電気設備の技術基準の解釈の解説
第47条(常時監視と同等な監視を確実に行える発電所の施設)
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第1項
〔解 説〕 省令第46条第1項において、一定規模等高リスクな発電所について原則常時監視(制御を含む。以下同じ。)しない発電所は施設してはならないと規定しているところ、ただし書において、当該発電所又は発電所と同一の構内において行う常時監視と同等な監視を確実に行える発電所については、異常が生じた場合に安全かつ確実に停止(発電設備を安定的に保つために操作等を行う制御を含む。以下この条において同じ。)する措置を講じることができる場合に限り、例外的に常時監視を不要としている。これは、近年、IoT技術等の進展や活用により、一定の留意事項の下であれば、異常時の制御・停止等の安全確保も含めた発電所構外からの常時監視・制御の遠隔化は可能であることが産業構造審議会保安・消費生活用製品安全分科会電力安全小委員会(第24回)においても認められたもの。
発電所構外から遠隔常時監視・制御する発電所においては、異常が生じた場合に、当該発電所における技術員の迅速、かつ、適切な措置を期待することができないため、保安上の観点から、発電所又はこれと同一の構内で常時監視をする発電所よりも安全かつ確実に停止することができるよう機器の保護装置等を強化する必要がある。
また、電気事業用の発電所については、電気事業法第48条第1項によって経済産業大臣に工事計画を届け出る場合に、「その事業用電気工作物が電気の円滑な供給を確保するため技術上適切なものであること。」が工事開始の条件の一つであることから、保安上の観点のみならず、電力供給の確保という観点からも規定したものである。
なお、発電所又は発電所と同一の構内において行う常時監視と同等な監視を確実に行える発電所として、発電所構外から遠隔常時監視・制御可能な発電所は、本条の適用のほか、当該発電所の遠隔常時監視・制御の導入を予定している発電事業者向けに、導入に当たっての要件や留意点を概説した「汽力及び大型ガスタービン発電所における遠隔常時監視制御導入の手引き」(以下、本条において「手引き」という。)を参照して施設していただくことが重要である。「手引き」については、産業構造審議会保安・消費生活用製品安全分科会電力安全小委員会電気保安制度ワーキンググループにおいてもその重要性・有用性が認められている。
第一号では、発電所又は発電所と同一の構内において行う常時監視をしないことのできる発電所として、汽力発電所(地熱発電所を除く。この条において以下同じ。)及び出力10,000kW以上のガスタービン発電所について規定している。
第二号の「遠隔常時監視制御方式」は、技術員が発電制御所に常時駐在し、発電所の運転状態の監視又は制御を遠隔で行う方式である。ロは、発電所の異常等を発電制御所に警報する項目を示している。
ハは、発電制御所に施設する必要がある装置を示しており、(イ)及び(ロ)において各発電方式共通の項目を規定している。なお、各発電方式個別の項目については、第3項及び第4項の規定によることを、(ハ)で示している。
(イ)の「運転」には、起動から並列投入、出力の発生までが含まれており、例えば、発電機の並列用遮断器等も含まれる。
(ロ)は、運転操作に常時必要な遮断器の監視装置及び操作装置の施設を求めている。ここで、使用電圧が100,000Vを超える変圧器を施設する発電所に限っているのは、常時監視をしない変電所の施設条件(→第48条第五号)との整合を図るためである。また、自動再閉路装置を有する高圧配電線又は15,000V以下の特別高圧配電線(主に第108条に示している特別高圧配電線)用遮断器の操作装置については省略することを認めている。これは、これらの配電線は事故時以外に操作することがほとんどなく、かつ、事故時に再閉路を失敗したときは配電線路の事故復旧に相当の時間を要するものであり、配電線の事故復旧確認後に現場で再投入すればよいからである。
「運転操作に常時必要な遮断器」には、発電所の保守点検時の切替え操作のみに使用されるもの及び事故時の自動遮断専用に用いられる遮断器(遮断器が動作した場合に現場に技術員が出向き、回路や機器の状態を十分検討した後でなければ投入することができないもの)は含まれない。
第2項
