電気設備の技術基準の解釈の解説

第48条(常時監視をしない変電所の施設)

経済産業省の一次資料を確認(新しいタブで開く)該当頁の目安 p.81–84

〔解 説〕 情報伝送技術及び自動制御技術の進歩並びに電力用機器及び保護装置の信頼性の向上等の技術的要因を背景として、無人の変電所が設置されているが、本条は、前条と同様、技術員が当該変電所又はこれと同一の構内において常時監視をしないことができる変電所の種類と、その場合の施設条件について示している。「変電所を分割して監視する場合にあっては、その分割した部分」とは、電力系統の適切な機能分担による効率的な運用を行うため、一つの変電所を2以上の場所等から分割して監視制御することを認めたものである。これは、分割した変電所の各区分に施設する電路の使用電圧に応じて、監視制御方式をそれぞれ適用できることを示しており、また、それぞれの場所等から重複して監視制御する必要はないことを示している。なお、電気鉄道用変電所のうち鉄道営業法、軌道法又は鉄道事業法が適用され又は準用されるものは、鉄道関係法令との二重規制を避けるために第2条により本条第1項第三号から第七号の規定は適用されない。
第一号及び第二号は、常時監視をしない変電所の監視制御方式を規定したものである。
第二号イの「簡易監視制御方式」は、技術員が必要に応じて変電所に出向き、変電所の運転状態の監視及び機器の操作を行う方式である。常時監視をしない変電所の中で最も簡素な監視制御方式であり、適用範囲は変電所に施設する変圧器の使用電圧が100kV以下のものに限っている。従来は、技術員が変電所又はその構外にある技術員駐在所に常時駐在することとしていたが、情報通信技術を活用すれば、技術員が技術員駐在所に常時駐在しなくても、携帯電話等で警報を常時受信することが可能であることから、H23解釈で改正されたものである。
ロ及びハは、技術員が技術員駐在所等に常時駐在し、断続的に変電所又は変電制御所へ出向き、変電所の運転状態の監視及び機器の操作を行う方式である。これらの方式により施設される変電所は、使用電圧が高く、保安上及び系統構成上重要であるので、変電所に異常が生じた場合の迅速な対応が必要となるため、変電所又は変電制御所と技術員駐在所との距離を300m以内とすることを規定している。
ニは、技術員が変電制御所に常時駐在し、変電所の運転状態の監視と機器の操作を遠隔で行う方式である。従来は特定昇降圧変電所に限り認めていたが、S57基準で変電所機器の安全性、信頼性の向上及び通信制御技術の著しい進歩を背景として、使用電圧が170kVを超える変電所全般について認めた。
48-2表の「補助員」とは、事故時に的確に技術員へ連絡することができる者を指し、変電所の運転に必要な最小限度の知識がある者であって、変電所の管理者と責任関係が明らかとなっている者であればよい。例えば、補助員を警備員とする場合についても、委託契約によって責任関係が明確であり、最小限度の知識に係る教育が実施され、確実な連絡体制が構築されていること等が明らかであれば、補助員の条件に適合するものと判断できる。
第三号イの「運転操作に必要な遮断器」には、送配電線用の遮断器のほか、事故時の自動遮断専用に施設される遮断器であって、遮断器が動作したとき技術員が現場に出向き投入しなければならないような遮断器も含まれる。一方、保守時に母線などを切り分けるために用いられ、事故時には遮断しないようなものは、これに該当しない。また、「遮断器が自動的に再閉路した場合」は、事故とは考えないので除外している。ただし、再閉路に失敗した場合には事故が継続していることを技術員に知らせる必要があるため、警報することとしている。
ロの「電源側電路が無電圧」とは、送電線の事故又は電源側の事故により、変圧器の電源側が無電圧になることも考えられる。
ハの「制御回路の電圧」については、遠隔制御回路のほかリレー電源等も含まれる。
ニは、全屋外式の場合は火災が発生する可能性が少なく、かつ、検出が容易でないため省略を認めている。
ホは特別高圧用変圧器の温度が著しく上昇した場合に警報する装置を施設することとしており、第47条及び第47条の2の発電所の場合と異なり、自冷式の変圧器も対象としている。これは、変電所は発電所と異なり民家に接近して施設される場合があり、特に油が多く入っている変圧器については、その温度上昇に関して厳しい規制が必要と判断されたためである。ただし、最近の変圧器では温度上昇するものがまれであることを考慮して、3,000kVA以下の容量のものについては不要としている。
ヘの「冷却装置が故障した場合」とは、冷却装置用電源の喪失、電源の欠相又は冷却器各群の過負荷遮断などを考えており、ファンモーター各個のヒューズの溶断のような部分的な故障は考えていない。
トは、主に巻線などの電気的な故障について規定したものであり、水素冷却式調相機についてはチで規定している。
リは、機器内部に封入しているガスの圧力低下によって内部せん絡等の絶縁破壊が生じるおそれがある場合に限定している。
第四号は、水素冷却式調相機は機内の水素の純度が異常に低下した状態で運転を継続することは爆発の危険を伴うので、電路から調相機を自動的に遮断することを規定している。
第五号イでは、自動再閉路装置を有する高圧又は15,000V以下の特別高圧配電線路用遮断器の操作装置については、省略を認めている。これは、これらの配電線は事故時以外に操作することがほとんどなく、かつ、事故時に再閉路に失敗したときは配電線路の事故復旧に相当の時間を要するものであり、配電線の事故復旧確認後に現場で投入すればよいからである。なお、「運転操作に常時必要な遮断器」には、変電所の保守点検時の切替え操作のみに使用されるもの及び事故時の自動遮断専用に用いられる遮断器(遮断器が動作した場合に現場に技術員が出向き、回路や機器の状態を十分検討した後でなければ投入することができないもの)は含まれない。
第六号は、特定昇降圧変電所以外の使用電圧が170kVを超える変圧器を施設する変電所を遠隔常時監視制御方式により監視制御する場合は、無線、通信用ケーブル等の信頼性のある通信方式を使用した2ルート以上の遠隔監視制御用伝送路により、監視制御することとしている。これは伝送路が変電所構外にわたって施設されるため、第三者などの外部の影響を受けるおそれがあり、外部の影響を受けた場合、系統の連系機能を有する大規模な変電所にあっては、系統全体に大きな影響を与えるおそれがあるためである。別経路とすることが困難な場所では、例えば、解説48.1図に示すように伝送路の構成要素をそれぞれ独立して構成することで別経路とみなすことができるが、そのような場合には、第三者等により同時に損傷を受けないよう施設方法に配慮する必要がある。
解説48.1図
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第七号は、常時監視をしない電気鉄道用変電所に対する追加規定である。大半の電気鉄道用変電所は鉄道営業法、軌道法、鉄道事業法が適用され又は準用され、このような国土交通省によって規制される変電所については二重規制を避ける目的で、第2条において本条の第三号から第七号の規定は適用されないことを示している。従って、上記の法律の及ばない車両工場や鉱山などの電気鉄道用変電所は本条の規定が適用される。
イは、第四号に掲げる装置のほか、主要変成機器、例えば半導体整流器又はこれらの付属変圧器に異常を生じた場合に、ただし書の場合を除き、電路からこれを自動的に遮断する装置を施設することとしている。
ロは、第五号に掲げる装置のほか、主要変成機器の運転及び停止を操作及び監視する装置を施設することとしている。

公式資料該当頁: p.81–84

令和7年11月20日改正

出典: 「電気設備の技術基準の解釈の解説」(経済産業省)を加工して作成

※ 本ページは公式資料そのものではありません。