電気設備の技術基準の解釈の解説
第47条の2(常時監視をしない発電所の施設)
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〔解 説〕 情報伝送技術及び自動制御技術の進歩並びに電力用機器及び保護装置の信頼性の向上等の技術的要因を背景として、無人の発電所が設置されているが、本条は、第47条の発電所の場合と異なり、小規模かつ比較的低リスクの発電所において、技術員が当該発電所又はこれと同一の構内において常時監視をしないことができる発電所の種類と、その場合の施設条件について示している。
ここで発電所と同一構内とは、発電所建屋を含んだ構内境界線全般にさく、へい等を施設し、一般公衆が立ち入らないように施設したものを指しており、S7基準で追加されたものである。
本条では、常時監視をしないことのできる発電所として水力発電所、風力発電所、太陽電池発電所、燃料電池発電所、地熱発電所、内燃力発電所、ガスタービン発電所、内燃力コンバインドサイクル発電所(内燃力とその排熱を回収するボイラーによる汽力を原動力とする発電所)及び工事現場等に施設する移動用発電設備について規定している。
常時監視をしない発電所においては、異常が生じた場合に、技術員の迅速、かつ、適切な措置を期待することができないため、保安上の観点から、常時監視をする発電所よりも安全に停止するよう機器の保護装置等を強化する必要がある。
また、電気事業用の発電所については、電気事業法第48条第1項によって経済産業大臣に工事計画を届け出る場合に、「その事業用電気工作物が電気の円滑な供給を確保するため技術上適切なものであること。」が工事開始の条件の一つであることから、保安上の観点のみならず、電力供給の確保という観点からも規定したものである。
本条は、第1項から第11項で構成され、第1項及び第2項で各発電方式の共通事項を、第3項から第11項で各発電方式の個別事項をそれぞれ規定している。
第1項
第1項は、常時監視をしない発電所の監視方式の種類及びそれぞれの施設条件を示したものである。
第二号の「随時巡回方式」は、常時監視をしない発電所の中で最も簡素な監視方式であり、イにおいて、技術員が適当な間隔をおいて発電所を巡回し、運転状態の把握を行うものであることを示している。なお、ここでは技術員が構外の事務所等に駐在することを規定していないが、ダム又は水路工作物の保守又は管理をする人はここでいう技術員には含まれないので、別途、ダム又は水路工作物の管理体制を確立することが必要である。また、「適当な間隔をおいて発電所を巡回」とは、発電所の機器の運転状態に拘束されず、技術員が平常勤務している場所から適当な間隔をおいてその発電所へ出向いて、運転状態等を監視することを指している。また、この時に同時に点検又は保守を行うことも考えられる。
ロは、随時巡回方式の適用条件を示したものである。随時巡回方式では、事故等により発電所が停止しても技術員へ警報されず、次回の巡回まで停止状態となるため、ロ(イ)及び(ロ)に適合する発電所、すなわち「電気の供給に支障を及ぼさない」発電所に限り、同方式を適用できるものとしている。
解説47.1図
(イ)は、発電所に異常が生じた場合に、電力会社から供給を受ける需要家が停電しないことを求めている。例えば、解説47.1図に示すような変電所若しくは開閉所機能を有する発電所又は発電所から直接一般の需要家に電気を供給するような直配等の設備を有する発電所は、事故等による影響が当該発電所内に限定されず、他の発電所の発電支障、系統の弱体化又は需要家への供給支障を招くおそれがあるため、(イ)の条件に適合しない。
変電所機能を有する発電所とは,当該発電所構内に省令第1条第1項第四号にて規定される変電所と同様の設備・機能を有するものをいう。なお,発電設備にて発生した電気を昇圧用変圧器により変成(昇圧)し,系統連系するための設備(所内変圧器や補機など,発電から系統連系するまでに必要な付属設備を含む)のみで構成する場合は,変電所機能を有する発電所には該当しない。
開閉所機能を有する発電所とは,当該発電所構内に省令第1条第1項第五号にて規定される開閉所と同様の設備・機能を有するものをいう。なお,一般的な1回線接続,2回線接続(常用・予備2回線接続または常時並行2回線接続)
にて系統連系する場合は,開閉所機能を有する発電所には該当しない。
(ロ)は、発電所の運転又は停止により、電力系統の電圧及び周波数の維持に支障を及ぼさないことを求めている。
これは、電気の供給支障だけでなく、発電所の運転又は停止により、需要家へ供給する電気の質が低下する場合も考慮する必要があるためであり、例えば、発電所の運転又は停止により当該発電所付近に接続された需要家の電圧又は当該発電所が接続されている電力系統の周波数が変動するものは、(ロ)の条件に適合しない。
ここで「電圧及び周波数の維持」とは、需要家の受電点において電気事業法施行規則第44条の電圧及び周波数の値(電圧にあっては101±6V、202±20V、周波数にあっては標準周波数)を指している。なお、系統周波数の著しい低下は、他の発電所の電力系統からの分離に結び付く場合もあるため、離島等において、発電所の容量と当該発電所を連系する電力系統の電力容量とを比較して影響が小さくない場合には、その取扱いに十分注意する必要がある。
ハで、随時巡回方式の適用範囲を発電所に施設する変圧器の使用電圧が170,000V以下のものに限定しているのは、常時監視をしない変電所の施設条件(→第48条第一号)と整合を図るためであり、H23解釈で追加したものである。
