第7条(風車を支持する工作物)
発電用風力設備に関する技術基準を定める省令及びその解釈に関する逐条解説
掲載版 令和6年10月1日このページ
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ここで言う「施設する」とは、設計及び施工要件に加え、設計時の要求性能を経年時まで維持することも含まれる。その為、継続的に保守管理を行うことにより、風車を支持する工作物の健全性を確認することが必要である。
また、解釈第10条及び解釈第12条から第14条で言う「構造上主要な部分」はタワー(接合部及び基礎への定着部を含む)、基礎及び基礎ぐいで、発電用風力設備の自重若しくは積載荷重、積雪荷重、風圧、土圧若しくは水圧又は地震その他の震動若しくは衝撃を支えるものをいう。
解釈第9条は風車を支持する工作物に作用する自重、積載荷重、積雪荷重、風圧、土圧及び水圧による荷重の他、風車の運転による振動並びに当該設置場所において通常想定される地震その他の自然の要因により風車を支持する工作物に作用する振動及び衝撃に対して、構造上安全であることを規定したものである。風車を支持する工作物は重量が大きいブレードやナセルが上部に積載されることを踏まえ、風車の回転による共振に対し、また、海岸付近及び洋上に設置される場合は、波、海の流れ、水位、海氷、海洋付着生物、洗掘等による振動や衝撃に対し、風車を支持する工作物を構成するタワー、基礎及びタワーと基礎との定着部が、それぞれ安全であることを規定したものである。
解釈第9条第2項では、「タワーと基礎との定着部が工作物に作用する外力に対して安全であることを含む」と規定しており、この場合、アンカーボルト締め付け力及び特定支持物基部に作用する荷重等を考慮して、特定支持物と基礎間の定着部に用いるグラウト強度を設定することが必要である。
解釈第9条第3項は特定支持物についての規定である。従来、高さ15mを超える風車を支持する工作物(特定支持物)であって陸上に設置されるものや洋上着床式のものについては、建築基準法及びこれに基づく政令等の規定による規制に基づく工作物としての規制を受けていたが、平成26年4月から、発電用風力設備には建築基準法の規定が適用されなくなっている。このため、従来と同等の安全性を確保するべく、特定支持物に対し適用されていた建築基準法第88条で準用される各規定(主に建築基準法施行令第140条に規定する同第138条第1項第二号に掲げる高さ15mを超える鉄柱に対する規定)の実質的な内容を解釈第10条から第15条に規定したものである。特に建築基準法施行令第139条第3項及び第4項を踏まえ、解釈第12条においては高さ60mを超える特定支持物に対する規定を、解釈第13条から第15条においては、高さ15mを超え60m未満の特定支持物に対して規定しており、いずれかに該当すれば、省令第7条の構造上安全であるとみなしている。
また、建築基準法に基づく特定支持物に対する構造強度に係る基準を満足する民間規格である土木学会「風力発電設備支持物構造設計指針・同解説」(2010年版)(以下「土木学会指針」という。)の規定についても取り込むこととしている。土木学会指針に基づき適切に施設される一般的なものについては、構造上安全であると見なせると考えるが、洋上に施設するものや、特殊な材料を使用する場合など、土木学会指針に基づかない発電用風力設備については、特殊な設備として十分な安全上の検討が必要である。
また、風車を支持する工作物の設計供用期間は設計者と事業者が協議して定めるべきものであり、当該期間において十分な安全性が確保されることが必要である。通常、設計供用期間は20年とするのが一般的である。
② 解釈第10条は、建築基準法施行令第36条の3(構造設計の原則)、同第37条(構造部材の耐久)及び同第38条(基礎)並びに平成12年建設省告示第1347号の規定を取り込んだものであり、特定支持物についての構造設計の原則について規定している。第四号は洋上に風車を設置する場合においては洗掘等による海底面の変形の影響に対する検討を含むものとする。第六号及び第七号では、土木学会指針を基に、特定支持物におけるタワー頂部のフランジ、タワーの開口部、溶接部及びボルト接合部の構造上の安全性について規定している。特定支持物(タワー)の構造計算に係るアンカーボルトおよびフランジ継手ついて、過去に安全性が確認済みの評価手法に関する情報を別紙に示す。
