電気設備の技術基準の解釈の解説

第100条(35,000Vを超える特別高圧架空電線と低高圧架空電線等若しくは電車線等又はこれらの支持物との接近又は交差)

経済産業省の一次資料を確認(新しいタブで開く)該当頁の目安 p.150–153

第1項

〔解 説〕 本条は、特別高圧架空電線が低高圧架空電線、架空弱電流電線等、低高圧電車線又はこれらの支持物と接近又は交差する場合の規定である。特別高圧架空電線がこれらのものと接近又は交差する場合には、本条のほかに、第96条で支線の施設について規定している。離隔距離、水平離隔距離、第1次接近状態(第九号)、第2次接近状態(第十号)、接近、交差などの意味については第71条及び第72条の解説を、光ファイバケーブルについては省令第1条第十三号を、また、特別高圧保安工事については第95条の解説を参照されたい。なお、弱電流電線については、省令第1条の解説を参照されたい。
第1項の離隔距離について、H4基準では35kV以下の特別高圧架空電線に特別高圧絶縁電線又はケーブルを使用する場合に限り離隔距離の緩和を認めていたが、H9解釈において使用電圧が35kVを超える電線路に架空ケーブルを使用する場合についても離隔距離の緩和を認めた。また、R1解釈で170kVを超える特別高圧架空電線との離隔距離を新たに規定した。
詳細は、日本電気技術規格委員会規格JESC E2012(2013)「170kVを超える特別高圧架空電線に関する離隔距離」を参照されたい。

第2項

第2項は、特別高圧架空電線が低高圧架空電線等と第1次接近状態に施設される場合の規定である。

第3項

第3項は、特別高圧架空電線が低高圧架空電線等と第2次接近状態に施設される場合の規定であり、第2種特別高圧保安工事及び第1次接近状態の場合と同様の離隔距離による施設のほかに、原則として低高圧架空電線等からの水平離隔距離を2m以上とし、水平距離が3m未満に施設される架空電線の長さが短い場合、すなわち連続して50m以下であって、かつ、1径間におけるその長さの合計が50m以下の場合を除き、第1種特別高圧保安工事によることを示している。この接近長を図示すると解説100.1図のようになる。
なお、道路や索道が特別高圧架空電線から受ける影響としては、架空電線の断線事故による被害のみであるが、架空弱電流電線等については、このほかに、通信上の誘導障害が考えられるので、第51条及び第52条によりこの面に対する対策を十分考える必要がある。
解説100.1図
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第二号は、低高圧架空電線等の切断による跳ね上り混触事故の防止のために、特別高圧架空電線と低高圧架空電線等との水平離隔距離を定めているが、水平離隔距離が2m未満になる場合は、低高圧架空電線等が切断しないような強さのものである場合又は切断しても混触しないような場合などに限り認めている。また、引張強さ3.70kN以上のものでちょう架されている架空弱電流電線等又は径間15m以下の架空弱電流引込線若しくは光ファイバケーブル引込線については切断し難いことから、水平離隔距離はとらなくてもよいこととしている 。さらに、低高圧架空電線等が万一切断し跳ね上るとしても、特別高圧架空電線がケーブル(使用電圧が100kV未満のものに限る。)である場合は、混触事故の危険性が低いことから、水平離隔距離はとらなくてもよいこととしている。

第4項

第4項は、特別高圧架空電線が低高圧架空電線等の下方で接近する場合の規定であるが、このような場合は稀なケースであり、かつ、危険性も大きいので、やむを得ない場合には、各号により施設することとしている(解説)。
第三号は、低高圧架空電線等の切断及び支持物の倒壊を防止するために、電線の太さ、木柱の安全率、支持物の施設、径間制限及び支線の施設について示している。架空弱電流電線等又は低圧架空電線については、(ロ)及び(ハ)で高圧架空電線路の支持物と同等の施設を要求している。木柱の安全率に関しては、3としていたものを、S43基準の改正において、維持基準として木柱の安全率を定めるべきであるということになり、1.5以上に改め、R2基準の改正で2.0以上に改めた。したがって、建設時には3以上の安全率としておくことが望ましい(解説)。
なお、100kV以下の特別高圧架空電線がケーブルである場合は、接近状態の場合と同様、水平距離が3m以上あれば混触事故のおそれが少ないことから、ロ(イ)から(ホ)の規定によらず、下方への接近を認めている。

第5項

第5項は、特別高圧架空電線と低高圧架空電線等が交差する場合の規定である。
第一号は、第2種特別高圧保安工事により施設することを示している。しかし、第2種特別高圧保安工事のうちがいし装置(解説)に係るものを施し難い場合は、保護網を施設することを認めている。これは、低高圧架空電線等が、特別高圧架空電線の施設後に施設され、ただちに、がいし装置の変更ができない場合を想定したものであり、できるだけ第95条第2項第三号のがいし装置により施設することが望ましい。
第二号は、低高圧架空電線等の切断による混触を防止するための規定であり、保護線(→解説100.2図)の施設を要求しているが、第2次接近状態に施設される場合と同じような趣旨でただし書によって保護線の省略について示しており、
H9解釈において使用電圧が100kV未満の架空ケーブルについても対象とした。
解説100.2図
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イ及びハの「垂直に2以上ある場合は、最上部のもの」というのは、下に施設される架空弱電流電線や低高圧架空電線が垂直に多数ならんでいる場合は、最上部のものが強いものであれば、その下にあるものは強いものでなくてもよいことを認めている。
第三号は、第98条第2項第三号及び第99条第3項第二号と同様の趣旨で、原則として緩やかに交差することを避けることとしており、第2次接近状態として施設できる場合を図示すると解説100.3図のようになる(解説)。
解説100.3図
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第6項

第6項は、第一号又は第二号の場合を除き、特別高圧架空電線を低高圧架空電線等の下で交差して施設しないこととしている。

第7項

第7項は、第2項、第3項及び第5項の規定の緩和であって、B種接地工事が施されている低圧架空電線()、航空障害灯など特別高圧架空電線路の支持物に施設する低圧電気工作物に電気を供給するための低圧架空電線()又は特別高圧架空電線路に添架されている電力保安通信線若しくはこれに直接接続する電力保安通信線(→第137条)などと特別高圧架空電線とが接近又は交差する場合は、離隔距離さえあれば他の保安的な施設は全て施設しなくてもよいことを認めている。このことについては、第76条及び第74条の解説を参照されたい。

第8項

第8項は、特別高圧架空電線が低高圧電車線と接近又は交差する場合の施設方法について規定している。なお、低高圧電車線は直径7mm以上のものであるので、第5項第二号における保護線の要求はなされない(→第205条、国土交通省令の規制を受ける電車線については、同省令によってその太さが規制されている。)。なお、第4項及び第6項については、低高圧電車線においてこれらの場合がないため、規定していない。

第9項

第9項は、保護網の施設方法を示しており、これを図示すると解説100.4図のようになる。保護網にA種接地工事を要求しているのは、第3項で特別高圧架空電線の切断の場合の保護も考えているためである。
なお、第四号における外線直下部に施設する金属線というのは、必ずしも外線直下部に施設しなくともよく、解説100.4図のように外線の方向と保護網を構成する金属線との方向が異なる場合は、外線を投影した場合にこれと交差する保護網の金属線を外線直下部に施設する金属線と考えて施設してもよい(保護網が全て5mm以上のHDCCで構成されていれば、外線直下部にことさら金属線を張る必要はない。)。
解説100.4図
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公式資料該当頁: p.150–153

令和7年11月20日改正

出典: 「電気設備の技術基準の解釈の解説」(経済産業省)を加工して作成

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