電気設備の技術基準の解釈の解説

第98条(35,000Vを超える特別高圧架空電線と道路等との接近又は交差)

経済産業省の一次資料を確認(新しいタブで開く)該当頁の目安 p.147–149

〔解 説〕 本条は、特別高圧架空電線が道路、横断歩道橋、鉄道又は軌道と接近又は交差する場合の規定である。なお、これらのものと接近又は交差する場合の特別高圧架空電線路には、本条のほかに、第96条で支線の施設を規定している。離隔距離、水平離隔距離及び交差などの意味については、第71条及び第72条の解説を、特別高圧保安工事については第95条の解説を参照されたい。

第1項

第1項は、第1次接近状態に施設される場合の規定である。離隔距離については、横断歩道橋や立体道路等の側方に架空電線が施設された場合に問題となるが、一般の道路では、その地表上の高さ()により必然的に決まる。これは本条の各項に共通することである(解説)。なお、35kV以下の特別高圧架空電線については、第106条にて規定している。
第二号は、R1解釈で新たに定めた規定であり、170kVを超える特別高圧架空電線との離隔距離を規定している。詳細は、日本電気技術規格委員会規格JESC E2012(2013)「170kVを超える特別高圧架空電線に関する離隔距離」を参照されたい。

第2項

第2項は、特別高圧架空電線が道路等と第2次接近状態に施設される場合の規定である。この場合の施設は、第2種特別高圧保安工事によることになるが、道路と接近又は交差する場合に限り、第2種特別高圧保安工事のうちがいし装置に係る部分、すなわち第95条第2項第三号及び第四号の規定によらなくてもよいこととしている(→第3項解説)。
これは、特別高圧架空電線が、山岳地等地形の関係で曲折している道路に僅かずつ接近する等の場合に、接近する部分が僅かであり、事故の確率が非常に少ないにもかかわらずルートを大きく変更しなければならず、そのために多くの困難が伴うというような場合を救済するためのものである。しかし、むやみに接近して施設することは避けることが望ましく、また、あらかじめ管理者との間に十分に連絡の上、実施することが望ましい。
第二号は、H9解釈でただし書を追加し、35kVを超え100kV未満の特別高圧架空電線にケーブルを使用する場合は、水平離隔距離を2.0mまで緩和した。これは、S47基準で架空ケーブルの工事方法について定められたことに伴うものである。
第三号は、道路等と長距離にわたって接近状態が続けば、事故発生の確率が高くなることから、道路等と第2次接近状態にある距離が100mを超える場合、35kVを超え600kV未満のものにあっては、第1種特別高圧保安工事によることとしている。
なお、第三号の規定について図示すると解説98.1図のようになる。100mという値は、第100条第3項第三号で規定する架空弱電流電線等の幅の狭い場合の50mとの関連で、道路など幅の広い場合は100mがほぼ同一の危険度と考えられることによる。300kVを超え600kVまでの送電線を第2次接近状態に施設することについては、S51基準で認めた。これは、道路の整備拡張が急速に進むことにより特別高圧架空電線と接近する機会が増加していたこと、また、500kV送電線についても、運転実績が積まれたこと、S51基準で静電誘導の障害防止について基準が定められたこと(→省令第27条)などを考慮して検討した結果、認められたものである。なお、H9解釈で35kVを超える100kV未満の特別高圧架空電線にケーブルを使用する場合は、水平離隔距離2.0mまでに緩和した。これは、S47基準で架空ケーブルの工事方法について定められたことに伴うものである。
解説98.1図
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第3項

第3項は、実際にはほとんど考えられないが、特別高圧架空電線が立体道路等の下方で接近する場合についての規定であり、建造物の下方に接近する場合(解説)の規定内容と同様である。

第4項

第4項は、特別高圧架空電線が道路等の上で交差する場合の規定であるが、この解釈で交差の場合に対する規定は接近の場合の規定よりも緩和されている。これは、本来距離の長いもの同士が接近することは危険度が高く、また、ルートを変えれば避けられる性質のものであることに対して、交差の場合は長いもの同士はどこかで交差しなければ施設できず、また、交差は1点であるのでその危険度は接近の場合よりも低いという考えに基づくものである。したがって、交差する場合は、特別高圧架空電線の電圧についての制限もなされていない。
施設方法としては、第一号で第2種特別高圧保安工事によることとしているが、イで道路と交差する場合、ロで保護網を施設する場合は、第2種特別高圧保安工事のうち、がいし装置に係る部分の規定(以下「がいし装置」という場合は、条文上は明確でないが、第95条2項第三号及び第四号の部分を意味している。)のみ省略できることを示している。道路については、交差する機会が非常に多く、全ての交差点においてがいし装置に規制を加えることは苛酷であるため、規制を緩和しており、したがって、保護網については横断歩道橋、鉄道及び軌道との関連において意味をもつものである。
ロは、保護網についての規定であり、万一、特別高圧架空電線が断線した場合に、これが落下しないよう支えるために、特に(イ)で、「堅ろうに支持すること。」と規定している。しかし、場合によっては困難なこともあるので、できるだけがいし装置によることが望ましい。保護網の具体的な施設方法については、第100条第9項の解説を参照されたい。
第二号は、緩やかに交差することを避ける趣旨のもので、たとえ交差する場合であっても特別高圧架空電線から水平距離で3m以内にある部分の長さは、事故の確率を低くするためできるだけ短くすることが必要である。従来、この規定はなかったが、接近の場合と整合を図るため、S38工規で新たに設けられた。したがって、特別高圧架空電線(1条を対象とする。)から水平距離で3m未満に施設される部分の長さ(道路等の長さで測定する。)が100mを超える場合は、道路等との長距離間接近(→第2項第三号)と同じように、35kVを超え600kV未満の特別高圧架空電線にあっては、第1種特別高圧保安工事によることとし、600kV以上のものは施設しないこととしている。なお、35kV以下の特別高圧架空電線の取扱いについては、第106条に規定している。
この場合の接近部分の長さの測定方法については、解説98.2図を参照されたい。なお、この規定については、道路のように幅が広いものについて特別高圧架空電線の長さをとると、交差の場合に非常な困難を生じること、第100条第3項で規定する架空弱電流電線等の幅の狭いものについては、どちらの長さをとっても大差ないことから、特別高圧架空電線が交差する相手方の長さをとることとした。
解説98.2図
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公式資料該当頁: p.147–149

令和7年11月20日改正

出典: 「電気設備の技術基準の解釈の解説」(経済産業省)を加工して作成

※ 本ページは公式資料そのものではありません。