第八号は腐食及び摩損に関する規定であり、洋上に風車を設置する場合においては厳しい腐食環境下にあるため、環境条件、耐用年数、経済性、施工性等を考慮して対策を講じ、適切な材料を選定することが必要である。第九号は、建築基準法第37条(建築材料の品質)及び平成12年建設省告示第1446号の規定を取り込み、特定支持物に使用する材料について規定したものである。平成12年建設省告示第1446号の別表第一(い)欄に掲げる材料の区分に応じそれぞれ同表(ろ)欄に掲げる日本産業規格に規定される種類の記号と適用厚さ毎に許容応力度及び材料強度の基準強度(溶接部の基準強度を含む。)が指定されているもの、建築基準法第37条第二号の規定に基づき国土交通大臣による認定を受けた材料のうち、風力発電設備用や建築材料として使用用途が限定されていないもの、日本産業規格に適合する材料と同等以上の機械的性質や化学成分その他の品質を有している材料として、経済産業省電力安全課長の確認を受けたもの又は建築基準法第37条第二号の規定に基づき国土交通大臣による認定を受けた材料であって風力発電設備用や建築材料として用途が限定されているものについては、その用途の範囲内で使用する場合は、省令第7条に適合するものとみなされる。日本産業規格以外の規格に基づく材料など、これらの材料以外の材料を使用する場合や日本産業規格に適合する材料であるが基準強度が定められていない材料を使用する場合は、その使用の前に経済産業省電力安全課長の確認を受ける必要がある。
なお、特定支持物の設計において必要な許容応力度の基準強度は、平成12年建設省告示第2464号により定められている材料はその値を用いてよい。
③ 解釈第11条は、建築基準法施行令第72条(コンクリートの材料)、同第73条(鉄筋の継手及び定着)、同第74条(コンクリートの強度)、同第75条(コンクリートの養生)、同第79条(鉄筋のかぶり厚さ)及び昭和56年建設省告示第1102号(建築基準法施行令第七十四条第一項第二号の規定に基づく設計基準強度との関係において安全上必要なコンクリートの強度の基準及び同条第二項の規定に基づくコンクリートの強度試験)並びに平成13年国土交通省告示第1372号(建築基準法施行令(昭和25年政令第338号)第79条第1項の規定を適用しない鉄筋コンクリート造の部材及び同令第79条の3第1項の規定を適用しない鉄骨鉄筋コンクリート造の部材の構造方法を定める件)の規定を取り込んだものであり、特定支持物の基礎に用いるコンクリートについて規定している。また、第八号及び第九号は、土木学会指針の規定を基に、特定支持物基礎の構造上の安全性について規定したものである。
また、地盤調査については解釈第11条第1 項第八号及び同項第九号において要求される支持地盤の強度の根拠として求められることから、必要に応じて地盤調査により以下の諸特性を確認することとする。
・地盤の構成や層序:基盤深度、層厚等
・物理特性:単位体積重量、含水比、土粒子の密度、粒度、コンシステンシー等
・力学特性:強度パラメータ(一軸圧縮強さ、せん断強さ、せん断抵抗角、粘着力)、孔内水平載荷試験により得られる変形係数、圧密特性(圧縮指数、圧密係数、体積圧縮係数、透水係数、過圧密比)等
・液状化特性:N 値、地下水位、細粒分含有率等陸上風力発電設備においては原則として全設置位置において標準貫入試験を実施することとする。また、洋上風力発電設備においてはCPT試験による調査を標準貫入試験その他のボーリングを伴う調査に代用できる。ここで、標準貫入試験その他のボーリングを伴う調査の実施箇所数は発電設備の基数、予備調査等から得られた地盤情報に応じて設定することとする。なお、CPT試験の結果は標準貫入試験その他のボーリングを伴う調査によりキャリブレーションを実施すること。
