電気設備の技術基準の解釈の解説

第210条(排流接続)

経済産業省の一次資料を確認(新しいタブで開く)該当頁の目安 p.306–309

〔解 説〕 本条では、金属製地中管路に対する電食を防止するため、帰線と金属製地中管路とを電気的に接続する場合の施設方法(排流接続)について、電食防止研究委員会の検討に基づいて規定したものである。
第1項本文においては、直流帰線にによる必要な電食防止措置を行うことを前提として、これらの施設を行ってもなお、金属製地中管路に対し電食による障害を及ぼすおそれがある場合において、次の各号により施設する場合に、直流帰線と地中管路とを接続することを認めている。
排流法には解説210.1図に示すように、選択排流法、強制排流法、直接排流法がある。なお、選択排流法では、レールの対地電圧の正値が大きく、レール付近で金属製地中管路に電流が流入し、それがレールから遠く離れた地域で流出することによって電食を起こすような場合には電食の発生を防止できない。また、直接排流法は金属製地中管路とレールを直接導線で接続するため、レール対地電圧が正の場合には、レールから金属製地中管路に電流が流れ、金属製地中管路の電食を促進するおそれがあるため、日本国内では使用されていない。
解説210.1図
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第一号では、排流接続に使用する排流器の具備すべき要件について示している。
イでは、帰線から排流線を経て金属製地中管路に通ずる電流を阻止することは、排流器の基本的な機能であり、逆耐電圧が十分高く、逆流電流がなるべく少ないものを使用する必要がある。強制排流器の場合は、直流電源装置が入っているので逆流を起こし難いが、帰線と金属製地中管路との間の電位差が電源装置の出力電圧以上になることもあるので、この際にも逆流を起こさない構造とする必要がある。
ロでは、電車の運転ダイヤの変更又は電車線の地絡事故時等には、排流器の容量を超過する過大な排流電流又はレールからの逆流が排流回路に流入するおそれがある。これらの過大電流から排流線及び排流器を保護するため排流回路に適当な過電流遮断器(一般には排流器内にヒューズを挿入している。)を施設する必要があることを示している。また、ヒューズを取り付ける場合、ヒューズの取付け部が通過電流によって過熱する事故が多いので、ヒューズの取付け部の接触面積を十分に大きくとる必要がある。なお、排流器に取り付けるヒューズの定格としては、排流器の連続定格容量の2倍程度のものを一般に使用している。
ハは、排流回路には、レールの電圧が印加され、また、強制排流器の場合には1次側に交流電源もあるので、排流器の絶縁不良による人や家畜に対する危険を防止するために設けられた規定である。
ニ(イ)において単巻変圧器の使用を禁じ絶縁変圧器の使用を規定しているのは、2次側がレール及び金属製地中管路と接続されるので、1次側との回路が構成され排流電流が流れるのを防止するためである。
(ロ)において1次側電路に開閉器及び過電流遮断器を設けることを規定しているのは、点検時及び事故時等に容易に電路を区分できるようにするためである。
第二号は、他の金属製地中管路等に対する電食作用による障害について規定している。排流接続を行うと電鉄帰線からの漏えい電流が増加するとともに、帰線及び金属製地中管路の電位を変化させ、帰線用レール及び付近の金属製地中管路の電食を増加させることがある。したがって、排流法を採用する場合は、それによる障害を著しく増加するおそれのないように排流電流を可能な限り少なくする必要がある。対策としては、排流回路に制限抵抗を入れ排流電流を制限する方法と、付近の金属製地中管路を電気的に接続し共同排流を行う方法などがある。
この場合、付近の他の金属製地中管路に対してどの程度まで電食を増進させたときに排流電流を制限する必要があるか又は共同排流を行う必要があるかを定量的に規定することは困難である(電食の程度を正確に測定する器具が不完全であること、電食の被害物件の経済的重要度により許容される電食の被害の程度が異なってくること等による。)。したがって、現状では、東京、中部、関西、中国及び新潟地区で組織されている電食防止対策委員会のような組織により関係者が協同調査を行い、その資料を技術的に正確に判断し、関係者相互の協力と理解により適切な対策を実施するのが妥当であると考えられる。なお、弱電流電線路と地中電線路との共同排流については、により両者を離隔することとなっているので、注意を要する。
第三号は、排流線を帰線に接続すると、帰線は接続点において接地された状態となり、帰線の電位分布及び帰線を信号回路に使用している信号保安装置の機能に影響を及ぼすことになるため設けられた規定である。
「帰線の電位分布を著しく悪化させる」というのは、多数の絶縁帰線を設けて等電位法を採用している変電所の負極母線に排流線を直接接続すると、絶縁帰線の電流を減少させ、帰線内の最大電位差を増大させ、帰線電位を上昇させること等をいい、このような場合には、排流電流を制限し又はいくつかの負き電点に分けて排流する必要がある。
