電気設備の技術基準の解釈の解説
第106条(35,000V以下の特別高圧架空電線と工作物等との接近又は交差)
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〔解 説〕 本条は、使用電圧が35kV以下の特別高圧架空電線が工作物(他の特別高圧架空電線を除く。)又は植物と接近又は交差する場合の規定である。なお、工作物等と接近又は交差する場合には、本条のほかに、第96条で支線の施設について規定している。
第1項
第1項は、35kV以下の特別高圧架空電線が建造物の造営材と接近又は交差する場合の規定である。詳細については、第97条の解説を参照されたい。第一号では、35kV以下の特別高圧架空電線と建造物との離隔距離について規定している。
電線に特別高圧絶縁電線又はケーブルを使用する場合については、22 (33) kV架空配電の拡大に伴い、S47基準で架空ケーブル(→第86条)を使用する場合、S57基準で特別高圧絶縁電線を使用する場合の離隔距離を新たに規定したものである。特別高圧絶縁電線(→第5条解説)を使用する場合の離隔距離については、人体計測結果及び低高圧架空電線との整合性を考慮して規定した。
第四号は、特別高圧架空電線が建造物の下方に施設される場合の建造物との離隔距離を定めたものである。電線に特別高圧絶縁電線又はケーブルを使用する場合は、相互の離隔距離のみの規定としている。
第五号は、特別高圧絶縁電線を防護具に収めて施設する場合に、離隔距離を緩和している。最近、ビルの高層化に伴い配電線が建造物の側方で近接することが多くなっているが、建造物に施設される突き出し看板などと架空電線との離隔が不足するたびに支持物の移設や電線高さを上げることには限度がある。そこで、配電線全体の絶縁強化ではなく、特に接触の危険又は感電等のおそれがある箇所に限って重点的に絶縁強化を行い、合理的に保安を確保しようとする見地から、H18解釈において、絶縁性の防護具に収めた電線と、危険度の低いと考えられる建造物の一部となっているような簡易な突き出し看板や上部造営材以外の造営材との離隔距離は、電線が接触しなければよいこととした。なお、その際には、防護具による風圧荷重等の荷重増加を加味し、支持物の基礎の安全率等を確かめる必要がある。
特別高圧防護具の性能については、第55条において、材料、厚さ及び絶縁耐力試験等を規定している。機械的強度に対しては、材料及び厚さを規定することによりその性能を満足している。なお、使用する材料は、取り付け期間等を勘案し、ポリエチレン混合物としている。
第2項
第2項は、35kV以下の特別高圧架空電線が道路等と接近又は交差する場合の規定であり、詳細については、第98条の解説を参照されたい。第二号は、第2次接近状態に施設される場合の施設方法を示している。水平距離については、電線に特別高圧絶縁電線を使用する場合は1.5m、ケーブルを使用する場合は1.2mまで緩和した。これは、架空ケーブルについてはS47基準で工事方法が、特別高圧絶縁電線についてはS57基準で規格が定められたことに伴うものである。第二号ハは、道路等と長距離にわたって接近状態が続けば、事故発生の確率が高くなることから、道路等と第2次接近状態にある距離が100mを超える場合は、第2種特別高圧保安工事におけるがいし装置に係る部分を追加(道路に限る。)して施設することとしている(→解説98.1図)。
第3項
第3項は、35kV以下の特別高圧架空電線が索道(→第49条第十三号)と接近又は交差する場合の規定である。詳細については、第99条の解説を参照されたい。
第4項
第4項は、35kV以下の特別高圧架空電線が低高圧架空電線等又は低高圧電車線と接近又は交差する場合の規定であり、詳細については、第100条の解説を参照されたい。106-3表の特別高圧絶縁電線の離隔距離については、S57基準で特別高圧絶縁電線の規格(→第5条解説)が規定されたことに伴い追加されたもので、離隔距離の考え方は第97条の場合と同様である(→第97条解説)。また、低圧架空電線が絶縁電線又はケーブルである場合を除き、高圧架空電線よりも離隔距離を大きくしているが、これは、低圧架空電線の場合多心型電線を使用することがあるためである。
第三号は、35kV以下の特別高圧架空電線が低高圧架空電線等と第2次接近状態に施設される場合の規定であり、第2種特別高圧保安工事のほかに、原則として低高圧架空電線等からの水平離隔距離を2m以上とすることを示している。イでは、保護網を施設する場合は、第2種特別高圧保安工事のがいし装置に係る工事を施さないことができるとしているが、ハにおいて、水平距離が3m未満に施設される架空電線の長さが短い場合、すなわち連続して50m以下であって、かつ、1径間におけるその長さの合計が50m以下の場合を除き、保護網の施設にかかわらず、第2種特別高圧保安工事のがいし装置に係る部分も施設する必要があることを示している(→解説100.1図)。ロは、低高圧架空電線等の切断による跳ね上り混触事故の防止のために、特別高圧架空電線と低高圧架空電線等との水平離隔距離を定めている。ただし、特別高圧架空電線が特別高圧絶縁電線又はケーブルである場合は、混触事故の危険性が低いことから、水平離隔距離はとらなくてもよいこととしている。
第5項
第5項は、35kV以下の特別高圧架空電線が他の工作物(例えば広告塔、石油タンク又は電線路専用橋等)と接近又は交差する場合の規定であり、詳細については、第102条の解説を参照されたい。なお、消防法に基づく危険物の規制に関する政令第9条第一号において、危険物の製造所、屋内貯蔵所、屋外タンク貯蔵所、屋外貯蔵所及び一般取扱所の位置に関し、使用電圧が35kV以下の特別高圧架空電線から水平距離で3m以上離隔すべきことが定められている。
第五号は、特別高圧絶縁電線を防護具に収めて施設する場合、危険度が低いと考えられる建造物に施設される簡易な突き出し看板等との離隔距離については、H18解釈において、電線が接触しなければよいこととしている。
第6項
第6項は、35kV以下の特別高圧架空電線と植物との離隔距離を示したものであり、詳細については第103条解説を参照されたい。なお、106-5表では、電線に特別高圧絶縁電線又はケーブルを使用する場合には、植物と接触しないこととしており、また、第5条に示す高圧絶縁電線を使用する場合は、離隔距離を0.5mにできることを示している。ただし書は、
H23解釈で追加したものであり、特別高圧の架空電線にケーブルを使用する場合であって、日本電気技術規格委員会 JESC
E2020(2016)「耐摩耗性能を有する『ケーブル用防護具』の構造及び試験方法」に適合する防護具に収めて施設する場合には、離隔距離の緩和を認めている(→第79条第三号解説)。R4解釈より、民間規格評価機関として日本電気技術規格委員会に承認された規格リストと関連づけられ、当該機関の公開ページにて掲載されている。