④ 解釈第12条は、平成12年建設省告示第1461号の規定を基礎とし、建築基準法施行令第86条(積雪荷重)、同第87条(風圧力)、同第90条(鋼材等)、同第91条(コンクリート)、同第92条(溶接)、同第92条の2(高力ボルト接合)、同第93条(地盤及び基礎ぐい)、同第94条(補則)、同第96条(鋼材等)、同第97条(コンクリート)、同第98条(溶接)及び同第99条(補則)、平成12年建設省告示第1454号、平成12年建設省告示第1455号、平成12年建設省告示第2466号、平成13年国土交通省告示第1024号(特殊な許容応力度及び特殊な材料強度を定める件)及び平成13年国土交通省告示第1113号(地盤の許容応力度及び基礎ぐいの許容支持力を求めるための地盤調査の方法並びにその結果に基づき地盤の許容応力度及び基礎ぐいの許容支持力を定める方法等を定める件)の規定を取り込み、高さ60mを超える特定支持物の構造安全性について規定したものである。また、第1項第三号に規定する風圧荷重におけるガスト影響係数については、土木学会指針の簡便法に基づく値を用いることとしている。
日本のような混合気候では熱帯低気圧(台風)及び季節風が強風の成因となり得るため、両者を独立の事象として捉えた上で極値風速(再現期間50年の設計風速)を評価する必要がある。具体的には、熱帯低気圧(台風)はモンテカルロシミュレーション法を用いて、台風による年最大風速の非超過確率分布を算出し、季節風はMCP法(Measure-Correlate-Predict法:気象官署の観測データ等を用いて対象地点の風速を予測する方法)又は気象シミュレーションを用いて、季節風による年最大風速の非超過確率分布を算出する。続いて、両者の確率分布を乗じることで、台風と季節風を考慮した年最大風速の非超過確率分布、すなわち混合非超過確率分布を算出する。この非超過確率が1-1/50=0.98 となる風速が再現期間50年の設計風速である。
(参考資料)
日本産業規格 C 1400-1:風車-第1部:設計要件 付属書JA
International Electrotechnical Commission, IEC 61400-1 Wind energy
generation systems-Part1:Design requirements 付属書 F及びJ
なお、特定支持物(タワー)の設計について、過去に安全性が確認された評価手法に関する情報を別紙に示す。
また、特定支持物の建設地の周囲(風力設備全体高を半径とした範囲)に、居住を供する建築物又は建築物の部分がある場合など、当該特定支持物の倒壊あるいは崩壊により人命に対して危険が生じるおそれがある場合は、極めて稀に発生する暴風(基準風速V0 (m/s)を1.25倍した風速による風荷重)に対する検討が必要となる。
第1項第五号に規定する地震動は、稀に発生するもの及び極めて稀に発生するものに対し構造上安全であることを確かめることが必要である。
この場合、位相特性の異なるスペクトル適合波を3波以上、さらに既往観測波3波を用いることが一般的である。
第1 項第四号及び第五号の構造計算に当たり、解放工学的基盤の設定及び表層地盤による増幅を考慮する際には、地盤調査により以下の諸特性を確認することとする。
・地盤の構成や層序:基盤深度、層厚、弾性波速度等
・物理特性:単位体積重量、含水比、土粒子の密度、粒度、コンシステンシー等
・動的変形特性:せん断弾性係数と減衰係数のひずみ依存性等
・液状化特性:N 値、地下水位、細粒分含有率等
また、洋上風力発電設備に関しては、以下の項目について合わせて実施することとする。
・予備調査:既往文献、過去の深浅測量や地質調査等の資料から、海底地形、地質および断層の有無等を調査すること。
・海底地形調査:深浅測量、サイドスキャンソナー探査等を行い、設置位置の水深および海底面の起伏等を調査すること。
・物理探査:音波探査、磁気探査等を行い、岩礁、魚礁、定置網、機雷または不発弾等の残存危険物及び水中文化遺産(水中遺跡)等の有無を確認すること。
・地盤ボーリングおよびサンプリング:風車の全設置位置において地盤ボーリングおよびサンプリングを実施することを原則とし、原位置試験と室内試験により地盤構成、地盤物性(物理特性および力学的特性)を把握すること。
