電気設備の技術基準の解釈の解説
第40条(ガス絶縁機器等の圧力容器の施設)
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〔解 説〕 一般の高圧ガスについては、高圧ガス保安法(昭和26年法律第204号)及び労働安全衛生法(昭和47年法律第57号)に基づくボイラー及び圧力容器安全規則(昭和47年労働省令第33号)により取り締まられるが、電気工作物としての高圧ガスについては、高圧ガス保安法においては、同法第3条第1項第六号及び同施行令第2条第2項で「発電、変電又は送電のために設置する電気工作物並びに電気の使用のために設置する変圧器、リアクトル、開閉器及び自動しゃ断器であってガスを圧縮、液化その他の方法で処理するもの」は同法による適用を除外され、またボイラー及び圧力容器安全規則においては、同規則第125条第一号に基づく電気事業法の適用を受けるボイラー及び圧力容器は同規則の認可、検査及び報告を要しないことになっている。
第1項
第1項は、発蓄変電所等に施設されるガス絶縁機器について、圧力容器としての保安の確保及び絶縁耐力の維持の観点から規定している。圧縮絶縁ガスを使用した機器としては、主にSF6ガスを絶縁ガスとして使用した母線及び開閉器類があり、これによるコンパクト変電所の建設が主流となっている関係から、空気圧縮装置の全面準用をS47基準以降独立して示したものである。
第一号は、ガス絶縁機器の耐圧試験について、最高使用圧力の1.5倍の水圧に耐えることとしている。なお、大形圧力容器などであって、構造上水を満たすことに適さないものについては、水圧の代わりに気圧で試験を行うこととしており、この場合の試験圧力は最大使用圧力の1.25倍でよいこととしている(日本産業規格 JIS B 8265(2010)の「8.5 耐圧試験」参照)。変圧器の窒素ガス封入装置等のガスは、絶縁のためではなく変圧器の絶縁油に水分が混入し、劣化するのを防止するために使用されるものであり、低圧力で保安上特に問題がないことから、使用圧力が100kPa以下であるものについては本号の対象範囲から外した。なお、SF6ガス絶縁開閉装置等の圧力は、一般に500kPa~2MPaである。
また、「圧力を受ける部分であって外気に接する部分」としたのは、異常圧力上昇による破裂を想定した場合の外部への影響のみを示せば足ると判断したためである。
ただし書は、ガス圧縮機に接続して使用しない封じきりのガス絶縁機器は、使用圧力が500kPa程度と低圧であること、圧力変化が少ないこと、エネルギーの供給もなく安定した状態で使用していること、さらに通常の運転時内部事故等において最高使用圧力で変形しない設計・構造であれば、事故時の内圧上昇で破損するおそれが無いことが、電気協同研究「ガス絶縁開閉装置仕様・保守基準」(第52巻第1号)で確認されていることから、最高使用圧力の1.25倍の水圧試験でもよいこととしている。
第二号は、ガス圧縮機を有するものにあっては、制御回路等の故障による圧縮機の連続運転等により圧力が異常に上昇するおそれがあるので、その危険を防止するために安全弁を設置することを示している。ガス圧縮機を有しないものについては、個々に圧力上昇による危険の有無を検討し、判断している。
なお、ガス絶縁機器の圧力を受ける部分の材料の種類、材料の許容応力、構造等の規格については特に示していないが、今後も保安上の検討を十分に行う必要がある。
第三号は、封入ガスの圧力低下は、内部せん絡等の原因となり、他に危険を及ぼすおそれ及び電力の供給支障を生じるおそれがあることから、圧力の低下を警報する装置又は絶縁ガスの圧力を計測する装置を設けることとしている。
第四号は、絶縁ガスの化学的性質を示したもので、可燃性及び有毒性のものでないこととしたのは、万一運転時や取扱い時にガス絶縁機器からガスが漏れた場合でも災害を発生させないためである。
第2項
第2項は、電力系統において最も重要な地位を占める遮断器及び開閉器について、その保安及び機能の確保という面から開閉器及び遮断器の操作用及び消弧用に使用する高圧ガス設備のうち圧縮空気装置について規定している。