信号保安装置の機能に障害を及ぼさないようにするためには、不平衡電流を防止することが必要であり、帰線への排流接続は、インピーダンスボンドの中性点に限られる。また、連続した軌道回路に排流するとクロスボンド回路を生じ、危険な動作をするおそれがあるので、これを避けるため解説210.2図に示すように排流回路にインピーダンスを入れて回路のインピーダンスを高くし又は1軌道回路以上離れた点に接続することとしている。
また、強制排流法を採用する場合は、直流電源装置により軌道回路に脈流が流れて信号障害を起こすおそれがあるので、この妨害電流の大きさをその軌道回路に対する制限値以下にする必要がある。
解説210.2図
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第四号では、排流線にはレールの電位が印加され電車の移動に伴い瞬間的ではあるが相当高い電位になることが予想されるが、排流線から電流が漏えいすることは電食防止の見地から好ましくないので、技術的にやむを得ない排流線と金属製地中管路又は帰線との接続点を除き、排流回路を大地から絶縁することとしている。
第五号は、排流線の施設方法を規定したものである。
イは、排流線の施設方法の原則を示したもので、排流線を地上に転がして施設することは許されない。ただし書は、排流線と専用軌道の帰線との接続部分についての例外規定である。
ロは、排流線を架空で施設する場合の施設方法について示している。前述のとおり、排流線の対地電圧は瞬間的ではあるが相当高い値に上昇するので、排流線を架空で施設する場合は、概ね低圧架空電線に準じて施設することとしている。すなわち、から及びの規定に準ずるほか、次の(イ)、(ロ)、(ハ)及び(ニ)の規定に適合する安全な施設が求められる。
(イ)では、排流線に使用する電線の引張強さは5.26kNとしている。排流線には相当高い電位が生じることもあるので、比較的切れ難いと考えられる直径3.5mm以上の銅覆鋼線又は直径4mmの硬銅線等を要求している。
(ロ)では、排流線に使用する電線の電流容量が不足していたために、その絶縁被覆を損傷した事例もあるので、排流線の電流容量には特に注意を要することを示している。排流線の電流容量は、排流器の連続定格容量に一致させることが合理的である。
(ハ)では、排流線を架空弱電流電線路等の支持物に添架する場合には、の低圧架空電線の規定に準じて施設することを規定している。ただし書では、排流線に600Vビニル絶縁電線又はケーブルを使用する場合には、排流線と架空弱電流電線等との離隔距離を75cm以上から30cm以上までに短縮できるとともに、排流線を架空弱電流電線等の下に施設することができることとしている。
(ニ)では、排流線を専用の支持物に施設する場合には、低圧架空電線路の施設に関する規定に準じて施設することとしている。
ハにおいて、地中に埋設して施設する排流線に金属被覆を有するケーブル等を使用することは、金属被覆が金属製地中管路付近の電位と同電位となり保安の観点からは好ましくない。また、天然ゴムはビニルやクロロプレンに比べ絶縁の耐久性において劣るので、600Vゴム絶縁電線を排流線に使用することを禁じている。
排流線を地中に埋設する場合の工事方法については、低圧地中電線路の工事に関する規定に準じて施設することとしている。
ニは、排流線を地中式から架空式に、又は架空式から地中式に引き出し又は引き入れる時の施設方法についての規定である。
なお、排流線と金属製地中管路との接続点の点検は、排流線の施設後においては容易にできないので、施設する際に脱落するおそれがないように十分注意するとともに、接続点の電気抵抗をできるだけ小さくしておく必要がある。
排流線と金属製地中管路とを接続する方法としては、一般に、排流線を直接金属管にろう付けする方法、金属管にバンドをはめ、バンドと排流線とをろう付けする方法又は埋設する前に金属管の適当な箇所にリード線を取り付けてから埋設する方法がとられている。
なお、排流線と帰線、金属製地中管路又は排流器との接続の良否及び排流器が正常に動作しているかを必要に応じ点検し、その結果を記録しておくことが望ましい。
また、排流器のヒューズの溶断等のため排流器がその動作を停止していた事例が相当あることから、排流器の保守点検を励行し、常に排流器が正常に動作するように努める必要がある。排流器の排流電流は、電気鉄道のダイヤ、き電区間の変更等により変化するので、電気鉄道事業者との連絡を密にして、必要に応じて排流器の設置場所、容量等を検討し、排流器がその機能を十分に発揮するよう施設する必要がある。

公式資料該当頁: p.306–309

令和7年11月20日改正

出典: 「電気設備の技術基準の解釈の解説」(経済産業省)を加工して作成

※ 本ページは公式資料そのものではありません。