電気設備の技術基準の解釈の解説

第135条(電力保安通信用電話設備の施設)

経済産業省の一次資料を確認(新しいタブで開く)該当頁の目安 p.186–187

〔解 説〕 電力系統を構成している事業用電気工作物(小規模事業用電気工作物を除く、発電所、蓄電所、変電所、電線路等の電力設備)を最も安全に合理的かつ経済的に総合運用するため、これらの設備、機器の運転操作は全て給電所(→第ニ号)から発せられる給電指令によって行われる。したがって、給電所とこれらの電力設備との間には「専用」の通信設備が必要である。ここでいう「専用」とは、原則として電力保安通信用電話のみのために施設されたものをいう。
発電所から蓄電所又は変電所への送電は、この通信設備によって予めその旨を給電所から発・蓄・変電所に連絡するなど、両者間の緊密な連絡のもとに行われる。
事故等で発電、送電、蓄電、変電等の機能が停止した場合や、設備の点検、保守などの場合にも、給電所からこれら電力設備に対して適切な指示が与えられて、事故の復旧操作や電気工作物の使用、停止等が行われるが、これらの指令伝達にもこの専用の通信設備が使用される。このように電力設備の保安上及び運用上欠かせない通信設備を電力保安通信設備と呼んでいる。
この電力保安通信設備には、重要な区間に用いられている多重無線設備と有線設備等があり、電話の他にテレメータ、キャリアリレー、フォルトロケーター、テレコントロール等の信号伝送に利用されている。本条では、このうち電話設備の施設について規定している。

