電気設備の技術基準の解釈の解説
第41条(水素冷却式発電機等の施設)
経済産業省の一次資料を確認(新しいタブで開く)該当頁の目安 p.63–64
〔解 説〕 本条は、水素冷却式の発電機、調相機又はこれらに付属する水素冷却装置の気密構造や強度あるいは水素の純度、圧力、温度等の計測装置や警報装置等について規定している。
第一号は、管、弁等は単に耐圧強度があるだけでなく、水素と空気の混入の危険を避けるため気密構造であることを示している。
第二号は、配管の強度を規定している。
第三号は、水素冷却式の発電機又は調相機が気密構造のものであり、かつ、たとえ内部に空気が混入し爆発を起こした場合にも、その際に生じる圧力に耐える強度を有するものであることを示している。
一般に水素は純度50~70%が爆発可能領域といわれており、ガス圧が100kPaの場合の理論上の爆発上限圧力は700kPaである。ガス圧が高くなればその絶対圧力に比例して爆発圧力も高くなるが、実際には運転中は純度を90%程度以上に保つようにしており、またガス圧が高くなれば空気の混入の機会は少なく、危険度は急速に減少するため、爆発の危険はガスの入替え等大気圧の際において最も多いことになる。
なお、実際に爆発した際の爆発圧力は、熱が吸収されること等によりかなり低減するもので、このことは実験でも確かめられている。工場において強度を確認する場合は、このことや歪み等を考慮して400kPa程度の圧力で試験を行い、各部の歪みの大きさ及び異常の有無を調べ、設計資料を勘案してその強度を確認している。
第四号は、空気の混入又は水素の漏えいを防ぐため、外部空気に接する部分で強度的に弱い部分については、特に注意して施設することを示している。
第五号は、発電機の軸封部が損傷し、機内の水素が漏えい、発火し、発電所の火災となることを防止するため、軸封部に窒素ガスを封入する装置又は軸封部から漏えいした水素を安全に外部に放出する装置(→第六号の解説)を設けることとしている。なお、窒素封入装置の窒素の量は、少なくとも第六号の装置により、機内の水素が外部に放出され、軸封部から漏れるおそれがなくなるまで連続して窒素ガスを供給できる量が必要である。
第六号で、「安全に導入する」や「安全に外部に放出する」とは、外部に放出する際にガス溜りができて危険とならないように配慮すること、水素ガスの入替えの際にガスの置換を円滑に、かつ、危険なく行えるように特に配慮すること、また、外部に放出する際にガスの置換を急速に、かつ、危険なく行えるように配慮するということである。
第七号は、何らかの理由で水素の純度が低下した場合の安全を確保するために、前述のように爆発可能範囲の上限70%に余裕をもたせて、少なくとも85%に低下した場合には警報を出すことを示している。通常、警報動作の設定値は、85~90%になっている。
第八号は、発電機又は調相機内の水素の圧力の変化は、冷却効果に影響を及ぼすので、運転中に水素の圧力を監視するための圧力計測装置、及びその圧力が著しく変動した場合にこれを警報する装置を設けることとしている。例えば、警報動作の設定値は規定圧力の80~120%に設定される。
第九号は、機内の水素の温度計測装置を設け、冷却系の異常の有無等を監視できるようにすることを示している。
第十号は、省令第35条第四号に規定する「発電機内からの水素の外部への放出が安全にできるものであること」の解釈として、その火災発生防止対策の実施を確実にするため、明確に規定したものであり、(社)日本電気協会で策定された「発電用蒸気タービン及び発電機の防火対策規程」(JEAC 3718-1991)の水素ガス放出管の火災発生防止対策の内容とほぼ同一の内容である。
イの「考慮して施設する」とは、放出管から急激に空気を排出することによりさび等の異物を排出すること及び雨水の配管内への浸入を防止すること等により、水素放出時に帯電する可能性のあるさび等の異物及び水分の滞留を可能な限り低減できるよう施設することを規定したものである。