第三号の「随時監視制御方式」は、技術員へ発電所の異常等を警報する装置を施設し、技術員が警報受信時その他必要に応じて発電所に出向き、発電所の監視及び機器の操作等を行う方式である。従来は、技術員が発電所又はその構外にある技術員駐在所に常時駐在し、技術員駐在所に警報装置を施設することとしていたが、情報通信技術を活用すれば、技術員が技術員駐在所に常時駐在しなくても、携帯電話等で警報を常時受信することが可能であることから、H23解釈で改正されたものである。
ロは、発電所の異常等を技術員に警報する項目を示しており、(イ)から(ハ)において、各発電方式共通の事項を規定している。なお、各発電方式個別の項目については、第3項から第10項までの規定によることを、(ニ)で示している。
(イ)は、発電所内で火災が発生した場合は、早急に消火体制を整えるための連絡及び発電所内での必要な措置がとれるように、火災報知器を設けることを示している。ただし、屋外であって、変電所若しくは開閉所又はこれらに準ずる機能を有する設備を施設する場所は、第48条と整合を図り除外している。
(ロ)の冷却装置の故障については、冷却装置用電源の喪失、電源の欠相又は冷却器各群の過負荷遮断などを考えており、ファンモーター各個のヒューズの溶断のような部分的な故障は考えていない。
(ハ)の「ガス絶縁機器の絶縁ガスの圧力が著しく低下した場合」は、機器内部に封入してあるガスの圧力低下により内部せん絡等の絶縁破壊を生じるおそれがある場合に限定している。
ハは、発電所出力が2,000kW未満の場合にあっては、技術員に報知する警報を連絡補助員に報知する警報とすることが認められることを示している。ここで「補助員」とは、発電所の運転に必要な最小限度の知識がある者であって、発電所の管理者との責任関係が明らかとなっている者であればよい。例えば、補助員を警備員とする場合についても、委託契約によって責任関係が明確であり、最小限度の知識に係る教育が実施され、確実な連絡体制が構築されていること等が明らかであれば、補助員の条件に適合するものと判断できる。
ニでは、随時監視制御方式の適用範囲を発電所に施設する変圧器の使用電圧が170,000V以下のものに限定している。
これは、常時監視をしない変電所の施設条件(→第48条第一号)と整合を図るために、H23解釈で追加したものである。
第四号の「遠隔常時監視制御方式」は、技術員が発電制御所に常時駐在し、発電所の運転状態の監視及び制御を遠隔で行う方式である。
ロは、発電所の異常等を発電制御所に警報する項目を示しており、その考え方は第三号ロと同様である。
ハは、発電制御所に施設する必要がある装置を示しており、(イ)及び(ロ)において各発電方式共通の項目を規定している。なお、各発電方式個別の項目については、第3項、第4項、第6項、第8項及び第9項までの規定によることを、(ハ)
で示している。
(イ)の「運転」には、起動から並列投入、出力の発生までが含まれており、例えば、発電機の並列用遮断器等も含まれる。
(ロ)は、運転操作に常時必要な遮断器の監視装置及び操作装置の施設を求めている。ここで、使用電圧が100,000Vを超える変圧器を施設する発電所に限っているのは、常時監視をしない変電所の施設条件(→第48条第五号)との整合を図るためであり、H23解釈で追加されたものである。また、自動再閉路装置を有する高圧配電線又は15,000V以下の特別高圧配電線(主に第108条に示している特別高圧配電線)用遮断器の操作装置については省略することを認めている。
これは、これらの配電線は事故時以外に操作することがほとんどなく、かつ、事故時に再閉路を失敗したときは配電線路の事故復旧に相当の時間を要するものであり、配電線の事故復旧確認後に現場で再投入すればよいからである。
「運転操作に常時必要な遮断器」には、発電所の保守点検時の切替え操作のみに使用されるもの及び事故時の自動遮断専用に用いられる遮断器(遮断器が動作した場合に現場に技術員が出向き、回路や機器の状態を十分検討した後でなければ投入することができないもの)は含まれない。
なお、地熱発電所については、(イ)における「発電所の運転を操作する装置」の施設及び(ロ)(2)における「運転操作に常時必要な遮断器の投入を操作する装置」の施設をそれぞれ緩和している。これは、地熱発電所の運転は、技術員が現地に出向き、現場機器を確認しながら操作する必要があるためである。
第2項
第2項は、H9解釈で追加されたものであり、発電所構内から直接配電する場合の電路の遮断器及び変電設備、開閉設備等を電力系統の適切な機能分割による効率的な運用を行うため、発電設備と分割して監視又は制御できることを示している。H9解釈では、電路が建造物により物理的に区分されている場合に限り、分割して監視又は制御できるとしていたが、H23解釈で条件を緩和した。
第3項
第3項は、水力発電所に対して個別に求められる要件を規定している。
第一号は、随時巡回方式により施設する場合について規定している。
イは、水力発電所の出力が2,000kW未満であることを規定しているものであり、H9解釈で500kW未満から2,000kW未満に引き上げられた。
ロは、水力発電所は調速機のみによって運転されると最大出力を超えて負荷をとることがあり、保安上危険のおそれがあるため、自動出力調整装置又は出力制限装置(自動負荷調整装置又は負荷制限装置を含む。)を施設することとしている。ただし、落差及び水車の流路を構成する部分が固定であれば規定流量が決まるため、最大出力を超えて運転されることはなく、これらの装置がなくとも安全が確保できるので、H9解釈で自動負荷調整装置や負荷制限装置(自動負荷調整装置又は負荷制限装置を含む。)を必要としない条件を追加した。ここで、水力発電所における「自動出力調整装置(自動負荷調整装置を含む。)」とは、水槽水位により自動的に負荷を調整する水位調整装置又はプログラム制御によりあらかじめ定められたとおりの負荷をとるものなどが考えられるほか、水槽水位によって、自動的に運転、停止が行われる場合又は運転台数が制御される場合も含まれる。一方、「出力制限装置(負荷制限装置を含む。)」とは、ガイドベーン又はニードルが定格負荷まで開いたときに、更に負荷をとることがないように負荷を制限する装置のことを指している。
