電気設備の技術基準の解釈の解説

第136条(電力保安通信線の施設)

経済産業省の一次資料を確認(新しいタブで開く)該当頁の目安 p.187–188

〔解 説〕 発・蓄・変電所は大半が無人化、自動化され、これらの制御を一括して電子計算機により前処理し、最終判断のみを制御所又は給電所の運転員が行っているのが現状である。何らかの原因により、情報が失われ又は情報に誤りが生じると正しい操作が困難となり、混乱を起こしかねない。したがって、本条では電力保安通信線全般の信頼性を確保するため、その施設方法を規定している。

第1項

第1項は、重量物の圧力又は著しい機械的衝撃を受けるおそれがある場所には、適当な防護装置を設け又はこれらに耐える保護被覆を施したもの(一般に通信ケーブルは保護被覆を施したものと解してよい。)を使用するよう規定している。
一般に「重量物の圧力又は著しい機械的衝撃を受けるおそれがある」とは、人等が通行する面上に施設される場合、通信線の上に電力ケーブル等が施設される場合、直接地中に埋設する場合、コンクリートに直接埋設する場合又は壁等を貫通する場合などが考えられる。

第2項

第2項では、電力保安架空通信線は、台風、集中豪雨、雪等によりビニル袋、木片等が飛散し、通信線に引っ掛かり又は樹木等が倒壊し、通信線に寄りかかるなど外的損傷を受けやすい設備であるため、信頼性を向上させるために通信線の強さを規定している。第一号イは、通信線をちょう架用線(メッセンジャーワイヤ等)によりちょう架するよう規定し、ロでは、そのちょう架用線の材料を金属線とするよう規定している。光ファイバケーブルの場合に金属線以外のものを使用できるのは、光ファイバケーブルが絶縁物であることから、ちょう架用線も金属製以外のものを使用すると誘導電圧が生じず、作業上安全であるためである。ハは、ちょう架用線の安全率を高圧電線並みにするよう規定したものである。光ファイバケーブル等の通信線を支持物に固定して引き下げる場合等は、通信線に張力が加わらないので、ちょう架用線は必要ない。

第3項

第3項は、電力保安通信線に複合ケーブルを使用する場合の施設方法について規定している。水力発電所では、ダム・水路等の取水設備のゲート操作等を発電所又は技術員の駐在所から操作するため、電力線と通信線を施設する必要があるが、架空電線及び架空通信線では、山岳地を通過するため、保守が困難であり、また、土砂崩れ等により損壊しやすかった。そのため、導水路を利用し、電力線と通信線とを束ねた複合ケーブルを使用した施設方法が多く採用されてきた。S61基準で、これらの複合ケーブルを規格化し、基準を整備することにより、ダム・水路等の施設だけでなく、一般的な電力保安通信設備についても使用できるようにした。複合ケーブルの通信線は、常時誘導電圧が誘起するため、他の通信線と異なり、非常に危険である(誘導電圧は電気エネルギーを送電する目的を持たないため、電線扱いにはならない。)。したがって、弱電流電線を電力保安通信線に使用する場合に限り、使用が認められている。
第一号は、複合ケーブルを使用した通信線を道路に埋設して施設する場合の施設方法について規定している。これは、複合ケーブルを使用した通信線を道路に埋設して施設する方法は、ボーリング調査、道路工事又は道路に管等を埋設する工事のときに、ケーブルが損傷することが多く、金属製の刃等によりケーブルが損傷した場合には、通信線に電力が侵入し、通信機等を損傷させるだけでなく、人に対し非常に危険なためである。イ及びロでは、道路に埋設しても、管理を徹底すれば危険でないので、その施設方法について規定している。ハでは、やむを得ず道路を横断する場合には、損傷を受けるおそれの少ない(イ)又は(ロ)の方法により施設することとしている。この場合の工事方法は、万が一の事を考え、堅ろうな鋼管を使用することが望ましい。
第二号は、複合ケーブルを使用した通信線に直接接続する通信線について規定している。複合ケーブルの通信線については、電力線としての規定により、その保安が確保されている。これに直接接続された通信線(絶縁変圧器又は中継線輪等を介して結合するものを除く。)についても、複合ケーブルと同様に危険であることから、本号で規定している。
イでは、耐圧値が4kVの添架通信用第2種ケーブル又はこれと同等以上のケーブルの使用を、ロでは、通信線相互を接続する場合の接続部分の絶縁性能について、添架通信用第2種ケーブルと同等以上の性能を要求している。これは、常時電圧が誘起しているため、絶縁が不十分であると危険なためである。
ハは、複合ケーブルを使用した通信線に直接接続する通信線の施設方法について規定しており、特別高圧架空電線路の支持物に施設する通信線に直接接続する架空通信線と同等の保安レベルを要求している。
ニでは、この通信線と他の弱電流電線等との離隔距離について規定している。複合ケーブルの通信線に直接接続する通信線と他の弱電流電線等とが接近又は交差する場合において、どちらか一方が架空通信線又は屋内の通信線の場合は有線電気通信設備令において30cmを超えて施設すること、また、水中又は水底通信線相互の場合はにおいて500mを超えて施設することと規定されており、二重規制を避けるため除いている。しかし、どちらも造営物又は支持物に施設された通信線相互の場合は、有線電気通信設備令で離隔距離の規定がないため、15cm以上と規定したものである。15cmとしたのは、高圧の屋側電線路と弱電流電線等との離隔距離と整合させたものである。

第4項

第4項は、昭和59年11月の洞道内電話ケーブル火災(東京都世田谷区)を受け、地中電線と同様(→)、通信線を暗きょ内に施設する場合は、通信線に耐燃措置(→)を施し、又は暗きょ内に消火設備を設けることをH4基準で規定した。これは、一般的に通信線は発火源となることはないが、暗きょ内に併設される他の設備に火災が発生した場合の通信線への類焼を防止するため、通信線の耐燃措置等を施すこととしたものである。
なお、第一号ロの電力保安通信線の被覆における耐燃性試験は、R7解釈より、民間規格評価機関として日本電気技術規格委員会に承認された規格リストと関連づけられ、当該機関の公開ページに掲載されている。詳細は第二号イ(2)の解説を参照されたい。

公式資料該当頁: p.187–188

令和7年11月20日改正

出典: 「電気設備の技術基準の解釈の解説」(経済産業省)を加工して作成

※ 本ページは公式資料そのものではありません。