電気設備の技術基準の解釈の解説
第47条の3(常時監視をしない蓄電所の施設)
経済産業省の一次資料を確認(新しいタブで開く)該当頁の目安 p.79–81
〔解 説〕 情報伝送技術及び自動制御技術の進歩並びに電力用機器及び保護装置の信頼性の向上等の技術的要因を背景として、無人の蓄電所が設置されているが、本条は、前条と同様、技術員が当該蓄電所又はこれと同一の構内において常時監視をしないことができる蓄電所の種類と、その場合の施設条件について示している。
常時監視をしない蓄電所においては、異常が生じた場合に、技術員の迅速、かつ、適切な措置を期待することができないため、保安上の観点から、常時監視をする蓄電所よりも安全に停止するよう機器の保護装置等を強化する必要がある。
第一号の「随時巡回方式」は、常時監視をしない蓄電所の中で最も簡素な監視方式であり、イにおいて、技術員が適当な間隔をおいて蓄電所を巡回し、運転状態の把握を行うものであることを示している。また、「適当な間隔をおいて蓄電所を巡回」とは、蓄電所の機器の運転状態に拘束されず、技術員が平常勤務している場所から適当な間隔をおいてその蓄電所へ出向いて、運転状態等を監視することを指している。また、この時に同時に点検又は保守を行うことも考えられる。
ロは、随時巡回方式の適用条件を示したものである。随時巡回方式では、事故等により蓄電所が停止しても技術員へ警報されず、次回の巡回まで停止状態となるため、ロ(イ)及び(ロ)に適合する蓄電所、すなわち「電気の供給に支障を及ぼさない」蓄電所に限り、同方式を適用できるものとしている。
(イ)は、蓄電所に異常が生じた場合に、電力会社から供給を受ける需要家が停電しないことを求めている。
(ロ)は、蓄電所の運転又は停止により、電力系統の電圧及び周波数の維持に支障を及ぼさないことを求めている。
これは、電気の供給支障だけでなく、蓄電所の運転又は停止により、需要家へ供給する電気の質が低下する場合も考慮する必要があるためであり、例えば、蓄電所の運転又は停止により当該蓄電所付近に接続された需要家の電圧又は当該蓄電所が接続されている電力系統の周波数が変動するものは、(ロ)の条件に適合しない。
ここで「電圧及び周波数の維持」とは、需要家の受電点において電気事業法施行規則第44条の電圧及び周波数の値(電圧にあっては101±6V、202±20V、周波数にあっては標準周波数)を指している。なお、系統周波数の著しい低下は、他の蓄電所の電力系統からの分離に結び付く場合もあるため、離島等において、蓄電所の容量と当該蓄電所を連系する電力系統の電力容量とを比較して影響が小さくない場合には、その取扱いに十分注意する必要がある。
ハで、随時巡回方式の適用範囲を蓄電所に施設する変圧器の使用電圧が170,000V以下のものに限定しているのは、常時監視をしない変電所の施設条件(→第48条第一号)と整合を図るためである。
ニの「他冷式の特別高圧用変圧器の冷却装置が故障した場合又は温度が著しく上昇した場合」については、第43条で警報装置の施設が規定されているが、随時巡回方式の場合には、逆変換装置の運転を自動停止する装置を施設することとしている。
第二号の「随時監視制御方式」は、技術員へ蓄電所の異常等を警報する装置を施設し、技術員が警報受信時その他必要に応じて蓄電所に出向き、蓄電所の監視及び機器の操作等を行う方式である。
ロは、蓄電所の異常等を技術員に警報する項目を示しており、(イ)から(ハ)において規定している。
(イ)は、蓄電所内で火災が発生した場合は、早急に消火体制を整えるための連絡及び蓄電所内での必要な措置がとれるように、火災報知器を設けることを示している。
(ロ)の冷却装置の故障については、冷却装置用電源の喪失、電源の欠相又は冷却器各群の過負荷遮断などを考えており、ファンモーター各個のヒューズの溶断のような部分的な故障は考えていない。
(ハ)の「ガス絶縁機器の絶縁ガスの圧力が著しく低下した場合」は、機器内部に封入してあるガスの圧力低下により内部せん絡等の絶縁破壊を生じるおそれがある場合に限定している。
(ホ)の「運転操作に必要な遮断器」には、逆変換装置の連系用の遮断器、送配電用の遮断器及び事故時の自動遮断専用に施設される遮断器であって、遮断器が動作したとき技術員が現場に出向き投入しなければならないような遮断器も含まれる。一方、電力貯蔵装置の遮断器であって、並列用のものと保護用のものが2台直列に施設されている場合における並列用のもの及び母線などに施設される遮断器であって、保守時に母線などを切り分けるために用いられ、事故時には遮断しないようなものは、これに該当しない。「当該遮断器の遮断により逆変換装置の運転が自動停止するものを除く。」としているのは、警報を必要とする遮断器を明確にするためのものであり、考え方は第48条の2第3項第二号ハ(ロ)と同様である。
ハは、蓄電所出力が2,000kW未満の場合にあっては、技術員に報知する警報を連絡補助員に報知する警報とすることが認められることを示している。ここで「補助員」とは、蓄電所の運転に必要な最小限度の知識がある者であって、蓄電所の管理者との責任関係が明らかとなっている者であればよい。例えば、補助員を警備員とする場合についても、委託契約によって責任関係が明確であり、最小限度の知識に係る教育が実施され、確実な連絡体制が構築されていること等が明らかであれば、補助員の条件に適合するものと判断できる。
ニでは、随時監視制御方式の適用範囲を蓄電所に施設する変圧器の使用電圧が170,000V以下のものに限定している。
これは、常時監視をしない変電所の施設条件(→第48条第一号)と整合を図るためである。
第三号の「遠隔常時監視制御方式」は、技術員が蓄電制御所に常時駐在し、蓄電所の運転状態の監視及び制御を遠隔で行う方式である。
ロは、蓄電所の異常等を蓄電制御所に警報する項目を示しており、その考え方は第二号ロと同様である。
ハは、蓄電制御所に施設する必要がある装置を示している。
(イ)の「運転」には、起動から並列投入、出力の発生までが含まれており、例えば、電力貯蔵装置の並列用遮断器等も含まれる。
(ロ)は、運転操作に常時必要な遮断器の監視装置及び操作装置の施設を求めている。ここで、使用電圧が100,000Vを超える変圧器を施設する蓄電所に限っているのは、常時監視をしない変電所の施設条件(→第48条第五号)との整合を図るためである。また、自動再閉路装置を有する高圧配電線又は15,000V以下の特別高圧配電線(主に第108条に示している特別高圧配電線)用遮断器の操作装置については省略することを認めている。これは、これらの配電線は事故時以外に操作することがほとんどなく、かつ、事故時に再閉路を失敗したときは配電線路の事故復旧に相当の時間を要するものであり、配電線の事故復旧確認後に現場で再投入すればよいからである。
「運転操作に常時必要な遮断器」には、蓄電所の保守点検時の切替え操作のみに使用されるもの及び事故時の自動遮断専用に用いられる遮断器(遮断器が動作した場合に現場に技術員が出向き、回路や機器の状態を十分検討した後でなければ投入することができないもの)は含まれない。