ハは、(イ)から(ヘ)に掲げる異常が生じた場合に、発電機を電路から自動的に遮断し、かつ、水車への水の流入を自動的に停止すべきことを示している。ここで、「水車への水の流入を自動的に停止する」とは、ガイドベーン又はニードル及び入口弁を閉めて水車への水の流入を停止することを指しており、ブレーキにより停止するところまで要求するものではない。ただし書は、発電用水力設備に関する技術基準を定める省令第33条第五号ただし書に対応するものであり、(イ)、(ロ)又は(ハ)の場合について、無拘束回転を停止できるまでの間、回転部が構造上安全であり、かつ、この間の下流への放流により人体に危害を及ぼし又は物件に損傷を与えるおそれのない場合は、水車が回転していても発電機を電路から自動的に遮断しておけば問題がないため、水車を自動的に停止させる装置の施設は要しないこととした。
また、(ハ)の場合について、発電機を自動的に無負荷、かつ、無励磁にする装置を施設する場合には、水車への水の流入を自動的に停止する装置を施設しなくてもよいこととしている。これは、発電機に過電流が生じる原因として外部事故によるものが多いことから、主に遠隔制御される水力発電所において外部事故発生時に水の流入を制限し適切な回転速度を維持しておき、外部事故復旧後直ちに並列できるようにするための緩和規定である。遠隔制御されない発電所(無拘束回転水車発電機を除く。)の場合には、できるだけ原動機も停止しておくことが望ましい。
(イ)の「水車制御用の圧油装置の油圧又は電動式制御装置の電源電圧が著しく低下した場合」は、第42条で容量500kVA以上の発電機を駆動する水車の圧油装置又は電動式ガイドベーン制御装置などの電源電圧が著しく低下した場合に発電機を自動的に電路から遮断する装置を施設することとしており、500kVA未満のものには必ずしも自動停止装置を備えなくてもよいこととしているが、常時監視をしない水力発電所の場合は、ただし書の場合を除き、500kVA未満の発電機についても電路から自動的に遮断し、かつ、水車への水の流入を自動的に停止する装置を施設することとしている。なお、「電動式制御装置の電源電圧」とは、ガイドベーン等の水車を電動で制御するための電源電圧を指すものであって、第3項第二号ハ(ハ)に掲げる水力発電所全体の制御回路の電圧を指すものではない。
(ロ)の「水車の回転速度が著しく上昇した場合」は、発電用水力設備に関する技術基準を定める省令第33条及び同解釈第41条で容量500kVA以上の発電機を駆動する水車に自動停止装置を設けることとしているが、常時監視をしない水力発電所の場合は、ただし書の場合を除き、500kVA未満の発電機を駆動する水車であっても、水車への水の流入を自動的に停止する装置を施設することとし、更に発電機を電路から自動的に遮断する装置の施設を要求している。
(ハ)の「発電機に過電流が生じた場合」は、第42条で発電機を電路から自動的に遮断する装置を施設することとしているが、常時監視をしない水力発電所の場合は、ただし書の場合を除き、発電機を電路から自動的に遮断し、かつ、水車への水の流入を自動的に停止する装置を施設することとしている。
(ニ)ただし書の「水車のスラスト軸受が構造上過熱のおそれがないもの」としては、横軸ペルトン水車のスラスト軸受が考えられる。水中メタル(主としてカプラン水車やチューブラ水車の軸受に用いられているもの)も軸受が過熱するおそれはないが、これはスラスト軸受として扱わないのが普通である。
(ホ)の「容量が2,000kVA以上の発電機の内部に故障を生じた場合」については、一般に発電機は内部に故障を生じるおそれが少ないが、2,000kVAを超えるものについては自動停止の対象としている。保護装置としては、一般には差動リレーが考えられる。
(ヘ)の「他冷式の特別高圧用変圧器の冷却装置が故障した場合又は温度が著しく上昇した場合」については、第43条で警報装置の施設が規定されているが、随時巡回方式の場合には、発電機を電路から自動的に遮断し、かつ、水車への水の流入を自動的に停止する装置を施設することとしている。
第二号は、随時監視制御方式により施設する場合について規定している。
イは、随時巡回方式により施設するものと同様、自動出力調整装置又は出力制限装置(自動負荷調整装置又は負荷制限装置を含む。)を施設することとしている。
ロは、随時巡回方式により施設するものと同様、前号ハ(イ)から(ホ)までに掲げる場合に、発電機を電路から自動的に遮断し、かつ、水車への水の流入を自動的に停止する装置を施設することとしている。なお、前号ハ(ヘ)については、第1項第三号ロ(ロ)で技術員へ警報する装置を施設することとしている。
ハは、水力発電所に対して個別に求められる警報要件を規定している。
(イ)の「水車が異常により自動停止した場合」には、ロの条件により自動停止する場合だけでなく、その他の原因で自動停止した場合も含まれる。ただし、プログラム制御などの人為的に設定した条件により自動的に停止させる場合は含まれない。
(ロ)の「運転操作に必要な遮断器」には、運転停止用、電路操作用などの発電機の遮断器及び送配電線用の遮断器のほか、事故時の自動遮断専用に施設される遮断器であって、遮断器が動作したとき技術員が現場に出向き投入しなければならないような遮断器も含まれる。一方、発電機の遮断器であって、並列用のものと保護用のものが2台直列に施設されている場合における並列用のもの及び母線などに施設される遮断器であって、保守時に母線などを切り分けるために用いられ、事故時には遮断しないようなものは、これに該当しない。「当該遮断器の遮断により水車が自動停止するものを除く。」としているのは、警報を必要とする遮断器を明確にするためにH23解釈で追加したものである。例えば、所内電源用の遮断器が異常により自動遮断することで、圧油装置のポンプが停止し、油圧低下で水車が自動停止する場合には、「水車の自動停止」及び「遮断器の自動遮断」で重複して警報する必要はなく、「水車の自動停止」による警報のみで十分である。また、「遮断器が自動的に再閉路した場合」は、事故とは考えないので除外している。