第一号は、耐圧試験について示したもので、前項第一号と同様である。
第二号イは、圧縮空気装置の空気タンクの規格を示している。日本産業規格 JIS B 8265(2010)「圧力容器の構造-一般事項」は、圧力容器関連4法(高圧ガス保安法、電気事業法、ガス事業法及び労働安全衛生法)における技術基準(省令、告示など)の整合を図り、各技術基準における共通事項を一般事項として規定しているため、空気タンクの材料、材料の許容応力及び構造は、同JISに準じることとした。R4解釈より、民間規格評価機関として日本電気技術規格委員会に承認された規格リストと関連づけられ、当該機関の公開ページにて掲載されている。
ロは、最低限のタンク容量を示したものである。なお、JECでは圧縮空気操作による遮断器については、最低2回連続して開閉し得るタンク容量を確保することとしている。ただし、再閉路等を行うものについては、当然その機能を果たし得るだけの容量を持つ必要がある。「連続して」というのは、空気圧縮機からの空気の補給は管の太さ等により制約を受けるため、一度動作すると圧力が低下するが、そのような状態であってもすぐに次の動作を行えることを意味している。
ハは、外面のさび止め塗装について示したもので、ステンレス鋼など耐食性材料を使用したものや、亜鉛めっきを施したものは、さび止め塗装と同等以上の効果があり、その必要がない。
第三号は、圧縮空気を通じる管について示したもので、管の準拠規格、材料、材料の許容引張応力は、JIS B 8265(2010)「圧力容器の構造-一般事項」の付表B.1及び付表B.3に示されている。
第四号は、タンクや管の内部に圧力が働いているような場合には、破裂の原因となり得るので、これを防止するためのものである。
第五号は、圧力が異常に上昇した場合の危険を防止するために安全弁を施設することとしているが、圧力が1MPa未満の場合は、異常な圧力の上昇を抑制できる装置があれば、安全弁の施設を省略することができる。
通常、安全弁は圧力が変化する段階ごとに、例えば、空気圧縮機の冷却器、主空気タンク、減圧弁の後などにそれぞれ設けられているのであって、「圧縮空気を通じる管のこれに近接する箇所」とは、補助空気タンクの場合のように安全弁が補助空気タンクにはなく、圧縮空気を通じる管に取り付けた減圧弁の後にある場合などを指している。
第六号は、常に圧力を規定値に保つように示したもので、空気の圧力が低下すると、遮断器又は開閉器の機能が損なわれるおそれがあることから、圧力の低下に応じ自動的に空気圧縮機を作動させることとしている。一般には、規定の圧力に対して上下200kPa程度の幅をもたせている。
第七号は、主空気タンク又はこれに近接する箇所には、圧力計を施設することとしている。圧力計の最高目盛を規定しているのは、使用最大圧力以上の圧力が生じた場合でも測定可能なものであり、かつ、使用圧力付近において計器誤差が小さく、圧力を確認できるものであることを示している。
なお、従来は圧力計の取付け位置を主空気タンクにしていたが、日本産業規格 JIS B 8243(1981)「圧力容器の構造」(1993廃止)に準じ、S61基準で、主空気タンクに近接する箇所であって、空気タンクの圧力が測定できる場合には、主空気タンクでなくてもよいこととした。また、日本電気技術規格委員会規格 JESC E0003(2000)「発変電規程」((社)日本電気協会電気技術規定 JEAC5001-2000)には、圧力計の取付け位置について具体的に示しているので参照されたい。
第3項
第3項は、圧力容器の低温使用限界を示したものである。
日本産業規格 JIS B 8265(2010)「圧力容器の構造-一般事項」では、低温使用限界は各強制法規における技術基準などで別途定める規定によることとされている。これを受けて、従来引用していた日本産業規格 JIS B 8243(1969)「火なし圧力容器の構造」(1993年廃止)の「2.1 材料一般」に準じ、H19解釈で低温使用限界を-30℃と規定した。