。
解説110.2図
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ここでは、屋側配線に類似した屋側電線路(→解説110.3図(a))に対するものだけでなく、架空電線路の支持物の代わりに造営物の一部を使用したような状態の屋側電線路(→解説110.3図(b))の施設方法についても規定している。例えば、低圧架空電線路の電線として直径2mm以上の硬銅線を使用し、造営材に適当な腕木を取り付け電線相互の間隔を20cm以上、電線と造営材との離隔距離を30cm以上とする場合は、電線の機械的強度も強く、電線の緩みによる造営材との接触、電線相互の接触等の危険が少ないので、屋外用ビニル絶縁電線も使用できることにしており、支持点の距離も15mまでとることができる。
解説110.3図
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ホは、引込用ビニル絶縁電線又は引込用ポリエチレン絶縁電線を屋側電線路のがいし引き工事に使用する場合について示している。引込用ビニル絶縁電線又は引込用ポリエチレン絶縁電線(解説)は、線心に600Vビニル絶縁電線又は600Vポリエチレン絶縁電線と同等のものをより合せ又は平型に接合したものであり、電線相互の間隔をとれないので、この規定により施設することとしている。
(ハ)は、電線をバインド線によりがいしに取り付ける場合、バインド部分の絶縁劣化により線間に短絡を生じるおそれがあるので、バインド部分の電線をがいしの異なるみぞに入れ、それぞれ異なるバインド線により心線相互及びバインド線相互が接触しないように施設する必要があることを示している。なお、3心の引込用ビニル絶縁電線又は引込用ポリエチレン絶縁電線でそのうちの1本をバインドしないような場合は、他の2心についてのみ本号により施工することとする。
(ニ)も、接続点の絶縁劣化により線間短絡が発生することを防止するためのものである。110-1表において電線と造営材との離隔距離を3cmとしているのは、S47基準で追加された規定で、一般の場合の2.5cmを3cmとしている。したがって、離隔に注意して使用するがいしを選定する必要がある。
また、引込用ビニル絶縁電線を用いた場合について、屋外用ビニル絶縁電線の規定に相当する施設方法(→解説110.3図(c))をH4基準で追加し、引込用ポリエチレン絶縁電線を用いた場合の屋外用ビニル電線の規定に相当する施設方法(→解説110.3図(c))をH28解釈で追加した。これは、2階屋根等の高い架空引込線の取付け点からの引下げ部分(→解説116.5図)に引込用ビニル絶縁電線又は引込用ポリエチレン絶縁電線を用いることができるようにするためであり、引込線の施設に関する事項なので第116条で規定すべき事項とも考えた。しかし、従来、同項は低圧引込線の屋側部分と屋上部分の施設に、本条第2項及び第3項の規定を準用することにしてきたので、造営材との離隔距離、支持点間距離を屋外用ビニル絶縁電線に準じることとし、本条で低圧屋側電線路の規定を追加することにした。したがって、多くは低圧引込線の屋上部分の施設に準用されるものである。
ヘは使用するがいしの仕様について示したものであるが、陶器若しくはガラス製のもの又はポリカーボネイト若しくはエボナイト等樹脂系のもの等は、この条件を満足する。
トの他の工作物との離隔距離については、低圧架空電線路の場合に比べて若干緩和している点があるが、条項の趣旨は同様であるため、第78条の解説を参照されたい。「当該低圧屋側電線路を施設する造営材」については、第2項第一号ニにおいて示され、「架空電線、屋側に施設される他の高圧又は特別高圧の電線及び屋上電線」については、それぞれ架空電線、高圧屋側電線、特別高圧屋側電線及び屋上電線の方で示されているので、他の工作物から除いている。
チの植物との離隔については、架空電線の場合()と同様、接触しなければよい。
第二号、第三号及び第四号は、それぞれ合成樹脂管工事、金属管工事及びバスダクト工事についての規定で、屋内配線工事のそれぞれの条項に準じることとしている。
第五号は、ケーブル工事についての規定で、ケーブルを造営材に沿わせて施設する場合は、屋内配線のケーブル工事の規定に準じて施設し、ケーブルをちょう架用線にちょう架して施設する場合は、架空ケーブル工事の規定に準じて施設することとしている。

第3項

第3項については第167条の準用であるので、詳細については第167条の解説を参照されたい。

公式資料該当頁: p.158–161

令和7年11月20日改正

出典: 「電気設備の技術基準の解釈の解説」(経済産業省)を加工して作成

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