(ハ)の「発電所の制御回路の電圧が著しく低下した場合」は、所内制御回路及び遠隔制御回路、すなわち水力発電所全体の制御回路の電圧を指している。
ニは、技術員へ警報する装置を施設しないことができる条件を示している。
第三号は、遠隔常時監視制御方式により施設する場合について規定している。
イは、発電機を電路から自動的に遮断し、かつ、水車への水の流入を自動的に停止する装置を施設すること及びその緩和規定について、前号ロに準じることを示している。
ハの「出力の調整を行う装置」は、ここでは広義の意味で考えており、例えば各発電機の運転状態が全負荷運転又は停止というような、発電機単位の出力調整ができない発電所では、運転台数の制御も「出力の調整を行う装置」として扱う。
第4項
第4項は、風力発電所に対して個別に求められる要件を規定している。
第一号は、随時巡回方式により施設する場合について規定している。
イは、風力発電所は風速によって定格以上の出力を発生することがあり、保安上危険のおそれがあるため規定したものであって、例えば、定格出力で安全に運転できる風速を超えた場合に風車及び発電機を自動停止させる装置などがある。
ロは、(イ)から(ト)までに掲げる異常が生じた場合に、発電機を電路から自動的に遮断し、かつ、風車の回転を自動的に停止することとしている。ここで、「風車の回転を自動的に停止」とは、ブレードのピッチ角制御等により、風車の発電機構に係る回転を停止することを指しており、風向追従の可動部の停止までは要求していない。
(イ)の「風車制御用の圧油装置の油圧、圧縮空気制御装置の空気圧又は電動式制御装置の電源電圧が著しく低下した場合」は、第42条で容量100kVA以上の発電機については、発電機を自動的に電路から遮断する装置を施設することとしており、100kVA未満のものには必ずしも自動停止装置を施設しなくてもよいこととしているが、常時監視をしない風力発電所の場合は、100kVA未満の発電機についても電路から自動的に遮断し、更に風車の回転を自動的に停止する装置を施設することとしている。なお、「電動式制御装置の電源電圧」とは、電動式ブレードを駆動させるための電源電圧を指すものであって、第二号ハ(ハ)に掲げる風力発電所全体の制御回路の電圧を指すものではない。
(ロ)の「風車の回転速度が著しく上昇した場合」は、発電用風力設備に関する技術基準を定める省令第5条及び同解釈第5条で、風車の回転速度が非常調速装置が作動する回転速度に達した場合に、風車を自動停止することが要求されているが、常時監視をしない風力発電所の場合には、更に発電機を電路から自動的に遮断することを要求している。
(ハ)の「発電機に過電流を生じた場合」は、第42条で発電機を電路から自動的に遮断する装置を施設することとしているが、常時監視をしない風力発電所の場合には、更に風車の回転を自動的に停止する装置を施設することとしている。
(ニ)は、風車の損傷又は軸受若しくは変速機等の故障により、軸受に著しい振動が発生した場合に、ブレード等が破損し周囲に被害を及ぼすおそれがあるため、周辺に一定の割合以上の人家等の造営物がある区域に施設される風車は、軸受に著しい振動が発生した場合に、発電機を電路から自動的に遮断し、かつ、風車の回転を自動的に停止する装置を施設することとしている。
(ホ)では、(ニ)に掲げる区域に施設する風車の自動停止対象範囲を100kW以上のものとしている。これは、軸受が故障した場合、出力に応じてブレードに加わる力が大きくなり、損壊する可能性が高まることから、周辺区域の状況を考慮して自動停止の対象設備を定めたものである。
(ヘ)は、一般に発電機は内部に故障を生じることは少ないが、2,000kVAを超えるものについては自動停止の対象としている。
(ト)の「他冷式の特別高圧用変圧器の冷却装置が故障した場合又は温度が著しく上昇した場合」については、第43条で警報装置の施設が規定されているが、随時巡回方式の場合には、発電機を電路から自動的に遮断し、かつ、風車の回転を自動的に停止する装置を施設することとしている。
第二号は、随時監視制御方式により施設する場合について規定している。
イは、随時巡回方式により施設するものと同様、自動出力調整装置又は出力制限装置を施設することとしている。
ロは、随時巡回方式により施設するものと同様、前号ロ(イ)から(ヘ)までに掲げる場合に、発電機を電路から自動的に遮断し、かつ、風車の回転を自動的に停止する装置を施設することとしている。なお、前号ロ(ト)については、
第1項第三号ロ(ロ)で技術員へ警報する装置を施設することとしている。
ハは、風力発電所に対して個別に求められる警報要件を規定している。
(イ)の「風車が異常により自動停止した場合」の考え方については、第3項第二号ハ(イ)と同様である。
(ロ)の「運転操作に必要な遮断器」の考え方については、第3項第二号ハ(ロ)と同様である。「当該遮断器の遮断により風車が自動停止するものを除く。」は、警報を必要とする遮断器を明確にするためにH23解釈で追加したものである。例えば、風車補機電源用の遮断器が異常により自動遮断することにより、圧油装置のポンプが停止し油圧が低下し、又は電動式制御装置の電圧が低下することで風車が自動停止する場合には、「風車の自動停止」及び「遮断器の自動遮断」
