電気設備の技術基準の解釈の解説
第199条の2(電気自動車等から電気を供給するための設備等の施設)
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〔解 説〕本条の2は、電気自動車等(プラグインハイブリッド自動車、燃料電池自動車を含む。)の充電、もしくは電気自動車等から住宅等へ電気の供給を行う場合の施設方法の規定である。電気自動車等の普及および、電気自動車等を一般家庭等の電源等として使用する状況を踏まえ、H24解釈において条文を制定した。
本条の2では、電気自動車等から一般用電気工作物へ電気の供給を行う場合の規定はあるが、電気自動車等から自家用電気工作物へ電気の供給を行う場合の規定はない。これは、必ずしも電気の知識を有していない者が設置者となる一般用電気工作物は、詳細の施設方法まで国が示すことが適切であるが、自家用電気工作物は、自主保安の原則のもと電気主任技術者の監督下で保安確保が図られるべきものであることから、詳細な施設方法について規定をしていないためである。よって、電気自動車等から自家用電気工作物への電気の供給を行うことを妨げているものではないが、本条の2の規定を参考に、電気主任技術者の監督下において安全に施設する必要がある(平成26年3月10日電力安全小委員会参照)。
第1項
第1項は電気自動車等から住宅等に電気を供給する場合について規定している。
第一号は、小規模発電設備の容量を基本として規定した。なお電気自動車等の出力とは、電気自動車等から外部に出る電気出力である。
第二号は、原則として地絡遮断器の施設(この場合、電源側となる電気自動車側での遮断)を規定している。なお、ただし書きイ(電気自動車と供給設備の電路以外の電路での要件)若しくは、ただし書きロ(電気自動車と供給設備と電路での要件)のいずれかが満たされれば、地絡遮断器の施設を省略できる。
イ(イ)では、従来より地絡遮断器が省略できる条件(→第36条第1項ただし書)を規定している。イ(ロ)では、地絡遮断器の設置はイ(イ)によらず当該電路(→例として、第143条第1項ただし書の規定により施設する対地電圧が150Vを超える住宅の屋内電路、第165項第3項もしくは第4項等)で規定される場合を規定している。ロ(イ)では対地電圧150V以下、かつ、イ(イ)に該当し、さらに非常時のみの使用である場合を規定している。ロ(ロ)では、地絡遮断器の設置は、本条の2第1項第五号ただし書きで規定している。
第三号は、過電流遮断器の施設を規定している。
第四号は、屋側配線又は屋外配線について、人とより密接に関係する場所に施設される可能性がある。そのため、屋側配線又は屋外配線は、屋内配線と同様に第143条の規定に準じることとした。
第五号は、電気自動車等と供給設備を接続する電路は、一般の人が触れることを前提に対地電圧制限は150V以下とした。
ただし書では、直流450V以下の急速充電の規格を用いることを念頭に、対地電圧制限150Vによらない場合の要件を定めたものである。ハで直流を非接地とし、ニで電力変換装置の交流側に絶縁変圧器が施設することで、基本的に地絡電流の帰路が構成されないようにする。なお、ハでいう非接地回路は、基本的な帰路の構成を防止するためであり、地絡遮断器等の計器用のために管理された高抵抗接地を行うことを妨げるものではない。ホでは地絡電流が流れたとしても遮断できるように地絡遮断器を設置することを求めている。人体へ影響がない電流値の考え方は、解説第29条の解説29.2図を参照されたい。へは、地震等で車が動いて電路が断線又は接続器が外れた場合にも安全に電気の供給を停止するための規定である。これに適合する装置としては、例えばケーブルの外装の内又は外に通信線を配置し、通信が遮断されたことを検知し、遮断する方法が考えられる。
第六号イは、断線のおそれのないよう電線の断面積を規定している。実際の施工にあたっては、電気自動車等に供給される電流以上の許容電流を有するものを選定することとなる。ロは、使用環境を考慮して、使用できるキャブタイヤケーブルを限定している。ハは、使用電圧を考慮し、2種キャブタイヤケーブルと同等以上の性能を有するとともに、引きずられることや車両に踏まれることを考慮した性能を有することを要求している。平成24年度電気設備技術基準関連規格等調査報告書では、日本電線工業会が提案する電線が省令に適合することを確認している。日本電線工業会が提案する具体的な規格としてJCS4522「電気自動車用可とうケーブル」がある。
第七号は、接続器に関する規定である。専用の接続器を用いて充電部分が露出しないものであるとともに、屋外にも設置されるため、水の飛まつに対する保護機能を求めている。
第八号は、電線の接続方法についての規定をしている。
第九号は、電気自動車等の蓄電池から電気を供給する場合、蓄電池の内部故障・外部短絡等の異常時は電路から遮断するように求めている。なお非常用予備電源として用いる場合には、定置型の蓄電池と同様、本号の規定は適用されない。
第十号は、電気自動車等の燃料電池は、小規模発電設備の燃料電池等の規定を適用する。
第2項
第2項は、住宅等から電気自動車等に電気を供給する場合の規定である。具体的にはIEC 61851-1に規定するモード3及びモード4により施設する場合について規定している。なお、モード1及びモード2については、本条の規定は適用されないが、移動電線等に適用される基準が適用されることとなる。ここで、充電設備まで至る低圧屋内電路や屋外電路については、第33条及び第149条が適用され、これらに基づき過電流遮断器が施設される。