第2項は、発電所構内から直接配電する場合の電路の遮断器及び変電設備、開閉設備等を電力系統の適切な機能分割による効率的な運用を行うため、発電設備と分割して監視又は制御できることを示している。
第3項
第3項は、汽力発電所(地熱発電所を除く。)に対して個別に求められる要件を規定している。
第二号の発電設備は調速機のみによって運転されると最大出力を超えて出力を発生することがあり、保安上危険のおそれがあるため、自動出力調整装置又は出力制限装置を施設することとしている。ここで、「自動出力調整装置」とは、燃料供給の調整により発電出力を制御する装置であり、例えば、需要家の負荷により自動的に出力を調整する装置、プログラム制御により自動運転する装置、需要家の負荷により自動的に運転・停止を行う装置又は運転台数を制御する装置等がある。一方、「出力制限装置」とは、タービン入口(入口の温度の計測が困難な場合は出口)における蒸気の温度が著しく上昇しないように出力を制限する装置を指している。
第三号は、イからヌまでに掲げる異常が生じた場合に、発電機を電路から自動的に遮断し、かつ、蒸気タービンへの蒸気の流入を自動的に停止する装置を施設することとしている。
ロの「蒸気タービンの回転速度が著しく上昇した場合」は、発電用火力設備に関する技術基準を定める省令第15条及び同解釈第25条で、蒸気タービンが定格回転速度を超えた場合に、蒸気タービンを自動停止することとしているが、常時監視をしない発電所の場合には、更に発電機を電路から自動的に遮断することとしている。
ハの「発電機に過電流を生じた場合」は、第42条で発電機を電路から自動的に遮断する装置を施設することとしているが、常時監視をしない発電所の場合には、更に蒸気タービンへの蒸気の流入を自動的に停止する装置を施設することとしている。
ニは、給油系の故障により給油量が減少した場合又は潤滑油冷却系が故障した場合に、軸受の温度が上昇し回転部が損傷するおそれがあるため規定したものである。「軸受のメタル温度を計測する場合は、軸受のメタル温度が著しく上昇した場合でも良い。」とは、軸受のメタル温度の計測が可能な蒸気タービンについては、潤滑油又はメタルの温度を停止要件とすることができることを示したものである。
ホは、軸受の温度が著しく上昇した場合に回転部の焼付き又は焼鈍が生じるおそれがあるため規定しているものである。
ヘは、一般に発電機は内部に故障を生じることは少ないが、2,000kVAを超えるものについては自動停止の対象としている。
チは、制御回路の電圧が低下した場合に、制御不能となるおそれがあるため規定したものである。
リ及びヌは、ドラム内の水位が異常に低い場合に、空だきによる損傷のおそれがあるため、またドラム内の水位が異常に高い場合に、湿分を多く含んだ蒸気が流出しタービンを損傷させるおそれがあるため規定したものである。
第四号は、汽力発電所に対して個別に求められる警報要件を規定している。
イの「蒸気タービンが異常により自動停止した場合」の考え方については、第三号の条件により自動停止する場合だけでなく、その他の原因で自動停止した場合も含まれる。ただし、プログラム制御などの人為的に設定した条件により自動的に停止させる場合は含まれない。
ロの「運転操作に必要な遮断器」の考え方については、運転停止用、電路操作用などの発電機の遮断器及び送配電線用の遮断器のほか、事故時の自動遮断専用に施設される遮断器であって、遮断器が動作したとき技術員が現場に出向き投入しなければならないような遮断器も含まれる。一方、発電機の遮断器であって、並列用のものと保護用のものが2台直列に施設されている場合における並列用のもの及び母線などに施設される遮断器であって、保守時に母線などを切り分けるために用いられ、事故時には遮断しないようなものは、これに該当しない。「当該遮断器の遮断により蒸気タービンが自動停止するものを除く。」としているのは、警報を必要とする遮断器を明確にするためである。例えば、所内電源用の遮断器が異常により自動遮断することで、圧油装置のポンプが停止し、油圧低下で蒸気タービンが自動停止する場合には、「蒸気タービンの自動停止」及び「遮断器の自動遮断」で重複して警報する必要はなく、「蒸気タービンの自動停止」による警報のみで十分である。また、「遮断器が自動的に再閉路した場合」は、事故とは考えないので除外している。