地盤の構造及び土質性状が類似すると判断される場合は、標準貫入試験その他のボーリングを伴う調査結果を複数の設置位置に適用してよい。また、音波探査や微動アレイ探査等を併用する場合には、ボーリング調査の結果と比較し、探査精度の検証およびキャリブレーションを実施すること。
・原位置試験:風車の全設置位置において標準貫入試験(SPT)またはコーン貫入試験(CPT)等を実施すること。
第1項
第1項第六号は洋上に設置する風車において考慮すべき荷重について規定したものである。ここで、第1項第六号イに規定する港湾レベル2地震動は、港湾における耐震強化施設の利用等に支障を及ぼす可能性のある地点に洋上風力発電設備を設置する場合に限り考慮するものとする。また、第1項第六号ロに規定する波浪荷重については、海中生物付着により部材が波力を受ける面積、体積が見掛け上大きくなるため、部材寸法に生物付着の厚みを考慮することとする。なお、洋上に風車を設置する場合は、「洋上風力発電設備に関する技術基準の統一的解説」(以下「統一的解説」という。)を参照すること。
第2項
第2項は、土木学会指針、IEC61400-1、IEC61400-3-1 及びIEC61400-6 を基に、解釈第9条第1項に掲げる荷重及び外力の組合せには、風車部分の発電時荷重を考慮する旨を規定している。
別表第3に示した地震時の組み合わせ荷重として考慮するべき風荷重は、
IEC61400-1 に示される a)、b)、c)の3つの荷重のうち最大の荷重とし、地震荷重K及びK'に含まれるものとする。また、洋上に設置する風車において考慮すべき荷重の組合せについては統一的解説を参照すること。
⑤ 解釈第13条から第15条は、平成12年建設省告示第1449号の規定を基礎とし、解釈第13条では建築基準法施行令第82条(保有水平耐力計算)、同第84条(固定荷重)、同第85条(積載荷重)、昭和55年建設省告示第1793号及び平成19年国土交通省告示第594号(保有水平耐力計算及び許容応力度等計算の方法を定める件)の構造計算に係る規定を、解釈第14条では、同第64条(材料)から同第68条(高力ボルト、ボルト及びリベット)まで、平成12年建設省告示第1456号及び平成12年建設省告示第1464号の鉄骨造に関する構造上主要な部分に係る規定を、解釈第15条では、建築基準法施行令第38条(基礎)、同第73条(鉄筋の継手及び定着)及び平成12年建設省告示第1463号の基礎に係る規定を取り込み、高さ15メートルを超え60メートル以下の特定支持物の構造上の安全性について規定したものである。なお、解釈第13条第二号に規定する「長期及び短期の各応力度」については、土木学会指針の規定を踏まえ、長期荷重時には「発電時の平均風荷重の最大値」を、短期荷重時には「発電時のピーク風荷重の最大値」を考慮する必要がある。
⑥ 解釈第16条第1項は、解釈第9条第3項の規定にかかわらず、特定支持物は建築基準法の工作物に適用される構造強度に係る各規定に適合することを規定している。解釈第10条から第15条は、現在施設されている特定支持物に対して実際に適用されている建築基準法の規定を取り込んだものであるが、木造等、新たに解釈第10条から第15条の規定に該当しない特定支持物が施設される場合にも建築基準法の工作物に適用される各規定に適合することが必要である。また、解釈第16条第2項については、風車を支持する工作物のうち、浮体式のものについては、船舶安全法の適用を受けることから、同法の規定に適合することが必要である旨を規定したものである。
⑦ 解釈第17条は、風車を支持する工作物の施設制限に関する規定であり、支持物それ自体で十分な強度を有するように設計すべきことを規定したものである。
なお、風車の種類によっては、支線を用いる場合も想定されるが、解釈は省令を満たす一例であるので、解釈に拠らなくても、省令に適合していれば問題ないが、その場合には、省令に適合していることを証明する技術的根拠を有している必要がある。
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