で重複して警報する必要はなく、「風車の自動停止」による警報のみで十分である。
(ハ)の「発電所の制御回路の電圧が著しく低下した場合」は、所内制御回路及び遠隔制御回路、すなわち風力発電所全体の制御回路の電圧を指している。
ニは、技術員へ警報する装置を施設しないことができる条件を示している。
第三号は、遠隔常時監視制御方式により施設する場合について規定している。
ハの「出力の調整を行う装置」は、ここでは広義の意味で考えており、例えば出力の調整ができない風車の場合には、運転台数の制御も「出力の調整を行う装置」として扱う。
第5項
第5項は、太陽電池発電所に対して個別に求められる要件を規定している。太陽電池の出力は、施設される地域の最大日射強度等により決まる最大出力以上となることはないため、出力調整装置等を施設しなくてもよいこととしている。
第一号の「他冷式の特別高圧用変圧器の冷却装置が故障した場合又は温度が著しく上昇した場合」については、第43条で警報装置の施設が規定されているが、随時巡回方式の場合には、逆変換装置の運転を自動停止する装置を施設することとしている。
第二号は、随時監視制御方式により施設する場合について規定している。
イは、太陽電池発電所に対して個別に求められる警報要件を規定している。
(ロ)の「運転操作に必要な遮断器」には、逆変換装置の連系用の遮断器、送配電用の遮断器及び事故時の自動遮断専用に施設される遮断器であって、遮断器が動作したとき技術員が現場に出向き投入しなければならないような遮断器も含まれる。一方、発電機の遮断器であって、並列用のものと保護用のものが2台直列に施設されている場合における並列用のもの及び母線などに施設される遮断器であって、保守時に母線などを切り分けるために用いられ、事故時には遮断しないようなものは、これに該当しない。「当該遮断器の遮断により逆変換装置の運転が自動停止するものを除く。」
としているのは、警報を必要とする遮断器を明確にするためにH23解釈で追加したものであり、考え方は第3項第二号ハ
(ロ)と同様である。
第6項
第6項は、燃料電池発電所に対して個別に求められる要件を規定している。
第一号は、随時巡回方式により施設する場合について規定している。イ及びロでは、形式及び圧力を限定しているが、これは技術的に発展段階である燃料電池発電において、今後の新型燃料電池発電設備に対する必要な安全措置の予測ができず、本解釈の保護装置等の規定を現時点で実用化している設備に限定しているためであり、第二号イ及び第三号イについても同様である。
イの「燃料電池の形式」については、H9解釈でりん酸形の出力制限500kW未満を削除し、H13解釈で固体高分子形、H14解釈で溶融炭酸塩形、H18解釈で固体酸化物形をそれぞれ追加した。固体酸化物形については、作動温度が特に高温であることから、取扱者以外の者が高温部に容易に触れるおそれがないように施設したもの、かつ、排気ガスには一酸化炭素、二酸化炭素及び未燃ガス成分が含まれ温度も高いことから、屋内その他酸素欠乏の発生のおそれのある場所に設置するものにあっては、給排気部を適切に施設したものに限った。
ロは、H27解釈において、一定の要件を満たした固定酸化物形燃料電池に限って、ただし以降で1MPa未満とした。
ハは、例えば燃料供給及び電池出力をプログラム制御し、設定以上の出力となる場合は、自動停止させる装置などがある。
ニは、(イ)から(ヘ)までに掲げる異常が生じた場合に、燃料電池を自動停止する装置を施設することとしており、
H16解釈でただし書を追加した。ここで、「燃料」とは液体及び気体の燃料を指しており、「燃料ガス」とは気体燃料を指すものである。
(イ)の「発電所の運転制御装置に異常が生じた場合」とは、例えば、燃料電池の運転を制御するコンピュータ又はインターロック回路等の装置が、装置自体の故障又は電源の喪失その他の原因により制御できなくなる場合等がある。
(ロ)は、制御回路の電圧が低下した場合に、制御不能となるおそれがあるため規定したものである。
(ハ)は、制御用の圧縮空気の圧力が低下した場合に、制御及び停止ができなくなるおそれがあるため規定したものである。
(ニ)は、不活性ガスの圧力が低下すると、異常により自動停止するときに燃料ガスを排除できなくなるおそれがあるため、機能が喪失する前に燃料電池を自動停止することとしている。燃料電池発電所については、第45条及び発電用火力設備に関する技術基準を定める省令第34条で保護装置の施設が規定されており、常時監視をしない燃料電池発電所についても、これらの規定が適用される。
(ホ)は、固体酸化物形燃料電池設備で火災等が発生した場合に、筐体内の著しい温度上昇を検知して発電を停止することとしている。
(ヘ)の「他冷式の特別高圧用変圧器の冷却装置が故障した場合又は温度が著しく上昇した場合」については、第43条で警報装置の施設が規定されているが、随時巡回方式の場合には、自動停止することとしている。
第二号は、随時監視制御方式により施設する場合について規定している。
ロは、随時巡回方式により施設するものと同様、前号ニ(イ)から(ホ)までに掲げる場合に、燃料電池を自動停止する装置を施設することとしている。なお、前号ニ(ヘ)については、第1項第三号ロ(ロ)で技術員へ警報する装置を施設することとしている。
ハは、燃料電池発電所に対して個別に求められる警報要件を規定している。
(イ)の「燃料電池が異常により自動停止した場合」の考え方については、第3項第二号ハ(イ)と同様である。
(ロ)の「運転操作に必要な遮断器」の考え方については、第5項第二号イ(ロ)と同様である。
第三号は、遠隔常時監視制御方式により施設する場合について規定している。ハの「出力の調整を行う装置」は、ここでは広義の意味で考えており、例えば出力の調整ができない燃料電池の場合には、運転台数の制御も「出力の調整を行う装置」として扱う。