第五号の「出力の調整を行う装置」は、ここでは広義の意味で考えており、例えば発電機単位の出力調整ができない発電所では、運転台数の制御も「出力の調整を行う装置」として扱う。
第六号には、第三号から第五号までのリスク及び措置に加え、遠隔監視・制御における固有のリスクである発電所と制御所等との通信途絶、制御所等の停電等遠隔制御不能の異常が発生したとしても、異常の拡大防止の措置とともに、安全かつ確実に発電所を制御又は停止できる措置を求めている。
第4項
第4項は、ガスタービン発電所に対して個別に求められる要件を規定している。
第二号は、発電設備 は調速機のみによって運転されると最大出力を超えて出力を発生することがあり、保安上危険のおそれがあるため、自動出力調整装置又は出力制限装置を施設することとしている。ここで、「自動出力調整装置」とは、燃料供給の調整により発電出力を制御する装置であり、例えば、需要家の負荷により自動的に出力を調整する装置、プログラム制御により自動運転する装置、需要家の負荷により自動的に運転・停止を行う装置又は運転台数を制御する装置等がある。一方、「出力制限装置」とは、定格以上の出力を発生しないように調速機の開度を制限する装置又はタービン入口(入口の温度の計測が困難な場合は出口)におけるガスの温度が著しく上昇しないように出力を制限する装置を指している。
第三号は、イからリまでに掲げる異常が生じた場合に、発電機を電路から自動的に遮断するとともに、ガスタービンへの燃料の流入を自動的に停止する装置を施設することとしている。
イの「電動式制御装置の電源電圧が著しく低下した場合」は、燃料制御弁を電動で駆動させるための電源電圧を指すものであって、リに掲げるガスタービン発電所全体の制御回路の電圧を指すものではない。
ロの「ガスタービンの回転速度が著しく上昇した場合」は、発電用火力設備に関する技術基準を定める省令第21条及び同解釈第33条で、燃料制御系の故障や出力の急激な変動によりガスタービンの回転速度が定格回転速度を超えた場合に、ガスタービンを自動停止することとしているが、常時監視をしないガスタービン発電所の場合には、更に発電機を電路から自動的に遮断することとしている。
ハの「発電機に過電流を生じた場合」は、第42条で発電機を電路から自動的に遮断する装置を施設することとしているが、常時監視をしないガスタービン発電所の場合には、更にガスタービンへの燃料の流入を自動的に停止する装置を施設することとしている。
ニは、給油系の故障により給油量が減少した場合又は潤滑油冷却系が故障した場合に、軸受の温度が上昇し回転部が損傷するおそれがあるため規定したものである。「軸受のメタル温度を計測する場合は、軸受のメタル温度が著しく上昇した場合でも良い。」とは、軸受のメタル温度の計測が可能なガスタービンについては、潤滑油又はメタルの温度を停止要件とすることができることを示したものである。
ホは、軸受の温度が著しく上昇した場合に回転部の焼付き又は焼鈍が生じるおそれがあるため規定しているものである。
ヘは、一般に発電機は内部に故障を生じることは少ないと想定されるものの、2,000kVAを超えるものについては自動停止の対象としている。
トで「ガスの温度が著しく上昇した場合」の原因としては、冷却系の故障、タービン動静翼の異常又は燃料制御系の故障等が考えられる。
チは、潤滑油給油ポンプ又は潤滑油圧力調整弁等が故障した場合に、ガスタービンの回転部の温度が上昇して、回転部の焼付き又は焼鈍が生じるおそれがあるため規定したものである。
リは、制御回路の電圧が低下した場合に、制御不能となるおそれがあるため規定したものである。
第四号は、ガスタービン発電所に対して個別に求められる警報要件を規定している。
イの「ガスタービンが異常により自動停止した場合」の考え方については、前項第四号ロと同様である。
ロの「運転操作に必要な遮断器」の考え方については、前項第四号ロと同様である。
第五号の「出力の調整を行う装置」は、ここでは広義の意味で考えており、例えば出力の調整ができないガスタービンの場合には、運転台数の制御も「出力の調整を行う装置」として扱う。
第六号には、第三号から第五号までのリスク及び措置に加え、遠隔監視・制御における固有のリスクである発電所と制御所等との通信途絶、制御所等の停電等遠隔制御不能の異常が発生したとしても、異常の拡大防止の措置とともに、安全かつ確実に発電所を制御又は停止できる措置を求めている。