第一号では、充電設備と電気自動車等の電路において、一般の人が触れることを前提とした規定である。イでは直流急速充電によらない場合は、対地電圧制限は150V以下としている。ロで充電部の露出をしないようにし、ハで地絡遮断器の設置を求めている。
第二号では、屋側配線又は屋外配線について、人とより密接に関係する場所に施設される可能性があるため、屋側配線又は屋外配線は、屋内配線と同様に第143条の規定に準じることとした。
第3項
第3項は、自家用電気工作物が設置された需要場所において、電気自動車等に直流1,500V以下の高圧で電気を供給する充電設備の施設方法について規定している。図199の2.1に、充電設備の例を示す。第3項は、IEC61851-1(2017)で定義するモード4、ケースCの充電設備を、IEC61851-23(2023)の要件を踏まえ規定した。
高圧の電気機械器具である充電設備については、関連する省令第9条において「高圧又は特別高圧の電気機械器具は、取扱者以外の者が容易に触れるおそれがないように施設しなければならない。」と規定されているものの、ただし書きにおいて、「接触による危険のおそれがない場合は、この限りでない。」と規定されており、第3項で規定する充電設備は、同条に適合する。
図199の2.1 充電設備のイメージ図
なお、自家用電気工作物が設置された需要場所において、充電設備の使用電圧が直流750V以下の充電設備を施設する場合も、第3項第二号を参考に自主保安の原則のもと電気主任技術者の監督下において安全に施設することが求められる。
充電設備の電源側に接続する配線方法(低圧配線若しくは高圧配線)、過電流遮断器、漏電遮断器の施設、接地などに関しては、他の関連条文を参照されたい。
第一号は、電気自動車等の充電電圧が直流1,500V以下の高圧の充電設備を、一般的に電気の知識を有していない者が取り扱うため、危険を及ぼさないよう、充電設備が充電開始前に、電気自動車等との接続状態、絶縁状態、短絡状態を確認し、適切でない場合は電気自動車等への充電を開始しないこととしている。
イからハまでに掲げる電気自動車等との接続状態、絶縁状態、短絡状態の適切性は、充電設備のシステムとして充電器本体、充電用ケーブル、専用の接続器を含め確認することとしている。
第二号は、充電設備と電気自動車等を接続する電路について規定している。
イは、充電設備の電源側の配線を直接接続することを規定している。ロで直流を非接地とし、ハで電力変換装置の交流側に絶縁変圧器を施設することで、基本的に地絡電流の帰路が構成されないようにする。なお、ロでいう非接地回路は、基本的な帰路の構成を防止するためのものであり、地絡検出のために設置する高抵抗接地を行うことを妨げるものではない。
ニでは地絡電流、過電流発生が流れたとしても遮断できるように地絡遮断器を設置すること及び過電流発生時に遮断できるよう過電流遮断器を設置することを求めている。なお、地絡電流は、IEC61851-23(2023)に準じIEC60479-1(2018)に示す表13のDC-2領域内の値に制限すること。
ホでは、地震等で車が動いて電路が断線した又は接続器が外れた場合に、安全に電気の供給を停止するための規定である。これに適合する装置の例としては、例えば充電用ケーブルの外装の内又は外に通信線を配置し、通信が遮断されたことを検知し、遮断する方法が考えられる。なお、充電設備には、複数の充電用ケーブルを備えた充電設備から同時に複数の電気自動車等に充電できるものもあるが、それぞれの充電用ケーブルで第二号ニに示す不具合が生じた場合は適切に充電設備を停止させる必要がある。
第三号は、充電設備と電気自動車等を接続する充電用ケーブルの施設方法についての規定である。
イは、断線のおそれのないよう充電用ケーブルの単心の断面積を規定している。IEC62893-4-1(2020)は、EV用急速充電設備に接続する充電用ケーブルの性能を規定している。充電用ケーブルは、図199条の2.2のように絶縁被覆で覆われた電力線、制御線、保護接地線を一つの外装に纏めたケーブルとなっている。
図199条の2.2 充電用ケーブルの断面図の例
IEC62893-4-1(2020) の適用にあたり、第8 条で規定する高圧のキャブタイヤケーブルと比較した結果、IEC62893-4-1(2020)は、モード4専用の充電用ケーブルに特化した性能が規定されていること、加えて第3項の第二号のとおり充電設備のシステムとして充電開始前や充電中において充電設備と電気自動車等の間の電路を監視し、適切性を確認していることを踏まえ、第3項に限り適用できることとした。なお、充電用ケーブルは適切な許容電流のものを適用すること。例えば、短時間に大きな電流を流して充電時間を短縮させるいわゆるブーストモード機能を備えた充電設備の場合においても適切な充電用ケーブルを選定する必要がある。
第四号は、充電設備のコネクタの性能について規定している。人が充電中に誤ってコネクタを外そうとしても危険のないようロック機構を備えたコネクタを使用することを求めている。
第五号は、電線の接続方法について規定している。充電設備と配線との接続、充電設備と充電用ケーブルとの接続、充電用ケーブルとコネクタの接続に対して電気的に完全に接続することとし、充電設備の通常の使用時において断線のおそれがないよう接続点に張力が加わらないように施設することを求めている。