第7項
第7項は、地熱発電所に対して個別に求められる要件を規定している。
第一号は、随時監視制御方式により施設する場合について規定している。
ロは、(イ)から(ヘ)までに掲げる異常が生じた場合に、発電機を電路から自動的に遮断し、かつ、蒸気タービンへの蒸気の流入を自動的に停止する装置を施設することとしている。
(ロ)の「蒸気タービンの回転速度が著しく上昇した場合」は、発電用火力設備に関する技術基準を定める省令第15条及び同解釈第25条で、蒸気タービンが定格回転速度を超えた場合に、蒸気タービンを自動停止することとしているが、常時監視をしない地熱発電所の場合には、更に発電機を電路から自動的に遮断することとしている。
(ハ)の「発電機に過電流を生じた場合」は、第42条で発電機を電路から自動的に遮断する装置を施設することとしているが、常時監視をしない地熱発電所の場合には、更に蒸気タービンへの蒸気の流入を自動的に停止する装置を施設することとしている。
(ホ)は、一般に発電機は内部に故障を生じることは少ないが、2,000kVAを超えるものについては自動停止の対象としている。
(ヘ)は、制御回路の電圧が低下した場合に、制御不能となるおそれがあるため規定したものである。
ハは、随時監視制御方式により施設する地熱発電所に対して個別に求められる警報要件を規定している。
(イ)の「蒸気タービンが異常により自動停止した場合」の考え方については、第3項第二号ハ(イ)と同様である。
(ロ)の「運転操作に必要な遮断器」の考え方については、第3項第二号ハ(ロ)と同様である。
第8項
第8項は、内燃力発電所(第11項の規定により施設する移動用発電設備を除く。)に対して個別に求められる要件を規定している。
第一号は、随時巡回方式により施設する場合について規定している。
ロは、内燃力発電設備は調速機のみによって運転されると最大出力を超えて負荷をとることがあり、保安上危険のおそれがあるため、自動出力調整装置又は出力制限装置を施設することとしている。ここで、「自動出力調整装置」とは、燃料供給の調整により発電出力を制御する装置であり、例えば、需要家の負荷により自動的に出力を調整する装置、プログラム制御により自動運転する装置、需要家の負荷により自動的に運転・停止を行う装置又は運転台数を制御する装置等がある。一方、「出力制限装置」とは、定格以上の負荷をとることがないように調速機の開度を制限する装置を指している。
ハは、(イ)から(ル)までに掲げる異常が生じた場合に、発電機を電路から自動的に遮断し、かつ、内燃機関への燃料の流入を自動的に停止する装置を施設することとしている。
(イ)は、内燃機関の制御用調速機の動力源が喪失した場合に、制御及び停止ができなくなるおそれがあるため規定したものである。
(ロ)は、発電用火力設備に関する技術基準を定める省令第27条及び同解釈第40条で、定格出力が500kWを超える内燃機関の回転速度が定格の回転速度を超えた場合に、内燃機関を自動停止することが要求されているが、常時監視をしない内燃力発電所の場合には、500kW以下の内燃機関であっても、内燃機関を自動停止することとし、更に発電機を電路から自動的に遮断する装置を施設することとしている。
(ハ)の「発電機に過電流が生じた場合」は、第42条で発電機を電路から自動的に遮断する装置を施設することとしているが、常時監視をしない内燃力発電所の場合には、更に内燃機関への燃料の流入を自動的に停止する装置を施設することとしている。
(ホ)では、発電機の軸受の温度上昇について規定しているが、内燃機関の軸受の温度上昇については、(ニ)の潤滑油の温度上昇で検知できること及び内燃機関の軸受の温度測定が一部の大型機関を除き構造的に困難であることから規定していない。
(チ)は、制御回路の電圧が低下した場合に、制御不能となるおそれがあるため規定したものである。
(リ)の「他冷式の特別高圧用変圧器の冷却装置が故障した場合又は温度が著しく上昇した場合」については、第43条で警報装置の施設が規定されているが、随時巡回方式の場合には、発電機を電路から自動的に遮断し、かつ、内燃機関への燃料の流入を自動的に停止する装置を施設することとしている。
(ヌ)は、火災が発生した場合に、火災拡大を防ぎ被害を最小限にするためのものである。
(ル)は、燃料油面が平常運転時と比べて著しく低下する場合であって、油漏れのおそれがある場合を指している。
なお、(ロ)、(ニ)、(ヘ)及び(ト)は、発電用火力設備の技術基準の解釈第42条第1項第一号から第四号に対応するものである。
第二号は、随時監視制御方式により施設する場合について規定している。
ロは、前号ハ(イ)から(チ)までに掲げる場合又は容量が2,000kW以上の発電機の内部に故障を生じた場合に、発電機を電路から自動的に遮断し、かつ、内燃機関への燃料の流入を自動的に停止する装置を施設することとしている。なお、前号ハ(リ)及び(ヌ)については、第1項第三号ロ(イ)及び(ロ)で、前号ハ(ル)については、ハ(ハ)で技術員へ警報する装置を施設することとしている。
ハは、随時監視制御方式により施設する内燃力発電所に対して個別に求められる警報要件を規定している。
(イ)の「内燃機関が異常により自動停止した場合」の考え方については、第3項第二号ハ(イ)と同様である。
(ロ)の「運転操作に必要な遮断器」の考え方については、第3項第二号ハ(ロ)と同様である。
第三号は、遠隔常時監視制御方式により施設する場合について規定している。ハの「出力の調整を行う装置」は、ここでは広義の意味で考えており、例えば出力の調整ができない内燃力の場合には、運転台数の制御も「出力の調整を行う装置」として扱う。
ハは、内燃力発電所に対して個別に求められる装置を規定している。
第9項
第9項は、ガスタービン発電所に対して個別に求められる要件を規定している。