第1項

第1項第一号は、一つの給電所とその給電所の指令によって運転されている発電所、蓄電所、変電所(特別高圧の電気を受電している自家用電気工作物の受電所等を含む。)、発電制御所、蓄電制御所、変電制御所、開閉所、電線路の技術員駐在所(いわゆる保線所、保線区等)との間に電力保安通信用電話設備を施設するよう規定している。ここでいう発電所、蓄電所、変電所、発電制御所、蓄電制御所、変電制御所、開閉所、電線路の技術員駐在所は、異なる事業者所有も含まれる。
S43基準で、発電制御所、変電制御所、R4基準で蓄電所が新たに追加されたが、従来これらの制御するところは当然発電所であり、蓄電所であり、変電所であると解釈されていたが、発電所や蓄電所、変電所の中にない独立した制御所も将来は考えられるということから、本条において全面的にこれらが追加された。なお、S57基準で、35kV以下の特高需要家が、スポットネットワーク供給方式又は本線予備線供給方式のような機器の操作が極めて簡単で、かつ、系統に影響を及ぼすおそれがない方式で受電する場合、電力会社の給電所と当該需要家との間に公衆電話等による通常の連絡手段が確保されていれば、保安上及び供給上特に問題がないので、電力保安通信用電話設備は省略できることとした。
また、S61基準で、遠隔監視制御されない発電所であって、電気の供給に支障を及ぼさず、かつ、給電所との間で常時連絡をとる必要のない発電所は、保安上及び供給上特に問題がないので、電力保安通信用電話設備は省略できることとした。なお、ここでいう「電気の供給に支障を及ぼさず」とは、イ(イ)から(ハ)の条件を全て満足することをいう。
(ハ)の「給電所との間で保安上、緊急連絡の必要がない」とは、連系する電力系統や当該発電所の主回路の構成が簡単であること等により、当該発電所の運転、操作等が簡略であり、平常時、事故時の処置をあらかじめ給電所との間で取り決めておき、支障なく対処できるように措置されていることをいう。
無人発・蓄・変電所は、これを制御する親発電所等や発・蓄・変電制御所等と給電所との間に通信設備を施設してあれば、通常の運転、操作に関しては目的が達せられることから、遠隔監視制御される無人発・蓄・変電所を除いている。
ただし、親発・蓄・変電所と無人発電所(ただし書の発電所を除く。)、無人蓄電所又は無人変電所との間においては、事故時などに保安上の連絡が必要であり、常設又は移動用の電話設備を準備することが望ましい。また、ヘのかっこ書きは、開閉所において、その場所に保安員が赴いた場合に給電所と連絡をとれる設備があれば、当該開閉所と給電所との間に電話設備を常設する必要はないことを規定している。
第二号は、電力系統の連系が大きくなったため、給電所(例えば支店給電所)とその総合運用を行う上位給電所(例えば中央給電所)との間に電話設備を完備していなければ、平常運転にも支障を生じ、また、事故の波及が広範囲にわたるおそれがあるので、両者間に電話設備を設けるよう規定している。ここでいう給電所とその総合運用を行う上位給電所には、異なる事業者所有も含まれる。
第三号は、多くの電力系統が連系されて電力の融通が行われている今日では(各電力会社相互間で電力融通が行われている。)、他の電力系統の必要箇所と連絡がとれなければ、平常時の系統運用にも支障をきたすばかりでなく、事故が広範囲に波及するおそれがあるので、これらの給電所間に電話設備を設けるよう規定している。
第四号は、発電用の貯水池、調整池及びダム水路等の水力設備と水力発電所との間並びにこれら水力設備の保安と直接関係のある量水所及び降水量観測所と水力発電所との間に電話設備を施設するよう規定している。
第五号は、保安上、緊急連絡の必要がある同一水系の水力発電所相互間に電話設備を施設するように規定している。
第六号は、保安上、緊急連絡の必要がある同一電力系統の発蓄変電所等の相互間に電話設備を施設するよう規定している。
第七号の「技術員駐在所」とは、発電所、蓄電所、変電所、発電制御所、蓄電制御所、変電制御所、開閉所の運用に直接関係のある技術員駐在所を指しており、これは、一般には発・蓄・変電所等に異常(事故等)が発生した場合、緊急出動する技術員の駐在所が該当する。ここでいう技術員駐在所には、異なる事業者所有も含まれる。ただし、事業者間の協議により保安上緊急を要する連絡が必要ない場合には,施設することを必要としない。また、無人の発・蓄・変電所等の場合は、保安警報を受信する技術員駐在所(連絡補助員の駐在所は中継のみであるため含まれない。)も当然これに該当する。なお、イ及びロのただし書の発・蓄・変電所については、緊急を要する連絡の必要性が低いことから、携帯用又は移動用の電力保安通信用電話設備を用意してあれば、発・蓄・変電所に施設することを要しない。
第八号は、水力発電所の運転上、降雨量の変化及び気象の変化による負荷の変動等を予め想定する必要から又は雷若しくは台風等電力設備と密接な関係を有する気象の変化を予知する等の必要から気象台、測候所との間に電力保安通信用電話を施設することを規定し、さらに、火災時に消防活動及び付近の一般大衆の保護のため罹災家屋の送電を緊急遮断する必要があるので、消防署との間に電力保安通信用電話を施設するよう規定したものである。また、原子力発電所にあっては、放射線監視計測施設との間に電力保安通信用電話が必要である。
R6基準で、分散型電源設置者の技術員駐在所と分散型電源設置者の遠隔監視制御されない発電所若しくは蓄電所、分散型電源専用で昇圧若しくは降圧をする目的で施設された遠隔監視制御されない変電所又は遠隔監視制御されない専ら発電所の連系のために設置する開閉所との間の電話設備については、に則り施設することとされた。

第2項

第2項は、特別高圧架空電線路及びこう長5km以上の高圧架空電線路には、線路巡視に出た場合、必要に応じ、携帯用又は移動用の電話機で随時通話できるように電力保安通信用電話設備を施設する必要があることを示している。

公式資料該当頁: p.186–187

令和7年11月20日改正

出典: 「電気設備の技術基準の解釈の解説」(経済産業省)を加工して作成

※ 本ページは公式資料そのものではありません。