第一号は、随時巡回方式により施設する場合について規定している。
ロは、内燃力発電設備は調速機のみによって運転されると最大出力を超えて出力を発生することがあり、保安上危険のおそれがあるため、自動出力調整装置又は出力制限装置を施設することとしている。ここで、「自動出力調整装置」とは、燃料供給の調整により発電出力を制御する装置であり、例えば、需要家の負荷により自動的に出力を調整する装置、プログラム制御により自動運転する装置、需要家の負荷により自動的に運転・停止を行う装置又は運転台数を制御する装置等がある。一方、「出力制限装置」とは、定格以上の出力を発生しないように調速機の開度を制限する装置又はタービン入口(入口の温度の計測が困難な場合は出口)におけるガスの温度が著しく上昇しないように出力を制限する装置を指している。
ハは、(イ)から(ワ)までに掲げる異常が生じた場合に、発電機を電路から自動的に遮断するとともに、ガスタービンへの燃料の流入を自動的に停止する装置を施設することとしている。
(イ)の「電動式制御装置の電源電圧が著しく低下した場合」は、燃料制御弁を電動で駆動させるための電源電圧を指すものであって、(リ)に掲げるガスタービン発電所全体の制御回路の電圧を指すものではない。
(ロ)の「ガスタービンの回転速度が著しく上昇した場合」は、発電用火力設備に関する技術基準を定める省令第21条及び同解釈第33条で、燃料制御系の故障や出力の急激な変動によりガスタービンの回転速度が定格回転速度を超えた場合に、ガスタービンを自動停止することとしているが、常時監視をしないガスタービン発電所の場合には、更に発電機を電路から自動的に遮断することとしている。
(ハ)の「発電機に過電流を生じた場合」は、第42条で発電機を電路から自動的に遮断する装置を施設することとしているが、常時監視をしないガスタービン発電所の場合には、更にガスタービンへの燃料の流入を自動的に停止する装置を施設することとしている。
(ニ)は、給油系の故障により給油量が減少した場合又は潤滑油冷却系が故障した場合に、軸受の温度が上昇し回転部が損傷するおそれがあるため規定したものである。「軸受のメタル温度を計測する場合は、軸受のメタル温度が著しく上昇した場合でも良い。」とは、軸受のメタル温度の計測が可能な中型以上のガスタービンについては、潤滑油又はメタルの温度を停止要件とすることができることを示したものである。
(ホ)は、軸受の温度が著しく上昇した場合に回転部の焼付き又は焼鈍が生じるおそれがあるため規定しているものである。
(ヘ)は、一般に発電機は内部に故障を生じることは少ないが、2,000kVAを超えるものについては自動停止の対象としている。
(ト)で「ガスの温度が著しく上昇した場合」の原因としては、冷却系の故障、タービン動静翼の異常又は燃料制御系の故障等が考えられる。
(チ)は、潤滑油給油ポンプ又は潤滑油圧力調整弁等が故障した場合に、ガスタービンの回転部の温度が上昇して、回転部の焼付き又は焼鈍が生じるおそれがあるため規定したものである。
(リ)は、制御回路の電圧が低下した場合に、制御不能となるおそれがあるため規定したものである。
(ヌ)の「他冷式の特別高圧用変圧器の冷却装置が故障した場合又は温度が著しく上昇した場合」については、第43条で警報装置の施設が規定されているが、随時巡回方式の場合には、発電機を電路から自動的に遮断し、かつ、ガスタービンへの燃料の流入を自動的に停止する装置を施設することとしている。
(ル)は、火災が発生した場合に、火災拡大を防ぎ被害を最小限にするためのものである。
(ヲ)は、燃料油面が平常運転時と比べて著しく低下する場合であって、油漏れのおそれがある場合を指している。
(ワ)は、ガスタービンの燃焼異常又はサージングのおそれがあるため規定したものである。
第二号は、H9解釈で追加したものであり、随時監視制御方式により施設する場合について規定している。
ロは、前号ハ(イ)から(リ)までに掲げる場合に、発電機を電路から自動的に遮断し、かつ、ガスタービンへの燃料の流入を自動的に停止する装置を施設することとしている。なお、前号ハ(ヌ)及び(ル)については、第1項第三号ロ(イ)及び(ロ)で、前号ハ(ヲ)及び(ワ)については、ハ(ハ)及び(ニ)で技術員へ警報する装置を施設することとしている。
ハは、随時監視制御方式により施設するガスタービン発電所に対して個別に求められる警報要件を規定している。
(イ)の「ガスタービンが異常により自動停止した場合」の考え方については、第3項第二号ハ(イ)と同様である。
(ロ)の「運転操作に必要な遮断器」の考え方については、第3項第二号ハ(ロ)と同様である。
第三号は、H23解釈で追加したものであり、遠隔常時監視制御方式により施設する場合について規定している。ハの「出力の調整を行う装置」は、ここでは広義の意味で考えており、例えば出力の調整ができないガスタービンの場合には、運転台数の制御も「出力の調整を行う装置」として扱う。
第10項
第10項は、平成11年度技術基準適合評価委員会の審議結果に基づきH13解釈で追加されたものであり、内燃力コンバインドサイクル発電所に対して個別に求められる要件を規定している。
第一号は、内燃力コンバインドサイクル発電所は随時監視制御方式により施設することを示している。
第三号は、内燃力コンバインドサイクル発電設備は調速機のみによって運転されると最大出力を超えて出力を発生することがあり、保安上危険のおそれがあるため、自動出力調整装置又は出力制限装置を施設することとしている。ここで、「自動出力調整装置」とは、燃料供給の調整により発電出力を制御する装置である。一方、「出力制限装置」とは、定格以上の出力を発生しないように調速機の開度を制限する装置を指している。
第四号は、イからルまでに掲げる異常が生じた場合に、発電機を電路から自動的に遮断し、かつ、内燃力機関への燃料の流入及び蒸気タービンへの蒸気の流入を自動的に停止する装置を施設することとしている。
イは、内燃機関及び蒸気タービンの制御用調速機の動力源が喪失した場合に、制御及び停止ができなくなるおそれがあるため規定したものである。
ハの「発電機に過電流を生じた場合」は、第42条で発電機を電路から自動的に遮断する装置を施設することとしているが、常時監視をしない内燃力コンバインドサイクル発電所の場合には、更に内燃力機関への燃料の流入及び蒸気タービンへの蒸気の流入を自動的に停止する装置を施設することとしている。
ホでは、発電機の軸受の温度上昇について規定しているが、内燃機関の軸受の温度上昇については、ニの潤滑油の温度上昇で検知できること及び内燃機関の軸受の温度測定が一部の大型機関を除き構造的に困難であることから規定していない。
トは、一般に発電機は内部に故障を生じることは少ないが、2,000kVAを超えるものについては自動停止の対象としている。
リは、制御回路の電圧が低下した場合に、制御不能となるおそれがあるため規定したものである。
ヌ及びルは、ドラム内の水位が異常に低い場合に、空だきによる損傷のおそれがあるため、またドラム内の水位が異常に高い場合に、湿分を多く含んだ蒸気が流出しタービンを損傷させるおそれがあるため規定したものである。
第六号は、内燃力コンバインドサイクル発電所に対して個別に求められる警報要件を規定している。
イの「内燃機関又は蒸気タービンが異常により自動停止した場合」の考え方については、第3項第二号ハ(イ)と同様である。
ロの「運転操作に必要な遮断器」の考え方については、第3項第二号ハ(ロ)と同様である。
ハは、燃料油面が平常運転時に比べ著しく低下する場合であって、油漏れのおそれがある場合を指している。
第11項
第11項は、H17解釈で追加したものであり、工事現場等で臨時に使用する仮設の可搬形内燃力発電設備であって、随時巡回方式により施設するものに対して個別に求められる要件を規定している。ここで「工事現場等」としているのは、工事現場のほかにイベントなどで使用されることがあるためである。また、「発電設備」とは、「発電機その他の発電機器並びにその発電機器と一体となって発電の用に供される原動力設備及び電気設備の総合体」のことである。
第一号から第四号では、施設できる移動用発電設備について運用実績があり安全が確認されているものに限定している。
第六号は、事故が発生した場合の供給支障等の電気的な影響を当該電気使用場所に限定するため、一般送配電事業者又は配電事業者が運用する電力系統と電気的に接続することを禁止している。
第七号は、公衆保安の観点からの内容であり、取扱者以外の者とは一般公衆を対象としており、工事現場の作業員等は取扱者と同等と考えてよい。したがって、工事現場等で構内境界線全般にさく、へい等を施設し、一般公衆が立ち入らないように施設している場合には本規定を満たすものである。
第八号は、漏油発生時でも限られた燃料で発電設備が停止するように、燃料を発電設備の外部から連続供給することを禁止している。
第九号及び第十号は、常時監視をしない可搬形内燃力発電設備においては、異常が生じた場合に技術員の迅速、かつ、適切な措置を期待することができないため、保安上の観点から安全に停止することを要求している。
第九号では内燃機関を自動的に停止する必要がある場合について規定しているが、可搬形内燃力発電設備は他の電力系統に接続しておらず、内燃機関が停止することによって電力の供給も停止するため、電路から自動的に遮断することは要求していない。
イの「原動機制御用油圧、電源電圧が著しく低下した場合」は、内燃機関の出力を制御する動力が著しく低下した場合に内燃機関を自動的に停止することとしているものであるが、例えば出力を制御する動力が著しく低下した場合にスプリング等により自動的に燃料供給を停止する構造のものも本規定を満たすものである。
ロの「原動機の回転速度が著しく上昇した場合」は、発電用火力設備に関する技術基準を定める省令第27条及び同解釈第40条で、定格出力が500kWを超える内燃機関の回転速度が定格の回転速度を超えた場合に、内燃機関を自動停止することが要求されているが、常時監視をしない内燃力発電所の場合には、500kW以下の内燃機関であっても、内燃機関を自動停止することとしている。
ハの「定格出力が500kW以上の発電機の軸受の温度が著しく上昇した場合」は、発電機の軸受が内燃機関の潤滑油系統から独立した構造で滑り軸受を適用しているものは、軸受温度が著しく上昇した場合に内燃機関を自動的に停止させることを規定している。発電機軸受に転がり軸受を適用している場合には、軸受温度上昇に対して十分な信頼性があるものとして本規定の対象外とした。
ニの「原動機の冷却水の温度が著しく上昇した場合」及びホの「原動機の潤滑油の圧力が著しく低下した場合」は、内燃機関の異常であり、回転部の温度上昇によって回転部の焼付き又は焼鈍を生じるおそれがあるからである。
ヘの「発電設備に火災が発生した場合」は、可搬形内燃力発電設備の筐体内で火災が発生した場合であり、例えば火災が発生した場合の筐体内の温度上昇を冷却水温度で検知し自動停止できる構造のものも本規定を満たすものである。
第十号は、イ又はロに掲げる異常が生じた場合に、発電機を電路から自動的に遮断する装置を施設することとしている。
イは、可搬形内燃力発電設備は、作業時の使用を考慮すると無負荷でのアイドル待機が必要であることから、内燃機関を自動的に停止させることは規定していない。
ロは、発電機を複数台並列して運転する場合には、内燃機関に停止すべき異常が発生した場合に発電機を電路から遮断しなければ、停止すべき発電機がモータリング状態となることから自動的に電路から遮断する必要がある。